SSブログ

コンセルトヘボウのブルックナー・チクルス [音楽業界]

生存証明です。霜月は実質3週間のツアーがあり、コロナ禍明け後の数度の渡欧やらの結果、隠居前のような「移動しながらガンガン商売作文を入れる」というのはもう不可能と判断。結果、その間の〆切原稿をゼロにしたため、理屈としては2023年11月の収入はゼロ。その分を師走に入ってからここ温泉県盆地オフィスでのお籠もり作業にぶち込んだわけで、先週半ばにこちらに来てからは地獄のように淡々と作文作業を続けております。とはいえ、三十代から五十代前半みたいな「1日1本」なんてペースは不可能で、せいぜいがその半分以下ながら、ともかくご隠居仕事としては前頭葉と肉体が許すギリギリの生産量。かくて、無責任電子壁新聞などまるで手がまわっておりませぬ。思えばツアー中は、電子壁新聞作業が商売作文みたいになってたわけで、もうそんな無茶は不可能じゃわさ。

んで、半端な書きかけが溜まる一方なんじゃが、ともかく生きてますよ、と示す為の気楽なネタをひとつ。今朝方、なにやらリリースが送られて来た話。

来年2024年はシェーンベルク記念年というのは流石に存じていたが、どうやらオーケストラ業界ではもっとデカいネタがあるのですなぁ。そー、もうみんな知ってるのだろー、「アントン・ブルックナー生誕200年」でありまする。

んで、当然ながら、世界中のメイジャーマイナーアマオケ揃って、モダンオーケストラ・レパートリーの極めて重要な位置にあり、とりわけ1980年代後半以降のニッポンでは、某著名評論家が某指揮者&そのオーケストラを神の如く讃え一種の擬似宗教みたいに盛り上げ、何故かオッサン層に大人気の作曲家としてしまったブルックナーです、いろんなことが企画されてるんでしょうねぇ。知らんけど。

そんなブルックナー騒動イヤーの最初の一発、こんな案内が遙々アムステルダムから来ました。
https://www.concertgebouworkest.nl/nl/bruckner-cyclus

ある欧州系クラシック音楽サイトでは「世界一のオーケストラ」に選出されたこともある名団体が、記念年にちょっとだけフライングでまだ記念年前の今月17日を第一段に交響曲全曲演奏を始めますよ、という案内です。ま、ご覧になればそれまでなんだけど、ラインナップを引き写してみると…

12月17日:イヴァン・フィッシャー指揮 第3番(断片演奏でのサイクル導入レクチャー付き)
1月19日:チョン・ミョンフン指揮 第7番
5月2日:クラウス・マケラ指揮 第5番
6月20日:クリスティアン・ティーレマン指揮 第8番
9月27日:アンドルー・マンゼ指揮 第2番
10月3日:ヤープ・ファン・ズヴェーデン指揮 第4番
12月8日:ヴラジーミル・ユロフスキー指揮 第1番
1月17日:シモーネ・ヤング指揮 第6番
2月6日:リカルド・シャイー指揮 第9番

って、記念年を前後にはみ出てるじゃないかぁ。なんか、短期集中の「全曲演奏会」大好きなニッポン聴衆とすればちょっと肩すかしみたいな感じもするけど、現実的にはこれくらいのテンポでやってくれた方が良いのかもね。

ちなみに全曲セット券を売り出していて、定期演奏会とは別の「ブルックナー・サイクル」という事になるようです。「ブルックナーのシンフォニーは他のシリーズでもやりますよ」と注意書きしてあるのは、なかなか含みがあって興味深いですねぇ。

日本のマニアックな皆様からすれば、そもそも版はどうなってるんだ、9番をどうするんだ、なんでゼロ番やゼロゼロ番がないんだ、あれこれあれこれ、いろいろ突っ込みたいでしょうけど、これが生誕200年を迎え撃つ天下のコンセルトヘボウのやり方だ、ということですな。1番や2番に序曲付けるとか、《ヘルゴランド》やら《テ・デウム》やるとかもないし、なかなか潔いなぁ。ギリギリのところでマニアっぽくない、ってのが良いバランスですだわい。それにしても、ニッポンの熱烈愛好家諸氏のブルックナーに対する関心の特殊さが、世界の中でくっきり際立つ年になりそうだなぁ…

あちこちから既に来年度のラインナップが出てきている極東の島国のオーケストラだけど、どこかドカンとやるところはあるのかしら。妙に仲良しの関西のオケがみんなでチクルスやる、なんていかにもありそうだが…

シェーンベルク記念年も、せめてこれくらい盛り上がって欲しいものであるなぁ。

nice!(2)  コメント(3) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 3

サンフランシスコ人

ヤープ・ファン・ズヴェーデン.....数年前に ニューヨーク・フィルハーモニックで第4番を指揮したはずですが....クラウス・マケラのブルックナーは想像が付きません....
by サンフランシスコ人 (2023-12-09 07:44) 

Yakupen

サンフランシスコ人様

ブルックナーの受容って、日本はかなり特殊ですから、来年の各国でのサイクルがどういう風に行われるのかとても興味深いです。北米ではどうなんでしょうかねぇ、少なくとも日本みたいに「何の版か書いてないじゃないか」とファンが事務局に詰め寄る、なんてことはないでしょうけど(笑)。
by Yakupen (2023-12-09 10:10) 

サンフランシスコ人

「北米ではどうなんでしょうかねぇ....」

フィラデルフィア管弦楽団の演奏会に40回行った思いますが、ブルックナーは無かったです.....

http://yakupen.blog.ss-blog.jp/2011-01-28

来シーズン、第7番をやるみたいですが、何の版か書いてないです....
by サンフランシスコ人 (2024-01-25 02:05) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。