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遅すぎる訃報 [演奏家]

このところの連日の溜池通いとネット張り付きのコンクールのオンタイム視聴で、当電子壁新聞へのアップをしていなかった、遅すぎる訃報です。昨日、故岡山先生が尽力して竣工した鶴川のホールでの葵トリオの演奏会で、いきなりある方から「小林さんが…」と言われ、あああ、とあらためて想い出したという失礼極まりない状況でありました。

ヴァイオリン奏者の小林健次氏が、逝去なさいました。現時点でネット上に発見出来る公式の訃報はこれだけのようです。
https://www.tmso.or.jp/j/news/13750/

いろいろ書き出せばキリがないですけど、ひとつだけ、以下のリンクだけを記しておきます。どうやら2006年の記事のようで、富山のゴールドベルク音楽祭をやっていた頃、そのドキュメンタリーを制作したときの話のようです。インタビューなど不得意な方だっただけに、貴重な資料です。
http://www.kagakueizo.org/products/23/

残念ながら、どちらの経歴にもニューアーツQのことが触れられていないのは凄く残念です。今、生き残っているディスクはこれくらいなのかしら。
https://tower.jp/item/489336/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

簡単に聴ける音は、これだけのようです。でも、いかにも、ですな。


ちなみに、我が夫婦とすれば、「黒沼俊夫が最期の弦楽四重奏を弾いたときの第1ヴァイオリン」が健次先生でした。黒沼さんが弾けなくなっちゃって、慌てて引っ込んで、かなり時間が経って戻ってきて「チェロが手が不調で、ハイドンの《セレナード》を弾いてこの演奏会を終わりにします」と舞台で仰ったのが健次先生だったような。

合掌

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ヴュルツブルクの《哀れな水夫》期間限定配信中 [演奏家]

遅くなりましたが、まだ時間があると思うので、慌てて宣伝します。

日本時間の土曜日朝3時から48時間限定で、ヴュルツブルク劇場が制作したオペラ映画(と言うのか、良く判らないが、一昔前の言い方をすればそうなります)《哀れな水夫》が、無料でネット配信されています。こちら。
https://www.mainfrankentheater.de/spielplan/spielplan/der-arme-matrose/991/

ページをスクロールしていって、真ん中辺りにありますので、ポチョンと押せば始まります。

劇場の歌手やオーケストラ、指揮者が、恐らくは劇場の舞台を使って作っているのでありましょう。で、なんで紹介するかと言えば、演出が鬼才にして異才、我らが菅尾友氏だからでありまする。無論、菅尾氏だからといって、ニッポンだアジアだというものではないのは言うまでもないでありましょう。ドイツの現在のムジークテアタの流れの王道演出であります。

とはいえ、ひとつだけ蛇足というか、視りゃ判るけど吃驚しないように記しておきますと、この映像作品、ミヨーの30分ちょっとのミニオペラ《哀れな水夫》をそのまま映像化しているわけではありません。なんせ、1時間15分くらいあります。倍くらいある。知らずに眺め始めて、吃驚してしまいました。あれ、なんか間違えたか、って。

ええ、以下、完璧にドイツ語アクセス可能でいろいろな作品をご存じな方には無用なネタバレになるから、読まないように。いいですかぁ。

この作品、コクトー台本の「戻らない水夫の旦那を15年待ってる奥さん、失踪中の水夫、奥さんのお父さん、友人」という登場人物を、「レオノーレ(及びマルツェリーナ)、フロレスタン、ロッコ、ドン・ピサロ」に重ねています。で、救いの無い話を《フィデリオ》と二重構造にしている。

音楽も、ミヨーのオリジナル(ドイツ語歌唱)に、《フィデリオ》のアリアや二重唱、シューベルト《冬の旅》第1曲と第20曲など、それにショスタコーヴィチ交響曲第14番第1,2楽章が挿入され、コクトーの話に絡んでいきます。

最後のクレジットに全部ちゃんと書いてありますから、詳細を知りたい方はオシマイまで眺めてくださいな。ええい、菅尾さんに怒られるかもしれないけど、もう丸1日だけのことだから、画面写真、貼り付けちゃいます。ゴメン。
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日本時間の日曜日はまるまる視られるので、ご関心の方は是非どうぞ。なお、コクトー台本の粗筋は、ウィキペディアの英語版には上がってますから、ご覧あれ。さあ、お急ぎお急ぎ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Le_pauvre_matelot#Synopsis

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道夫先生がご自宅で大いに語る [演奏家]

コンサート案内が紙版から消えたと一部で大騒ぎになっている「ぶらあぼ」ですが、今やすっかり電子版が中心になったようで、ホームページには様々な動画がアップされていますね。うーん、日本語の音楽専門媒体の中で、脱紙化が最も成功しつつある媒体なのかしら。ま、隠居の目から眺めていられる世代でよかったなぁ、と思わんでもないけどさ。

そんな中に、興味深いものがアップされているのでご紹介。由布院の賢人、小林道夫先生が、ご自宅にヴァイオリンの白井くんを呼んで話をしているシリーズ。
https://p-academy.ebravo.jp/watch02#2

話としては、道夫先生をよくご存じの方とすれば今更なことも多いでしょうけど、やはりご自宅の空気の中で若い人、それも今やN響コンマスという特等席に落ち着いた異才との話ですから、聞くに値すると思います。3日目のアイキャッチが霧の金鱗湖ってのもいかにもだけど。道夫先生のお宅からの眺望、ってのはマズかったのかしら。

なお、なぜか「ぶらあぼ」さんは記していませんけど、白井氏はちゃんとゆふいん音楽祭にも登場しております。トリオとしてはバラバラでの参加だけど、弦楽四重奏として来てます。前夜祭でも、道夫先生との共演はなかったかな。

こういう映像は、きちんとアルヒーフとして保存されると良いのですが、どうなっているんだろうか。ともかく、なくならないうちに、ご関心の方はどうぞ。

なお、隠すことでもないので記しちゃいますと、来る火曜日に新装成った由布市湯布院町公民館のホールに道夫先生ら関係者と行き、中を見物することになってます。内部の様子など、当電子壁新聞で速報いたしますので、乞うご期待!

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ブラスバンド文化のまらろく [演奏家]

高崎駅、新幹線の待合室で、15分後にやってくる東京行きを待ってます。明日朝の9時から葛飾オフィスの書籍&家財道具が豊洲の倉庫に移動するというとんでもない日に、のこのこ遙か高崎までやってきた次第。こんなん。
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関東圏では、昨年226アベ要請以降初となるマーラーの後期本格大規模作品の上演、果たしてホントにやるのか、心配ではありましたがぁ、忙中閑ありで明日に備えハンマーで頭ぶったたかれておくべぇか、と遙々来たぞ高崎へぇ。

裏番組に、遙か横浜は紅葉坂上で還暦の巨匠の創作を振り返る大イベントがあり
https://www.kanagawa-ongakudo.com/detail?id=36776
業界関係者の殆どはそっちに行ってるだろー。やくぺん先生も、職種的に、県立音楽堂さんから招聘がかかってはおりました。有り難いことでありまする。とはいえ、この引っ越し疲労の海胆頭、山のようにいる方々にご挨拶したりするのはとても無理。で、こっちならだれもおらんだろーに、と駅の荻野屋で峠の釜めし定食喰らい
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新装成った高崎芸術劇場に向かったら…長老評論家のTさんにバッタリ。こっちですか、と苦笑する。天井桟敷なんぞにはだれもるまいと、地震にビックリしながらすわっていると、オペラとアジアの専門家となりつつある金町のK先生が隣の隣に座ってるではないかぁ。うううむ、まらろく吸引力、畏るべし!

この演奏会にわざわざやってきたもう一つの理由は、指揮者さんにあります。大井剛史さん、って指揮者、まだ「若手」と言って良いのでしょうが、やくぺん先生が斎藤秀雄賞の下選考委員などというオソロシーことをさせていただいていた頃、指揮者部門で何度か話題になったけど、川瀬氏などの影になっちゃって…というくらいの歳回りの方。そのときにいろいろ言った責任を感じているのだが、このコロナ禍で日本在住若手指揮者総浚え状態になっても、更に若い世代のもっと目立つ派手目な指揮者さんたち大活躍の中にあって、しっかり仕事はなさっているものの、それほど表に出てくる感はなかった。

とはいえ、知る人ぞ知るブラスバンド世界では若き巨匠でありまして、そっち方面の方は知らぬ者なし、って人材であります。そんな方が、なんとマーラーの6番をやってくれるという。これはもう、聴かぬ訳にいかんでしょ。

今、やくぺん先生以外は誰も乗ってない新幹線が、北関東をお江戸に向けて突っ走ってます。高崎から上野はあっという間なので、いきなり結論から言っちゃえば、マーラーの6番に関心がある方は、明日の午後3時からの桐生文化会館シルクホールというところでもう一度演奏があるので、是非ともお出かけあれ。これまで聴いたことがないまらろくが聴けますよ。

コロナ禍だから、なのかは知らないけど、弦楽器は第1ヴァイオリン12人、第2ヴァイオリン10人、ヴィオラとチェロは8人、という弦楽器はこの作品としてはギリギリの小編成。管は小さくしようがないから、結果として、極めて管にバランスが偏ったオーケストラになってます。ギャルドに弦を入れた、とまではいわないけど、どかああああっと弦楽器がいっぱいに入るいつものまらろくを考えると、かなり変わってます。

考えてみれば、この曲って、特に終楽章では重要な部分が殆どブラスバンドになる。終楽章の大暴れが始まる前、序の最後の辺りとか、なによりも最後の最後、心臓に悪いffffがオケ全体に鳴り響く《悲劇的》の極みの前の最弱音とか、重要な部分は管楽器の合奏になる。そういう部分での管の音の練り合わせ、響かせ方が、これまで聴いたことないくらいの練れっぷり。恐らくはマーラーも聴いていなかったであろうような、見事な響きのコントロールになってる。

いやぁ、これを聴きに行くだけで、新幹線に乗る価値はあるよ、皆の衆。

無論、海千山千の指揮者が作りに作る演奏を繰り広げている楽譜です。弦のレガートが大きくうねって押し寄せるとか、細かいモチーフの変化を見せるとか、そういうのは期待してもダメ。ともかく、21世紀ニッポンのオーケストラ文化を支えるブラスバンドという広大な裾野からマーラーを眺めると、こういう風に響くのだなぁ、というのはよーくわかる。

これはこれで、あり。

さあ、お彼岸の雨の日曜日、暇してる奴は東武線乗って桐生へGO!もしかしたら、これが21世紀のひとつのマーラー…かな?

あ、大宮駅だぁ。速いなぁ、シンカンセン。え、やっぱり東北新幹線、停まってるんだ。上越は大丈夫でした。

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司令塔のない《ゴールドベルク》 [演奏家]

葛飾オフィス撤収作業も4週目に入り、「親父の家の処分片付け」仕事はキャンプ用品や発電機などまで突っ込まれた裏の物置の中というオソロシー難物を除けばほぼ8割が修了。今週からは「オフィスの仮移転」作業も本格化しております。なんにせよ、あと1ヶ月は当電子壁新聞は開店休業状態が続きます。忙しいとか疲れているとかいうよりも、この歳で大荷物運びやら書棚解体やらの作業を延々とやっていると手が動かなくなり、キーボードがまともに叩けなくなる。で、どうしても最低限入っている商売作文やら事業連絡などのために腕のパワーを回さざるを得ず、こんな一銭にもならず逆に仕事の支障にしかならぬ「書いてあることは嘘ばかり、信じるなぁ」の無責任私設電子壁新聞まで文字通り「手が回らない」状況。ま、広告も取ってないし(iPhone版ではやたらと広告が出てくるのだが、So-netさんが何をやってるか良く判らぬ、あたしゃ一銭も貰ってないぞ!)、お許しを。4月以降は滅茶苦茶暇…なのか、転居探しで金が出て行くばかり状態になるのか、うううむ。

もとい。そんな中でも、どうしても顔を出さねばならぬ演奏会はある新帝都トーキョー地区、本日はこんな演奏会に行って参りましたです。
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思えばいつからの付き合いになるのか、藝大学生時代のアガーテQが由布院音楽祭に出たときからか、その前からか、もう記憶が無い。その後、勃興期の地域創造のアウトリーチ実験でちょっと過去にない形でのスターとなり日本全国のホール関係者にファンを作り、あの音程に厳しい耳がオケなんて音程悪い集団でやっていけるのか心配されながらも札響セカンド頭に10年近く(かな)も座り続け、オケの人気者となり、地域のファンも増やしていったヴァイオリニストの大森潤子さんが、演奏活動記念年ということで、近しい人やファンの前でやってお祝いした、というかなりプライヴェートな感じの演奏会。これはいかないわけにはいかんじゃろに。

お馴染みエクの下ふたりと共演するシトコヴェツキー版《ゴールドベルク変奏曲》がメイン。この共演者の選択といい、演目といい、とても興味深いですな。

だって、わしら音楽のシロートからすれば、例えばエクがセカンドが交代するというとき、丁度札幌を辞めることになっていた大森さんなんて、最適な人材に思えるわけですよ。付き合いも長いし、世代も一緒だし、どういう音楽をやるか良く知っている。人間的にもエクが札幌定期をやるときには聴きに来たり、打ち上げにも来たりしている。「弦楽四重奏をプロデューサーや演奏家じゃない音楽監督が作る」というようなやり方をするなら、どう考えても真っ先に連れてきそうなベストな選択に思えるでしょうねぇ。

だけど、エクも大森さんも含め、みんなそう思うけど、「弦楽四重奏」として常設でやっていく団体としては、現場とすればちょっと違う、という選択になる。へえ、そうなんだぁ、と思うけど、その選択は理解出来なくもない。仲が悪いとか、価値観が違うとかじゃないのだけど、誰もそれは考えない。

これがプロの音楽家の関係なのだなぁ、とあらためて、今更ながらに、思うのでありまする。そう、弦楽四重奏はプロデューサーが作るものではない、オーストラリアQしかり、カザルスホールQしかり。敢えて業界内タブーを口にすれば、コペルマン時代の東京Qしかり。昨今のアルテミス…とは言わないけどさ。なんであれ、フェスティバル的な団体ならばともかく、所謂常設団体は外部プロデューサーには作れない。

って、話がまるで関係ないところに行ってるんだが、ま、無責任電子壁新聞だからそれはそれ。本日、近江楽堂での演奏ですが、とても興味深かったです。

なにせ《ゴールドベルク変奏曲》という楽譜は、チェンバロ奏者やらピアノ奏者さんが生涯をかけてしゃかりきで真っ正面から挑んでくる大作でありまする。名曲とはいえ、なんせ調だって7割程は固定されてるもの凄く限界の多い世界での1時間を越える変奏ですから、今のコンサートホールに座っている聴衆を前に披露するとなると、あれやこれやの仕掛けをして、その演奏者なりに作り込んでいかねばならない。基本、ソリストというか、ひとりの演奏家がやる限り、いくらでも設計図はひけるし、完璧に創り上げてくることも出来るわけですな。わしらは、いつもはそういう演奏をライブでもディスクでも聴いている。

本日の演奏は、三人の演奏家に拠るアンサンブル版でした。指揮者も、勿論、いません。全体の造りを指導監修する先生がいるわけでもありません。ほんまもんの室内楽です。

そういう演奏でこの編曲楽譜を聴くと、「ああ、わしらが普段聴いてるこの曲の再現って、もの凄く演奏家の個性で作ってきてるもんなんだなぁ」と感じさせられる。逆に言えば、「ゴールドベルクって、こういうもんだ」と思わされる、ということ。普通なら、折り返し半分に向けてひと盛り上がりあり、後半頭一発ドカーンと再開。最後のアリア前にウルトラ超絶技巧発揮のクライマックスがやってくる、という造りの1時間ちょいになる。グールドの影響で演奏するようになったモダンのスターピアニストだけでなく、そんな作り込みの極北にいらっしゃるような道夫先生だって、やっぱりそれなりの「個性」が嫌でも感じられる。

ところがどっこい、三人の個性、というか、二つの良く判った低音に個性的な上声が乗っかるアンサンブルで耳にすると、そんな過度の作り込みとは無縁の、淡々と流れる時間の中でじっくりと関連性が成熟していく過程が、すごおおおおく感じられる。

冒頭のアリアでは、「あれ、この曲ってこんなにソプラノが聞こえたっけ」と思ったんだけど、1時間ほどの長い旅を終えて戻ってきた最後のアリアでは、まるで違うバランスで聞こえていた。耳なしやくぺん先生ったら、終演後に裏で「最初と最後のアリアって、全く同じ譜面なんですよね?」なんてアホな質問をしてしまったくらい。三人が50数分の音楽を一緒にすることで、同じ楽譜があそこまで違って響くものなのかと、アンサンブルという音楽の奥の深さに驚嘆するのでありましたとさ。

だから室内楽は面白い。うん。

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悪いのはキースじゃなくてリヒャルト君だと思います! [演奏家]

引っ越し騒動の真っ最中、こういうものを見物に行って参りました。
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ホントに久々、昨年は一度もやってないんじゃないかって、「感想になってない感想」ですぅ。

ま、一言で言って、「余りにまともだったんでビックリ」であります。

世間の人はどうだか知らんし、世間がどういう評価をしているかなんぞ関心も無いけど、少なくともやくぺん先生にとって、《タンホイザー》という作品はヴァーグナーの普通に上演されて何種類もの演出を目にしてきている舞台作品の中では、最も始末に負えない難物。ぶっちゃけ、《オランダ人》と《タンホイザー》は若いリヒャルトくんの強引なまでのパワーが炸裂している音楽はなんとでも格好付いちゃうけど、話は真面目に考え始めると何が何だかよー判らぬ。納得行くとか行かないとか以前、バタバタと終わるけど、あれってつまりなんだったの、って感は否めない。「現代的なリアリティ」という言い方をすれば、恐らくは話としては遙かに荒唐無稽な《リング》にだっていくらでも多層的な意味が見いだせるものの、このヴィーナスの国と東西独国境辺りの田舎のお城での歌合戦、それに遙かローマの滅茶無慈悲な教皇様のお話ったら、どこにどう「リアリティ」を感じれば良いのやら?ホントに始末に困るお話なのが正直なところ。

本日の二期会さんの舞台、このカンパニーが盛んに組んでいるストラスブールの劇場、フランスの筑波大学みたいなものがありEUの議会がある知的レベルはやたらと高い場所だけど、ハコとしての規模は上野よりも遙かに小さな舞台のために随分前にキース・ウォーナーが作ったプロダクションで、今回はコロナで外国人歌手は一切無し、ウォーナー御大は来られず助手が来て本人はリモートで参加、という作り方だそうな。ま、ストラスブールと同規模のフランクフルトの劇場で散々この作品をやってるヴァイグレ御大がニッポン長逗留の最後に指揮台に立っているわけで、音楽的には破綻のしようもない。数日前の公演では「歴史的な大事故クラス」の歌手陣だったとの噂も飛び交ってましたが、本日はそこまで酷いことはなく、何も知らずに舞台に接すれば、「ふらりと入ったドイツのそこそこの規模の都市の市立劇場で、年期は入ってる歌手や合唱団はちゃんと判ってる舞台で、歌手は座付きの人達ばかり」って舞台を眺めたみたいな感じ、でありまする。

なによりも感心したのは、第2幕の歌合戦に舞台があって、客席があって、その間を歌手達が行き来して客席巻き込んですったもんだ繰り広げる、ってプロセスがきちんと判るように描かれていたこと。ちゃんと整理が出来てない、歌手が勝手にやってるだけの舞台を散々観させられる場面ですからねぇ。正直、この歌合戦場面で舞台が設営されているのを眺めたのって、初めてですわ。所謂「お城の大広間」でやるのが当たり前ですから、エリザベートが「うぁお、ホール万歳!」って歌うのが妙に納得いったりして。他の奴が歌ってるとたまらなくなって突っ込んでしまう性格の悪い、ってか、ニンゲンが全く出来てない失礼極まるタンホイザーくんの無茶苦茶さがよーく判る。これじゃみんなが怒っても仕方ない、ってね。

問題は、最後の救済の部分で、序曲のときから見えていた巨大なオブジェの上からぶら下がったエリザベートの遺体に向けタンホイザーがよじ昇っていく、って終わり方。あれはなんじゃ、そもそもなんでヴィーナスは上手のソファに転がってるんじゃ、なんなんねん?

まあ、どう考えても「なにがなんだか良く判らない」って終わり方としか言いようがない。でも、やくぺん先生とすれば、この終わらせ方には、「だってこの作品だもんね、しょーがないじゃん」と納得してしまいしたです。はい。ウォルフラムがノンビリ夕方の星を歌ったり、タンホイザーが苦労話から自暴自棄になってる裏で、さっさとエリザベートが自殺しちゃってるところをどうやって描くかは、エグい舞台を出す今時の演出家さんたちならば腕の見せ所になるわけだが、キース御大はその辺り、なんにもしない。だって、何かしたくても、リヒャルトがどうすれば良いかのアイデアをなーんにも出してくれてないんだもんさ。やりよーがないじゃないのよ。

その意味では、この作品の最後の訳のわからなさをそのまんままともに示した、さあ、リヒャルトはこういう風にして話に決着が付いたっていってるんだけど、俺に出来るのはここまでです、皆さんどーかね、って潔さ。演出としては、非常に「納得のいく」ものではありました。作品としては…納得なんていくわけないだろーにっ!

1,2幕で上の方でいろいろ人が動いていたり、ちょろちょろ少年が出てきてたり、キース御大、なんかいろいろやろうとしていたけど、ま、それはそれ。そこを突っ込みたい奴は突っ込んでくれ、ってかね。

そんなこんな、2月《タンホイザー》、3月《ローエングリン》と《ヴァルキューレ》、4月には《パルシファル》と、コロナ禍の中にありながら謎のヴァーグナー祭りになってるニッポン列島、初っぱなを飾るに相応しい、久しぶりに二期会さんが見せてくれた極めてまともな舞台でありましたとさ。関係者の皆様、お疲れ様でした。

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一年ぶりの「外国人」室内楽 [演奏家]

明日、川口リリアホールで、イザベラ・ファウストとアレクサンドル・メルニコフの二重奏が行われます。こちら。
https://www.lilia.or.jp/event/2326
演目も、こんなん。ガチじゃんかぁ。

シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 op.105
ウェーベルン:ヴァイオリンとピアノのための4つの小品 op.7
ブラームス:クラリネット・ソナタ第2番(ヴァイオリン版) 変ホ長調 op.120-2
シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ短調 op.121

チケットは22日金曜日午前の段階で後ろ二列とあとちょぼちょぼ、という感じで残っているそうで、当日券も出るかも、とのことです。直前の申込みが多いそうで、今日もそこそこ動くでしょうから、ご関心の向きはお急ぎご連絡を。公共ホールの主催公演で€50越えってのはなかなかだけど、このメンツでこの曲なら仕方ないでありましょうな。ブラームスのクラリネット・ソナタのヴァイオリン版なんて、ライヴで聴くの初めてだぞ。

なんだか当たり前に演奏会の勝手な宣伝をしているようだけど、なんとなんと、やくぺん先生としてみれば、昨年1月の今頃に横浜で開催されていたFlux Q以来、まるまる1年ぶりの「外国人演奏者のみによる室内楽」でんがな。演目も「さあみんな、いよいよベートーヴェン年は終わったぞ」ってガッツリしたもんだしさ。いやぁ、これはもう、どんな貧乏とはいえ、借金しても行かないわけにはいかんでしょに。

イザベラ・ファウスト様、既に関西ではコンチェルトをお弾きになり、これまたコロナ後ニッポン初の「外国人ヴァイオリン独奏者」なんじゃないかしらね(違ったら、教えて下さないな)。

ちなみに月曜日の浜松アクトシティでは、リゲティのホルン・トリオなんてもんも入った演奏会が予定されており、どうしてモルゴーアQの新ヴィーン楽派とぶつけるんだ、と天を仰いでいたのだけど、そっちはホルンさんが日本での二週間隔離というわけにはいかなかったようで、デュオのリサイタルになりました。おおおおお、なんとなんとぉ、クラリネット・ソナタを両方やる、って突拍子もないプログラムじゃないかいっ!
https://www.hcf.or.jp/life/guidance/premium_series/2020/0125/index.html
っても、静岡の公共ホールさんは緊急事態宣言が出ている都道府県の人には切符売ってくれるか、あたしゃ、知りませんけど。

正直、この1年間、「ニッポンを拠点にしている若しくはニッポン国籍」の演奏家による室内楽しか聞くことが出来ず、ガイジン演奏家ってどんな室内楽やるか忘れちゃいそう。なんせ、先週、ホントに久しぶりに若い連中の弦楽四重奏を聴いて、隠居宣言前は年に何十回となく聴いていたこのくらいの連中の演奏のレベル感をすっかり失っている自分を発見し、愕然としましたです。これはヤバいぞ、って。

ライヴをきっちり聴いていないと、ホントに耳のレベルが下がってしまう、というか、おかしくなってしまう。コロナの世界ったら、やくぺん先生に本格的な引退を迫るものなのであろーかっ。

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サー・サイモンの功績 [演奏家]

再びのコロナ緊急事態の中、既に廃止カウントダウンが始まっている葛飾オフィスで、まさかの再びの自主隔離お籠もりが始まってしまいました。やくぺん先生のご商売も、ちょっとは回復の兆しがみえてきたところだったのだけど、本日夕方に新年二本目の原稿を入れ編集さんの年始挨拶みたいなOKをいただいたら、なんとまぁ、手元に締め切りのある原稿がすっかりなくなってしまったぞ!また失業状態に舞い戻りじゃわ。こんな状況が続くとホントに、数年先には入る筈のわずか月数万円の国民年金だけで生きていく方法を本気で考えないといかんなぁ、とあと数ヶ月の命の巨大柿の木の向こうの曇り空を眺めるのであった…いやはや。

そんな中、朝から業界では久しぶりにノンビリした、というか、コロナなんぞどこ吹く風の業界話が飛び交ってますな。ほれ。
https://www.bbc.com/news/entertainment-arts-55617039
https://www.theguardian.com/music/2021/jan/11/simon-rattle-extends-contract-london-symphony-orchestra-conductor-bavarian

サー・サイモン・ラトルがロンドン響監督を辞して、ミュンヘンのバイエルン放送響監督になりますよ、という話。

もう随分長く言われていた話で、ここまで引っ張ったのはコロナの影響なのかも、とも思わぬでもない。なんせ資本主義世界の主要オーケストラ、この先の活動の目安、ハッキリ言えば安定収入の目安が、どこもまるで立たない状況に置かれているわけで、ロンドン響なんてその筆頭でありましょう。それに対し、この先のコロナ禍&コロナ後の世界で上演コストがかかる大作や現代作品、委嘱新作などを本気でやろうとしたら、しっかりとした財政基盤があるドイツの放送局というのは、ヘタすれば西側世界では唯一オーケストラを支えられる組織となってくる可能性が高い。流石に業界のことを誰よりも良く判っている指揮者さんだけある、もの凄く賢い選択であるなぁ、と感心することしきりでありまする。

そもそもラトル御大がベルリンを辞めてロンドンに行くときに、「90年代以降型のクラシック専用ホール」が存在しないロンドンに、ロンドン響があの残響零秒と呆れられるバービカンを捨てて新しい今時型ホールを作る、というのが大きな理由だった。オリンピックの頃にはロンドン東の足立区だとか台東区みたいな場所も言われていたけど、最終的に場所はバービカンの北辺りで、極端に地域を離れるわけではないみたいで、なかなか微妙な妥協点をめっけたな、と驚いた。その後は話が動いているんだかいないんだか。ま、ラトルがいるならエルプフィルハーモニーみたいなことにはならんだろーに、と思ってたわけで…

そしたら、ガスタイクという「90年代以降型」とはちょっとギリギリ言いがたい会場はあるものの、良くも悪くも弦楽四重奏からマーラーまでやっちゃうあのなんとも言いようのないヘラクレスザールが拠点のバイエルン放送響が、ミュンヘン東駅の東側、何を隠そうミュンヘン厄遍庵からもそう遠くない辺りの再開発で今時タイプのホールを造るということになっており、そっちにサー・サイモンが…ということになっちゃった。

やっぱりそういう流れは誰でも感じられるようで、ガーディアン紙はしっかりその辺りを議論してますな。

正直、オーケストラというものに商売としてそれほど関心がないやくぺん先生とすれば、ラトルという指揮者さんのベルリンでの功績は、音楽的なことよりも、「時代に合わせて公共と民間自主運営オケの両方の顔を持っていたBPOの組織を改革一本化し、ドイツ人にはあまり関心なかった教育プログラムなどアウトリーチ系の事業を充実させ、フィルハーモニーを配信基地へと変貌させた」という21世紀10年代のブランド・オーケストラとしてのアップデートにあったと思ってます。コロナでロンドン響でそういうことが出来なさそう(組織や配信、プログラムはもうとっくにやっているので、なによりも最後のホールのアップデートですな)なら、やれそうな場所に移るのは極めて自然なことでありましょう。

ま、今、世の中の多くのオールドファンが驚いてるのは、「あああ、今やベルリンフィルは上がりのポジションじゃなくなったんだなぁ」ってとこだと思うけどさ。

まだ暫くは鎖国状態の極東の島国から眺めれば、なーんにも関係ない遙かシベリアの彼方の話、って感じられてしまうなぁ。ううううむ。

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文化大革命世代の巨匠逝く [演奏家]

いくらCOVID-19で明け暮れた2020年とはいえ、まさか当電子壁新聞が三連発で訃報をアップするとは…

先程、上海の同業業者さんから教えていただきました。
http://www.chinadaily.com.cn/a/202012/29/WS5fea8716a31024ad0ba9f290.html

今の日本の音楽愛好家がどれくらい覚えてらっしゃるか判りませんが、20世紀末くらいには日本の音楽事務所にも所属していて、今世紀になってからはアルゲリッチがらみで別府にも来ていたような。

上海の同業者さんは、「ラン・ランの前に国際的なキャリアを作った中国人ピアニスト」という言い方をしていたけど、まあ、天安門以降の世代には一種の「戦前」の音楽家なのかもしれませんね。周囲にメニューインとか所謂「レコーディング巨匠時代」の著名人の名前がたくさん出てくるのも、この世代らしい。

個人的にはジャンルもジャンルだし、とりたてて接点があったわけではありません。ただ、何故か、ほんとにどうしてだか判らないんだけど、京響の東京定期で上の文化会館でショパンのコンチェルトを聴いた記憶が猛烈に残っている。そのあとに、ゴールドマルクの交響曲《田舎の結婚》が演奏されたというのもこれまた何故か猛烈に覚えている。

今、慌てて文化会館のアルヒーフを調べたら、なんとまぁ、1982年のことだったのかぁ。うううむ、不思議だ、なんで覚えているのか。
https://i.t-bunka.jp/pamphlets/12457
とにかく、猛烈に堅い響きの、これぞモダンピアノ、という音がバリバリしていた、という記憶が…

どういう風に追悼したらいいかすら判らない、こういう人に一度出会った、その後はメニューイン絡みでいろいろ名前が出てきたけど、結局、接点はなかった…

そんなホンの一瞬の出会いでも、不思議な大事な記憶になってしまうのが、音楽の凄いところ、というか、オソロシーところ、というか。

実は、今、ある別の老ピアニストの原稿をやっている真っ最中。芸風としては対極みたいな方なんだけど、今から、ソースを探して久しぶりに聴かせていただきます。

知り合いの某弦楽四重奏団が4人中3人がコロナに罹った、という話を聞いた直後。ひたひたと何か嫌なものが迫ってくるような年の瀬の午後。

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パンチャス氏逝く [演奏家]

年の瀬に連日のろくでもないニュースで、ちょっと嫌になってしまうのだけど、ギトリス翁とは対照的に日本のみならず世界でも殆ど報道がないようなので、当無責任電子壁新聞くらいには大きな訃報として記しておきます。

アジアユースオーケストラ(AYO)の創設者で、香港在住(多分)のアメリカ合衆国(多分)の指揮者リチャード・パンチャス氏が、お亡くなりになったそうです。

といっても、クリスマス休暇の真っ只中とはいえFacebookは9月に「カリフォルニアからやっと香港に戻れます」という書き込みがあったっきりで更新されておらず、日本語のAYO公式サイトにもなんの情報もなく、ソースが「書いてあることはかなりやばい、信じるなぁ」で有名な世界一早耳の業界ゴシップサイトSlipped Discなんで、ちょっと危ない気持ちもするんですけどぉ…一応どこから引っ張ってきたかわからぬオーケストラ総監督の引用まんまが張り付けてあるし、元メンバーの方がフェイスブックで情報を挙げていたりしますから、まさか訃報の捏造はないでしょう。
https://slippedisc.com/2020/12/orchestra-founder-dies/

リンク先が消えちゃったら困るから、総監督さんのステートメント、張り付けさせていただきます。

Dear AYOers and friends,
It is with deepest sadness and a broken heart that I inform you our beloved Mr. P has left us this morning due to the complication caused by pneumonia.
Over the past 25 years I worked with Mr. P side-by-side in AYO to create special opportunities to the young people. Going through rough time and good time. Experiencing many adventures. Before his departure, Mr. P wished all of the AYOers to carry on his mission to nurture the young people. He wanted to tell you all how much he loved you and missed you. He wanted so much to be there in 2022 to conduct the AYO’s 30th anniversary concert with all of you.
Mr. P is my best friend, my mentor and my boss. Life ahead without him will never be the same.

発足時期がPMFと微妙に被っているので、初期においては両者の混乱もかなりあったこの団体、毎度ながらのメニューイン御大の名前は出ているものの、実質上はポンチョス氏がほとんど一人で、組織のバックとかもなく、返還前の香港を拠点にスタートしたアジア圏の若手を集めるユースオーケストラです。PMFや、はたまたフロリダのニューワールド・シンフォニーや兵庫のPACオーケストラみたいな、「プロフェッショナル一歩手前のオーケストラ専門家育成団体」に特化していたわけでもなく、もうちょっと「アジア圏のよく弾けるアマチュア若手のサマーキャンプ」みたいな緩い感じでした。卒業生には勿論プロのオーケストラ奏者になっている方もたくさんいるのでしょうが、例えばドイツで活躍するオペラ演出家の菅尾友さんなども、AYOでヴァイオリンを弾いていらっしゃって、さっそくフェイスブックに訃報を挙げてらっしゃいます。

90年代半ばくらいには、わしらのような連中まで香港に呼び寄せてキャンプの最初から見物させ、日本ツアーにも同行させ、なんて派手な動きをなさっていた。香港併合後はどうなることやらと周囲には思われつつも、併合のときはいろいろ記念のお仕事もやってたようだが、その後は大陸とは関わってはいたものの、そっちへの積極的な展開というよりも、インドシナ半島から極東部までの各地での展開をしっかりと続けていた(なんせ、いかにもありそうなロン・ユー先生の名前など、全く出てきませんから)。指揮者としては、英国植民地だったわけで起ち上げにこういうことが好きそうなメニューイン翁を引っ張ってくるのは当然としても、以降はPMFみたいな超有名スター指揮者を看板にするわけでもなかった。セルジュ・コミッショナーとか、ジェイムス・ジャッドとか、なかなか渋い味わい深い方々を招聘し、地味な仕事はパンチェスおじさんがやる、というやり方をしてた。確か、カザルスホールに盛んに来ていた頃のシュナイダーじいちゃんも指揮してたような気がするが、ちょっと調べが付かないなぁ。

どんどん本土と一体化し、昨年だかには経済でも北京政府大プッシュの隣の深圳にも追い抜かれ、政治的にも日本では民主化運動弾圧ばかりが伝えられ、NYTの東アジアヘッドクオーターもソウルに移動したと伝えられる香港が、このような国境を越えた活動の拠点としてどうなっていくか、やくぺん先生なの視点からすれば、この団体などが眺めていて最も空気が判る組織だったんですけど…カリスマおじさんを失い、ますます見えないことになりそうだなぁ。ご関心の向きは、8年前のこのインタビュー、ご覧あれ。「ミュンヘンのオケの奴が、20年のうちにヨーロッパのオーケストラ団員の3割はアジア系になると言ってるよ」なんて、冗談じゃないですからね、実際。
https://www.youtube.com/watch?v=EPspA5ql-yE

正直、この方がどのような考えで、何を最終目標に、この団体を生涯の仕事としてやっていたか、あたくしめはいまひとつ、いや、いまみっつくらい判ってません。故人の業績をきちんとまとめてくれる方が出てきて欲しいものです。もういらっしゃるのかも知れないけどさ。

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