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ゲルギーの《リング》チクルスなんて誰も知らない… [音楽業界]

ウクライナ侵略戦争勃発後すっかり新東西冷戦状態になった世界にあって、情報そのものが何よりも重要な「兵器」として利用されていることが誰の目にも明らかになってしまい、結果として「シン東陣営」というか「ロシア中国北朝鮮などロシア政権情報側諸国」が情報コントールされた文化経済ブロック化しつつある今日この頃、皆様いかがお過ごしでありましょうか。

そのような状況下、ロシア語媒体に以前から普通に接していた方とか、自分から積極的に「欧州北米などNATO系政権情報側諸国」に向けた情報リークを行ってくれている限られたソースに積極的にアクセス出来ている方、さらには壁の向こうからどうやってか漏れ出してくるSNS情報に個人的な繋がりで接する機会がある方を除き、殆どの日本語文化圏ネット画面や公共の電波利用媒体、またまた旧来紙媒体やらその傘下メディアコングロマリット利用の9割以上の日本語文化圏のニンゲンには、ロシアやその周辺諸国、はたまた中国メインランドの情報に直接アクセスすることはなくなってしまっているでありましょう。

我らがせまあい、でも「国際的」な情報網だけは無駄に広大な業界としても、実質デジタル鎖国状態の中国メインランドの演奏会情報や人事動向、ホールの現状などは、10年代終わりくらいから殆ど判らなくなってしまっております。だから、昨年くらいから所謂西側敵国に出稼ぎに行けなくなったロシアの演奏家が、それまでドイツやアメリカに喰われていた中国マーケットをガンガン奪うようになっている事実は、殆ど知られていないでありましょうぞ。あの著名指揮者、あの名オーケストラ、はたまたあのギャラが高い独奏者やメトから追い出された人気歌手が、北京やら上海、広州、はたまたアジア大会やってる杭州で華々しく演奏会を開いている、なんてまるでニュースとして伝わってこない。

ま、そもそもソウルや台北、香港、澳門の演奏会情報だってまともに入ってきてないんだから、しょーがないといえばそれまで。「書いてあることはみんな嘘、信じるなぁ」をモットーとする当無責任私設電子壁新聞としましては、やくぺん先生が個人的に関心がある情報は折に触れてアップしていたものの、とりたてて系統的に紹介していたわけではありません。なんせ、情報ソース側にどういう迷惑がかかるか判らない(こんな無責任私設媒体でも、ニッポン公安ばかりか中国公安がどんなチェックしていないとも限りませんからねぇ)こともあり、特に大陸内部の情勢はあまり積極的には記してこなかというところもあります。不用意な記事で、東シナ海向こうの知人に文字通り「命に関わる」迷惑がかかったら、取り返しがつかないですから。

とはいえ、やっぱりニッポン津々浦々に蔓延する病人のようなヴァグネリアンさんのために、これはお伝えすべきであろうなぁ。ほれ。
https://www.shine.cn/feature/art-culture/2308090582/
https://www.chinadailyhk.com/article/350050#A-grand-comeback-to-celebrate
smartticket1695631928.jpg
https://www.smartticket.cn/tickets/der_ring_des_nibelungen
多分、このページを開いても貴方のPCやアドレスに紐付けられることはないでしょうが、心配な人は開けないほうがいいから、以下に文字部分だけをコピペ。英語版です。

This year marks the 210th anniversary of Richard Wagner's birth. Russia's famous conductor Valery Gergiev and nearly 300 artists from the Mariinsky Theater, one of the biggest theater of Russian classical art, will jointly perform the newly produced version of The Ring of the Nibelung, also known as Der Ring des Nibelungen, a cycle of four German-language epic music dramas composed by Richard Wagner. Shanghai will be the 1st city ever to showcase the total 4 parts of this version of The Ring. Four night in total, 1 chapter per night. Please note each show continues for 3-4 hours with interm... More

Language:
sung in German, with CN subtitle
Date:
Oct 16, 2023 to Oct 22, 2023
Venue:
Shanghai Grand Theatre
300 Renmin Da Dao, near Huangpi Bei Lu

「ゲルギー指揮マリンスキー劇場で10月16日から22日、《リング》チクルスやります。会場は上海大劇院です。長いから気をつけてね」ってこと。

うううむ、思えばあの上海万博関連イベントでシュタンツ御大指揮ケルン歌劇場《リング》全曲4日で上演からもう暦も一回ぐるりとまわったくらいになるのかしら。21世紀の明るい人類の未来に向け中国が開けた世界になっていくかに感じられたあの頃の高揚感は今はどこ。すっかり世界の空気は様変わり、大陸の多くの人々にはこの地球上には中国文化圏だけあれば充分って内向きな空気が流れる今日この頃、再びあの場所で《リング》が上演されるわけでありますな。

この公演前に北京国際音楽祭なんぞでサイクルがあるのでは、なんて噂もあったんだけど、その辺り、詳細よーわからず。ともかく、上に貼り付けたURLはオフィシャルなものではなくチケット会社のものだから、ホントに勇気と根性のある方は、直接電話するなりしてチケット買って、東京からなら2時間、福岡からなら1時間ちょろっと飛べば到着しますよ。さあ、誰か、行ってくれぇえええ!

[追記]

ロシア関係の方から、こういうサイトがあるという連絡をいただきました。ロシア語です。なお、セキュリティソフトによっては「ロシア政府にコントロールされたサイト」と言われることもあるみたい。
https://rg.ru/2023/07/27/v-mariinskom-teatre-predstaviat-premeru-obnovlennyh-oper-vagnera-kolco-nibelunga.html?fbclid=IwAR3eq6k5p22xBmDZZL5fgNwUWH6ym0mCXIVWuNQY-x-ynQSZvOi1nn65dNE

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燕京啤酒

訳あって再び燕京の地におりますが、ゲルギエフさんこの上海の後に北京へ寄り、アレクサンドル・ネフスキー、ダッタン人の踊りなどロシアプロなどを演奏予定です。北京でもリングやってほしかったですが残念。
東京をキャンセルしたティーレマンも近く来るなど北京はコロナ以前に戻りつつある様子です。
by 燕京啤酒 (2023-10-16 18:22) 

Yakupen

ご無沙汰しております。お元気でなにより。ゲルギー一行、中国に1ヶ月くらい居てあちこちまわってるらしいですね。もう隠居の身、北京どころか福岡から1時間の上海ですら行く機会はまるでなくなっております。上海の同業者さんは、「中国は祭りだ」と呆れてます。西側で稼げなくなったロシアの演奏家や団体には、中国は今や最大の生活の場になってますねぇ。フェドセーエフ翁はエジプト公演とかもやってるし、所謂「西側」抜きのクラシック音楽展開、なかなか興味深いことになってますな。
by Yakupen (2023-10-19 19:12) 

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