SSブログ

エマーソンQアジア最終ツアーは韓国のみ [弦楽四重奏]

エマーソンQ最後のシーズンもいよいよ終盤を迎え、ヨーロッパ公演は全て終わり、あとは北米大陸シーズン残り数週間と夏の音楽祭、それに最後の外国ツアーとなるアジア公演のみとなりつつあります。
https://www.emersonquartet.com/calendar

で、上の公式URLからご覧になればお判りになりますように、その最後の海外公演に選ばれた場所は、アジアとはいえ韓国のみ。カーネギーでの最後までお騒がせな感じのガチャガチャしたプログラムでのお祭りをやったら飛行機に乗って、25日光州、26日大田、27日ソウル・アーツセンター大ホール
https://www.sac.or.kr/site/eng/show/show_view?SN=47737#n
そして28日の最後の海外公演がプチョンに竣工したアート・センターのオープニングシリーズの目玉公演
[웹용]_03_에머슨스트링콰르텟_2.jpg
https://www.bac.or.kr/product/en/performance/252710?q=null
ということになるようです。最後は来シーズンになるけど、アリス・タリー・ホールでフィンケル加えたシューベルトの大ハ長調五重奏、ってのはいかにもでんな。ケープ・コッドにも来てくれるんだぁ、へえええ。

エマーソンQという団体は、なぜか日本ではあまり人気が無いというか、話題にされないというか、超大物ではあるんだけど…というか、不思議な立ち位置で終始したことは否めないでしょう。その意味では、最晩年に萩元氏が一生懸命プロモートしようとしたグァルネリQの後続、って立ち位置でしたね。ボザール・トリオも日本では何故か売れないので有名でしたが、活動終了後にプレスラー御大がソロでブレイクしてからは「過去の偉大な団体」として議論の対象になるようになったけど、アメリカ系室内楽というのはホントに日本のマーケットは皆無だった。
実は戦後日本の室内楽を作ってきたのは、斎藤秀雄氏が最も信頼したジュリアードQであり、そのライバルだったニュー・ミュージックQを解散し遙々日本まで流れてきたブロダス・アール氏であって、シュタフォンハーゲンとかの欧州系の流れはそれほど大きな影響は与えておらず、ましてや東大美学系評論家先生らが大プッシュしたチェコ系などは、室内楽聴衆の間での高い支持と演奏や教育現場での影響には大きな乖離があった。ま、ちょっと特殊なジャンルではあったわけです。

ま、それはまた別の話になるわけでぇ、話を戻してエマーソンQ。この団体、ある時期ヴィオラに川崎さんが正規メンバーで入っていたりして、ニッポンとはそれなりに縁がありそうなのに、殆ど来日公演はない。でも韓国ではもの凄く人気があり、「世界一の弦楽四重奏団」と信じられていた。訪韓も多く、離脱後のフィンケルが冬に某企業がやっていたソウルの室内楽音楽祭のディレクターを嫁さんのウー・ハンと2人でやってたり。やくぺん先生としても、エマーソンQはソウルで聴くものだ、って感じでしたね。半島に室内楽の種を蒔いたという意味では、サヨナラ・シーズン最後の海外ツアー先として韓国2プログラム交代で連日連日乗り打ち演奏の弾丸ツアーなんて、いかにもこの団体らしい。

やくぺん先生ったら、この団体は昨年11月にサウスバンクでロンドン最終公演のショスタコーヴィチ・サイクル最終回を聴くべく老体に鞭打ってリールからトンネル潜って一晩だけ英都に向かい、ありがとうございました、って思ってしまっていたから、もういいやぁ、って知らんぷりするつもりだったんだけど、日程をちゃんと見てみると、27日午後に福岡の某大学講堂で古楽系弦楽トリオなんぞを聴いるわけで、その後にちょっと足を伸ばせばプチョンの最終公演を聴くのはわけもない。
うううむ、どーしよーかなぁ、とちょっと悩んだんですが(なんせ、その週の頭に香港から戻ってきているので、流石に疲れる…)、ま、これもなにかの縁、やはり行くことにしましたです。恐らく、ちゃんとした表の原稿にはならんだろうなぁ、日本語文化圏では。

さてもさても、プチョン・アートセンターに連絡すべきか、それとも知らん顔してチョロッと行ってくるだけにするか。幸か不幸か、エマーソンで個人的に知ってたのはフィンケル氏だけなんで。まともにアーツセンターと話せば、絶対に記事になるんだろうって反応しちゃうだろうから、ちょっくら微妙な判断だなぁ…まさか「日本ではエマーソンは人気がいまひとつで、記事にならないんです」なんてホントのこと言っても、信じてくれないだろうしなぁ。

nice!(2)  コメント(6) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 6

サンフランシスコ人

「エマーソンQという団体は、なぜか日本ではあまり人気が無いというか、話題にされないというか...」

http://cso.org/performances/22-23/scp-chamber/emerson-string-quartet-with-emanuel-ax/

Emerson String Quartet & Emanuel Ax
Jun 4, 2023

6/4 シカゴ公演があります....


by サンフランシスコ人 (2023-06-03 06:17) 

Yakupen

北米と韓国では飛び抜けて人気なんですよねぇ。日本では、90年代初めの弦楽四重奏ルネサンス期に「若手」だった連中に影響を与えているんですが、やっぱり「教える」ということを敢えてしなかった団体ですので、そういう意味での現場への影響力はなかった。グァルネリQに似てる感じですかね。
by Yakupen (2023-06-05 20:21) 

サンフランシスコ人

9/22 オハイオ州のOberlin Collegeで公演があります....

http://www.oberlin.edu/events/artist_recital_series_the_emerson_string_quartet

Friday, September 22, 2023

Time

7:30 pm

Location

Finney Chapel

90 N. Professor St.
Oberlin, OH 44074

Felix Mendelssohn String Quartet No. 2 in A Minor, Op. 13

Sarah Kirkland Snider Drink the Wild Ayre

Ludwig van Beethoven String Quartet No. 14 in C-sharp Minor, Op. 131
by サンフランシスコ人 (2023-06-27 07:43) 

Yakupen

エマーソンの今シーズン、というよりも今年のスケジュールは、なかなか面白いですね。2022-23シーズンで活動停止、最後の演奏会は5月のカーネギー辺り、ってのが常識的な考えなんでしょうけど、夏の北米音楽祭にはあちこち顔を出すし、それで終わりかと思ったら23-24シーズンに入って10月のアリス・タリーが最終公演となってますね。まあ、最後はお祭りにするためにフィンケルが日程が合うところまで引っ張ったというのは理解できますが、どうもその前にいくつか入ってるんですねぇ。

考えられるのは、アルバン・ベルクQの最後の演奏がなんとビックリの北京だった事実。北京五輪直前の文化イベントとして引っ張ったのだろうと勝手に思っていたら、そうじゃなくて、北京公演の契約があったのが諸事情でやれておらず、ホントは前シーズン終わりのキール公演で最後だったのだけど、北京公演だけ残ってしまった、という話でした。まあ、いかにもですが、エマーソンも似たような「やるはずだったけどやれてなかった契約」の落ち穂拾いがシーズン跨いでるのかもしれませんね。

いずれにせよ、仕事がガンガン入ってる売れっ子ならではの話で、世間の99%の弦楽四重奏団には夢のような…
by Yakupen (2023-06-28 12:59) 

サンフランシスコ人

エマーソンQ....演奏会に行かなかった理由がやっと分かりました...以前、 国内公演は(主要都市で?)全て売り切れでした...ジュリアードQには、10回(?)行けました...
by サンフランシスコ人 (2023-07-01 03:22) 

Yakupen

サンフランシスコ人様

こういう形で「満員御礼」になるブダペストQから続くスター団体も、エマーソンでオシマイでしょうねぇ。もうこの先は、ホントにツアーを年間100日やって喰える室内楽団体など、出現しないでしょう。ボザールのグリーンハウス翁は、「ピアノトリオのチェロ弾いてテキサスに農場買ったのは、アメリカ史上わたしだけだよ」とケープコッドのご自宅で豪語なさってましたっけ(笑)。
by Yakupen (2023-07-16 10:11) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。