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お江戸での取りこぼしを黒田藩で討ち取る [弦楽四重奏]

敢えて「弦楽四重奏」カテゴリーじゃわい。

もう2週間も前になるか、桜の花咲き乱れる上野の杜の奥深く、藝大奏楽堂で開催された2024年最大の快挙壮挙暴挙、なんとでも言うが良かろー「シェーンベルク弦楽四重奏全曲演奏会」、溢れんばかりとは言わんものの、予想を遙かに上回る400人以上の聴衆を6時間も拘束する大イベントとなり、壮大に幕を閉じたのは当電子壁新聞をお立ち読みの酔狂な方はよーくご存じの通りだと思いますです。全曲フェチのディオティマさん、今日は上海で「ヤナーチェク+リゲティ全曲」やってるんだけどねぇ…

会場を出て、上野公園東博前大噴水の南に広がる屋台大音響と夜桜見物の人に紛れながら、もう充分、お腹いっぱい、と思いつつも、いやぁ、まだまだ足りんわい、どうして弦楽四重奏メインと言いつつ最も重要な《ナポレオン・オード》をやらんのか、それよりなにより、「弦楽四重奏団」が問題なく演奏出来るフォーマットでシェーンベルク作品中でも最も傑作とも評価する人も居よう弦楽三重奏曲を何故やらん、わざわざゲスト呼んで《浄夜》なんてやってくれなくていいから、お疲れ様の第1ヴァイオリンを一足先にお休みさせ、巨匠最晩年の小編成弦楽アンサンブル作品の最高傑作たる弦楽トリオで演奏会を締め括ることこそ記念年に最も相応しい姿ではあるまいかぁあああ、っと思った方も多かったことでありましょうぞ。

どんな曲で、どんな音がするのか、シェーンベルク様がお生まれになって1世紀と半が経った今や、貴方のポケットの中の電脳端末がネットワークに繋がっていれば、指先ひとつでちょちょっと知ることが出来てしまうオソロシー世の中なのじゃ。ほれ、こんなん。
まあ、確かに一部では、ってか、大多数の皆様にはこのところ評判が猛烈に悪い「ゲンダイオンガク」の典型みたいな響きに聴こえるやもしれんがぁ、歌えそうな旋律を拾う、って気持ちを止めたその瞬間、もの凄く豊かで多彩な世界が広がっていることが誰にでもお判りであろーぞ。こういうのを名曲っていうんだよねぇー、というレベルの作品であります。

どいういうわけか大編成の《グレの歌》やら《モーセとアロン》はまだしも、ちっちゃな編成でやれる交響曲すらやってくれず、室内交響曲第1番だってヴェーベルンの小編成版のみで第2番なぞまともに聴けないかもしれないまま終わりそうな記念年、せめて弦楽三重奏曲くらいはどこかで誰かがやってくれ、と思っていたら、おおおおお、こんな演奏会があると連絡がありましたです。
https://teket.jp/4317/34125

このアンサンブル・ファルケという福岡拠点でコロナ頃から活動する団体、ヴィーンで学んだ奏者がコアメンバーということもあり、さりげなく「ヴィーン趣味」なプログラミングをしてくださるのでありまするが、なんとなんと新ヴィーン楽派親分の記念年に、やってくださいます。コアメンバーは実質的に弦楽三重奏なんで、メインはシェーンベルクとヴェーベルンの弦楽トリオ、それにゲストを加えた弦楽四重奏としてツェムリンスキーの第1番、という涎ダラダラな演目ですな。

無論、これならツェムリンスキーは第4番のが筋が通るんじゃね、とか言いたいかもしれんけど、ま、それはそれ。こんなプログラミングをやっていただけるだけでも有り難い限りでありまする。

やくぺん先生、前の晩は直方でエクがあるので、そのまま麻生帝国中枢に宿泊、福岡城趾の彼方は南西学園の講堂に向かいましょうぞ。江戸の敵をようよう長崎まであとちょっとの黒田藩で撃ち、麗岳大師生誕年を気持ちよく祝おうではないかぁ。

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