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今年のパリ《光》は「木曜日」3幕のみ [現代音楽]

毎年秋の終わりのフィルハーモニー・ド・パリで開催されているル・バルコン制作のシュトックハウゼン《光》チクルス、コロナ禍でいろいろあったものの、無事に昨年の秋に難物の《日曜日》をクリアし、現時点では完結まで残すところ《月曜日》と《水曜日》の2作となっております。

で、今年はパリ五輪の文化予算もあるだろうから、世界初演がロンドン五輪の文化事業だったヘリコプター4機付き《水曜日》をやってくれるんじゃないか、とみんな勝手に想像していたらぁ、なんとなんとこの2作は来年と再来年、という告知が成され、えええええ今年は休みなのぉ、と世の善男善女は残念に思っていたわけでありますな。

ったら、今、華の都に行っている某若いプロデューサーさんからの情報で、この秋は10月に《木曜日》の抜萃をやる、とのこと。慌てて調べてみたら、なるほど、こういうことなのかい。
https://philharmoniedeparis.fr/en/activite/27085?itemId=135132

なんとなんと、《木曜日》の最後、第3幕のコンサート形式上演のようでありまする。

巨大な《光》チクルスの中にあって、ピアノ曲として知られる部分を除けば、恐らく最も良く知られているのは《水曜日》の巨大過ぎる間奏曲とも言える《ヘリコプター四重奏》(ライヴで聴いたことがある方がどれだけいるかは別として、20世紀後半に書かれた最も有名な弦楽四重奏曲ですからねぇ…)と、《木曜日》の第2幕に置かれ世界のトランペット奏者のスタンダード演目となっている「ミカエルの世界旅行」の場でありましょうぞ。あと、土曜日の「顔のオーケストラ」なんかは、ホントはブラスバンドの人気曲になってもいいんだけど…。ま、なんにせよ、《トリスタンとイゾルデ》第2幕とか《ヴァルキューレ》第1幕をオーケストラ定期などで抜萃、でもオーケストラや歌手などは完全に楽譜指定通りに演奏会形式で上演する、なんてのは屡々行われるのと同じやり方で上演出来る部分がなくなはない、ということです。そもそも演奏会形式とオペラ舞台上演形式の垣根が極めて曖昧な、ロマン派オペラの枠を完全無視な作品でもありますので、実質上はステージ上演と殆ど違わんでしょう。

やくぺん先生も《木曜日》第2幕「ミカエルの世界旅行」の演奏は、まだフィルハーモニーが出来る前のシテ・ド・ラ・ムジークで、確かアンサンブル・アンタルコンタンポランの演奏だかで聴いたことがあるし
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2008-11-26
他にもあったような気がするなぁ。ま、《光》がどんなもんか、「ああ、なるほどねぇ」と思える部分であることは確かでしょう。NYでも観たっけなぁ、記憶が曖昧じゃわい。日本でもやられてると思うけど、どうじゃったっけか。

ま、今年は本編がないけど、この場面で《光》のことを忘れないでね、とパリの音楽ファンにアピールするために選ばれたのは、《木曜日》の第2幕なんじゃろ、と思ったらぁ、おっと、第3幕ではないかい。へえええ。

第3幕って、カリスマ音楽家としてのミカエルが誕生する場面で、舞台としてはかなり地味なんだけど、音楽的には相当に興味深いところ。ある意味、オペラらしい場面とも言えるでしょう。ここを取り出してやる、ってのは、うううむ、流石マキシム、って感じだなぁ。普通はなかなかやらんわい。

残念ながら貧乏人やくぺん先生、この場面だけの為にパリまで大陸を跨ぐのはちょっと無理じゃのぉ。ま、パリ近辺にお住まいの方、シュトックハウゼン禁断症を癒やすためにも、是非どうぞ。チケットは明後日から販売だそうな。

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