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セント・ローレンスQ正式に解散…かぃ? [弦楽四重奏]

21世紀中葉のクァルテット業界を背負って立つことになる可能性もある若い人たちを追いかけてニッポン列島はホンシュー島中枢を駆け抜けた4日間をなんとか乗り切り、夕方前にふらふらになって商都オーサカから温泉県盆地に戻りましたです。とはいえ、黄金週間とは関係ない広い世界ではいつものようにいろんなニュースが飛び交っておりまして、全然ちゃんとフォロー出来ておらず、あとでグチャグチャになってしまうこと必至。かくて、自分の為の備忘録であります。日本語文化圏で関心のある方は両手くらいはいるのやら。

カナダを代表する弦楽四重奏団、オルフォードQの後続としてカナダ初のバンフ優勝団体となって以降はカナダ文化圏の全面的なバックアップを受けて80年代末以降は実質上カナダ初の国際的なマーケットに乗ったスター弦楽四重奏団として活動していたセント・ローレンスQ、もう随分前に創設メンバーのバリー・シフマンがバンフ・センターやトロント音楽院、そしてなによりもバンフ国際室内楽コンクールのディレクターとして辣腕を振るうべく退任して以降、猛烈なコンサートツアーを重ねる感じでは無くなっていたとはいえ、きっちり活動をしていた。何よりも、ジョン・アダムスの《アブソリュート・ジェスト》の初演以降、アタッカQと共に実質上アダムス先生お抱えの演奏担当として世界中のオケに登場していたので、狭い弦楽四重奏や室内楽ファンを除けば、この数年でこの団体の存在を知った方も多かったんじゃないでしょうかね。

そんな名団体、一昨年に創設以来の名物第1ヴァイオリン氏が没し、活動はどうなってるか良く判らなかったんですけど、正規に解散が発表されました。こちら。
https://www.slsq.com/?fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTEAAR2D4qPmMHEPqbAKpQkWIgVQFq9XJviDSnN8qxocZR0eS1eZjazStEKft5U_aem_Achc-obFkK9j8avgEDefs4z9A5XbDYSkf2Ctlvm_4_dxY7x1bHs4uwuVC1GH67xqBGfkg2gcbKhBUbQFkz6siZoL

とまぁ、そこまでなら、「ああ、結局、最後まで生き残ったのはヴィオラのおねーさんだけだったんだなぁ」と感慨に浸れば良いんだけど、問題はこのリリース最初の段落の後半。

"They are continuing, however, to make their lives at Stanford University, where the SLSQ has been in residence since 1998 —performing, teaching, directing Stanford’s chamber music program, and producing their annual Chamber Music Seminar, in addition to pursuing other musical projects."

おいおいおい、弦楽四重奏団は解散しても、スタンフォード大学のレジデンシィは維持する、ってことですかぁ。つまり、ここのクァルテット・イン・レジデンスのポジションを若い連中には渡さないぞ、ってことかいっ!

まあ、「先生」という意味では、彼らの経験を若い人たちに伝えるのに重鎮が居てくれることは有り難いとはいえ、「世界で常設弦楽四重奏団がちゃんと喰えるのはアメリカ合衆国だけ」という現実を前に、現役を退いた演奏団体がポジションを空けないのはマズいんじゃないかなぁ。

老害、とはいわないが、なんせ数からすればF-1ドライバーの数くらいしかない世界でも熾烈な競争を勝ち抜いた先にある貴重な安定したポジションなんだから、先生ならそこを考えて欲しいもんでありまする。ま、大学の経営として著名な先生が居てくれた方が良いというのは判らないではないけど…

てなわけで、カナダではひとつの時代が終わった、という話でありました。シフマン氏が必至に育てようとしたアフィアラもロルストンも上手く行かなかったことを考えると…やはり「常設弦楽四重奏団」は幻想になりつつあるのか。うううむ…

世界がどうあれ、頑張って続けてくれ、レオンコロっ!

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Traviata

クロノスQの半数がリタイア、後任ヴィオラは日本女性らし
by Traviata (2024-05-01 19:03) 

Yakupen

コザサさん、確かに日本人ですけど、あまりニッポンって感じじゃないですよね(笑)。社長が引退した後に、下の2人で上手く繋いでいって欲しいものです。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2024-03-06

by Yakupen (2024-05-02 00:11) 

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