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何故年末に現代音楽&弦楽四重奏公演が集中するのか? [音楽業界]

ロシア正教やらスラブ系宗派の皆様を除けばクリスマス休暇も恙なく終わり、今日から旧正月若しくはイースターまでさあ頑張って働くぞぉ、と爽やかな師走の朝を迎えた皆々様におきましてはいかがお過ごしでありましょうか。やっと昨日夕方にニッポンのタイムラインで年末までの〆切原稿を全て入れ、とはいえ正月明けの〆切がテープ起こし必要なもん含めさりげなく3本あり、来月半ばからの香港シンガポール実質3週間ツアーを前に案外とボーッとしてられる時間がないのに焦っているやくぺん先生なのであったぁ。今年は旧正月の間は日本フィル第49回九州ツアーにモロに重なっているので、キューシュー島内移動がインバウンド需要とぶつかりそうで、ちょっと不安なんじゃが…

かくて、そこそこ長そうに思えるが隠居爺なりにそこそこパツパツになっているニッポン列島日本語文化圏の年末年始、ここで溜まりに溜まった電子壁新聞書きかけ放り出し記事をアップせにゃとも思うのだが、ともかくまずは生存証明の雑談でありまする。

ええ、先週の火曜日に雪しんしんと降り積もる温泉県盆地標高500メートルの作業場から新帝都は大川端の寝床しかないスペース蟄居に戻りはや1週間。塒には作業スペースが存在しないために縦長屋内シン・ゴジラ視点勉強部屋に陣取って作文仕事をこなしつつ、何故か知らぬが年末に向けてやたらといっぱいある演奏会に通うわけで、嗚呼凄いなぁ新帝都は、なんせその前に盆地に3週間だか居てもお仕事絡み含め足を運んだ音楽関連イベントったら、オーケストラ公演3つ(フルオーケストラ1&室内管2)+地方都市小規模オペラひとつ+映画館オペラひとつ、無論、室内楽は室内管の開演前ロビコンのみで弦楽四重奏なんぞ一切無し、という有様。ま、キューシュー島北部三県、こんなもんなんでしょーね。

ところがところが、新帝都に戻ってから年末までの状況を列挙すればぁ…

19日:サントリー小 ほのQ
21日:オペラシティ小 日本現代音楽協会コンクール&近藤左手作品
22日:文化小 東京シンフォニエッタ西村追悼
23日:ドイツ文化会館 欧州弦楽四重奏の現状
24日:千葉市美術館さや堂ホール 弦楽三重奏版《ゴルドベルク変奏曲》など
25日:オペラシティ小 OTO新作の会 Qインテグラ
27日:東京コンサーツラボ 丹羽&杉田らQ
31日:文化小 ベートーヴェン中後期撰集 Qエク&古典Q&Qインテグラ

この他にも日程が重なり涙を呑んだものは幾つもあって、列挙すればぁ…
何故か現代音楽界隈ではなくロマン派オペラ愛好家さん達が大盛り上がりの東劇メトライヴ《Dead Man Walking》、全く聴衆層が重なる現代音楽村の狭い世界で同時に開催されてしまったこれまた西村追悼全音現代音楽室内楽コンサート、年末恒例でここから見えるティアラこうとうでやってて2公演もあるのに何故かいちども聴けずにマズいなぁと毎年思う元ゼフィルスQの山口さん率いるさくらQのベートーヴェン、某NPO年末打ち合わせとぶつかってる池辺晋一郎室内楽大会…嗚呼。

てなわけで、世間では《ダイク》か《メサイア》か、はたまた舞台なら《くるみ割り人形》か《ヘンゼルとグレーテル》か、と思われるであろうこの季節の新帝都、なんのことはないいつも以上に「ゲンダイオンガク」と「弦楽四重奏」で埋め尽くされる日々なのであったぁ。

なんでこーなるのぉ?

我が盆地庵に聳える巨木から茨の棘で指先切りながら収穫してきた冬至お土産見栄えのしない柚子の実を配りつつ
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新帝都の知恵ある人々に尋ねてみたところ、前者「ゲンダイオンガク」がラッシュになる理由に関しては、成る程と思われる見識が示されたです。あるそっち方面の専門マネージメント会社の現場で走り回っている方が仰るに、「年内に使わねばならない助成金があるのでしょう」って。

なるほどぉ、年内に演奏会をやってしまわないと出てこないお金があるならなんとしても大晦日までにやらにゃ、ということなのね。真偽の程は判らぬけど、大いに納得はいくところではありますな。なんせ、この数日、ここシン・ゴジラ視点縦長屋勉強部屋から新帝都中枢を眺めるに、年内にノルマを達成せねばならぬ総務省屋上ヘリポートでの離発着訓練で埼玉消防やら東京消防庁が新宿高層ビル街が遙か奥秩山塊を背景に薄暮のマジックアワーを離発着する光景が眺められるのでありますがぁ、それと同じでありまするか。なるほどねぇ。

もうひとつの「弦楽四重奏公演が多い」というのとも重なるのだけど、やくぺん先生が直感的に感じるに…この時期のニッポン列島って、国を出ている演奏者がクリスマス休暇で帰国している、というのが理由なんじゃないかしら。

例えば冬至の翌日に高橋是清公園隣で開催された「ゲンダイオンガク」の「弦楽四重奏」という両者がバッチリ重なっている演奏会など、奏者は首都圏で普段から活動している固定メンバーの団体ではなく、アンサンブル・アンテルコンタンポランにトラで入ってるヴァイオリンさんとか、ドイツ拠点の現代音楽アンサンブルやってるヴィオラさんとか、アンサンブル・モデルンのアカデミー生だったチェロさんとか、いかにもこの類いに手慣れた方がチャチャっとやって下さった、というものでした。
https://note.com/yukikocomposer/n/n9b9413b28dfd

一昨日の故末吉保雄門下生が集まって子どものための作品から20世紀後前衛系まで幅広い作風の作品をQインテグラが披露した会も、発足の頃はエクがやっていたように若手の弾ける団体が前提で、インテグラがコルバーンからクリスマス帰国している最中にやるしかないわけで。ちなみにチェロは、クライヴのところの韓国の天才少女がまだ間に合わないようで、サントリー室内楽アカデミーの同期生(なのかな?)さんの代演でありました。
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https://otonokai.jimdofree.com/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E3%81%A8%E9%9F%B3/%E3%82%AF%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%88-%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%B0%E3%83%A9-oto%E3%81%AE%E4%BC%9Avol-3%E3%83%81%E3%83%A9%E3%82%B7/

そしてそして、本日早稲田の天井の狭いゲンダイオンガク小屋で弦楽四重奏を披露して下さるのも、若くしてジャスパーQとかQベルリン東京なんぞ常設のプロ四重奏団として外国で喰ってた経歴のある方達が。帰国してるんで久しぶりに集まってやってみるか、ってものだし。
https://tocon-lab.com/event/20231227
そういえば、沖縄のヴェリタスQも結成初期は「ニューヨークフィルやらフィルハーモニア管がクリスマス休暇の時に年に一度集まる」という趣旨の団体だったわけですしねぇ。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2015-11-13
こういうアンサンブルって、案外、あるんじゃないかしら。そういえば、温泉県盆地でオンラインでやったレオンコロQインタビューも、休暇で日本帰国時にセッティングされたものだったわけだし。

ま、他人様はどうあれ、明日だかの仕事納めに向け、ニッポンの皆様、頑張って働きましょーっ!

てなわけで、まーったくどーでも良い年末雑談でありましたとさ。何を隠そう、やくぺん先生とお嫁ちゃまも、明後日だかにはパリから一時帰国なさっている「ゲンダイオンガク」系の方とアフタヌーンティでもしましょか、ってことになってるわけだし、世は正に年末年始ホリデーシーズン真っ盛りのニッポン文化圏なのでありました。

さて、マジでテープ起こししないとなぁ。

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だまてら

大晦日の文化(小)での8曲連続演奏会、当日会場でQインテグラのチェロ代演を知りました。当日は、1月代演の韓国少女も含めあくまでテンポラリーな代演かな?と解釈しましたが,HPや1月のフィリアHの告知を見ると、本格的なメンバー交代(とその準備期間)かな?という感じで懸念しています。大晦日もようやく3年目で後期が一巡したというのに・・・。
改めて、完全同一メンバーでの40周年が視野に入ってきた古典Qの偉業には頭の下がる思いです。
by だまてら (2024-01-04 13:38) 

Yakupen

だまてら様

現時点では同じ学校で同じクライブ先生のところに居る韓国の少女で当面fixのようです。個人的には、非常に良い環境でのメンバー交代が出来たわけで、その意味ではラッキーだったと言えるでしょう。正直、年間に50とか60回本公演をやる団体はメンバー交代がない方が異常だと思っています。本来なら、まだ注目される必要がない段階でたまたま目立ってしまっただけ、と考えるべきなのでしょう。「日本の団体」に拘らない、北米なりに骨を埋める決断をせざるを得ない状況になったことを幸運に転化して欲しいものです。
by Yakupen (2024-01-05 17:11) 

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