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トウキョウ・マンハッタンに響くアントン・ヴァルター [演奏家]

メールという連絡手法が一般的になってきたこの数年、起きて受信ソフトを立ち上げると、世界中からのリリースや案内がジャンジャン入っている。東京湾岸にイタリアの劇場の新演目やらシンガポール響の指揮者交代を教えても、なあぁああんにもならんと思うんだけど。
今日も今日とて、マドリッドの舞踏団の新振り付けのリリースと、メトロポリタンオペラの来シーズンのラインナップ発表の案内(おおお、来年のチェンバー・ミュージック・アメリカの真っ最中に、なんとマゼールが「ヴァルキューレ」を振るじゃないかぁああ!)という大物があり、朝から広告をいっぱい眺めてしまった。そんななかに、我が湾岸私設壁新聞に貼り付ける意味がある緊急告知があったんで、急いで貼り付けてあげましょ。なんせ今日は商売の作文作業がたて込んでおり、こんな作文してる暇なんぞないんだし。

さても、明日3月1日の夕方、晴海第一生命ホールのロビーで、フォルテピアノの小倉貴久子さんがレクチャーコンサートをなさいます。3日のホールでの本番に向けたプレレクチャーですな。
http://www.h2.dion.ne.jp/~kikukohp/
小倉さんは、湾岸地区の小学校なんぞにフォルテピアノを持ち込んだアウトリーチを盛んになさってる、ある意味、この地域のレジデント・アーティストさんみたいなもんです。晴海月島地区の小学生は、恐らく世界で一番たくさんフォルテピアノの音をライブで聴いてる子供たちなんじゃないかしら。

子供達だけじゃなく、お父さんやお母さん、広く音楽ファンの方にもフォルテピアノを聴いてもらいましょ、ということで、昨年から浜松楽器博物館にあるフォルテピアノを晴海のホールに持ち込んで、室内楽の本公演もやってます。
なんせこの「古楽」とか「ピリオド楽器」とかいう世界は、能書きを垂れ始めれば永遠にやってられる。普段は子供に話してる内容なんぞを、アップグレードして大人にも話してあげようと、レクチャーをするわけですな。今回は、ピアノがあれよあれよと変貌していた時代の真っ直中に生きたベートーヴェンの作品を取り上げるので、話すことも多いはず。
レクチャーに付き合うのは、日本に於けるベートーヴェンの権威、だけどあんまり偉そうには見えないお髭のオジサン、レコ芸やら新聞批評なんぞでお馴染みの平野昭先生です。湾岸にもこういうメイジャーな人が来るんだよ、たまには。

んで、緊急リリースの内容は、レクチャー参加者が増えた、というもの。ひとりは、ピリオド楽器からモダン楽器まで、ヴァイオリンからヴィオラまで、はたまたルネサンス音楽から現代曲まで、猛烈に広いレパートリーをこなし、さらにはあのベーレンライターからメンデルスゾーンのヴァイオリンソナタ校訂楽譜を出しているというスーパーマン、桐山建志さん。もうひとりは、先月はブリュッヘンの指揮でベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」チェロ独奏を延々とお弾きになられたNJP首席の花崎薫さん。よーするに、本番にも参加するエルデーディQ低音コンビですな。
ベートーヴェンとかフンメルとかのピアノトリオという楽曲は、ピアノの変貌の影響を最も受けざるを得なかったジャンルです。コンクールなんぞでも扱いが非常に難しい。でっかいスタインウェイコンサートグランドみたいなモダンピアノ全盛期には、かのプレスラー翁みたいな、バランスと音色の天才の名人芸やら職人芸に頼った再現で納得させるしかなかった。フォルテピアノの力が最も発揮されるところですから、皆様、このレクチャー、興味深いに違いありません。以下、案内を貼り付けます。

このレクチャーの美味しいところは、第一生命ホールのロビーで開催されること。20世紀末ポストポストモダンのガラス張り様式のまあるい空間からは、トーキョー・イーストリバーから彼方のプチ・マンハッタンまでが綺麗に眺められる、隠れた夜景スポットなんですな。音もビックリするくらい良くて、口の悪い人は、ホールの中よりもこっちの方が良い、なんて言うくらい。

では明日の晩、トーキョー・マンハッタンを見はるかす銀座オフブロードウェイのナイトビューの中で、限りなく弦楽器に近い音の鍵盤打楽器と擦弦楽器の対話を見物しましょうぞ。本編だって、「管弦楽の為の作品18の7」みたいな正体がバレバレになりそうな第2交響曲ピアノトリオ版とか、無骨なベートーヴェンが音色に滅法拘った唯一の協奏曲第4番の室内楽版とか、滅茶苦茶アトラクティブなプログラム!

                            ※※※

3月1日夜の小倉貴久子さん公演のレクチャーコンサートですが、当初は小倉貴久子さんと平野昭さんお二人の出演予定だったのですが、急遽桐山さんと花崎さんも出演することとなりました!

2007年3月1日(木)19:15(開場18:45)
<レクチャーコンサート>東京公演プレイベント ベートーヴェンの室内楽の魅力 場所:第一生命ホール4階ロビー ●小倉貴久子、桐山建志、花崎薫、平野昭(トーク) ■¥1,000、3月3日本公演のチケットをお持ちの方は無料。 浜松市楽器博物館所蔵、ウ゛ァルター作のフォルテピアノも登場しますのでみなさん足をお運びください。(TAN S)


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