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緊急告知:本日のサントリーで売ってます [演奏家]

もう遅すぎるかもしれないけど、ともかく緊急告知です。

本日、サントリーホールで午後6時半開演のオーケストラ・アンサンブル金沢東京公演では、指揮者のマルク・ミンコフスキ氏の自伝の日本語版が緊急先行販売されます。
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既に去る金曜日の金沢公演では石川県立音楽堂ロビーで販売され、関係者の方に拠れば「入場者の10人にひとりがお買い上げになりました」とのこと。
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最近ではこんなに「本」という媒体が積み上がっている絵は余り見ませんので、ちょっと驚きですな。

ミンコフスキといえば、ヴィーンの不良反逆者に始まり同世代唯一のヴィーン系指揮者へと上り詰めたアルノンクールやら、みんながこれぞ古楽って思うような音楽をさりげなくエグくなく繰り広げてくれるガーディナーやら、所謂「20世紀末古楽スター」の長老達とは一世代も二世代も若く、もう「古楽器」などと肩肘張ったり大声を出したりしなくても良くなった世代の最初のスター指揮者のひとり。なにより、古い時代の音楽を専門にしているだけではなく、最初からオッフェンバックとかヴァーグナー初期オペラとか、ロマン派の舞台作品を大事なレパートリーにしてきた方なわけで、そういう視点からも去る金曜日のベートーヴェン交響曲第9番の再現は極めて興味深かったわけでありまする。

新しい視点というか、21世紀のパラダイムから「クラシック音楽」を見渡したいとお考えの方には、是非とも読まないといけん文献じゃないでしょうかね。

ま、中身に関しては、今週金曜日までの新帝都滞在中はもうグチャグチャに忙しいやくぺん先生ったら、まだちゃんとページを開けてません。ゴメン!来週以降、ノンビリ由布岳眺めながら縁側で紐解いて、またご紹介いたしましょうぞ。

とにもかくにも、今晩のサントリーには現金数千円、ちゃんと握りしめて来るよーに。お釣りはたぶん、ありますから。

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訃報:ペーター・ブック [弦楽四重奏]

大阪のコジマアーティストさんの公式Facebookページに訃報がアップされました。公式ホームページにはないので、Facebookを貼り付けます。
https://www.facebook.com/kojimaconcertmanagement

媒体の性格上、時間の経過と共に見えなくなってしまう可能性がありますので、まんまコピペ。

※※※※

【訃報】

20世紀のドイツを代表する世界的弦楽四重奏団 メロス弦楽四重奏団のチェリストとして知られた、ペーター・ブックが膵臓癌のため3月14日 17時50分(現地時間)にドイツ・シュトゥットガルトの病院にて永眠致しました。享年86歳。
ペーター・ブック(Peter Buck)は1937年 5月18日 シュトゥットガルト生まれ。
シュトゥットガルト音楽演劇大学に学び、ルートヴィッヒ・ヘルシャーやピエール・フルニエに師事。
1965年に結成したメロス弦楽四重奏団は数々の国際的な受賞を得て、一気に世界のトップクラスの存在にまで駆け上り、以後40年ほどの活動期間を通して、その評価は常に揺るぎなく、その足跡は膨大な優れたレコーディングからもうかがい知れます。
ペーター・ブックはこの功績により、ボン・ベートーヴェン・ハウス協会名誉会員やドイツ連邦共和国功労勲章を含む数々の栄誉を与えられています。
1980年以降はシュトゥットガルト国立音楽大学の教授も務め、世界中の国際コンクールの審査員や客演教授に任命されるほか、1992年にはオーベルストドルフ・ミュージックを創立して芸術監督を務め、2004年にドクター・ダーツェルト財団賞を受賞しました。
日本にはメロス弦楽四重奏団のメンバーとして度々来日していましたが、2016年10月と2017年3月の二度に亘り、ロータス・カルテットと共に来日し、シューベルト:弦楽五重奏曲やベートーヴェン:弦楽五重奏のための「クロイツェル」を演奏したのが最後となりました。
尚、ロータス・カルテットとの『シューベルト:弦楽五重奏曲』は2011年6月にドイツ・ハイデルベルク郊外のスタジオでレコーディングを行っており、レコード芸術特選盤に選ばれるなど極めて高い評価を得たその演奏は現在でも聴くことができます。 
LIVE NOTES WWCC-7713
http://www.kojimacm.com/recording/reco/lot_schubert.html
故人の生前の業績を偲びつつ深い哀悼の意を表し、ここに謹んで御通知申し上げます。
コジマ・コンサートマネジメント
代表 取締役 小島 裕

※※※※

やくぺん先生は、個人的にはそれほど付き合いのあった方ではないのですけど、ロータスQとバイエルン州近辺を動いてまわるツアーに同行したときにはなんのかんの話をしたこともあったです。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2008-01-24

メロスQとしての功績はいろいろ言い立てればあるでしょうが、やはり最晩年の「やたら厳しい好々爺」ってイメージばかりだなぁ。

メロスQという団体、演奏史的には20世紀後半のレコード会社が世界の(日本の?)音楽嗜好をコントロールする中で、ヴィーン系のアマデウスQ、アメリカ系のラサールQと並びドイツ系を代表する団体としてイエロー・レーベルに数多くの録音を遺した団体、という位置付けになるのでしょう。個人的には、第2次大戦前の情報コントロールもあり些か影の薄い存在であったメンデルスゾーンの弦楽四重奏全集を最初に世の中に出し、カルミナQが火付けとなった90年代以降の新世代クァルテットでのメンデスルゾーン・ルネサンスの基礎を築いてくれた功績は、大きく評価されるべきだと思うんですけどね。
https://www.hmv.co.jp/en/artist_Mendelssohn-1809-1847_000000000020551/item_Complete-String-Quartets-Melos-Q_3501587

あまり多くを言えないけど、お疲れ様でした。合掌。

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アヴァロンQの新譜 [弦楽四重奏]

山のように積み上がった作業をこなしている中で、久しぶりにNMLを開いたら、へえええ、と懐かしい名前に遭遇しました。このURL、貼り付けたところで日本のNMLと契約している方しか行けないし、何を隠そう北米の某音楽団体を通して北米の会員となってるやくぺん先生にも使えないんですけど、ま、当電子壁新聞を立ち読みなさるような酔狂な方の中には「俺は大丈夫だぜ」って方もいるやもしれんので、貼り付けておきます。
https://ml.naxos.jp/album/8.559941
今、LGBTQ大流行のアメリカ合衆国マーケットで突如人気作曲家に浮上した(のか?)フローレンス・プライスをメインに据えた今月新譜のアルバムであります。それにしても、ホントに昨年はなんとなんとイエローレーベルからヤニック指揮フィラ管の演奏する交響曲全集(にはまだなってないのかしら)のCDがガンガン出てきたり、今やアフリカン・アメリカンの交響曲といえばウィリアム・グラント・スティルの専売特許じゃないわい、って猛烈な追い風が吹いてる作曲家でありまする。
https://www.deutschegrammophon.com/en/catalogue/products/price-symphonies-nos-1-3-nezet-seguin-12476
https://www.deutschegrammophon.com/en/catalogue/products/price-symphony-no-4-dawson-negro-folk-symphony-nezet-seguin-13109

そんな勢いが弦楽四重奏の世界にも吹いて来たのか、とうとうナクソス・ジャパンさんが録音を出してくださいましたわ。めんどーなんで、公式な作品紹介は、まんまコピペしておきましょかね。ほれ。

「2020年代に入って急速に脚光を浴びる作曲家フローレンス・プライス。その弦楽四重奏曲第2番をメインに、彼女の師匠ともいえるサワビーの作品を合わせて紹介する、NAXOSのアメリカン・クラシックらしい1枚。 「アメリカ初の黒人女性作曲家」と呼ばれるプライスは、2021年のBBCプロムスで交響曲第3番の第3楽章が演奏され、2022年には交響曲第1番と第3番を収めたアルバムがグラミー賞を受賞、2023年には「アメリカにおけるエチオピアの影」が神奈川フィルにより日本初演されるなど、世界的に脚光を浴びています。彼女の作品の多くは死後も未発表のままで、その真価や全貌はまだ発掘途上と言えます。 レオ・サワビーは、ローマのアメリカン・アカデミーのローマ賞やピューリッツァー賞を受賞するなど国際的な名声を得ていました。プライスとサワビーは共に1930年代から40年代にかけてシカゴの音楽コミュニティのメンバーで、お互いの作品を尊敬していたことが知られています。このアルバムには両者の弦楽四重奏曲を収めています。最後に置かれたプライスの「ネグロ・フォークソング・イン・カウンターポイント」は5つの民謡旋律に基づくアフリカ由来のリズムや黒人霊歌を大胆に取り入れた作品。とりわけ第2曲の旋律は「雪山讃歌」として誰もが耳にしたことがあるのではないでしょうか。 (ナクソス・ジャパン)」

というわけで、へえ、そーなんですねぇ、といえばそれまでなんじゃが、やくぺん先生とすればもっと興味あるのは、弾いてる連中なんですわ。そー、お久しぶりのアヴァロンQじゃあないかい。当電子壁新聞でも、我らがヴィオレッタが加わってた頃には何度も取り上げてましたけど…
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2007-09-24
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2005-08-18

ま、20世紀前半のシカゴ楽派のアルバムとなれば、かのフェルメールQの後を継いでノーザン・イリノイ大学のレジデンシィを務めているこいつらが登場するのは当然と言えば当然でありましょうね。ってか、シンフォニーの録音がシカゴ響じゃない方が不思議なわけで。

かつては天下のシュモル・アシュケナージ御大の下、上海Q以下数々の団体を生み出したノーザン・イリノイ大学のレジデンシィ、アヴァロンQになってもう20年近くなるんじゃないかい、その後どうなっているか、殆ど知らないんだけど、こうやってやるべき仕事をやってくれている姿を見るのは嬉しいものでありますなぁ。曲の評価は…まあ、皆様、お聴きになってご判断あれ。NECの学生団体が弾いてる映像がYoutubeにアップされてますので、参考までに貼り付けておきます。
https://youtu.be/DYu5eANh_x0?feature=shared
2026年アメリカ建国250年記念演奏会で弾いてみたい、なんて奴らもいるかな。楽譜があれば、なんでしょうねぇ。

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フィルハーモニー・ド・パリの五輪文化プログラム [ご当地五輪への道]

まさか、もう二度と用いることはないと思っていたカテゴリーを、ほとんどやけくそで使うのじゃ。

ニッポン列島にお住まいになられる日本語文化圏の皆々様におきましては、一部のスポーツ関係者以外は殆ど関心がないであろう「2024巴里五輪」でありまするが、すくなくともやくぺん先生が昨年の秋の終わりにウロウロしていた頃は、まあああったく盛り上がっておりませんでしたです。もの凄く地味なトートバッグをぶら下げたおねーさんをひとり地下鉄で見かけたのと、あとは宿から運河のボートで出かける巨大ショッピングセンターでセールス品で山積みになってた五輪タイアップ商品の大衆向けパスタがあったくらい。これじゃ。
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うううむ、地味じゃのぉ。今時、関西や博多小倉のJR西日本管内などで見かける謎の万博生命体なんぞのようなマスコット、というか、キャラクターみたいなもんに相当するものも、巴里では全く見かけなかったわい。ちなみに、これまたニッポン語文化圏の人はだーれも知らないだろう2030釜山万博に向けたキャンペーンで、釜山金海空港ロビーにはもうこんなキャラクターがアピールしているし(ってか、これじゃキャラクターってか、まんまやねん!)
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こういう20世紀型巨大国家イベントらしい盛り上げがあるもんじゃが、少なくとも工事はいろいろやってるドゴール空港から北駅辺りでも、フィルハーモニー・ド・パリがある会場からそれほど遠くないパリ市内北東の貧民居住地域でも、それらしきものは一切目にしませんでした。

んで、パリ原住民は殆ど誰も感心がなさそうなこのイベント、数日前に、やっとというか、なんとも驚くべきにというか、フィルハーモニー・ド・パリ広報さんからこんなもんが送られて来たでありますよ。ほれ。
DP Olympiade Culturelle Philharmonie.pdf
「フィルハーモニー・ド・パリの五輪文化プログラム」冊子でありまする。

へええ、ってパラパラと眺めて見るんじゃが…うううむ、なんというべきか、いかにも2024年の巴里っぽい「多様性」の世界が広がっていて、都内にある東京都とニッポン国のふたつの劇場が五輪記念で《マイスタージンガー》の同じプロダクションを出す、なんて爆笑ものの茶番劇やられるよりはまだいいものの、ああそうなんですかぁ、そうなんですねぇ、としか言いようがない出し物でんなぁ。

一部のプログラムはイースターの頃から始まるようです。まかり間違って関心のある方は、いらしてみてくださいな。

巴里五輪、確かスポーツイベントの本番はこの夏のゆふいん音楽祭とバッティングする日程じゃなかったっけか。よー知らんけど。

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ピエール・ブリュースはサティQにいたのだ [演奏家]

指揮者として初来日のアンサンブル・アンタルコンタンポラン音楽監督ピエール・ブリュースの神戸室内管デビュー、なんとボーッとしている間に明日になってしまったではないかぁ。
https://www.kobe-ensou.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/03/231026_3_kobe_161_omoteura_a_design_syusei.pdf
ご覧のように、ある意味、バッハや古典派を得意にしていそうな気がするこの室内管定期としてはなかなか意欲的、というか、かなり変わった定期なのかしら。なんといってもオーケストラの定期演奏会なのに、ドカンと室内楽作品を1曲まるまる入れてる、ってのはスゴイなぁ。このルー・ハリソン作品、娯楽作品として滅茶苦茶楽しいですから、冗談じゃなくこれ聴くだけでも価値がある土曜の午後でありまするよ。こちら。
なんとやくぺん先生、この作品の初演団体での日本初演、カザルスホールで聴いてるんだわなぁ。いやぁ、爺になったことよ。

もうバレバレになってしまっているだろうから平気で記してしまいますがぁ、昨年11月、《光の日曜日》見物で華の都をウロウロしていたときに、シテ・ド・ラ・ムジークをホームベースとするこの団体が翌週の定期演奏会(なのか?)のリハーサルをしていて、指揮を担当する音楽監督のブリュース氏が通っていた。これ、楕円形ミュージックホールの真ん中にチェンバロ出して、周囲に小編成アンサンブル撒きやりとりする、という新作の練習風景。コパチンさんの後ろに立ってるのがブリュース監督じゃ。
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んで、遙かホンシュー島は神戸からの依頼を受け、楽屋でお話を聞かせていただいたでありまする。ま、せっかく居るなら、とちょっと商売やった、ということじゃわね。結果、こういう映像が出来ております。

なにやらほぼまるまる素材として使うんだなぁ、と未だにこういう映像インタビューには慣れない爺なのであったのであるがぁ、ま、それはそれとして、話としてはいろいろ面白いもんも出てますので、お暇ならご覧あれ。特に「現代音楽」と呼ばれる20世紀作品をどう考えるか、極めて自然な扱いをしているのが興味深いですな。

で、本来はそういう話をせにゃならんのでしょうけど、なんせ「書いてあることはみんな嘘、信じるなぁ」をモットーとする当無責任私設電子壁新聞とすれば関心はそこではなく、ちょっとだけ触れてるブリュース氏の経歴の部分なのじゃ。「私はずっと室内楽をやってきて、室内管のコンマスになり、たまたま指揮をすることになり、指揮者へと転身した」と仰ってるところ。へえ、弦楽四重奏やってたんだ、どこの団体にいたの、と気楽に訊いたら、「サティQです」ってさ。

え、と思ったけど、収録用のテープもまわっている(というか、ハードディスクが動いている、というのか、今は)ので突っ込めなかった。その後も、コパチンスカヤと作曲家がやってくる新作の打ち合わせだかが待っているのでもう時間が無く話が出来ず、それだけだったわけです。どうもそれなりの時期、若い常設弦楽四重奏団としてのキャリアをやっていたようですな。自分の音楽作りで、弦楽四重奏をやっていたときの経験は非常の大きい、とこっちが尋ねなくても応えてくださっていたわけで。

なんでこんな細かい経歴に拘っているかと言えば、なんとなんと、やくぺん先生が一度だけライヴで接したことがあるサティQって、2001年のバンフ大会だけなんです。その時の評論記事、Webにまだひとつだけ落ちていたので貼り付けておきます。世間がまだWeb社会になる直前、あのマンハッタンでトレードセンターにアメリカン航空が突っ込む911テロが起きる直前で、この直後にボルドー大会だかがあり、ハシゴをする団体も多く、大変なことになったときですわ。
http://www.scena.org/lsm/sm7-3/banff-en.html

オフィシャルなページではなく一批評家の私見を記した記事を出すのに深い意味はなく、単に参加団体が全部記してあるから。こちら。
Daedalus, Delancy and Enso from the USA; Herold and Penguin from the Czech Republic; Johannes and Satie from France; Diabelli from Canada; Kuss from Germany; and Excelsior from Japan.

おおおお、当電子壁新聞を立ち読みなさっている方々がならすっかりお馴染みの名前ばかりでありましょうぞ。なんせ、ダイダロスやエンソはともかく、ペンギン、クス、そして我らがエクが参加した年に、一緒に出ていた団体ですわ。

とはいえ、ブリュース氏がこの2001年9月にバンフにいたのか、Web空間を探してみても、よーわからん。

てなわけで、明日、神戸に日帰りする最大の目的は、どっかで立ち話して、「バンフにいたの?」と尋ねることなのであーる…なーんて言うと、神戸室内管のスタッフに叱られそうだなぁ。

そんなやくぺん先生の極めてニッチな個人的な関心はどーあれ、あすの神戸室内管、アイヴス好きにもアメリカ現代音楽好きにも、はたまたフランス音楽好きにも、猛烈に楽しい午後になること必至であります。関東や九州中国からでも、朝のシンカンセンで新神戸まで行き、タクシーで2000円もかからんくらいで到着しますし、簡単に日帰りできますぞ。さあ、これはもう来ないわけにいかんでしょ。

それにつけても、なんで4月のアンブル・アンタルコンタンポランの東京公演には来ないんじゃろなぁ。残念だなぁ。

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人事異動:クロノスQ [弦楽四重奏]

夕方前、殆ど「てえへんだてぇへんだぁ~!」って勢いである方から情報が提供され、やっと手を付けた税金作業やら、その合間に飛びこみまくる日程調整作業やらの手が止まってしまったニュース。なんか、当無責任電子壁新聞、人事情報欄になっとるなぁ、昨今。

こちらをご覧あれ。
https://www.facebook.com/ayane.kozasa
https://www.facebook.com/photo?fbid=10102038502905786&set=pcb.10102038502975646

というわけで、天下のクロノスQのヴィオラに、コロナ前最後に開催された大阪国際室内楽コンクール第1部門で優勝したアイズリQでヴィオラを弾いていたアヤネ・コザサさんが就任いたしますっ!同時に第2ヴァイオリンも交代するみたいで、ハリントン社長を除けば移動が激しいこの団体でも長く安定していたヴィオラが、とうとう新世代に取って代わられることになったわけですわ。

クロノスQという団体、正直、ハリントン社長のコンセプトが何よりも大事という会社で、アルディッティQみたいなアーヴィン社長の演奏家としてのハイパーカリスマ性で成り立っているところとはちょっと違う。ある意味、ハリントン氏が引退してもプロデューサーとして控える限り、「クロノス・クァルテット」という存在は何も問題なく続けられる、というところもある。ま、実際にそういうことになるかは判らないけど、アーヴィン・アルディッティ氏なしのアルディッティQが考えられないような感じではない。

その意味では、今年の初めにポール・ヴィアンコがチェロに入った頃から、違った方向に向かうことも含めつつ「アメリカ現代音楽のフロンティアを切り開く」という仕事は新たに続いていきそうな感はありました。ヴィアンコ・チームの片腕コザサさんが入ることで、クロノスはホントに新しい「アメリカの現代音楽」に突っ走り続ける準備が整ったぞ。

ゲヴァントハウスQやらボロディンQやら、今のジュリアードQ、はたまた数多のチェコ系の弦楽四重奏団やらのように、クロノスQも次々とメンバーを入れ替えつつ先の時代へと続いていく団体になる…のかな。

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民間音楽ホールの責任と公共性 [音楽業界]

名古屋方面の音楽関係者の皆様には大事件になっているのかもしれませんが、決して全国区ニュースにはなっていない話があります。「名古屋しらかわホール閉館」騒動です。こちら。名古屋圏の表媒体には先月末に一斉に報道が出ています。
https://mainichi.jp/articles/20240228/ddl/k23/040/106000c#:~:text=%E3%81%97%E3%82%89%E3%81%8B%E3%82%8F%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AF1994%E5%B9%B4,%E3%81%AE%E9%96%89%E9%A4%A8%E3%82%92%E7%99%BA%E8%A1%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
中日新聞では流石、社説扱いですね。
https://www.chunichi.co.jp/article/858828

ここまでの事態の推移を追ったサイトは、こちらかな。
https://yumetarou-kaikan.net/kancho/page-2121/page-2526/#:~:text=%E3%81%97%E3%82%89%E3%81%8B%E3%82%8F%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AF2024%E5%B9%B4,%E3%82%92%E8%BF%91%E3%81%8F%E5%A7%8B%E3%82%81%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
これが保存を求める動きのページ。
https://note.com/nagoyaclassicca/n/n8884ecf504e1

というわけで、もう当電子壁新聞を立ち読みなさっている方はお察しのように、これって正に四半世紀前のお茶の水駿河台で起きたことと同じじゃないの。勿論、カザルスホール騒動の場合は結果として「ホールはオーナーが変わってハードウェアとして維持され、ホールを運営していたソフトウェアの企画室アウフタクトが解散」という結果に終わった。解雇される旧アウフタクトのスタッフを下請け某放送系企画会社と直接雇用者とに分裂させ、ある意味でお互いに内部でいがみ合わせ、一緒になって戦えないようにする、という経営側とすれば60年代以降の組合潰しで確立された定番の戦略を採ったため(ああ、日本フィル分裂のときと同じやり口だなぁ…)、端から見ればホールは維持されたみたいになり、騒動はうやむやになった(=解決した)。そしてハードウェアは、今もしぶとく駿河台に残ってるわけですな。

この類いの問題で話が混乱するのは、資本主義社会では「私企業の不良不動産処理」に過ぎない問題なのに、違う視点からすればその不動産は「(たまたま私企業が所有し運営しているに過ぎない)公共性の高い施設」になってしまっていること。カザルスホール騒動の時、「音楽ホールの公共性」という議論にちょっと行きそうになったけど、結局はそっちの方面での議論にはならなかった。恐らく、現在の資本主義経済では扱いにくい問題なのでしょう。で、いろいろとアートマネージメントとかの議論の中で話が進むのかと思ったら、今世紀の末期資本主義の動きの中でアートマネージメントそのものが「アートでどう稼ぐか」になってしまう四半世紀となり…

以上、ともかく、この瞬間の自分の為のメモでありました。せめてこれを期に、今世紀になって閉館になった民間音楽ホールリストくらいは作りたかったんだけど、ゴメン、誰かやってちょ。

それにしてもお茶の水スクエアは、正にメディア的にも数年毎にドロンドロンと出現する幽霊ビルになりつつあるなぁ。

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新生エベーネQパリからのライヴ [弦楽四重奏]

世間はベースボールのスーパースター結婚だ、脱税議員の国会での釈明だ、あれやこれや、上を下への大騒ぎになっている新暦弥生はじめ、皆々様におきましてはいかがお過ごしでありましょーか。引退宣言なし崩し撤回のやくぺん先生爺におきましては…かなりヤバい3月上旬状態になってます。税金、まだ手が付いてません。もの凄く面倒なボランティア顧問仕事、納税〆切と重なってます…うううむ。

ってなバタバタの新帝都春のどんよりした曇り空を吹き飛ばす、素晴らしいライヴ録音が華の都から届きましたです。こちら。
https://www.radiofrance.fr/francemusique/podcasts/le-concert-du-soir/quatuor-ebene-mozart-schnittke-grieg-maison-de-la-radio-et-de-la-musique-de-paris-4997090?fbclid=IwAR0Z3K7-QerIqqDeq0knTSv6hQ_rafQIGQbmsusQqr7hxMABx2PQr73cc-M

コロナ後の混乱する世界の室内楽、なかでも第2次大戦以降というか、ナチス政権把握以来80年ぶりの未曾有の大混乱に陥っていた弦楽四重奏界でありまするが、やっと日常が戻りつつあることの象徴のような、エベーネQの新メンバーによる現在の本拠地、パリはラジオ・フランスでの演奏会でありまする。

コロナの非常時は終わったとは言え、コロナ下の特殊経済状態の反動とウクライナ戦争での世界各国各自治体の経済システムの建て直しは全く出来ておらず、というか、2010年代と同じに戻ることはもうまずあり得ず、当然のことながら公的支援がなければ成り立たない弦楽四重奏などという今流行の言葉を使えば「レジリアンス」が最脆弱ジャンルにおきましては、恐らくは多くの音楽ファンがイメージする「常設弦楽四重奏団」の存続そのものが経済的に不可能になっていくでありましょう。そんな中で、中国のローカル性に特化する選択をした上海Qとは異なる道を選んだエベーネQ、新しい世界にどのような音楽を奏でてくれるか。初夏に予定される大規模な北米ツアーも、この団体だけではないとはいえ、なかなか厳しい情勢のようですし…

ま、そんなことはどーあれ、去る秋のヴィーンで聴かせてくれたようなピエール氏のキレキレの天才性散りばめられた世界一のアンサンブルが戻って来たのは、率直に嬉しいものであります。

全く個人的な勝手なことを言えば、やくぺん先生とすればノーバート・ブレイニン翁という天才との出会いで引っ張り込まれ以降30余年ずっと関わることになったこのジャンル、いろんな人々に会いながら、今世紀に入ってピェール・コロンベというブレイニンに匹敵する天才としか呼べない才能に出会うことになった。ぶっちゃけこの黒檀四重奏団、最初はジャズやらポップスやらに弦楽四重奏の世界を開いていく方向で仕事をしていく奴らなのかと思ってたら、どうやらそれはあくまでもある時期の彼らの世間に対する見せ方のひとつであり、本質はそこではないぞ、要はエベーヌQって21世紀のアマデウスQじゃないの、と感じるようになった。

そしたら、あのブレイニン翁の天才を我関せずという顔で支えていたロヴェット爺さんの役回りを、なんのかんので我らが岡本くんがしっかりすることになった。あああ、世の中ってこういう風になるんだなぁ、と不思議に感じつつ、この商売をやってきて良かった、と珍しくも素直に喜ばしく感じる春なのであったとさ。ピエールの弓の運びが、最晩年のブレイニン翁の自由奔放さを通り越した誰にも真似できないキレキレっぷりに至る迄、呆れながら、はたまた驚きながら、チームとして支えていって欲しいものでありまする。そんな頃には、俺はもうとっくにこの世にはおらんじゃろがのぉ。

今回、本拠地のお披露目で最初に取り上げてくれたのがチェロK.575というのも、岡本くんいらっしゃい感溢れて微笑ましいことでありまする。この録音がいつまで聴けるのか知らないけど、恐らくは早く聴いた方が良いでしょう。直ぐにでもお聴きあれ。忙しい方は、ともかく22分辺りからのチェロが歌い始める終楽章だけでもお聴き下さいな。

ニッポン列島へのお目見えは約一年後、ベルチャとのオクテットというスーパーなイベントなのは、嬉しさ半分残念半分だなぁ。

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