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Dunkel ist das Leben, ist Die Bahn! [たびの空]

日曜日の朝は、ザルツブルグ中央駅朝7時発ヴィーン往ICEがありません。ICEはビジネス列車ということなんでしょう。だから、ヴィーン・コンツェルトハウスに午前10時半頃までに無事到着するためには、朝6時発のICに乗るっきゃない。訛りがチャーミングな車掌さんの味わい深い英語アナウンスでたび気分。ほれ。

というわけで、今、21日朝7時過ぎ。ザルツカンマーグートを下った辺りで昨日からの雪が雨にかわり、濡れた下り方面ホームには人の姿もないリンツ中央駅を東に向け発車したところです。はるかドナウの畔、ブルックナーの名を冠したホールやらの方から、ようやっと空が白み始めた。ガラガラだった列車も、さすがに少しは人で埋まった。それでもっぱり、日曜の朝9時前に帝都に着こうという奴はそれほどはいない。

どーしてこんなことになってるかといえば、話は簡単で、コンツェルトハウスでのヴィーンフィル演奏会が午前11時に始まるからです。あなた、にちよーの朝、ヘタすりゃまだみんなスヤスヤ眠る頃、オケマンはチェレスタやらマンドリンまで取り出し、ハーディング君は指揮棒取り出し、ヴェーベルンの作品6やらやらにゃならん。キルヒシュラーガー女史なんぞ、普段ならまだまともな声など出したくないような時間に「えーう゛ぃひ、えーう゛ぃひ…」繰り返さねばならぬ。

ええ、チケットを裏ルートではなくちゃんとコンツェルトハウスから買った真面目なお客さんには、「あんさん、11時でっせ、11時!」って警告するメールが東京出発の数日前に来ました。抜粋するとこんな文面。
"Hiermit erlauben wir uns, Sie daran zu erinnern, dass das Konzert der Wiener Philharmoniker unter Daniel Harding am Sonntag, dem 21. Oktober 2007, als Matinee um
11.00 Uhr
stattfindet. Diese Beginnzeit ist auch auf Ihrer Eintrittskarte entsprechend angegeben."
この「11時」ってところ、行替えしてあって、3倍くらいの大きさの太字になってます。よっぽど間違える奴が多い、ってことだろうなぁ。

やっと外が見えてきた。オーバーエスターライヒのノンビリした丘は、冷たい冬の初めの雨の中。

生暗く 往む鉄路も また暗し

                                                  ※

せっかくだから、リンツを過ぎてヴィーンの平原に向けてもう一山越える辺り、またうっすら雪化粧したオーストリア国鉄沿線の風景をどうぞ。

さても、結局、ヴィーンの定宿のネットがなぜかどんなに頑張っても隣の宿の無線ランに繋がってしまい、困ったことになった。で、毎度ながら、スターバックスにいます。目の前にヴィーン国立歌劇場がどっかーんと控えてます。日曜の午後7時前、1区はまだまだ騒々しい。これから「コッペリア」みたいです。来週にプレミアが控えた、Seiji Ozawaの「スペードの女王」のポスターがでかく貼ってある。今回の滞在ではこの会場はまるで無縁だけど、やっぱり貧乏なイェントラベラーとすれば、オペラ前地下街の立ち食いピザがこの街で一番コストパーフォーマンスが良いので、ここに来てしまう。

んで、昼間のヴィーンフィルですけど、なんとキルヒシュラーガーがキャンセルになり、ミカエレ・デヤングというアメリカのおねえさんが歌いましたです。年始めのメトの「始皇帝」でも歌ってるそうなんだが、全然覚えてないぞ。コンツェルトハウスのPブロックで、テノールの声はまるっきり聴こえない。メゾソプラノは、まあ曲が最弱音と独奏の笛の間をうねっていくような書き方だから、それなりに聴こえはしました。ハーディング指揮ヴィーンフィルのこの演奏会、ORF収録がされていて、月末にラジオで放送になるそうなんで、いずれ日本でもNHKのFMがやるんでしょう。だから、敢えて感想はなし。「大地の歌」みたいな曲について、見ず知らずの人にみっともない感想を洩らすほど、あたしゃもう若かぁありません。

ちなみに、コンツェルトハウスの楽屋口には、マーラーのレリーフが刻まれています。そして、マーラーが住んだ家だって、ほれ、ほんの数ブロックあっち。


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コメント 5

すみこ

真冬の寒さですよね。雪のオーストリアは写真で見てれば
美しい!けど。
パリは公共の場、公園などでWIFI(無線LANと同じものですか?
インターネットのコネクションがただでできる)が使えるように
なったと2週間くらい前報道されてました。でも図書館なり公園
なり、その施設が開いてる時間帯しか使えない。マクドナルドは
24時間使えるじゃないですか、とラジオで突っ込んでいる人が
いましたが、閉まってる店の前でも使えるって事かな?
どっちにしても戸外でゆっくりインターネットなんて気温じゃ
ありませんね。お風邪を召されませんよう。。。
by すみこ (2007-10-22 15:53) 

山田(は)

デ・ヤングは、和さんもご覧になった今年の「東京のオペラの森」でヴェーヌスを歌っていました。2年前のサイトウ・キネンの「グレの歌」では、山鳩を歌っていました。小澤さんが好んで使っている人です。
by 山田(は) (2007-10-23 10:57) 

Yakupen

おおお、有り難う御座います。たしかにあのお体、記憶にありますです。裸になった女性のことは覚えてるなんて、なんてオッサンだ。ちなみにテノールは、この前の夏のザルツブルグ音楽祭でシコフがキャンセルしたヴェンヴェルート・チェルリーニを歌ったおにいさんでした。
by Yakupen (2007-10-23 18:31) 

通りすがり

このプログラム、前日に私は行きました。たしかにテノールの声は
オケに負けていました。でもこのプログラムでは、ウェーベルンも
マーラーもオケが素晴らしかったと思います。
by 通りすがり (2007-10-26 17:43) 

Yakupen

通りすがりさん、お疲れ様です。なるほどねぇ、やっぱり正面からでもテノールは聴こえませんでしたか。正直、この曲のライブで、特に第1楽章をライブで聴いて録音みたいに聴こえた経験は小生には一度もありません。サントリーのオープニングシリーズでのヘフリガーは、真横だったんでなんとも言えませんけど、そう、ボストンのシンフォニーホールとカーネギーホールで続けてベン・ヘップナーで聴いたときも、やっぱりヘップナーでも聴こえないものなんだなぁ、と思わされましたっけ。ちなみに、そのボストン響の公演はノーマンが女声楽章を歌ってたんですが、こちらは流石としか言いようがなかったです。
オケに関しては、特にあの曲の場合は、まあ、そう、ルイ・ヴィトンのバッグやらマキシム・ド・パリの鹿肉のローストに向かって良いの悪いの言うようなもんですからねぇ。小生の席から聴こえたことを敢えて記せば、やっぱりこの曲の最高のスコアは最後のマンドリンが入ってきてからだなぁ、とホントに思わせてくれたのは流石でした。
by Yakupen (2007-10-26 19:45) 

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