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野生の王国 [ゆふいんだより]

21世紀半ばの弦楽四重奏界をリードする可能性のある若者達がニッポン列島はホンシュー島を駆け抜けるのを追いかけて歩いた嵐のような4日が過ぎ、ボロボロになって温泉県盆地に戻ってきて愛するお嫁ちゃまに温かく迎えられ、幸いなことに「連休明けでよろしく」という無茶な〆切はもうない爺とはいえこの先のお仕事の整理をし、連休前から連休中にそれなりに積み上がっている先の予定などをあれやこれや…って秘書作業をせにゃらなんし、なにより連休前最後の数日の山口県某所で積み上げたインタビューのテープ起こしをせにゃらなんなぁ…って仕事机の前に広がる皐月の晴れた空と萌え上がる緑の彼方の由布岳を眺めていたら、こんな奴が縁側の先をノコノコ歩いておるわい。
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JR九州久大本線際の藪から縁側に沿ってやってくるから、最初は田圃作業が始まった向こうの農家さんちの異常に人懐っこい三毛猫お嬢様かと思ったら、なんとまぁ、狸くんではありませんかぁ。

実質的に裏口になっている表玄関前を抜け、皐月の風を入れるべく開け放った仕事机下まで来て、やくぺん先生に見つめられていることを発見し、ギョッとして慌ててまた来た道をゆったゆったと走って逃げていったのでありましたぽんぽこ!

実は本日はこのお狸様がいらっしゃる前に、同じ道をイタチどんが駆け抜けて行き、これまたこっちを発見して慌てて線路際に突っ走って戻ったこともあり、これはマズいなぁ、とニンゲンの存在を感じられるようにしておいたんじゃが…どうも、盆地に勝手に生きてる連中は、ノンビリしておるのぉ。

というのも、こいつらがうろついているやくぺん先生お仕事机の真ん前には、今やすっかり我が庵の居候となってしまっているキジバト夫妻のご飯台があるのじゃわい。なんせ、イタチどんやらお狸様が跋扈する真ん中で、こんなしてほっこりひなたぼっこしてるんじゃからのぉ…
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遙か1000㎞彼方は帝都郊外新開地は葛飾の巨大柿の木下に蟄居しておった頃、やくぺん先生のお仕事場からがらりと開いた物干し台に被さる柿の古木の枝先に、冬のご飯がなくなる時期限定のシジュウカラレストランが開設されていたことをご記憶の立ち読み読者もいらっしゃるかもしれん。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2021-03-27
佃路地の地べた長屋を退去し葛飾に仕事場を移した10年代半ば頃から数年、コロナの時期を共に耐えてきたシジュウカラさんたちやら、見た目は可愛いけど中身は大阪のおばちゃんたるめじろん達やら、柿の実を秋の貴重なご飯場にしていたムク軍団、そして我らがあたったバナナ大好きなヒヨちゃんたち、いろんな方々ややってきたいたわけじゃ。そんな中に、ノンビリとほーほー歌っては、輪っか飯やエナジーボールなんぞの小さい方々向け食い物よりも、お水を美味しそうにグビグビ呑んでらしたキジバトさんたちがいらっしゃった。ドバト軍団は寄りつかなかったのが不思議じゃがのぉ。

ここ、キューシュー島温泉県盆地に終の庵を結び、当然ながら冬場にご飯がなくなるじゃろシジュウカラさん向けにレストランも準備したのじゃがぁ…由布岳麓の観光地の方にはいくらでもいらっしゃるシジュウカラさん、ヤマちゃん、駅近辺ではやたらと群れで見かけるえながん、はたまた温泉県の県鳥らしいめじろんなんぞは、時折群れで流れてくることがあっても、何故か庵近辺に定住している感が全く無いのであーる。

不思議だなぁと思っていると、どうやら観光地とは反対側の田圃の真ん中の地は、百舌鳥さんたちの天国らしいことが判ってきた。頭でっかちで「きゃーいー」と叫ばれそうながらなんのことない最も小さな猛禽類で、気性は激しく、縄張り喧嘩も上等、って方々が数百メートル毎に領地作ってる地なのであーる。そうなると、カラ類が大好きなブナなんぞの森があるわけでもなく、エナジーボールを下げようが、向日葵の種を出そうが、まーったく減らぬのであったぁ。

かくて一冬、二冬が過ぎ氷点下5度を下回る日々が続いた昨年の厳冬期、ともかく仕事場目の前の視線の中に出し放置してあったご飯台の下に、ノコノコと右足を引きずりながらやってくるキジバト男子が姿を見せるようになったじゃ。雪に埋もれながら落ちている喰えそうなものを拾っている姿に、「あああこいつは冬が越せそうもないなぁ、とはいえこれも何かの縁、こいつが喰えそうなものを出しといてやるか、せめてこの世に出てきた最後の数日くらい、美味しいものを喰えたと少しはいい目に遭ってもよかろーに」と自然界の厳しさを感じたやくぺん爺さん、ほーほーさんたちは大好きだけど当地には絶対に自生しないトウモロコシなんぞをパラパラしておいたら…

なんかしらんが、そいつが無事に標高500メートルの盆地の厳しい冬を生き抜き、やくぺん先生の仕事場前のご飯台レストランにやってくる飛ぶ方世界唯一のレギュラー客になってしまったのであーる。栄養の良いものをたらふく食らえたからか、引っ張る足も完全恢復とは言えぬものだんだんと良くはなってきておるじゃぁないかい。夏場ともなればご飯は豊富な場所ながら、やはりほーほーさんたちは新鮮なお水が供給される場所は貴重なのか、トウモロコシ喰らっては水をグビグビ飲んで、スギの枝に居座ってはほーほーほほー、と歌ってるようになってもーたわい。不思議なことに、他のほーほーさんたちは一切寄りつかず、完全に「俺んち」状態になってもーたわい。

もうダメだろうと思われていた頃に頭の上にアホ毛が飛び出ていたことから、やくぺん先生んちでは「アホ毛くん」と呼ばれるようになった居候ほーほーさん男子、昨年の秋にはちょっと貧相で浅黒い痩せ型のお嬢さんを連れてくるようになり、どうやら無事に夫婦となったらしい。以降、去る秋の終わり以降、ご飯台を巡って「ジャイアン」と呼ばれる性格の悪い男子が陣取ろうとしてアホ毛夫妻と領地争いになったり、いろいろあったんじゃが、ま、ともかく、この春からはどうやらジャイアンが姿を見せなくなり、ご飯台ほーほーさんレストランはアホ毛くん夫妻とあとは気が小さい女の子がひとつ来るくらい、って状況で推移しているのであーる。この調子じゃわい。
ちなみに、一応、サルスベリの枝からぶら下げてある向日葵の種のご飯筒は、まーったく誰からも相手にされずに風に揺れておるのであった…

どうやらキジバトたちの塒があった盆地西の外れの小山のスギが伐採され南斜面が丸裸になり、住むところを追われたようなほーほーさんたち、大分道インターチェンジの方に向けて久大線線路の北側にメインの住処を移したらしいわい。

ノンビリそうに見えてあれやこれや起きている盆地の一角、他にもいろんな方々が動き回っていて、そろそろ周囲の田圃に水が入ると知ってか、こんな方も玉葱畑から顔を出し
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咲き誇る春の花々を求めてお家造りを始めたいろんな蜂さんたちも頑張って飛び回ったり、命を終えたり。それをまたなんとか命の糧にしようと一生懸命働くもっと小さな方々も。

みんな、この場所で生きてる。ロートル爺やくぺん先生も、もうちょっと生きてみるかのぉ、婆さんや。

あ、隣の古民家カフェに向けて、イタチどんが走ったぁ!

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