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松本帰りで上越新幹線? [たびの空]

昨日のブログ、殆どの方は気にならなかったでしょうけど、あなたが有能な編集者だったら
「このせんせー、毎度ながら細部のデータチェックがいい加減だなぁ。上越新幹線じゃなくて、長野新幹線でしょうに。それにしても、いくら最寄りJR駅が東京駅とはいえ、篠ノ井線で長野に出て帰ってくるなんて、変なオッサンだこと」
と思いながら、赤を入れちゃうでしょうね。

いえ、そうじゃあないんです。あれで正しい。ホントに「上越新幹線の本庄早稲田近辺から原稿を携帯電話で送る」なんです。「長野新幹線の本庄早稲田近辺」じゃないんですわ。

ま、間違ってると思う方がまともですけどねぇ。

誕生日のプレゼントに、若い友人から、あと3日分使い残した「青春18きっぷ」を頂戴した。なんとカッコイイ贈り物であることか。

で、松本の往復に使おうと思ったんだけど、毎度ながら原稿がギリギリになってしまい、オマケに颱風まで来ていて、そんなことしてられない。しょうがないから行きはおとなしく「あずさ」に乗って、18Aの席を占拠(ご存じの方はご存じでしょうが、この席は足下からバッテリー電源が取れるんですね)。パソコン開けて、仕事しながら松本に至ったわけです。宿で仕事して、ピアニッシモ表現に関心を絞り一切煽らない「グレの歌」に驚嘆し、また戻ってきて仕事を続ける。
翌朝、朝の6時に起きて原稿を仕上げようと決意。ホントに起きて(自慢じゃないが、これくらい勤勉じゃないとフリーの売文業では喰っていけません)、カーテンを開けると、晴れ上がった空に北アルプスが広がってるではないかっつ。

嗚呼、若い友人のバースデイ・プレゼントは、この日のためにあったのだ。

で、8時くらいまで仕事し、この日に絶対に入れないと巻頭の4ページが落ちるというオソロシイ状況の原稿を8割方完成。慌てて宿を出て松本駅に向かい、後述のような行程で戻ってきたわけです。

ちなみに、「青春18きっぷ」というのは、JR各社の各駅停車及び快速のみ、使用日は全線乗車可能。つまり、鈍行ならどこまで乗っても良いよ、という太っ腹というか、もーどーにでもなれ、という切符。問題は今やJRではない旧信越本線の篠ノ井から軽井沢とか、第3セクターの十日町から六日町などの区間なんですわ。それに、新幹線に乗れないので、いまや各駅停車の旅客列車は一日に数本になってしまった上越線の谷川岳越えなど、猛烈に困る。この行程でも、新幹線は乗車券と自由席特急券をちゃんと買ってます。

松本8時38分→(篠ノ井線)長野9時57分
長野10時2分→(飯山線)越後川口12時51分
越後川口12時57分→(上越線)越後湯沢13時55分
越後湯沢14時14分→(上越新幹線)大宮
大宮→新宿→荻窪 「レッスンの友」社「ストリング」編集部立ち寄り
荻窪→新宿→渋谷→都立大学前 7時から目黒パーシモンホール 終演後 月島まで帰宅

越後湯沢からは、「車中で原稿やりながら取材から帰ってきて、編集部に寄って、ホールに行って用事のある演奏会に顔を出す」という、日常生活でありますな。

さても、ブログたるもの、ここからは篠ノ井線のスイッチバックへの雑感とか、前に座っていた娘さんが一生懸命中国語の勉強をしていて驚いたとか、飯山線沿線の風景のこととか、豪雪地帯の家の作りとか、いくらなんでも新潟県に入った途端に「越後田中」っちゅう駅名はなかんべぇとか、とても幹線との接続駅とは思えぬ越後川口駅についてとか、飯山線全線を乗り通したのは明らかに数名の「青春18きっぷ」使用者みだったとか…写真を交えて楽しく語るべきなんでしょうけど。

ま、それはいいや。そういうことは、別に小生が書くようなことじゃあないでしょうから。
写真も、どーでもいいような、どこでも、誰でも撮れるような、思いっきりつまんない「日本の秋の風景」でお楽しみ下さい。日本を離れた遙か空の下でこのブログをお読みのあなた、日本のありきたりな風景で涙してくださいな。ほれ。

なお、クラシック音楽愛好家層と鉄道愛好家の分母は、どういうわけか大きく重なるという経験的なデータがあるそうです。なーるほど、確かに、理解できますね。なぜかと言えばぁ……

なんて始めると話が長くなるので、今日はこれでお終い。明日も午後1時から某指揮者にインタビューがある。ちゃんと予習しないと、また読者様から非難を浴びるぞ。


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山田

山田(は)です。僕も7日の「グレの歌」に行きました。「グレの歌」といえば、フルート8人、クラリネット7人、第1ヴァイオリン10プルト、チェロ8プルトみたいな巨大編成がスコアに書かれているように思うのですが、サイトウ・キネンはフルート4人、クラリネット4人、第1ヴァイオリン7プルト、チェロ4プルトで演奏していました。これはどのような版なんでしょうか?
by 山田 (2005-09-12 11:20) 

Yakupen

おはようございます。上からお姿拝見しましたよ。小生は、当日プログラムに書いている部分があったので事務局にちょっと寄って、直ぐに遙か天上近くまで上がってしまい、それっきりで失礼しました。
んで、「グレ」の編成ですけど、ゆふいん音楽祭でホルンに乗っている阿部麿さんに「松本じゃああれ編成通りにやれないでしょ」と訊ねたら、「ホルンは6本です」と仰っていて、やっぱりねぇ、と思っていて、個人的には会場ではあんなもんだろうと思ったんですけど…
結論から言えば、小生も判りません。ただ、小澤氏が珍しくスコア開いて、実際に使ってたでしょ。あのスコアそのものは、うちにもある、シェーンベルクの自画像が表に描いてある、ものすごく大きくて、厚さは1センチもないアンバランスな「広~い」版でしたよね。
小生は、上から眺めながら、ああ、小澤氏が覚えている版と今日は細部が違うので、スコアを使っているのかなぁ、とノンビリ思ってました。たぶん、ああいう版が存在するんじゃなくて、あの編成出来るようにしたんだろう、って(小澤氏は、アイヴスの4番も指揮者が一人で触れるある種の小節線の書き換えをしてる版を使っている、という話を聞いたことがあります。そういう意味では、ものすごく現場の人ですからね、あの人は)。
まあ、こういうことは、周囲で推察するよりも、訊ねるべき人に訊ねれば直ぐにわかることです。サイトウキネンのライブラリアンに、山田先生が直接訊ねてくださいよ。というか、広報に訊ねれば貴方に教えてくれるのは広報さんの仕事でしょ。←仕事をたらい回しにした瞬間

ついでながら、ネット上で議論している人が見つからないんですけど、小生自身、記憶の限りではこの作品にライブ演奏で接した4回目(1980年代の秋山&東響、大植&ミネソタ管、レヴァイン&メト管、今回。若杉&読響の日本初演はさすがに聴いてません)のうちで、今回が特に小さいとは感じなかったんですよ。というか、ライブでやるときには、あんなもんなんだろうなぁ、って信じてたもので、驚きませんし、人数を勘定もしませんでした。
蛇足ながら、ヴィーンのシェーンベルクアルヒーフに上がる1階エレベーターホールに、「グレの歌」をシュレーカーが世界初演したときの写真がでっかく貼ってあるでしょ。あれを眺める限り、合唱は猛烈にいっぱいて、溢れそうだけど、オケはホントに指定通り乗ってるのかなぁ、と疑問に思いましたっけ。
その辺り、おそらく、シェーンベルク愛好家の方で、「グレ」上演史を調べてる人がちゃんといるはずですよ。

この頃の作品、舞台に上がる人数を指定したり、配置を指定したり、現代のやたらと口うるさく指図する作曲家のお節介ぶりというか、現場を信じていないぶりが譜面のあちこちに書かれ始めてますよね。ああいう指定をきちんと守っている演奏って、案外ないでしょ。ま、そのうちに、「作者の人数や楽器配置の指定を厳密に守った演奏をする」なんてのを売り物にする団体やら録音が、また流行するんだろうなぁ。小澤氏は、そういうのになーんにも興味ない世代ですからねぇ。

それに、この数年でやたらと録音が増えて、「聞き比べ」が出来る曲になっちゃいましたよね(録音では指定通りの人数でやるだろうから、録音しか聴いていない人はそれが当たり前と思ってるんでしょうし)。でも、絶対にライブじゃないとわかんない曲だと確認出来ましたね。その点では有り難い。それに、デカイ音するところは殆どないもんね、あの曲。メトとミネソタはヘップナーだったんだけど、煽ったらヘップナーでも全然聴こえなかったよ。東響の演奏は、中身は全然記憶にない。情けなや。

雑談ばかりで、お役に立たずにスイマセン。これ、メールにすべきだったなぁ。誤字誤植多謝。
by Yakupen (2005-09-12 12:42) 

ガーター亭亭主

1.日本の秋のありきたりの風景、ありがとうございます。異国の空の下で涙致しました。

2.現場には現場の処理がありますよね。ワタクシはしがない素人太鼓叩き上がりなので、よく分かる気がします。

3.東響のグレの歌、私も聞いている筈なんですが、演奏内容は記憶にありませぬ。ただ、舞台の覆われ度(人間による)は「千人」なんかと比べても高い、と当時思った記憶があります。
by ガーター亭亭主 (2005-09-13 00:57) 

山田

和さん、お応えありがとうございます。
松本の往復は、高速バスが安くて速いですよ。
by 山田 (2005-09-13 11:56) 

山田

SKOのメンバーの方に聞いたところ、管楽器やハープの数を減らした分、ピアノとハルモニウムで補う「小編成版」が使用されたそうです。そういうスコアが存在するそうです。ハルモニウムを使うところが、あの時代という感じですね。
by 山田 (2005-09-16 01:31) 

Yakupen

へえ、いや、ライブで聴くときはいつも「世間でいわれるよりも小さいよなぁ、案外」と思っていたことは確かだけど、考えてみたらこれまでホントの意味で商売で接したことがなかったので、調べることもなく来ていました(曲目解説を書くとかなれば、嫌でも調べざるを得ないですけど、あの曲はオケの定期などではないですからねぇ)。勉強になるなぁ、情報有り難うございます。
でも、そういうスコア、シェーンベルク研究所で売ってるスコア一覧表のなかにもないみたいですよねぇ。編曲している以上は誰かがやってなければならないわけだし、いったいそれは誰なんだ、という関心は出てくるはずですし。うううん、深い世界だ。
by Yakupen (2005-09-16 08:37) 

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