SSブログ

黄金のホールに白い光が映えて [演奏家]

今、楽友協会大ホールで、来シーズンから首席指揮者に就任する佐渡裕指揮ヴィーン・トーンキュンストラー管の定期を聴いてきました。
024.JPG
ホール正面でいきなり日本のチラシ配布の草分けS社長やら、ヴィーンの長老日本人音楽ジャーナリストY氏(なんと今日は和服じゃなかった)にバッタリお会いするわ、ちゃんとジャケットを着込んだ日本のどっかで見たような裏方連中が動き回ってるわ、客席にはもうここは上野か溜池かってくらい日本語が溢れ返ってるわ。

テレビカメラが1階奥、1階下手バルコニー、さらに舞台上が下手側が3割くらいしか見えず、坐ると指揮者もソリストも全く見えないやくぺん先生の貧乏人席からも、舞台上に無人のカメラが少なくとも2台あるのが見えました。いずれ、パッケージで映像が出て来るのでしょう。だから、中身に関しては、ご関心の向きはそちらをお待ちあれ。あたしがどうこういうようなもんじゃないし。

それにしても、演奏家とのすれ違い方というのは、ホントにいろいろあるものでありまする。やくぺん先生が佐渡さんという方を始めて姿を見て聴いたのは、井上ミッチーがまだ全部振る気満点だった頃のカザルスホールでのハイドン交響曲全曲定期のとき。シカゴ響から、朝比奈さんの代理かな、ともかく急に呼ばれたミッチー先生がカザルスのハイドン定期をキャンセルすることになり、来月はこの人が振ります、と紹介して、アンコールで《朝》だか《昼》だか《晩》だかの冒頭楽章だけをやった。ミッチー先生の筋肉質な音楽と違って、なんかでっかい音楽やる若いもんだなぁ、と思った。で、恐らく、翌月に聴いている筈だが、スイマセン、そっちは全く記憶が無い。

その後、佐渡氏はアメリカ修行に出て、なんのかんのあって戻って来て、オーチャードホールで特別演奏会でNJP振って、これまた曲はなんだか全然覚えてない、今日と同じベートーヴェンの7番だったような気もするが、まあともかく指揮っぷりが「おいおい、バーンスタインまんまじゃんけぇ」と呆れかえったことだけは覚えてる。いやぁ、若者って変わる、ってつくづく思ったものでした。

その後だかその前だか、札幌のPMFのこともあったりしたわけだけど、ぶっちゃけ、やくぺん先生がオーケストラ音楽への関心をすっかり失った頃だったので、ま、ああそういうことが起きてるのね、ってだけ。何度か聴いてはいますけど、お仕事で付き合ったことはありません。曲解は第九とか書いた記憶があるが、一度も記事を書いたことは無い。で、今日に至った次第。

これだけ接点があっても、特にこれといった付き合いもない音楽家はいる、ってことです。ま、あたくしめがいろいろやらなくても、いろんな人がいろいろ仰ってるから、業界内分業ということで良いんでしょう。はい。今回も、商売にはしてません。だってね、さっきも客席の隅っこから眺めれば、この方が書くべきだろうに、って人がいたわけだし。

ま、それはそれとして、本日のムジークフェライン、3時半という妙な開演時間前は曇り空で雨も落ちていたものの、途中から晴れてきて、後半前にはすっかり初夏の光がオーディトリアムに降り注ぐようになってました。黄金の間の黄金のミューズたちが午後の間接光を浴び輝く…と言いたいところだけど、それより個人的に印象的だったのは、この白い綿帽子みたいな逆光の群れです。
039.JPG
このオケの聴衆って、ヴィーンフィルなんかとは違って、ホントに音楽が好きで気楽に聴きに来てるご隠居、って感じの方が多い。服も相当に庶民的ですし。で、2階というか3階というか、西のカールス・プラッツの方を向いた天助桟敷は、そういうヴィーンの庶民派音楽好きご老人がずーっと席を持っていらっしゃるのでしょうかね、こんな風に真っ白い頭がキラキラと光って、なんとも美しい。黄金の間に、もうひとつの光の束が積み上げられたような。

残りの3分の1くらいが東洋の黒い頭(と、それが白くなった頭)ばかりの中に、ここは俺たちの場所だよ、って宣言するかのようにジモティがべとななを聴く。この場所で、いろんな棒振りさんの、いろんなベートーヴェンを聴いてきた人達なんだろーなー。

こういう人達を相手に、Sadoという指揮者さんが何を出来るのか?少なくとも今日は、まだオケの音が黄金の間全体を満たしていく、というところまではいっていませんでした。そりゃそーでしょ、この鳴らすのが難しいホール、まだまだ付き合いはこれからなんだから。ここがちゃんと隅々まで響くようにあったときに、あのじーちゃんばーちゃんたちの耳にも、Sadoの音楽が伝わるようになる。

黄金の 光に揺れる 綿帽子

nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 1

サンフランシスコ人

佐渡裕指揮ダラス交響楽団の定期......November 24, 25 & 26, 2023.....

YASUSHI AKUTAGAWA Triptyque
BRITTEN Concerto No. 1 for Piano and Orchestra
TCHAIKOVSKY Symphony No. 6, "Pathetique"

http://www.youtube.com/watch?v=p5XQ5ExzmSw

ユーチューブのオーケストラ自身のサイト.....
by サンフランシスコ人 (2024-04-25 04:35) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0