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足立区民の150万円の使われ方 [音楽業界]

(財)足立区生涯学習振興公社主催の「第2回ステューデントプロデュースコンサート~みんな来ちゃいな祭PS.ハートに直結 心にチャージ」を見物して参りました。まだ春の雨、ってには冷たい西新井まで。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/archive/20080317
午後3時からの開演、週末にカントゥスQ(2009シーズンにSQW登場予定団体)を聴きに会津方面まで行くために東武の切符を買ったりせにゃならず、開演前にいろいろあるらしいとは聞いていたものの、ま、遅刻もしょーがない。なんとか開演30分前に西新井文化ホールに飛び込んだら、おやおや、可愛らしい高校生から「いらっしゃいませ、お世話になりましたぁ」こーげきで、佃のオジサンったら、もーすっかり良い人モード全開でありますっつ。ロビーにいろいろ展示してある、おお、良いじゃないか、ほほえましいぞ、手作り感がなんともよろしでんな。雨の日にチラシをどう処理したらいいか、オジサンが親身にご指導してあげましょ。「サクソフォンの重さはどれくらいかな」体験コーナー、サクソフォン現物が借りられなかったのもご愛敬。うん。
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いつのまにやら始まってる開演前ロビーコンサート、トルヴェール・カルテットのナイスガイ田中靖人にーさんのSax、しの降る西新井の雨に咽び泣くは、♪ああああぁ、ぬぁがっさくぃいいわぁああああ、きょぉおぅもぉ~あめっぇえ~どぅぁあったぁああああ~!

さても、気を取り直して…コンサートの模様は、足立区のケーブルテレビが収録なんぞしてたし、ローカルメディアが入ってましたから、区民の皆さんは明日の朝刊ローカル面とか、ケーブルテレビの時間つぶしニュースなんぞを眺めて下さいませ。いつもお世話になってます雑誌『地域創造』の編集者さんなんぞも財団のプロデューサーにインタビューしてましたらか、そっちにも記事は出るでしょう。だから、以下はザッと駆け足で紹介するだけ。商売のレポート記事じゃないんでね、あしからず。

前半は足立区の異才白石光隆&啜り泣くサクソフォンの魂田中靖人のデュオで、あちこちのアウトリーチでも披露されるキラーコンテンツがてんこ盛り。バッハのフルート・ソナタなんぞもさりげなく入ってぴっしり締めたりして。

後半です。ステージ上にはピアノの上手側にパイプ椅子数台、下手側には黒板が引っ張り出されます。なんか「仲道郁代の音楽学校」が懐かしく思い出されるぞ。んで、これが今回の目玉、学生プロデューサー諸君が一生懸命台本書いた「コント」であります。学生がジャージ着た音楽の白石先生(失礼ながら、似合ってる!)とピアノについての授業をやってると、遅刻したサックスも吹く田中君(学ラン姿、似合って…ない)がやってきて、先生とセッションを始める、って案配であります。
これね、なんと、結構、うまくいくんですわ。なにしろ女子高生が制服着て、いつもの会話してるだけなんだから、はまって当然。それに、「学校の先生が生徒の質問でいろいろピアノの構造やらを教え、弾いてみせる」ってシチュエーションは、レクチャーコンサートにはもってこいなわけだし。
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ガーシュインの曲に合わせて、3分割した客席に異なる手拍子で入って貰う「ミニ・ワークショップ」になだれ込んで、20分ほどの「コント」は無事終了致しました。正直、「コント」と聞いたときには怯んでたんだけど、なーに、うまくいってたじゃないの。オジサンはうれしいよ、うん。拍手しちゃうよ。最後はこのコンビ最強の「ガーシュイン・カクテル」、更にはアンコールもあって、おしまい。

いやぁ、存外うまくいったじゃないの。過去にこのような「学生さんが演奏家をプロデュースする」という演奏会は何回か眺めてきたけど、一番うまくいった例じゃないかしら。勝因は、ひとえに、「白石さんと学生さんの間に、田中さんというキャラが一枚噛んだこと」でしょ。

やっぱり偉い現役ピアニストさんなんかとサシで向かい合っちゃうと、どうしても学生ちゃんたちは気後れしたり、もじもじしちゃったりする。いかに「あたしはやりたいですぅ」って自分から手を挙げた騒々しい奴らでもね。そこに、「気さくなおにーさん」って感じの存在が入ったことで、必要な瞬間に緊張感を抜いたり、斜めの関係を作ったりすることができるようになった。学生ちゃんたちの自発性を引っ張り出すためには、とっても良かったんじゃないかしらね。

というわけで、皆さん、終わった終わったで、はい、ありがとーございました。礼っ!(あ、当稿写真提供は全て足立区生涯学習振興公社様であります、ありがとーございました)
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初夏から始まって約10ヶ月、約10名の高校生・大学生が毎週打ち合わせし、わいのわいの作り上げたこのコンサート、足立区から公社を経て提供された制作費用は、総額約150万円とのことであります。1人頭にして月に1万5千円程の奨学金、というわけですな。

150万円を足立区63万人にばらまいたら、ひとあたま金3円也にもなりません。でも、それを10名にまとめて使うことで、彼女らはどれだけのことを学んだか。10代終わり頃の10ヶ月に学校の外で知ったいろいろなことで、彼女らは「人と人とをつなぐ」やり方を学んだろう。何かをするには、いろんな議論が必要で、違う考えの奴を説得することも必要で、ときには妥協だって必要で…って。

これが「教育プログラム」というものです。そして、これは、「福祉」です。あっちこっちの地方文化財団のプロデューサーや財務責任者の皆さん、高い金積んでラ・フォル・ジュルネや「せんくら」を真似するんなら、よっぽどこの「ステューデント・プロデュース・コンサート」を真似なさい。但し、お金では買えない、財団自前のきちんとした制作能力が不可欠だけど。

文化は福祉です。

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コメント 2

ゆうき

スチューデントプロデュースに参加している学生のものです。

昨日はコンサートに来ていただいてありがとうございました。
そして先日の宣伝とともにコンサート当日のことも書いていただきありがとうございます。
私の感想いたしましては、今回のコンサート、小さい子からご高齢の方まで幅広い年代の方たちに来てもらえたことを嬉しく思っています。

それでは長々と失礼しました。
by ゆうき (2008-03-21 19:16) 

おんだ

やくぺん先生には本当にお世話になりました。
先生の愛情あふれるキビシイつっこみが彼女たちを
飛躍的に成長させました。ありがとうございます。
スチューデントプロデュースコンサートは来年も続きます。
次回もまたご指導をよろしくお願いします。

by おんだ (2008-03-21 22:48) 

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