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1944年に軍用埠頭はハドソン河側にあったのか? [マンハッタン無宿]

「マンハッタン無宿」番外編です。

本日から、東京文化会館でなんと驚くなかれ4日間ぶち抜きでバーンスタインの《オン・ザ・タウン》が上演されています。
http://www.gcenter-hyogo.jp/on-the-town/
ご覧のように、兵庫の劇場で既に8回公演しほぼ売り切ったプロダクションを東京に持ってきたもの。流石に地元で大人気の「サド夏のオペラ」とはいえ、首都圏に乗り込んで連日完売というわけではないようですが、初日は思ったほど酷い入りではなく、ちょっと安心でありました。

さて、この公演ですが、終演後に別の用事で連絡を取っている制作の方に尋ねたところ、基本的には佐渡氏の譜面台上に置かれていたブーシー&ホークスの青い表紙のフルスコアを、一部カットはあるものの、そのまま使っているそうな。それはまあ、そうなだろうということだけど、より興味深いのは演出・セット・衣装デザインを担当したアンソニー・マクドナルドの演出でした。英国系の装置・デザイン系から来た長老でんな。

恥ずかしながらやくぺん若翁ったら、「ミュージカル」というものを過去に眺めたのは…うううん、ブロードウェイは《スパムロット》だけ、オペラハウス系ではスカラ座でかのカーセンの《キャンディード》と、NYPが定期だか特別演奏会だかでやった《ショーボート》セミステージ形式、くらいのものかしら。ドイツの中小歌劇場で頻繁に出るミュージカル系の演目も、あああこういうのやるんだなぁ、とは思うものの、一度として舞台で眺めたことはありませんっ!ですから、なんの常識もないし、さっきの演出が「ミュージカルの演出」としてどうなのか、まるで判らない。

ただ、今、慌ててYouTubeに挙がってるトニー賞受賞の舞台なんかの抜粋を眺めるに…例えばブーシーさんの公式ページのこれとか
https://leonardbernstein.com/works/view/8/on-the-town
所謂モダンな読み替え演出やら、全体をなんかの枠に入れちゃう演出やら、そんな力任せの大技はあんまりやられてないんですねぇ。批判でも何でもなく、あくまでも「金払った分だけ楽しみを与える」のが商売の娯楽商業演劇はそういうものなんだろうけど。

んで、さっき東京初日が終わった舞台も、そういうものでした。つまり、(多分)スコアのト書きまんま。これがドイツの地方都市の劇場と歌劇場を同じインテンダントが兼ねているような尖った場所だったら、時代設定をイラク戦争やらにしたり、はたまた全体に枠を嵌めて外側で1944年1月のタワラ島やら北アフリカ戦線の兵士が眺めている様を見せたり、なんかしらの「現代的な視点」やら「作品の歴史的な位置付けをより明快にする補助線」を突っ込まずにはいられないでしょうけど…そんなことはなーんにもしてません。「第二次大戦中の海軍水兵が休暇でNYを走りまわるドタバタ」まんまです。

そのことそのものに文句を言う気は毛頭ありません。きちんと演出家もやるべきお仕事をやってるし(先頃、新帝都のオペラ愛好家に火を付けた某バルセロナの仕事のまるで出来ない演出家とは全然違いますっ!)、歌手さんもダンサーさんも、趣味はどうあれオケや指揮者さんも、お金を取れる仕事をやってました。猛烈にポジティヴに褒めれば、「なるほど、1944年初頭にブロードウェイで上演された《オン・ザ・タウン》という舞台はこういうものなのか」と妙な雑念なしに理解するには最適のステージであります。お暇でお金のある方は、貧乏なやくぺん先生みたいに天井桟敷上手二列目なんて涙が出そうな情けない席ではなく、ちゃんと下の方の席でご鑑賞下さいませ。明日から日曜日まで、連日午後2時からやってて、当日券もあるようですから。

※※※

ってなわけで、もうこここで読むのを止めていただいて結構なんですが、「マンハッタン無宿」としての本題はここから。このステージ、最初から最後まで、舞台の奥にでっかい地図が掲げられてます、てか、背景が地図になってます。兵庫の公式写真から引っぱってくると、こんな感じ。グランドフィナーレの場面です。
201907180062_ex.jpg
上手にどかーんと勇姿を浮かべている主人公の三馬鹿トリオが戻っていく軍艦がなんあのか、猛烈に気になるけど(丸いブリッジに4本煙突の第2次大戦に参戦した米海軍戦闘艦はオマハ級軽巡洋艦しかいないようだが、なんでこんな最前線には出されなかったロートル艦を敢えてここに持ってきたか、演出家さんになんか意図があると深読みすれば出来なくはないんですけど…こればかりは本人に尋ねてみないと判らんだろーなー)、それはそれとして、もっと気になるのは下手側にどーんと見えている地図ですな。

これ、お判りになる方はお判りでしょうけど、マンハッタン下の西側と、ハドソン河を挟んで対岸のニュージャージーの地図でんな。おお、エラリー・クィーンの《Xの悲劇》かなんかの解説地図か、と思ってしまうような。ここを横断してニュージャージー側からマンハッタンに入ってくるフェリーの上で遺体の指がXに組まれた最初の殺人が起こる、ってとこ。

ところがぁ、《オン・ザ・タウン》という作品、「NYブルックリン海軍工廠がある軍港が母港ではなさそうな軍艦がNYの軍事埠頭に停泊していて、そこから24時間の休暇で兵隊たちが街をうろつく」という話。会話ではマンハッタン最北端のクロイスターも出てたけど、結局、動き回ったのは最北端が西90丁目くらいの自然史博物館で、あとは56丁目のカーネギーホール(カーネギータワーがないカーネギーホールのお姿を久しぶりに眺めました)、53丁目のカフェ、42丁目のタイムズ・スクエア、そしていきなりどーっと飛んでブルックリン最南端(というのか?)のコニーアイランドへと、どんどん南東に向かっていく。

つまり、後ろの掲げられた地図って、舞台になってる場所の反対側なんですな。要は、「上野や浅草を舞台にしたドタバタ劇の背景に、新宿渋谷の地図がかかっている」とか「難波を舞台にした喜劇の後ろに梅田の地図がでっかく出ている」みたいなもんですわ。

正直、それに気付いてから、もう気になって気になって、舞台に集中できない、とまでは言いませんが。なんか意味があるのかなぁ、と考えてしまった。

んで、舞台そっちのけでつらつら考えるに、この地図に意味があるとすれば、「1944年初頭は、戦時下なんで我々が良く知っているウォール街のイーストリバー側の旧軍施設辺りや、対岸の巨大な海軍工廠があった軍港の辺りだけではなく、マンハッタンのハドソン河側にも軍用埠頭がいっぱいあって、この水兵達のオマハ級軽巡洋艦はそっちに停泊している」という設定なのであろーか、と推察するに至った次第。こんなこと考えてるのはアホかと思うかもしれないけど、気になるもんは気になるのだから仕方ないでしょーにっ!

そう考えると、「深夜も終夜運転してる地下鉄A(所謂「A列車」でんな)でマンハッタン南からコニーアイランドに向い、なんのかんのあって、朝の6時までに艦に戻ってくるのは大変だ」というシチュエーションは理解出来る。だって、近くはないといえ、早朝のブルックリンをコニーアイランドからマンハッタン対岸までぶっ飛ばせば、第2次大戦中の車でも1時間は切るだろう(なんせ出演者のひとりに無謀運転OKなタクシー運転手がいるわけですから)。だけど、ブルックリン橋を越え、朝の軍港と市場(1944年にあったのか?)の喧噪を抜けて、今のイントレピッド博物館のある辺りまで戻ってくるとなると、これはもう一仕事。ヘリコプター出せないか、と言いたくなってしまうぞ(←まだ実戦運用はされておらんわいっ!)。

終演後、制作の方に「背景になってる地図、これまでの公演で誰かに突っ込まれませんでしたか?」と尋ねたら、そんなこと言ってきたのはあんたがはじめてだ、と呆れられました。いやはや。だけど、NYに土地勘のある奴なんでいくらだっているだろうから、ホントは「あれええええ」と思ってた人は多いんじゃないかなぁ。

余りの気持ち悪さに、上野から佃まで戻る大江戸線の中で「USS Midway NYC」と検索してみたら、なんとまぁ、こんなもの凄い動画が出て来ましたです。ほれ。
https://www.youtube.com/watch?v=VQkYJRzU76E&fbclid=IwAR0wweO4yMHcLk784gBzZBfpXOSJY035sOzI8xJdnSY4UG2gItANBTdwO6Aわしらには「横須賀にいたロートル空母」としか思えない懐かしのミッドウェイがまだピカピカの世界一巨大な最新鋭空母だった1945年の寒い頃の映像ですから、バーンスタインのミュージカルがブロードウェイで初演されてから1年以上後の映像でしょう。とはいえ、5分くらいからのミッドウェイがでっかくアップになってる映像をご覧いただければお判りのように、背景は明らかにニュージャージーの丘です。正に、今、イントレピッド博物館があるところからジョージ・ワシントン橋にかけてくらい、リバーサイド・ドライヴの彼方のハドソン河ですわ。その真ん中に巨体を浮かべ、どうやら船員達は艀でマンハッタンに上陸していたみたい。

へえ、こういうことが起きてたんですねぇ。確かに今もイントレピッドの隣の埠頭に英国海軍艦が入港していたりするのを見るもんなぁ(って、今はNY海軍工廠そのものがないから、話はまた違うわけだけど)。

そんなわけで、なるほどそういうこともあるのか、マクドナルド御大、もしかしたらいろいろ深読みが出来るように仕掛けをしてるのかなぁ、と納得したのでありましたとさ。

この作品、音楽的に最もリアリティがあって印象的なのは、主人公のカップル以外の二組がA列車でコニーアイランドに向かう間に歌う四重唱で、これが《Make the garden grow》のパイロット版みたいなもん。ここで「オン・ザ・タウンというのは、要はオン・ザ・ボートの反対の意味で、この兵隊達は休暇が終わって大西洋戦線に戻り、北海やら地中海に辿り着くまでにUボートに沈められたり、半年後のノルマンディー上陸作戦に動員されたり、ことによると遙々パナマ運河抜けて太平洋にまわされてレイテ沖で特攻隊に突っ込まれたりするんだよなぁ」と嫌でも思わざるを得ない。そういう背景にある冷徹な現実をどうやってオブラートに包んで楽しくおかしく見せるかが、演出家の求められているお仕事。コニーアイランドから戦場までの距離が遠ければ遠いほど、「あの街場にて」と「あの艦上にて」の対比は強まる…

ま、全て深読みなんだろうけど、それを許す舞台の仕掛けでもあった、ということであります。

もうひとつもの凄く気になったのは、このNYにはアフリカン・アメリカンがダンサーひとりしかいないのかぁ、というところなんだけど…ま、それはまた別の話。

久しぶりにマンハッタンのことを懐かしく考えた、加湿器の中のような新帝都の晩でありましたとさ。

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マンハッタン無宿再び [マンハッタン無宿]

大平洋越え、アラスカの南で大陸に入り、エドモントン上空からミネソタ、ミルウォーキーの北でミシガン湖を跨ぎ、遙かデトロイトを眺めつつエリー湖を渡り、バッファローの南でNY州に入るや一気に南に舵を取り、ニューアーク空港上空を通り越してアトランティスの海に出て、マンハッタンをぐるりと巻くようにJRKに到着しました。なんか不思議な道だこと。
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昨年の11月以来、お嫁ちゃんは…2年ぶりくらいかしら。

今回は、商売でもなんでもないのだけどもう一種意地みたいになっちゃってるバーンスタイン《ミサ》の記念年唯一の作曲者本拠地での上演を眺めに来ただけ。ホント言えば、昨年夏、ラヴィニアでの「トーキョー・スタイル」ベートーヴェン・サイクルで黄金期メンバー最終公演となるパシフィカQのサイクルを聴くついでに、ちょっと寄る筈だったんだけど、シミンのご家族にご不幸があってサイクルが中止になり、渡米そのものを中止せざるをえなかった。そのリベンジで、お嫁ちゃんに足りなくなってるNYエナジーを補給に来た、ってのがホントかな。
更に言えば、そもそもこの時期、世界音楽教育者学会だかがジョージア(アメリカ合衆国の州にあらず)のバクーであって、お嫁はそっちに行くつもりだったのだけど、前回のグラスゴーの大会の内容がどうにもちょっとなぁ、北京とかせめてタシケントくらいの手近なところでやってくれるならまだしも、イスタンブールか北京で乗り換えていかねばならない面倒な場所なんで…と参加を止めてしまった。んで、それならマンハッタンいこーぜ、って、要は昨年来の結婚30年記念年シリーズのひとつになってしまったわけでありまする。

ってなわけで、毎度ながらの四半世紀の定宿に連絡したら、なんとまぁ、「その時期改装中でやってません、ゴメン」とのこと。「その代わり、お客様には私らの姉妹ホテルをご紹介しましょう」ってことで、地域としてはいつもと同じ、値段もまぁ、安全と安心は金で買うこの街のこと、これくらいは仕方ないだろーなー、という我が屋が使う宿としては最もお高いランクながら、マンハッタンでは部屋の広さや場所を考えればリーズナブルなところに泊まってる次第でありまする。

たしかに、丁度やら部屋のつくりなんぞは、いつもの定宿にいるのとまるっきり同じで気持ち悪いくらい。要は、アッパーウェストサイドのまともな夫婦ものが住むようなアパートの普通の調度、ってこと。問題は、定宿が基本はレジデンスも居る(というか、居た、でんな)アパートタイプなんだが、ここはホントのホテルで、キッチンや電子レンジどころか、冷蔵庫すらありませんっ!つまり、麦酒買って冷やしておいたり、テイクアウトの中華や近隣の世界一のスーパーのサラダを買ってきて、マンハッタンサイズですからひとりは胃がない夫婦とすれば3食分はあるもんを冷蔵庫に入れておいてチンして喰らう、ってことが出来ない。これ、食い物と宿が滅茶苦茶高いこの街とすると、そーとーに厳しい。果たしてこの先、どうなることやら。

この宿は、なにやらそれなりに有名なところで、特に1階のレストランは朝ご飯のエッグ・ベネディクトで有名で、定宿にいるときにわざわざ喰らいに来たこともあるくらい。だから、別に悪いわけじゃないけど、やっぱり気になっていつものところまで2ブロック南に下り、1ブロック西に歩き、ブロードウェイ越え、改装中という定宿を眺めてきたら、あらまぁ、店舗の回転が速いこの街、定宿にしたころからお世話になっていて、今や某在京オケの看板広報へと出世した女史がこの街に短期滞在していた頃に飯食った角のギリシャ料理店がとうとう潰れて、妙にお洒落なフレンチが入って数年頑張っていたのだが、無くなってしまって無難なイタリアンになってる。911数週間後に訪れた際にリンカーンセンター室内楽ソサエティの若手枠に入ったパシフィカQと延々話をした日本料理店も中華になってら。バス停前のデュランリードがなくなってしまってるし…

いつもの宿は、中は光が灯っていて、どうやら内装工事だけみたい。
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恐らく、遙かに眺めるトランプタワーに象徴されるアッパーウェストサイドの部屋代高騰に呼応し、お高くなるんだろうなぁ。もう10年も前、リーマンショック直前の経済加熱期にももの凄く高くなって、別の宿を探したこともあったっけ
https://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-12-04
またあの再来、マンハッタン無宿再び、ってことになりそうだけど…そもそも90年代、0年代に比べるとこの街に来る用事が圧倒的に減っていることを考えれば、そろそろ潮時ってことなのかもしれないなぁ。

世界最高のスーパーで$10ちょっとの牛が喰うような葉っぱだらけのステーキ・サラダを買い、冷蔵庫がないのでいちばん小さなオレンジジュースを買い、いつもと反対にブロードウェイを渡り、宿に戻ってくる。
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わずか数日のマンハッタン、爺婆初心者には「若い頃の街」になりつつあると感じつつ、長すぎる今日(いつから戯けた名前の休日になったんだ、ニホン国は?)はオシマイ。

故郷でもない街との関係って、いつかは疎遠になる知り合いに毛が生えた友人みたいなものなのか。葛飾住まいの永井荷風は、江戸川と国府台を眺めつつ、マンハッタンと対岸ニュージャージーの夏を懐かしく思うことがあったんだろーかなぁ。

凪の海 跨ぎ至って 夏無宿

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マンハッタンの動物たち~珍客遭遇編 [マンハッタン無宿]

昨日はマンハッタン厄偏庵にお籠もりと宣言した筈が、午前中に栗鼠さんと遊びながらテープ起こしをひとつ終えたら、
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なんかもーいーやという気になってしまい、午後からセントラルパークの「京都御所水場」みたいな鳥さん見物名所「ランブルの水場」の方へとフラフラ足を伸ばしましたです。

と、すっかり葉っぱが落ちて、枝ばかりになった森の中が、なにやらおかしなことになってる。土曜日の午後と言え、スーパームーンが眺められるまでの時間をブラブラお安く過ごそうという貧乏なカップルやら、ニューヨークに来たのだから定番観光地セントラルパークは訪れねばならぬという勢いのアジア系観光客の皆さんばかりではなく、明らかにバーダーさんと思われるご夫婦、長いレンズ抱えたオッサンなどが、落ちた葉っぱの間の散策路をウロウロしてるぞ。
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水場の横でカラの群れを眺めながらちょっと立ち話をすると、「知らないのか、ニューヨーク州で発見が3件目のフライキャッチャーがいるんだよ。」
https://www.birdingbob.com/single-post/2017/11/29/RARE-wowsa-rare-and-we-were-there-to-make-the-discovery-in-Central-Park
へえええ、ってもねぇ、こっちは世界最悪の害鳥たるホシムクドリだって珍しい極東からの訪問者。正直、そんなもんよりも、どこにだっているブルージェイさんやら
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紅葉の時期限定の柿の実擬態をしている北米カージナルさんの方がよっぽど珍しいし
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可愛さという一点に絞れば北海道のシマエナガ、朝鮮半島のダルマエナガと並ぶ可愛さチャンピオン、エボシガラさんが群れで水場にいる方にキャーキャーしてしまう。
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水場には無論、こいつらもいらっしゃいますけどね。
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こんな「地上のドバト」たる栗鼠さんですら嬉しがる異人としてみれば、雀だって日本やロンドンでは見られぬイエスズメのお嬢さんというちょー美人さんなわけだしさ。
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京都御所の水場にも匹敵する天下の大観光地ど真ん中の飛ぶ方々見物愛好家限定の隠れたスーパー観光スポット、この季節に来ると判るのだが、水場の横に餌場が作られている。
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この辺りに、極東の島国ではいそうでいないアカゲラ色のコゲラっぽい方(Red-bellied Woodpeckerとか、Yellow-bellied Sapsuckerだそうじゃ)とか
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色は違えどやってることは札幌円山公園の冬と違わぬゴジュウカラさんとか
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いろいろいらっしゃる。

面白いのは、この場所が「公園管理のお役所がやってる」というんじゃなく「市民が勝手にやってるのを公園が黙認している」みたいな状態であること。日本だったら、あっと言う間に公園管理の指定管理会社がやってきて、こんなものぶら下げてたら撤去して歩くだろうなぁ。「公共」の意味の違いを、こんなところでも感じさせられるのであーる。

もうひとつ、こういう場所に生息するバーダーさんという動物達も、随分とニッポン国のそれとは生態が違います。日本では「都市公園のバーダー=長いレンズをズラリと並べるカメラマニアさん」だけど、写真撮影よりも夫婦での軽い山歩き、って感じの人が殆どで、ひとりで来ているマニアさんは少数派ですな。そんな中で、異彩を放っているのが、餌場に巨大レンズと三脚据えていた明らかにニッポン代表系のマニアさん。
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周囲と会話もせずに、静かに目的の鳥さんがやってくるのを待ち、来ると猛烈なシャッター音で高速連写をなさってます。良い悪いではなく、いやぁ、ブンカの違いでんなぁ。

ま、そうはいっても、猛禽類の人気は高く、頭の上にやってくれば、一斉に動いていくのは大阪城公園やらと同じ。
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Redhawkの若い子、だそーな。確かにここは、ぼーっとしてるアホな栗鼠さんとか、ちっちゃい飛ぶ方とか、いっぱいいるもんねぇ。

そんなこんな、数時間彷徨い、日も暮れてきたのでマンハッタン厄偏庵に戻るかと岩場を降りて行けば、おお、目の前をこんな方が走って藪に飛び込む。
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ミソサザイさんかと思ったら、どうやらロビン系の方でありました。

自然史博物館南の出口から公園を出て、目の前の歴史博物館でやってるヴェトナム戦争回顧展のカタログだけ買い込み
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隣のソイヤー氏のアパートの前を通り、ああ、お久しぶり、と感じ入る。なんせこのアパートに最後に入ったのはソイヤー御大にインタビューするためだったのだが、その朝にブレイニン氏の訃報が伝えられ、じいちゃん、ずーっとブレイニンさんとかカザルスとかの昔話になり、インタビューは全く使えなかったっけ。そのソイヤーさんも逝き、アイズリQのチェロさんに拠れば、本人はそんなことは全く知らないままに日本室内楽演奏史に大きな貢献をすることになった隠れた大恩人ソイヤー夫人も数年前に没し、今はここには誰もいないという。

わしらも爺になったもんじゃのぉ、ばーさんや…

てなわけで、とことこ歩いて厄偏庵近辺まで戻り、向かいのビーコン劇場は定番クリスマス・ソングの女王マライア・キャリーなんて大物やってて売り切れの文字が輝くクリスマス・シーズン始まりの土曜日の夜のブロードウェイ、♪All I want for Xmas is yuuuuuuuuu!
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フェアウェイで敢えてマンハッタンならぬニューイングランド・タイプのクラムチャウダーを買い込み、もう今日はメトの《タイス》もエド・デ・ワールト指揮NYPもいくのはやめよー、と写真を整理し始めたら、おやぁ、あたくしめがだーれもいない水場で撮影させていただいたじみーなヒタギさん、問題の超レア種さんじゃあないかいっ!
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こういう不必要なビギナーズ・ラックって、喜んで良いものやらなにやら判らず、すっかり判断停止の栗鼠さん状態になって
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さっさと寝てしまったのでありましたとさ。

日本時間6日締め切りの原稿、実質、手つかず。月曜の大陸横断機内でやるしかないっ!ふううう…

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駆けもちの仕方 [マンハッタン無宿]

メモ帳代わりに電子壁新聞使います。読者対象は自分のみ。

夏にマンハッタンで暫くダラダラしている予定が、パシフィカQのラヴィニア音楽祭キャンセルという騒動の結果北米に来ず、考えてみれば15ヶ月もマンハッタンからおさらばしていた。初めて足を踏み入れたトランプのアメリカ合衆国、それもシカゴではトランプ・タワーの真ん前、ここマンハッタン厄偏庵でも買い物の為にブロードウェイの野菜は世界一のスーパーに行こうとすると、遙か向こうにイヤでもトランプ・タワーが目に入る。なんとも、ある意味で今の資本主義世界の一部資本家投資家大企業関係者さん限定好景気を具現するマンハッタンだけど、ま、毎度ながらに貧乏な若い学生や学生が終わってどうやって喰っていこうかという奴らが室内楽をやってはいる。それを追いかけるわずか数日の滞在でありまする。

んで、金曜の晩のアイズリQのメトロポリタン美術館での演奏会に続き、3日日曜日にもいっぱいそんな類いの演奏会があるぞ。日曜と言えば、そー、伝統のニュースクール・シュナイダー・コンサートではないかぁ。調べれば、やっぱりやっていて、それこそ毎度毎度のコンクールで散々眺めるような「ニューヨーク拠点」って連中が毎週のように顔を出してる。この日曜日はこいつら。
https://www.eventbrite.com/e/the-schneider-concerts-presents-the-omer-string-quartet-tickets-37849859950
灼熱のレッジョで、このままではイタリア勢独占か、というアヤシイ勢いをなんとか止めて1位なし2位となり、秋の初めのトロンハイムでは絶対の優勝候補として参入しながらも「演奏曲目がリストに無かった」という空前の呆れた事故で2位となった、かのオマールQでありまする。

会場は、あの奇妙な音響のニュースクールのオーディトリアム。ここ、マンハッタン厄偏庵からはM7のバスでも、赤い地下鉄でも30分で行ける。とはいえ、M7はクリスマス商戦の日曜日に7番街を延々と下って行くのだから、まともに走るとは思えぬ。1時間以上かかるだろーなぁ。$2ちょっとのバス車窓NYクリスマス風景見物には最高だろうけどなぁ。これが2時から。

問題はその後なのじゃわい。

こっちはカーネギーホール主催のアウトリーチ事業で、こんなのがあります。
https://www.carnegiehall.org/Calendar/2017/12/03/NEIGHBORHOOD-CONCERT-ATTACCA-QUARTET-0400PM
アイズリQの前の前の大阪国際の覇者、我らがアタッカQが登場し、ガッツリ作品132を弾いてくれるですよ。

問題は、会場がブルックリン公共図書館で、開演が4時、ということ。つまり、オマールQを聴いてからじゃあ、ギリギリ間に合わないなぁ、ってところだわさ。ブルックリン美術館の隣でんがな。ニュースクールからユニオンスクエア駅まで歩いて、Qの地下鉄に乗れば1本でブルックリン美術館の辺りまで行くけど、結構、時間はかかりそうだなぁ。

まあ、冷静に考えれば、オマールを前半まで聴き、慌てて飛び出して、アタッカに向かう、というのが最も現実的であろ-。

それにしても、こういうことを必至で考えねばならぬ状況がまだあるということに、大いに感謝すべきでありましょうぞ。マンハッタン、昨今は楽譜屋も本屋もCD屋も、はたまた中古レコード屋も、それどころか家電量販店すら姿を消し、買い物にはなーんにも意味のない街になってしまったのが来なくなった理由でもあるのだけど、まだまだ若い連中の室内楽はいっぱいあるんだよねぇ。

そういえば、北のマンハッタン音楽院とか、はたまたコロンビア大学とか、なんかやってる可能性は高いなぁ(なんせ、今、原田先生がいらっしゃるみたいで、月曜日にはマンハッタン音楽院で公開マスタークラスがあるし)。それに、オマール&アタッカの裏番組には、両団体が束になっても敵わなさそうなこんな室内楽系では珍しいスーパーイベントもあるし。うううん、どーしてひとつくらい、土曜日にまわしてくれなかったかな。
https://www.92y.org/event/brentano-string-quartet
今や冷静に考えて「ヨーロッパではいちばん評価が高いアメリカの弦楽四重奏団」のブレンターノQですから、普通なら、これに行くんでしょうけどねぇ….。もひとつ、極めつけはこれ。
https://www.elliottcarter.com/events/20171118-052609/
おいおいおい、いい加減にしてくれよぉ。ゲンダイオンガク系の方は、もうこのためにNYCまで来そうな勢いの出し物じゃんかぁ。

そんなこんな、メトロポリタン美術館のシリーズが「室内楽」のオーセンティシティから遠い企画ものになりつつあり、ちょっと淋しくなっていたけど、これだけ派手にバッティングしてくれるなんて、まだまだやるじゃん、マンハッタン!

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オリーズ健在 [マンハッタン無宿]

マンハッタン厄偏庵は、ホントの意味でのキッチンは付いていません。マイクロウェイブと冷蔵庫とちっちゃな流しと食器と…ってくらいで、その辺からなんか買って来て暖めて喰らうのが精一杯。まあ、昨今は外食が滅茶苦茶高いこの島、ブロードウェイ沿いのスーパーから買ってくるお総菜とベーグル(世界一のベーグル屋がちょっと上がったところにあったのだけど、21世紀に入って直ぐ、アホな社長が業務拡大して日本なんぞにまで商品を出し失敗、潰れてしまった)で済むのだからありがたいと思うべきでありましょう。

とはいえ少しは外食をすることもあり、その際はもう、決まってました。中華です。知る人ぞ知る、Ollie'sでありまする。

そもそもはブロードウェイを挟んだコロンビア大学正門、ってか、ミラー・シアターの向かいにある学生先生向け朝飯系中華屋から始まった店で、今を去ること20年くらい前になるのか、ヒンデミット生誕100年だったかのフェスティバルがカザルスホール、ウィグモアホール、それにミラーシアターで開催されたとき、実質上のディレクターさんだったジュリアードQのサミュエル・ローズ氏に連れて行かれて、彼がスピナッチを練り込んだ緑色のけったいなラーメンみたいなもんを喰らうのをぼーっと眺めていたのが始めて。なんであんな記憶が鮮明なのか、まあ、誰がこんなの喰うんじゃ、って緑色が面がインパクトがあったのかなぁ。

その後、世紀の終わりくらいにはブロードウェイを南下するようにあれよあれよと店舗を増やし、マンハッタン厄偏庵からそう遠くない78丁目の角、リンカーンセンター北ってか、ブロードウェイからマーキンに入る67丁目の角、さらにはなんとなんと天下のタイムズスクエアは42丁目と43丁目の間なんてとてつもないところにまで店を出す盛況ぶり。別に旨いとも思えない、日本のやたらと手の込んだラーメン好きからすれば醤油溶いただけみたいなスープにざっくりとエッグヌードルが浮かび、その上にこれでもかとローストポークやらが積み上げられる、しょーもないといえばしょーもないアメリカンチャイニーズでありました。値段も格別高くは無いけど、すげええ安い、ってんでもない。

でもねぇ、結局、これがやくぺん先生とお嫁ちゃんがNYCにいるときのほぼ全ての外食先だった。だって、ミラー・シアターの真ん前、マンハッタン厄偏庵からバーンズ&ノーブルの先までいったとこ、リンカーンセンターの裏、それにアメリカ室内楽協会総会があるホテル至近、ってわけで、用事のあるところにしかないんだもんさ。

そんなオリーズ快進撃に陰りが出て来たのは、いつ頃のことだったか。21世紀に入って暫くして、確かリーマンショックの頃だったか、まずはタイムズスクエアの店が撤収しました。まあ、あれはしょーがないよねぇ、あの場所はいくら客が入ってもあの値段の店はやってけないだろー、という感はあったもん。前後して82の辺りの、マンハッタン厄偏庵から最も近くて、「じゃあ、宿の向かいのギリシャ料理店じゃなくて、ちょっと上がったところのオリーズで会いましょうかね、ラーメンでも喰いながら、別に旨くもなんともないけどさ…」って使い方をしてた店も無くなった。

さらには、2010年代に入って、アッパーウェストサイドがトランプビルなんぞのお陰で(なのか?)地価高騰家賃高騰し、音楽家達が住めなくなって遙かマンハッタンの北やら、クィーンズとかに逃げ始めた頃に、とうとう最後の牙城、いちばん便利に使っていたリンカーンセンター北のいちばん上手くいっていそうに思えた店もなくなりました。その隣の凄く長くやってた怪しい料理屋が無くなって、なんとお洒落なAppleストアになったりしたので、ううん、大丈夫かなぁ、と思ってたんですが。数日前にマーキンに行ったとき、まだ看板だけは出ていたので、まさか復活したのかと思ったらそーじゃなかったです。

もっとも、隣のタワーレコードがなくなり、向かいのバーンズ&ノーブルがなくなり、カルチャーコンプレックスとしてのリンカーンセンターの周辺施設が壊滅となったんで、「なんかいろいろあるど真ん中の唯一リーズナブルな飯屋」という機能はなくなりつつあったんだけどさ。

かくて、21世紀も10年代の半ばが過ぎた今、ブロードウェイの安中華の代表オリーズは、ほぼ壊滅。遺されるのは、89丁目を上がったところのテイクアウトに特化して、喰いたければそこで喰え、って感じの「Olies to go」と
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元祖大学正門前本店(なのか)のみになってしまった…

と思いきや、夏の終わりの爽やかな風に誘われハドソン河畔ノマドをしたあと、こっちは再開発になってから全然来ないよねぇ、とリンカーンセンターからハドソン河の方に行った辺り、カーネギーから厄偏庵に戻ってくるときに使うM57 のバスが通る方に行ってみる。と、トランプなにやら、という怪しい名前のビルの1階に、こんな店があるではあーりませんかあ。
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慌ててメニューを眺めると、なんだい、オリーズまんまじゃないか。どうやら、ブロードウェイからは逃げたけど、本店及びテイクアウトと、再開発地区での寿司ショップを前面に出した営業はやるということなんですな。まあ、確かにテイクアウト店に寿司、並んではいるもんなぁ、わざわざオリーズでは喰わんけどさ。

どうやら、これが今の状況みたい。公式webサイトをどうぞ。なんか洒落てるけど、こんなお洒落な店じゃありません。
http://ollieseats.com/ollies-noodle-shop-grille/

てなわけで、NYC滞在も最後の日、一度くらいここで喰わないとマンハッタンに来た気がしないとばかりに、テイクアウト店の店舗内で喰らって参りました。狭い店内、奥に向けてこんな感じ。
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この写真だけ見たら、香港かなんかだと思うでしょうねぇ。で、壁にはこんなもんが貼ってある。
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このオーケストラ、この前、マーキンでやった現代作曲家ばかりの初演5曲という日に、表でチラシ巻いてたなぁ。中国出身の女の子の作曲家がいたからだろうけど。

んで、基本はテイクアウトなんで、こういう風に出て来ます。
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麺と具材、スープは別です。お家や職場に持って帰って、スープをぶっかけると、こうなる。
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ちなみに、奥はお嫁ちゃんが取ったチキンと野菜の炒め物。これに、ご飯がゴッソリ詰まったパックが付いてくる。これ全体で$20札でおつりが来ますから、マンハッタンの昼飯とすれば滅茶苦茶安いでんな。テイクアウトして店の隅で勝手に喰ってる、という形になるので、チップいらないしさ。無論、店員さんらはサービスなんてする気は欠片もないけど。

てなわけで、オリーズ、派手な店舗展開は止めたけど、しっかりやってます。味も…何も変わらぬ、旨くもマズくも無い、あったりまえのアメリカン中華。お値段は、ぶっちゃけ、食い物がアホみたいに高いマンハッタンにあっては、お安いでありまするから、皆々様もこの島を訪れた際には是非どうぞ。

ただ、夏の麺はやっぱり、暑いなぁ。冷麺系はありません。

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ハドソン河端ノマド [マンハッタン無宿]

つらつら鑑みるに、真夏のマンハッタン厄偏庵に1週間も逗留するのは、もしかしたら初めてかも。だって、カーネギーもメトも、リンカーンセンター室内楽協会もシーズンオフ。長逗留して何か纏まったイベントなりショーを見物する季節ってば、秋から冬と相場が決まっている。ある時期までは、年明けのアメリカ室内楽協会年次総会は定番の逗留時期になっていたわけで、NYCといえば体感気温が摂氏で零下10数度、華氏でも零度、大雪でケネディ空港クローズ、なんてのが当たり前。ホントにさぶくて死ぬかと思いながら駆け込んで、部屋をガンガンに暖かくして裸みたいになってわあああぃ、って場所。夏は殆ど来ないよねぇ…

さても、鱈岬からピーターパンバスでマンハッタンに到着して何日になろーか。このところ、もういい加減な歳なんだから無茶はせずにぼーっとして暮らしましょう、と決意を新たにしたばかりということもあり、連日ホントにボーッとして過ごしておりまする。とはいえ流石にもう9月の声を聞く頃になると、いろいろと作文仕事も入ってくるし、早々にやっつけなきゃならぬ作文もある。流石にお仕事せんとねー、とつらりつらりとマンハッタン厄天庵から北に向けて古いビル群を眺めるに、そうだ、ノマド作業に格好の空間があるだろーに。庵からの距離といい、ポジショニングといい、佃厄天庵から大川端の定番ノマド場にそっくりの場所。そー、ウェストエンド・アヴェニュとリヴァーサイド・ドライヴを跨ぎ、2ブロック歩いた大川ならぬハドソン河端、格好のノマド場じゃああるまいか。冬は寒くて、あんなとこに何時間も座ってるなんて罰ゲームだけど、今の季節なら最高じゃんけぇ。

かくて、作文仕事道具を背負子に負って、厄偏庵を出て、ブロードウェイやセントラルパーク側とは反対に向かいます。この数日、もの凄く爽やかな夏の終わりの晴天が続いていて、今日も暑いは暑いけど、みんな《サマータイム》歌って水浴びしちゃうような7月頃の灼熱地獄ではありません。

コロンバスサークルからセントラルパーク南端を走り、天下の5番街に突っ込み、遙かワシントン広場やNYUまで行けるM5のバスもやって来るリヴァーサイド・ドライヴを、てこてこと渡り
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エラリー・クィーンが次々と殺人事件を解決した前世紀の初頭頃からある川沿いの公園に入れば、もうそこもしっかりとノマド場じゃわい。
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せっかくだから、今世紀に入ってトランプ絡みなんぞで整備が進んだ川っぷちまでおりてみましょうぞ。北のワシントン橋を潜ってマンハッタンに入ってくる高速の下をくぐり
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まだまだ延々と降りていけば
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今世紀になって南の端っこまでハドソン川に沿って整備された細長い公園が延々と広がっている。ほれ
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トーキョーでもお馴染みのメトライフ飛行船がポッカリ浮かぶ対岸は、かつて永井荷風も夏の盛りに涼を求め遊んだ、ニューヨークの広大な埼玉、ニュージャージー!

どこからどこまで繋がってるか知らないけど、ともかく昨今は走ったり自転車を転がしたりするだけでマンハッタンの北から南まで行ける勢いの自転車&ランナー道を目の前にした木陰のベンチに座り込み、さあ、ノマド仕事でありまする。ルーターさえ連れてくれば世界のどことも繋がるし、ちょっと川を下ればちゃんとした公共トイレもあるし(日本の公園のトイレの多さは世界に誇るべきだと思うですっ!)、ランナーや自転車が鬱陶しくなったら少し上には別の広大な机付きピクニック用ベンチもあるしさ。

背中の側のハイウェイは騒々しいとはいえ、間に木立が茂ってる夏はそんなに気にならない。それよりもこのノマド場、問題は空でありまする。ハドソン河上空は、平日の朝9時から夜まで、天気の良い日は観光ヘリコプターが高度500メートルくらいでぐるんぐるん飛び回っている。どうやらマンハッタン南のヘリポートを飛び立ち、摩天楼を右手に眺めつつハドソン河を上ってくる。で、いちばんお安いお手軽コースは、やくぺん先生がノマドしてる頭の上で引き返してくみたい。
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もうちょっと豪華なコースになると、やくぺん先生の頭の上をつっきって島の北の先っぽ、いつも渋滞してるジョージ・ワシントン橋まで行って、グルッと旋回して戻ってくるようです。観光ヘリ会社複数入り乱れ、もう3分にひとつくらい、器械蜻蛉が頭の上でぐるぐるしてら。
http://www.veltra.com/jp/north_america/new_york/a/13233
そればかりか、対岸のお金持ちのビジネスジェット専用ティータボロ空港とマンハッタンやらを結んでるらしい、空のキャデラックみたいな高級器械蜻蛉が川を横切りウォール街傍のヘリポートへと急ぐ。
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その上には、ラガーディア空港に降りていく定期便が高度1000メートルくらいで10分に1本くらい河に沿って北上。おお、見よや、葛飾オフィス厄偏舎や佃の上空12000メートルを夕方4時過ぎに東へと向かう大韓航空「ナッツは袋」号が、遙々太平洋と大陸を越え大西洋岸はJFKへと悠然と降下していくではないかぁ!
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どうやらハドソン河はマンハッタン側が北行き、ニュージャージー側が南行きの巨大な空のハイウェイになってるらしく、観光ヘリや社長さんヘリ、NYPD
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はたまた民放各社の渋滞報道ヘリと、時に上空に1ダースもの機械鳥が舞ってる大混雑状況。
その間に、半世紀も前の味わい深いおんぼろセスナやら
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日本の空ではほぼ見られないV字尾翼の初期型ボナンザやら
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無論、どこにでもいるチェロキーやらセスナ170やら、あれこれいろんなちっちゃな民間自家用機械鳥たちが、ふらりふらり。
ハドソン河は水上機は降りてはいけないようで(ここにエアバスを安全に降ろしたら奇跡なわけです)、イーストリバー側では見られる派手な水上機の着水がないのがちょっと残念…って、あんた、仕事してるんだろーに。

そして、その間を、さりげなくすり抜けていく猛禽類!葛飾厄偏舎上空でお馴染みのこんなんとか
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なんでやねん、と言いたくなるようなこんな方まで。
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空母所属じゃなくて、ノーフォークの教育部隊の奴みたい。それにしてもどうしてここまで出張ってるんねん?60マイルだか遡れば、天下のウエストポイント士官学校があるわけで、世界最強ヤンキー陸軍チヌークやら黒鷹君がのし歩くのは判るにしてもさ。

おっと、川の上じゃ、消防さんが楽しげに練習なさってるぞ。
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鳥さんたちと言えば、あの「ハドソンの奇跡」の原因となっちゃったカナダ雁さんの群れは反省も無くノンビリしているし
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鳩さん、イエスズメたち、それに日本なら珍鳥ホシムクドリくらいしかおらんけど、機械鳥の乱舞に時間を忘れ、川を渡る爽やかな風にノマド仕事もはかどり、昼には戻ると言ったのを忘れてると、いつまで戻ってこないのか心配になったお嫁ちゃんもチョコチョコやってきて、あらまぁ気持ちいいと、ちょっと離れたところに座り込んでお仕事の書類などを読んでら。
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と、おやぁ、なにやら小さな方々がやって来る。「くれないの、くれないの」と迫られてるぞ。
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はい、あげますよあげますよ、順番に待っててくださいね。
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かくてマンハッタンのノマド、午後の太陽が正面から照りつけるようになってきた。栗鼠らの神様となったところで、そろそろひきあげましょか。

全て世は事も無しの、やくぺん先生生誕記念日也。

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聖金曜日のマンハッタン [マンハッタン無宿]

移動日まで含めると総計23日、最近では比較的長めのたびの空の最後は、小雨交じりの半端に暖かい聖金曜日。

セントラルパークのザ・ランブルや苺畑では、湿った春先の空気の中に、ロビン(あんなの絶対にロビンじゃないけど、この街の人はロビンと呼ぶのじゃ)がつぐみん性を露骨に発揮する縄張り争い声が響き、世にも騒々しいイエスズメたちが藪の中を追いかけっこ。上空には、今日も今日とてNYPDやらなにやらの機械螇蚸らが跋扈し、もっと上には生ぬるいハドソン河からの西風にこっちに向けて離陸してくるラグァーディアからのそこそこでかい機械鳥たちがかすめてく。

数週間前にまた値上げし、貧乏極東列島の住民には今や料金300円に近くなってしまったバスや地下鉄に乗れば、イースター休暇らしくお子ちゃま集団やデカイ乳母車持ち込んだ親子連れで溢れてる。マンハッタン厄偏庵横の世界一のスーパーFは、「大セール$5弁当!」なんて特価大セールやってカリフォルニアロールなんぞ売ってるけど、それでもまだTOKYOの弁当屋やコンビニ弁当よりも2割はお高い。
こうやって数週間、列島を離れてほっつき歩いていると、今の日本国政府がやってることは要するに「日本国全体3割大ダンピングセール」であることがよーく判ります。やっぱり我らがアベせーけんの究極の目標は、北朝鮮のような実質鎖国なんだろうなぁ、いやはや。

この「たびの空」の間に、ふたつのOceanとひとつの海峡を越え、10の空の駅に足を付け、6つの駅で荷物を引っ張り回し、8つのフロントで「はぁい」をした。どれだけの人に会ったか、どれだけの音符を聴いたか、もう訳が判らない。やった作文仕事は判っていて、そこそこ大きいものが3つとポチョポチョで総計40数枚程。今回は「アッコルド」をサボらせてもらったんで、この程度で済んだ。ま、2015年の聖金曜日を迎えるにあたり、ともかく磔にならずに済みました、ってとこでありましょーか。

夕方6時過ぎにJFKを出るANAさんが、ちょっと遅れると連絡してきた。午前中に最後の原稿をマンハッタン厄偏庵で入れ、2番の地下鉄でセントラルパーク北駅まで行き、ふらりふらりと雨が落ちてくる中を「北の森」の林を抜ける。
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厄天庵の文鳥君たちのように手に乗ってきそうになる人を怖がらんアメリカコガラさんと遊びながら、100丁目の出口までダラダラと傘を手にお散歩。
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聖金曜日の森は、花が咲き乱れずとも、ムクドリモドキ以下、騒々しい鳥さんたちは充分に騒々しく歌い、岩盤の間の清い流れになんか目つきの悪いカージナルが舞い降り、沐浴をなさってら。勿論、ピジョンもダブも舞ってます。
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ヴェトナムや中国の公園みたいに意地でもBGM流しちゃうぞ、ってスピーカーがあちこちに配されてたりはしないから、どこかからともなく《パルシファル》3幕の音楽が流れてくることはないけれど、頭の中ではあのヴッパタールの舞台の奇妙な聖金曜日風景が頭に浮かんで来て…

それなりに長い3週間だったこと。あの頃がもう何年も前のことみたい。パルシファルが歩く時間と空間を越えた巡礼みたいな、奇妙なたびの空(パルシファルの放浪を「ウラシマ効果」として描き、クリングゾルやクンドリーを高次元世界の存在として捉えるハードSF系演出って、どっかドイツの田舎でやってそうだなぁ)。

中央公園を出て
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ブロードウェイまで歩き、下って、96丁目では一度だけ生スポックのお姿を拝見させていただいたことがあったレナード・ニモイ劇場の横で、全然出来ない「長寿と繁栄を」サインをしようとしてやっぱり出来ず
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更に数ブロック下っては、一頃は42丁目にまで店を出していたのにこの数年で一気に撤退を始め、リンカーンセンターのMac屋の隣の店まで撤収し、今や発祥の地たるコロンビア大学正門前で細々と店舗を開いているだけの中華屋Oの最後の生き残りテイクアウト店に入り、「エッグヌードル、ローストポークのっけ」(よーするに叉焼麺)を$7程で買い、店の隅のカウンターで喰らう。
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この何の出汁の味もないスープの麺と、スーパーFのオレンジジュースが、やくぺん先生にとってのこの街の味。ま、後者はともかく、前者はなくなっても、ちっとも哀しくなんかない。なくなるものはとっととなくなれ、それがこの街で生きるということ。

さて、104番のバスで戻って、荷物を引っ張って、地下鉄乗り継いでJFKに向かいましょ。数年前にマンハッタン厄偏庵に入って、この宿がとうとう始めた朝飯サービスでボーイをやってたフィリピン出身のにーちゃんが、なんか今回はフロアで黒いにーちゃんたちなんかに偉そうにしてるんで昇進でもしたのかと思ったら、、おやおやなんとジャケット羽織ってカウンターにいるじゃないの。へえ。もう10数年にもなるいつも疲れた顔をしたイタリア系雇われちょっとイケメン店長も、随分と頭の天辺が寂しくなったなぁ。

聖金曜日のマンハッタン、ホントにホントに、全て世は事もなし。春がやってきて、奇跡が起きたのかは知らぬがそこそこ偉くなる奴もならない奴もおり、そして、確実にみんな、歳を取り、死すべき人は順番に世を去り…

奇跡など 無縁の街も ぐぅっふらいでー

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雀の居る島 [マンハッタン無宿]

ブリュッセルから大西洋を渡ること8時間とちょっと、久しぶりにニューアーク空港に到着し、ペン駅までの寂しい湖沼とうち捨てられた工場の彼方、かつてはツインタワーがあった場所に見慣れぬつまらぬ格好のビルが聳えているのにあらためて驚きながら、マンハッタン厄偏庵にやって参りました。なんか、帰ってきた感たっぷりであります。

早速、買い出し前に数ブロック西のハドソン河沿いに続く公園まで行くと、おおおお、藪の中にピーひゃら騒々しくしているのは、天下の珍鳥、そー、イエスズメでありますっ。
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こうしてみると、イエスズメの雌って、なかなか味わい深いではありませんかぁ。セントラルパークの入口辺りには、しっかりお家なんてあったりして。
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いかな「書いてあることはみんな嘘、信じるなぁ」をモットーとする当電子壁新聞にしたところで、以下の発言は嘘ではありません。何を隠そう、ロンドンには雀が居ません。エントリーが4月1日だなぁ、なんて思ってるでしょうけど、ホントに、ホントに居ません。まるっきり、居ません。ちっちゃい鳥さんが飛んでると、シジュウカラさんかアオガラさんです。どうしてそういうことになってるのか、今世紀になって激減しているそうで、研究者の間でも理由はちゃんと判ってないそうです。

んだもんで、ブリュッセルで藪の中に雀さんたちがいたときには、なんだかホントにホッとしたものです。まあ、ミュンヘン厄偏庵でも、森の藪の中にいるのはシジュウカラとゴジュウカラさんで、雀たちは教会の家並みの方に居るので、明らかに生態が別なことは確か。ミュンヘンではシジュウカラ軍団と数でも良い勝負だけど、ブリュッセルは数そのものはそんない多くはないようだった(ってか、あまり飛んでるものそのものが少なかった)。

ところがどっこい、大西洋を跨いだ途端、ほーら、日本の田舎雀とは親戚ながらちょっと違うイエスズメどもが、じゃぶじゃぶ溢れてら。

安心しました、です。

雀っちが居ない街に、あたしゃ、住みたくはない。倫敦はロビンに溢れてるから、、ま、許してやろーかい。

最後にオマケ。セントラルパークの真ん中辺りの藪に住んでらっしゃる、エボシガラさん。
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エナガさんと並ぶ、世界2大きゃーいー飛ぶもの横綱であります。どうみてもオモチャだもん。

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ハドソン河上空に猛禽が飛ぶ [マンハッタン無宿]

数年前にリンカーン・センターがブロードウェイの64丁目を下りた辺りに出店のような空間を作り、無料コンサートなんぞをやってて、いずれ「コンサートスペースに行こう」の番外編で紹介するつもりだったのだけど、連載が打ち切りになってしまったのでまた使えぬネタになってしまった…という場所に坐ってます。
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晴れたり曇ったりの金曜午後。

ええ、音楽関連のまともなネタは「アッコルド」の連載に記しますので、当無責任電子壁新聞はいつも以上にどーでも良いネタばかりになります。暇潰しにもなりませんので、その旨、ご了承あれ。

さても、本日は晴れた秋の1日、今回のマンハッタン厄偏庵はこの宿で2部屋しかないでっかいバルコニー付きで、部屋そのものの広さとバルコニーの広さが同じくらいという間抜けな状況。バルコニーっても、物干し台みたいなものなんだけど、13階という半端な高さとはいえ、アッパーウェストサイドのこの辺りは20世紀前半くらいに建った低層ビルがいっぱいあるので、北西方向の4分の1に向け空が開けている。ビルの間にハドソン河も眺められるわけであります。ミステリー好きの方ならば、『僧正殺人事件』の舞台となった辺り、天才数学者が弓で射られて殺された家の並び、と言えば判るかしら。古典過ぎるかな。

この数日、東京では郵便物待ちで空いてしまった2日間、ぼーっと空を眺めていてアメリカ海軍空母艦載ヘリが東京上空を我が物顔で飛び回るのをしっかり観察してしまったのは立ち読み読者諸氏はご存知の通りで。んで、ここマンハッタンに来て、またまた本日午前中は、作曲家のシュルミット・ランさんに会うための連絡待ちで、ずっと宿でボーッとしていることになってしまった。なんせ機内では殆ど寝られないやくぺん先生、昨晩は引っ張るところまで引っ張ってばったり寝たとはいえ、数時間寝るとぱったり起きてしまい、ボーッとした頭でも寝られない。歳は取りたくない、ってか、これはもう、そういう身体なんでしょーがない。待ってるくらいしか出来ない。

そんなわけで、結果的に、東京でやってた「島の上から西側の大きな川の上をボーッと眺める」という状況がまた発生してしまったわけである。ふう…

この島に滞在し空を見上げた方は誰もがご存知のように、ここマンハッタンはまあ、空の往来はとっても多い場所であります。なんせ頭の上をラガーディア空港に下りてくでっかい旅客機がガンガン横切る。911以降、上空通過制限がされてたけど、数年前に解除になったようで、平気でマンハッタンを南から北に横切ったり、横断したりしてます。天気が良ければニューアークに下りてく長距離便もよく見える。まあ、こっちはフランクフルト市内から空港への離着陸を眺める程ではないけど、それなりによく見える。ワールドトレードセンターがあった頃は、天気の良い日に最上階の開けた空間に行くと、遥かJFKから離陸していくコンコルドの猛烈な騒音と真っ黒い煙がよく見えたものでしたっけ。懐かしい20世紀の返らない想い出だなぁ。

それに、なによりも、ヘリコプターの乱舞。ともかく年がら年中、天気さえ良ければ視界のどっかに必ずヘリコプターが見える、って絵に描いたような未来都市風景でんな。今日も、朝からLAPDのヘリらしきもんがあちこちに移動してはホバリングして、どうやら交通ラッシュの情報を拾ってるみたいでした。その後も、ハッキリと何機かがハドソン河上空をだああああっと北に向けて突っ走り、暫くするとちょっと遠くのニュージャージー上空を戻ってくる、というパターンで飛び回ってます。

へえ、ハドソン河ってヘリコプターのメインストリートになってるんだなぁ、と妙な納得をしながらまちぼーけをしていると…我が目を疑うものが目の前を通過するではありませんかぁ!慌ててカメラに飛びついて、遥かニューヨーク州北に向かう姿を捉えると、これ。
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もう、逃げも隠れも出来ません。猿でも判るアメリカ海軍の対潜哨戒機、ホークアイじゃあないの。

暫くすると、やっぱり戻って来て、今度はハドソン河沿いに遥かニュージャージーの上空を横切って大西洋に抜けたようでした。今回は一眼レフが必要な公式ポートレートを撮影などの取材はないので、重いので一眼レフも長いレンズも抱えてきてない。だから、写真は撮れるも撮れないもないような状況なんで、ただもう驚いて、口をぽかんと開けて眺めておりましたです。はい。

なんであんなん、飛んでるねん?日本軍みたいに欲しい欲しいと御上に騒いで、陸上運用なのに艦載機を買っちゃった奇妙な軍隊ならともかく、アメリカ合衆国本土上空を飛んでるホークアイは艦載機以外にあり得ない。そりゃ、ニューヨークのブルックリン地区はかつては軍艦を作る造船所があった所で、要は豊洲から佃みたいなもの。確かミッドウェイ級くらいまではニューポートじゃなくてニューヨーク造船所で建造されてたんじゃないっけ(調べたら、ミッドウェイとシャングリ・ラはニューポートで、フランクリン・ルーズベルトがニューヨークだそーです、へえええ)。とはいえ、今はそんなもんもなく、ハドソン河に浮かぶイントレピッドはミグだって置いてある観光用の博物館。ホークアイを乗せてる第6艦隊の空母航空団がうろちょろするような場所じゃあないと思うんだが…うううん。なんなんだ。

そうこうするうちに、もうひとつ。こんなもんも横切って行った。そー、皆様には馴染みのシルエット、我らが東京上空の猛禽の帝王、H-60ブラックホークであります。
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これ、順光でこんなに真っ黒なんで、陸軍タイプみたいですねぇ。これも素性なんか判らぬ。そもそもマンハッタンの周辺にどんな軍事基地があるかなどなーんにも知らないし、調べる気もないので、これでオシマイ。

ともかく、以上の事実を踏まえ、数日前の当無責任電子壁新聞で「マンハッタン上空で米軍機が飛ぶなんて見たことない」と記したのは、頭を下げて撤回いたします。もしかしたらこれまでもいつもいろんな猛禽たちが跋扈してたのかもしれないけど、気にもしていなかっただけなのかも。

東京上空の占領状態を都民善男善女が知らずにいるのも仕方ないことなのかなぁ、と思ったマンハッタンの朝でありましたとさ。

さて、リンカーンセンターに行き、チケット拾ったりせにゃ。天気は良いけど風は冷たく黄色くなった枯れ葉が吹き飛び椋鳥と追いかけっこしてるマンハッタン秋深し。

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E列車は編み物圧勝 [マンハッタン無宿]

秋のNYは緯度がそれなりにある場所なので、天気がよければJFKであれニューアークであれ紅葉真っ盛りのNY州田舎を眺めながらのアプローチになるのだけど、本日は冷たい秋の雨。雲が低く航路案内画面も最後の所で全く信用できず、どこを飛んでるか判らぬままにおっと大西洋の上じゃないか、ぐるりとまわって陸地が見えるともうロングアイランドで
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JFKでいちばん東側の南北に延びたいちばん短い横風滑走路に北側から大西洋に突っ込みそうな勢いでギリギリまで走って止まりました。

さても、毎度ながらかつての栄光のBAコンコルド・ターミナルにスポットインするANAさんなんだけど、今日はあんまり混んでなくて、毎度ながらスカイトレインに向かう奴などほぼ皆無。ジャマイカまで、麗しい秋の紅葉のクィーンズを眺めて、と言いたいところだけど、落葉前の汚れた葉っぱが辛うじて広葉樹にへばりついてる、って感じの寒々しさでありまする。このアメリカ大陸の本質的なもの凄い寂しさって、嫌いじゃないんだけどさ。

荷物引っ張って、1週間メトロカードを30ドルでリフィルし(いやぁ、高くなったなぁ)、さあ、もう市内どこでも乗り放題じゃ。無論、ジャマイカからはメトロE列車でマンハッタンに向かいます。ワールドトレードセンター駅行き、という表示もいつの間にか復活して、何事もなかったかのようになってるが…この名前、維持するんですねぇ。

スカイトレインが、ケネディ空港の北側、ラ・ガーディア空港との中間くらいにあるジャマイカなるどんな奴らが住んでるかもう言わなくても判るよーなところまでフリーウェイの上をがああああっと走って、地下に降りて乗り換えるE列車ですが、JFKからの貧乏人アクセスの中ではいちばん面白くない。だって、マンハッタンまで延々と地下なんですわ。今日も今日とてまともに走らず、止まったり走ったり、車内の善男善女(多分)は諦めか舌打ちであります。ま、9割は諦め。

んで、その車内なんだけど、クィーンズの真ん中辺りまではあんまり混んでなくて、こんな感じ。
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だからなんだ、と思うでしょ。でもね、よーくご覧あれ。この写真、2014年秋の地球人類居住区都市部の車内地下鉄風景としては、珍しい部類に入ると思うのですよ。お判りかな?

そーです、携帯端末弄ってる奴が殆どいません!

ソウルなら8割、シンガポールなら7割、上海香港でも半分強、そして我らが東京もそれくらいの感じですかね。今時、地下鉄車内は6割程度の人々が携帯端末を弄ってるのが世界の平均、少なくともアジアの平均なんじゃないかしら。ところがどっこい、ここNYでは、案外とその比率が少ない。ヘッドフォン耳に突っ込んでなんか聴いてる奴はそれなりにいっぱいいるのだけど、カチャカチャしきりにやってるって奴は、そんなに見かけないんですわ。

へええええ、でしょ。

その代わり、というか、この車内になんと2人の「編み物をしてるオバチャン」がおるのですよ!判り難いかもしれないけど、この画面にちゃんと写り込んでます。やくぺん先生の車内での娯楽、「車内での過ごし方:伝統篇VSモダン篇勝負」では、伝統と格式の車内編み物オバチャンはポイント高いぞっ!ひとりで携帯弄り10人分くらいのポイントはあげて良いんじゃないか。

42丁目駅まで延々と1時間の地下のたび、その間、もくもくと編み物をするオバチャンが複数車内にいるニューヨークシティは、まだまだ捨てたもんじゃないぞ、と思った次第であります。

ちなみに、この携帯端末弄り率、42丁目で乗り換えた地下鉄1号車内も、モダン派がもうちょっとは占めていたものの、アジア圏に比べると圧倒的に伝統派の支配地域でした。意外だったのは、深夜、カーネギーホール前からマンハッタン厄偏庵に戻るべく乗車したM57のクロスタウンバス、最近は妙に再開発が進んでじいちゃんばーちゃんが追い出される勢いのメトの裏のハドソン川の方をグルッと回って72丁目駅まで来るのだけど、この車内、ほぼ全員がセント・ルークス管の聴衆。で、じじばば専用車に近いのに、それなりに携帯端末弄り率は高い。
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ま、NYタイムズの紙ヴァージョン保ってるオジサンが圧倒的に伝統派のポイントアップしてくれてるけどさ。

かくて1週間の短期滞在ながら、マンハッタン厄偏庵、結ばれとりますので、NY近郊でお暇な方、用事があればご連絡あれ。

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