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2024黄金週間突入日独「獅子魂」祭り鶴見でスタート [弦楽四重奏]

弦楽四重奏演奏史に新たな1ページを開くやもしれぬ「レオンコロQ初来日祭り」が、初夏の湿っぽさも漂う新帝都のシン弦楽四重奏聖地鶴見はサルビアホールで始まりました。

恐らくは首都圏の最もコアな室内楽ファンのほぼ全てが限定100席の「世界一の公営音楽サロン」のプラチナチケット争奪戦を繰り広げ(たのか…)、近衛家シュヴァルツ家の皆様も必要なチケットの殆どが手に入らない状況での初日。客席には「四半世紀にひとつのスーパースター候補の日本デビュー」を最良の環境で体験すべく、静かな熱気が渦巻く中での開演となりましたです。

冒頭、Hプロデューサーに拠れば「最初はハイドンは鳴り過ぎで…」だったとのことですが、海千山千の長老連中が「ああ、ここは響き過ぎる個人サロンのモードに切り替えだな」って調整する円熟さで処理するなんてセコいことはせず、会場が小さくてもそれがなんじゃい、って若いパワーを真っ直ぐに炸裂。なかでも第2楽章トリオでの音色変化とか、おおお若いのにそんなことしてくるかぁ、とビックリ。ヤナーチェクは想像通りのチェコ風とは無縁な再現で、終楽章の殺人劇を圧倒的大画面大音量で客席を圧倒。シューマンは、終楽章に向けて繊細な三連作の締めくくりという造りではなく、この作品ってこんなにパワー系だったっけ、と思わされる。「ブラボータオル」が掲げられ大盛り上がりの客席を眺めて爆笑する若者たち、アンコールにはおじいちゃん秀健さん(バロン近衛のご子息)が編曲したクライスラーをサラリと披露
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あらためて里帰りのご挨拶でありましたとさ。

すれっからしの首都圏クァルテット好きのほぼ全員が、こういう「約束された将来のスター」の堂々たるデビューを前に、話では聞いていたけどここまでとは、と呆れ顔ですらありました。無論、終演後は諸事情で日本での披露はここだけとなったシューマン3番が入ったCDへのサインを求め、大行列。
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レオンコロがドイツから抱えてきたCDは、もう今日にも売り切れる勢いで、関係者は頭抱えてます。

正直、この連中、今や若い弦楽四重奏の誰もが目指さない(目指しても意味が無い)「2000席の大ホールをいっぱいにして、天井桟敷の客にまでちゃんと自分らのやっていることを届ける」という絶滅危惧種の20世紀半ばモダンスタイルのプロ弦楽四重奏スタイルを今に伝える最後の団体かもしれません。室内楽を聴く環境がMax400席、700席や1000席でスター団体が公演してもガラガラが当たり前で、若い弦楽四重奏団の活動拠点はあちこちににょきにょき生えている個人所有の100席規模コンサートスペースが常識となりつつ今、教える方もこんな演奏様式を掲げたところで商売にならんわけですから、それも仕方ないのでしょう。

ところがこの団体、東京Qの日本デビューが大阪フェスティバルホールだったように、サントリー大ホールでこの演目をやって、満員の聴衆を熱狂させることだって可能だった。それがサルビアホールという特殊過ぎる最良の条件での日本デビューになったのだから、残念極まりないと思うべきか、はたまた時代の趣味嗜好の変化なのだからこれはこれで大いに喜べば良いのだと割り切るべきや。うううむ…

ま、何はともあれ、「室内楽やら弦楽四重奏やらなーんにも知らない方でも、なんか知らんけど凄かった、また聴いてみたい」と思わせられるパワーと技量、なによりもこのジャンルでは貴重な「猿でも判る上手さ」をドカンと全面に押し出してギラギラさやバカっぽさを感じさせない。ぶっちゃけ、「室内楽やら弦楽四重奏やらどころか、所謂クラシック音楽なんてなーんにも知らないし関心もない」という方々を一発で捕まえられる例外的な若者達です。正に、今世紀に入ってからはエベーヌQ以来の真のスター候補の登場なんでありまするわ。

先物買いの方は、明日の午後2時、他のチケットなんか捨てて良いから、晴海はトリトンにいらっしゃいな。関西の方は、日曜日午前10時というとんでもない時間のびわ湖は地下の小ホールなんでもうほぼ満杯。月曜日のフェニックスホールにいらっしゃっても、絶対に「ソンした」とは思わせませんっ!《ラズモ1番》の大熱狂は保証しますっ!

四半世紀にひとつのスター団体の日本デビューツアー。冗談じゃなく、欺されたと思ってホールにいらっしゃいな。1980年代終わりの隣の大ホールでインバル指揮日本フィルのマーラー9番やってたアルバン・ベルクQの初来日、スゴイ連中がいるという噂の団体がラ・フォル・ジュルネのドサクサでいきなり有楽町に来てしまったエベーネQの初来日、等々に匹敵する、50代以上ならもう人生で二度と出会えない未来のスーパー巨匠の日本デビューツアー、「俺、レオンコロの初来日、聴いたよ」とマウント取りがしたいなら、残すところあと3公演は必聴じゃぞ。

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