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「さきらの民営化とは」シンポジウム報告~ほぼ速記まんま [指定管理者制度]

2005年12月14日午後7時から9時半まで、栗東市役所の向かい、栗東公民館で開催された、「「さきら」の民営化ってどういうこと?」の速報レポートです。参加者は最終的に120名を超える。意外にも「組合断固支持!」とか「市長糾弾!」とか「JR西日本出てこい!」という雰囲気はまるでなく、普通の納税者が「何が問題なんじゃい」と勉強会に集まった、という感じでした。ですから、この先をお読みになっても、まるで盛り上がりません。熱血もありません。「市長はなにをやったんだ」、「職員は何が問題で騒いでるんだ」という疑問をみんなで真面目に考えた、ということでした。

皮肉でもなんでもなく、いきなり全体の感想を述べちゃえば、こういう市民集会が出来るって、敗戦から60年、日本国の民主主義は形はきちんとしてるんだなぁ、と感じ入った次第です。いやぁ、栗東の市民納税者、立派なもんです。これなら、この先いろいろ騒動は続くだろうけど、大丈夫でしょ。ホントに。
ひとつ「現地に行かねば判らない感想」を記すと…JR西日本関連企業が指定された、ということに対しては、地元では「ああああ、やっぱりそういうことなのね」という雰囲気が漂っています。もうこの決定の意味がなんなのか、誰だって知ってる、という感じ。それを前提に全ての議論が始まる、という空気は、遠くからでは絶対に判らないですね。

以下、いろいろコメントを入れ出すと面倒だし、周囲はうるさいし(新幹線の中で書いているのだけど、車両の半分が女学生の修学旅行団体で、渋谷の狸娘のまねっこたちがポンポコリンと大騒ぎしてて、オッサンは暴れ出しそうだぞ!)。ともかく昨日、シンポジウムの間に打ち込んだ速記メモを編集して貼り付けます。繰り返しを端折る程度で、原稿用紙にして30枚以上。長くて面倒ですが、関心のある方はじっくりお読み下さい。
なお、あくまでも非公式な急ぎのメモですから、発言の細部に拾い間違いなどがあるかもしれません。公式な報告書が出来るまでの繋ぎとして扱ってくださいな。パネラーやコーディネーターのきちんとしたお名前などは、こちら参照。http://blog.so-net.ne.jp/yakupen/2005-12-13

                      【2006年1月4日追記】
2005年暮れに、シンポジウムの公式サイトができ、そちらにこのシンポジウムの公式議事録が掲載されました。ですから、以下の速記報告はその目的を終えたことになります。シンポジウム議事録をお読みになるためにいらした方は、http://www1.odn.ne.jp/~aaa66690/ritto-bunka/doc051214.html#docへどうぞ。
なお、以下の記事は、公式議事録との違いがあればそれはそれで面白いと思いますから、そのままにしておきます。現場での速記タイピングの精度やら、地元の状況を知らない者がどのような誤解をしたかなど、ジャーナリスト研究として眺めれば興味深い素材でしょう。適当にお使い下さい。

                       ※※※※※※※※

まずは司会者の最初の発言。
「「民がいい」とか「官がいい」とか誘導するのではない。天秤が狂っている可能性があるのならば、その天秤の中身をちゃんとみてみようではないか。あくまでもフェアな立場で必要な情報を得る。危惧を押しつけるものでもなければ、期待を押しつけるのでもない。この場に参加している人の間で情報を共有できればいい。」
なお、「市担当者からは、どうしても出席できないと昨日連絡があった」とのことです。市役所は道を挟んで向かい、たくさん灯りもついていて、皆さん、指定管理者制度問題程度では誰ひとり出せないほど忙しいのでしょうかねぇ。

◆コーディネーター桧森(ヤマハ株式会社地域文化貢献担当主査)による経緯説明◆
全国的に指定管理者制度がどうなっているのかの説明。「白い猫でも黒い猫でも鼠を捕るのが良い猫(トウショウヘイ)」、市民のための施設として市民のためにやるのが、どこが最も効率的にやれるのか。一番良いところがやればいい、という立場。

以下、2003年に地方自治法改正によって導入されることになった指定管理者制度の概説。国家財政・地方財政の大赤字の結果としての、ニューパブリック・マネージメントの流れ。行政に企業経営の手法を導入しろ。イギリスのサッチャリズムが日本にも来た。

Ⅰ:公共団体、公共的団体(自治体外郭団体)、第3セクターが管理運営していた公の施設が、民間事業者、NPO、企業、法人格を必要としない団体でも管理運営できる。自治会、婦人会などでも管理可能。個人はダメ。
Ⅱ:公民館を貸し出す場合の使用許可を、指定管理者が出せるようになる。これまでは行政の権限の行使だったが。
Ⅲ:指定管理者の条例は、議会の議決で正式決定する。条例と選定とふたつのプロセスに議会が関与することになる。業者に発注するときに議会の議決が必要になったのは、これまでになかったこと。つまり、議会も含む自治体の責任でやれ、ということ。
Ⅳ:だが、行政処分を含むので業務委託ではなく、指定された管理者と協定を結ぶ。また、業務委託ではないので入札ではない(金額が安いところに決まるのではない)。公募が相応しい。

以上の基本的な事実を踏まえたところで、現状の説明にかかります。
・今各地で起きている大騒ぎは、「来年9月までに全ての公共施設で直営にするか指定管理者にするか決めねばならぬ」と法律で決められているから。行政は4月の1日からどちらかにしておかなければならない。それで、全国各地で指定管理者の選定が行われている。
・指定管理になる可能性がある公共施設は、全国で4万から5万あるとのこと。それ故に、一部の民間企業では「天からビジネスチャンスが降ってくる」と受け取られ、また別の意味での大騒ぎがされている。現時点で、1550の施設が管理者を指定している。
・総務省の思惑以上に影響が出ている。そもそもこの施設の目的は何なのか、施設で行われることの見直しが行われている。というか、考え直さざるをえなくなった。
・NPOが指定管理者になった山中湖図書館、給料の高い天下り職員を一掃した和歌山の財団、民間企業が運営し既に明暗が出ている大田区のふたつの保育園、などの具体例。
・で、行政になにが残されるのか。
・「公共性とはなにか」が問われている。行政は公共施設を自分のものだと思っていて、市民は公共施設は市民のものだと思っている。この壁を壊すことができるのか。どうすれば市民のための市民の施設になるのか。

というわけで、すごくまともな30分ほどの「指定管理者制度概論」でありました。参加者は、市民大学講座の真面目な学生のように、一生懸命ノートを取ったりしながら聞いておりました。

◆パネルディスカッション◆
参加予定者のうち尾田さん病欠。結局、4名。司会進行にコーディネーター桧森氏。カメラマンが5人くらいいて、なにやら動き回ってます。

◎桧森:先程の話を前提に栗東の問題を考えると、圧倒的に情報公開が足りないと思える。細かい選考基準も公開されるのが普通。市民が株主、取締役会になったつもりで評価、監視しなければならないのだが、それが不充分。
正反対の例が三重県伊勢市、指定管理者公募の応募者のヒアリングを公開でやっている。そういう席に市民が誰でも入ってこられる。選考委員がステージにいて、指定管理者応募をした人が説明する。選考委員も真剣に審査をしている。選定のプロセス。
葛飾区では公募要項を作り始めて、1年以上かけた。2年かけるところもある。横浜は09年からの指定管理者選考を年明けからやっている。

それぞれパネラーが5分のコメント
◎奥村(栗東市演劇祭実行委員長):第13回の演劇祭が終わったところです。栗東の中で演劇祭を始める。市政を敷く前なので、文化ホールがいるだろうから、演劇祭を立ち上げてくれ、という要請があった。その後、文化ホールの建設準備委員会に入った。
栗東の町作りのヴィジョンは。建設時には、文化のゾーン、町のゾーン、憩いのゾーンというものを栗東の地形に合わせて作るヴィジョンがあった。桟敷のようなホールを作ってもらいたい、という要求を出した。さきらは市民が使いやすく、いろいろな文化事業に参加できるホールにしたいと思っていた。
今回の指定管理者の話をきいたとき、ホントに市民が親しめる、使いやすい運営が出来るか疑問が湧いた。それで、いろいろ言われたけど、市長と議長に請願書を出した。財団との仲間意識があるので、是非ともいままで通りに運営を続けて貰いたい。
ただし、今の運営が良いかは判断ができない。より一層良いものにしてもらいたい、というのが条件。良い文化ホールがずっと市民の憩いの場として使えれば有り難い。
(真面目な地域文化人タイプの方で、行政立法に行っている働きかけの現状が伝えられたのは有意義でした。)

◎角田(ウィングビュー住民代表):請われるがままに来ましたので、なんの勉強も出来てません。知識なしで喋って貰うのが一番良い、とも言われたので。
さきらの真ん前の高層マンションの住民に、この問題を知ってるか、ときいたら、知らない人が殆どだった。適切な企業団体を選定しているのか、ということにつきる。住民とすればそれだけ。
素人考えで言えば、営利目的を主眼においていいものだろうか。でも、一生懸命考えたことはない。自分だって企業の人間として、営利目的で動いている。失敗したら罰則がある。左遷、減給など。勝手に言えば、文化事業の公共的なもの、失敗を恐れずにやってくれると信じていた。そのあたりが利潤になっていったらやばいのではないかしら。
指定管理者制度が9割がもとの団体が取っているというのに、「なんでうちだけがこんなに無理してるんじゃろなぁ、なにもうちじゃなくてもええんじゃなかろうか」というのが正直な感想です(笑)。
(「文化」とは関係も利害もない、さきらの周辺住民の自治会の方。まあ、自治会自体、いろいろご苦労だろうことは小生の自分の経験からも想像は付きます。普通の人の視点で、飄々としていて、とても好感が持てました。こういう方がシンポジウムに来てくださったのは良かったですね。)

◎竹ノ内(栗東音楽振興会):音楽振興会は無論さきらを運営しているんではないが、さきらの繋がりは深い。事務局も置いている。事務局をどうしていいのか、これからどうしていいのか、という不安がある。市役所からの説明はなにもない。
事業団評議委員で、会議にも出ているが、未だに指定管理者制度を導入してどうするかを市から説明を聞いたことがない。誰がどういうスケジュールを立てているかは知らぬが。
音楽振興会としては、活動の殆どが市からの委託金、補助金でやっているので、あまり市に文句を言うなといわれることもある(笑)。なんにせよ、この問題は不可解なばかり。
今日のような場が、議会が始まっている今でなければできなかったのか。
良い悪い以前に、もういちどみなにきちんと説明してくれ。取り組みの場が与えられるように。で、「今回の議会で決めないで、きちんと説明して、みんなが納得するようにしてくれ」と議会にお願いした。署名を集めて一昨日行った。会員200名のうちに市長に署名を求めたが、サインはなかった。200名の会員のうち、倍の名前が帰ってきた。
勿論、厳しい意見の人もいる。でも、そういう人はちゃんと説明をされているのだろうか。
(この方も、最初のパネラー同様に、地域文化人としての役割をきっちり果たそうとなさってます。議会への働きかけの具体的説明は、決して動いているのは組合関係だけではない、という現状をいろいろな方向から提示するまた別の例になりました。)

◎宮沢(劇団一国幻冬舎滋賀県劇団友の会代表):栗東市民です。この問題、11月22日にさきら職員からきいて、ビックリした。1年前に県の芸術会館が離されたが、さきらがそうなるとは思っていなかった。事情をきくと、ともかく不可解。市のホームページで調べたが、判らない。選定委員会10名のさきらとJRBSのプレゼンテーションをきいて決めるが、それも掲載されていない。12月議会で最終的に決定する、とのこと。市民は決まったあとに知らされる。市長への手紙に書いても返事は1ヶ月。12月議会が終わってからの返事になる。
市が何を考えているのか、何の説明もなく、決まりましたよ、と下りてくる。市民としてバカにされているとしか思えない。
さきらが出来るときには夢がいっぱい語られたのに。月に1度くらいヴィジョンを語り、いろいろな話をしたのに。でもこの転機には、なんの説明もされない。
情報に拠れば、選定委員会が2度。一度は資料配付。もう一度はプレゼンテーションが20分づつだったという。その長さで説明するのは不可能。選定委員のうち2人が欠席。いくらなんでもこれでは無責任だろうに。ちゃんとして欲しい。内容、選定過程を公表しろ。審議を継続してくれ。
(若い演劇現場の方です。選定過程の内部情報が漏れました。ある意味で、一番、文化事業団の内部の人たちの意見に近いんではないでしょうか。)

以上の諸発言で、この栗東さきらの問題点がだいたいあぶり出されて来ましたね。ひとことでいえば、「なんだかちゃんと市民に説明せずにやってる、それが問題だ」ということ。
で、20時19分から会場からの質疑応答となります。質問というよりも意見の方もいらっしゃったので、どんなものだったのか簡単に。結局、21時半の時間いっぱいまで手が上がり続け、全員の質問や意見表明が出来ないほどでした。

●栗東市民(白髪のオジサン):熱血タイプの熟年男性です。JRの子会社というのは怪しい。巷ではみんな怪しいと行っているぞ。なぜ県のびわ湖ホールが財団が5年延長なのに、栗東はJRなのか。不可解だ。

●演劇祭の実行委員(大津市民):まだ20代前半の若い方。栗東高校出身だそうな。さきらが作られるときの想い出。大津市民から見ても、新幹線駅にお金がいるからだろう、という感じがする。なぜ市役所からだれも来ないのか。こういうことが多いのでしょうか。
→コーディネーターの解答:さきらはあれだけの規模の施設で、金もかかっている。指定管理制度が適応される中でも大きな施設だから、相当慎重にやらなければならない。要は市民へのアカウンタビリティが大部分だが。それにしても、説明がない、とこんなに皆が言っているのは全国的にも珍しい。

●栗東演劇祭実行委員:さきらを建てるときに100億円の借金をしているという。民間はそれを返す責任もなく、公共の施設で稼いでいいのだろうか。
→コーディネーターの解答:元利償還金の7割が地方交付税。実際は30億円くらいが実際にかかったものだろう。市の予算の中で地方債を返済している。100億円持ち出したものに民間には利益が出るのか…というと、今でももう業務委託をしているので、実はこれまでと変わらない。問題は、じゃあ、ホールはそこで誰が何をやるのか。それがどうやったら一番良いのか、ということ。ホールは何のためにあるのか、その地域のための文化を一生懸命やってくれるのはどこなのか、ということ。

●同じ方:じゃあ、儲かったらどうするんですか。
→コーディネーターの解答:どのような協定書を結ぶかが問題。ホールは収入がある。その収入の基準より実際の収入が多くなったときに100%指定管理者の取り分になるかどうかは、協定を結ぶべきである。「収入が上がったときの何%を返すかも提案しろ」と要求している市もある。例えば、北九州の小倉城公園。市と協定を結び、年間入場者数目標を決めた。その目標を下回ったら罰金を払う。指定管理者のデパートが200万円去年は市にお金を戻しています。

●女性市会議員:選定委員が重要だと思う。議会では市長の責任を問われる問題になっている。選定委員は、市の部推薦から3名、公募の委員3名。市の総務部長などで、トータルで10名。議会の条例では部推薦は学識経験ということで、部推薦になっていなかった。専門的な意見や、利用者の声などが全く出ていない。審議会は全体の2時間。一定資料は前から配られたが、その場で管理者を決めた。「議事録を出せ」と議会で主張している。やっと会議録の部分抜粋が出てきた。
選定委員のやりかたは栗東は異常だと思うが、どうなのでしょうか。
→コーディネーターの解答:選考委員の選定は、栗東だけではなく、全国的に異常と言えば異常です(笑)。なにしろ前例がない事態なので。役所は前例が好きで、前例にあたったり、前例がないと、他の自治体がどうやっているかを持ってくる。今回の指定管理者制度は、自分の頭で考える意外無い事態になっている。ところが、選定委員については、なんでこんな人たちで、という例がある。その施設で何が行われているか判らない選定委員が入っていて、本当に困る。自治体の担当者の中から悲鳴のような声が上がるケースも。選定員は外部から入れるべきだ。それから、利用者代表。バランス良く入れなければならない。これはまだまだ。
→竹ノ内氏のコメント:ある選定委員から、「自分の名前も明かしてはいけない、どういう人がいたかもだめ、内容も語ってはいけない」と命じられたと漏らされた。
→コーディネーターのコメント:選定委員の氏名は明かすのが当然。でも、選定委員と接触した会社は失格とすべき。自分がある自治体のコンサルタントをやったときは、「自分の会社と接触した人は失格」と明記した。

●中年女性:指定管理についての具体的な質問。委託された会社が全てやる場合と、施設管理は別の団体がやる場合とがあるようだ。それに関してはどのようにどういう順序で決めるのか。
→コーディネーターの解答:指定管理者の業務範囲の問題である。鳥取県がSPSしまねでは、管理、受付業務まで、学芸委員業務は県の直営。公共ホールの場合、管理運営と事業を含めないところもある。誰が決めるかは、行政の担当が事務局で決めている。そもそも、栗東の募集要項には仕様書がなかった。とっても奇妙。それがないとソロバンがはじけないはず。当初それがなかった。

●京都の企画制作をフリーランスで行うコンテンポラリーダンス制作;さきらでも動いた。JR側の出したものは判らないが、財団側もどうなのか。社会的に少数派と言われる文化を扱うものは、多彩なものを扱ってくれるのが公共のホールの使命だろう。そこを官だろうが民だろうが守って貰わないと困る。また、今の職員をどうするか、人間的な処置をしてほしい。
→コーディネーターのコメント:「多様性が大切。それを育てるのが公共ホールの使命である」という意見に対し、いままでの文化財団は中途半端だったことは確か。
→奥村氏のコメント:官でなければ出来ないこと。さきらがいろんな役割を果たしていく場所であって欲しい。公共施設は、市民が気楽にそこに出入りできて、こんどおねがいね、といえるような関係。
→角田氏のコメント:多様な文化のなかには、市民にとってはうるさいだけ、というものもあるだろう。市民の気持ちはあると思うが、「多様性はどんどんやれや」なのか?経験を通して言えば、そういう騒ぎがさきらでもあった。でも、やらんことには出会いがない。興味持っていただけ得したと思う反面、自治会もうるさいから止めてくれというのもある。それと同じで、さきらがみんなが受け入れられるものだけをやったらいいのか。営利になるとそういうのは排除されるんでしょ。疑問ばっかりです。
→宮沢氏のコメント:文化、教育、福祉では簡単にコストだけでは。多様性を含め、文化政策がどこで考えられているのか。栗東市の文化はどの辺の人が考えているのか。その人達だけでいいのか。本当は栗東市の文化をどうするのか年に一度でもあると良いのではないか。栗東市の文化政策を知り合うべきなのではないか。演劇人は演劇しか知らないだけではなく、美術はなにをしているのか、ミュージカルはどうなのか、そういうことを知らねばならないのでは。まとまりにくいだろうが、文化について話し合う場所が欲しい。そこで、さきらの評価を出来るのではないか。「人をつくっている、町を作っている」ということを忘れてはならない。文化だけを考えてはいけない。
→コーディネーターのコメント:「文化を育てることが公共ホールの使命だ」と、市民の税金でやってるホールが主張するのが難しい。いろいろなものがあるから。芸術や文化をやる人に願いたいのは、公共ホールが市民に対するアカウンタビリティを果たさねばならない。充分に説明し、納得してもらわねばならない。芸術が行政の使命、と簡単に思わないで欲しい。

●さきらの前に住んでいるオジサン:文化の創造に…というのが馬耳東風。文化は年数かけて育てていくと思う。そういう意味ではまだ時期尚早だと思う。意見。
→コーディネーターのコメント:市民が持続的に声を挙げて貰いたい。

●某自治会のご隠居:戦前の教育を受けている。戦争賛美と軍隊的な教育を上から押しつけられて、文化のひとかけらもない時代に生まれている。衣食足りて礼節を知る。文化の多様性、市民の中から文化を求める声が上がった中でさきらがつくられた。こんどの事で文化や芸術はなにかを考えた。金で買えるものではない、市民がずっと培う。でも、個人は限界があるから、市が援助する、と理解している。それにも関わらず、空港や新幹線にお金を注いで、文化教育が削られる。人減らしの一環としての指定管理者制度ではないか。それではならない。あのビラに書かれた内容が、もっと多くの人に知られるべきだ。

●舞台照明家:仕事は舞台の裏方だが、近畿。滋賀県の中で一番期待が持てて、伸びる確率が高い。さきらはいちばんちゃんと返している。伸び盛りな場所。商売上はおかしい。JRへの手みやげなのか。本来ならば誇れるべきさきらを、行政がなぜ今、手放すのか。
→コーディネーターのコメント:冷静に考えると、利用料金や事業収入でホールの管理運営光熱費の何%を回収できるかというと20%。良いところで25%。残りは行政が持ち出している。さきらは確かに可動性は高いが、行政からみると、その水準は多少そこが減ったり増えたりしても、それほどの+ではない。赤字とは地域に対する文化振興の費用だから、出すのだ、と覚悟すれば良い。指定管理者を誰がやるかはどうあれ、市が文化政策としてどうするかを持った上で市が選定し、評価し、やらせる。その結果を全て公開して、市民の評価をまた得る、ということが必要である。

◆最後に:まとめのコメント◆
宮沢:16日に議会でこのことが審議される。本日話して、共通で理解したことを、文字としてメッセージとして栗東市に届けたい。

竹ノ内:この場にいらしている議員もいらっしゃるが、半分の議員はいない。その人達はどうやって判断するのか。議員は市民の意見を聞く機会がないのだ。議員に向けたアピールが不可欠。もういちどこの話を一から進めて欲しい。国の制約があるし、しがらみもあるのだろうが、それだけで決めて良いものでもないだろう。

角田:JR職員の方がいたら、頑張ってください。事故もある、着服もある。それをJRに。それにしても栗東って、安心して暮らせる町だったんじゃないのかね。「さきら」を誇りももって語れるようになってほしい。

奥村:とりあえず、みんなと。今みんなのホールといえるように、声を結集していきたい。

コーディネーター:情報公開をしてほしい。審議を伸ばしてじっくりやって欲しい。市民による監視が必要。ホールが市民の場となって欲しい。
行政やNPOに呼ばれていろいろ話しているが、市民がこれだけ集まって話したのは初めて。人口六万人で指定管理者という行政のひとつの仕事にこれだけの市民が感心を持って集まったのは、おそらくは全国でも初めてだろう。この栗東市の指定管理者の問題は、非常に注目をされている。一重に、さきらが様々な事業をしていたことが高く評価されていて、それゆえにここの指定管理者がどうなるのだろうか、と思っていた。市役所はそういう自覚はないだろうが、全国的に注目されている。
ここがどういうことになるかで、栗東がスゴイとなるか、せっかくやっていたのに、となることもある。どちらになるか、今、正に分かれ目であった。
正直、ここに来る前は厳しい見方をしていた。民間の方がまだましだ、という事例はいくらでもあるし、栗東もそうではないかと思っていた。でも、これだけの市民が集まって、この問題に関心を持つ、文化の大切さについて強く思いを持っていることで、非常に感動した。皆さんのそのような力があれば、前向きで、建設的で、この地域の文化が発達していくような結果が出て行くことになるのじゃないか。JRだって重荷であると思いかねない。文化は、それがあることによってその地域の価値が高まる。経済的にも高まる。多くの市民に、関心を持って欲しい。

《共同メッセージ(概要)》
1:栗東市長に「さきら指定管理者制定」についての情報公開を求める。
2:栗東市長、栗東市議会に採決延期、審議延長を求める。
3:栗東芸術文化会館さきらの活動への市民参加と市民による監視の必要性を共有。
4:栗東市の文化振興の姿勢に懸念を表明し、市民が主体的に考え話し合う場所をつくる。

以上、ブログとしては破格な長大レポートでした。おおお、もう新横浜だ。

                             ※※

追記:16日夜です。滋賀の毎日にシンポジウムの報告記事が出たようです。以下、参考までに。参加者が約100人とあるけど、もっといっぱいいたように思ったけどなぁ。「参加者」とはみなされないスタッフがいっぱいいたのかしら。まあ、小生も勘定したわけではないし、公式の入場者をカウントするようなイベントではなかったので、小生の記述はそのままに直さずにおきます。
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/shiga/news/p20051216ddlk25040641000c.html

追記2:17日朝です。14日シンポジウムは各大手マスメディアの滋賀版にも掲載されました。京都新聞、朝日新聞、毎日新聞です。毎日はネットに挙がったものを上に貼り付けてあります。で、各紙の参加者人数がバラバラです。参加者の中に、スタッフを入れるかどうか、パネラーを入れるかどうか、などの問題でしょう。小生はこれまで、このブログ記事で「200名ほど」としてきました。一番後ろの入口近くから見ての感じです。ですが、各紙の論調を見極め、「120名を超える」と訂正することにします。それほど意味があるとは思えませんけど、なにしろこのブログ記事がどのように一人歩きしてるか判りませんから、各紙の論調に揃えるべきところは揃えておこう、という程度のことです。


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カタギリ

お疲れさまでした。
さる人に聞いたこところでは、某民間企業は予想以上に指定管理者を「取れて」しまったので、そこに派遣すべき人材がなく、かえって困惑しているとか。
by カタギリ (2005-12-16 00:26) 

Yakupen

某企業、ある意味でホール裏方業界内ではいろいろと問題多く、評価をどんどん落としているところなのに、そのバックにある母体企業のイメージから、現場を知らない選定委員には猛烈に魅力的に映るみたいですねぇ。正直、しーらないぞしらないぞ、という感じ。
ま、試行錯誤の期間なのだ、と市民納税者がどこまで失敗に寛容になれるかでしょう。でも、今はみんな自分には甘いけど他人の失敗には厳しいからなぁ。←己含む。要反省。うううん。
by Yakupen (2005-12-16 06:57) 

某外郭団体プロパー職員

大変読みごたえのあるレポートありがとうございました。
こうした形で議論する場ができた事は,行政の手法の是非はさておき,
大変有意義な事だと思います。(これもひとつの"民活"という事なのですね)
by 某外郭団体プロパー職員 (2005-12-16 08:46) 

ヒモリ

当日シンポジウムのコーディネーターをやった本人でございます。
大変的確な議事録をありがとうございました。話の内容、流れは
まったくこの通りだったと思います。
雇用を守れ!市長糾弾!というトーンでやってしまうとほとんどの
市民は引いてしまい、支持を広げることができないので、あのような
流れにしました。一部の参加者には物足りなかったかもしれませんが。
ひとつだけ付け加えさせていただきますと、ヤマハ(オートバイでなく楽器の方)は指定管理者の事業を一切やっておりませんし、やる予定もないので、
こうして私があちこちで専門家として話ができるようになっております。
まぁ、会社派遣の一人ボランティア、のようなものです。肩書きは、
ヤマハ株式会社地域文化貢献担当主査、です。
今後ともよろしくお願いいたします。
by ヒモリ (2005-12-17 09:51) 

Yakupen

桧森さま、コメントありがとうございました。
ヤマハの方針に関しましては、ご本人関係者の直接の言葉がないと書けない類のことですので、非常に有り難く存じます。必要がありますれば、過去の記事に遡って直します。その際には個人アドレスにでもメール下さいませ。プロフィルから行けます。

個人的には、ヤマハさんなどが積極的にやるべきじゃないかとも思うんですけれど、そういうわけにもいかないのでしょうねぇ。
小生が知っているあるアートNPO関係者も、「公募に出てくれと言われるけど、うちのスタッフじゃ自分のところで手一杯でとてもよそ様までやれない」と申しております。なにせ今のやり方では、資金的に余裕があるところでないと公募に参加できませんから、ノウハウを持っていてやれそうなところも参入できない、という決定的な問題があるみたいですね。

また別の話になってしまいました。今後もよろしくお願いします。栗東が特殊な例になってくれれば良いのか、それともこういうことがドンドン起こることで市民納税者がいろいろ考えるようになるのか、どちらが良いのやら。
by Yakupen (2005-12-17 10:30) 

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