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オージー《リング》三度目 [音楽業界]

もう随分前のことになりますけど、オーストラリアのブリスベーンだかで中国人演出家かなんかで《リング》の新しいサイクルをやりますよ、なんて話をお伝えしたことがありましたっけ。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2019-06-13

このプロダクション、2020年11月から12月にプレミアが予定されていたわけで、ま、当然のことながらコロナに直撃されたわけですね。んで、なんのかんの延期延期が続き、いろいろと変更もあったんでしょう。とはいえプロダクションとして消滅することはなく、苦節3年遅れでやっとプレミアが出た、というお目出度い話でありまする。あ、前は「女性監督」と書いたけど、ものを良くご存じの方から「違うよ」というご指摘がありました。直しておきます。ありがとーございます。
https://opera.org.au/brisbane/ring-cycle/

豪州大陸とすれば、やくぺん先生が眺めた恐らくは最後の(ともかく《神々の黄昏》という作品がどうにもダメなんで、どうしてもチクルスをジークフリートとブリュンヒルデの二重唱で終わらせてしまうのであーる)《リング》チクルスになっている2016年のインキネン指揮メルボルン以来、大陸で3度目の全4作ステージ上演だと思います。なんで世界文化遺産のシドニーオペラハウスでやらんのか、と思う方も多いでしょうけど、話は簡単。あそこ、ピットもステージも狭すぎる欠陥オペラハウスなんねん。どーせこの大陸でオペラやっても客なんてそんないないでしょ、って考えで客席ピット含め小さめに建設してしまったけど、世界文化遺産だかになったんで改築出来ん、という本末転倒なことが起きてるんだわさ。オペラ・オーストラリアのディレクターさんも頭抱えてましたっけ。いやはや。

もといもとい。で、この新演出ですが、ぶっちゃけ、インキネン様がやった奴とはまるで別物のようです。メルボルンの舞台は、音楽的にははっきりと21世紀指向の、この作品のリズムの複雑な仕掛けなんかがよーく見えるけど(《ジークフリート》でのマーラーっぽいポリリズムとか)、著名映画監督がやった演出はいろいろドラマとしてやりたい細部は判るが、デカいメルボルン・アーツセンターの巨大空間では伝えきれないという典型的な「映画監督演出家の失敗」という感がのこり、今ひとつ食い足りないなぁ、という印象の舞台でありました。音楽面はその後にインキネン様がバイロイトに乗り込み、どうやらヴァーグナー好きで人生を夏にかけてるドイツの田舎のオケの猛者共にイヤな顔されながらも自分のやるべきことをやりきって、ちゃんと評価されているようでよろしゅうございますですな(演出は、なかったことにしたいような酷いもんらしいけど)。

ぶっちゃけ、この1分のトレイラーを眺めれば、どんなもんか全部判る、って感じですわ。ほれ。
https://youtu.be/ARmrGo45Vlk?si=mLeKpvKhtvEkyrz_
前パブトレイラーでも、ステージの責任者さんが盛んに言うのは「巨大なスクリーンに投影されるヴィジュアル」で、やってることは極めて明快。オーストラリアの秋の初めに、猛烈に高い切符買って遠くからやってきた沢山の善男善女に喜んで貰う演出と割り切ったものみたいですから、これはもう日本の「悪い人達」を除くまともな音楽ファンには格好の舞台なんじゃないかしらね。

2度目のチクルスの《ラインの黄金》は今晩から始まっちゃうみたいだけど、最後のチクルスはまだ間に合います。さあ、LCCも飛んでますから、ジェット★でピューンとグアムから珊瑚海越えて、シーズンが始まるブリスベーンへどうぞ。

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