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東京へのプレリュード? [音楽業界]

当壁新聞でんでこの話を取り上げないのだ、と不思議に思っていらっしゃった方も少なくないことでしょう。とにもかくにも、いきなり貼り付けます。
http://osaka-century.sakura.ne.jp/

もう皆さんご存知でしょう。(財)大阪府文化振興財団が運営する(=実質的に大阪府が運営する)大阪センチュリー交響楽団が、財団へ府の資金援助全面カットを宣言され、活動が不可能になる事態に立ち至っています。言うまでもなく、大阪府民有権者の圧倒的な支持で誕生した新府知事の「聖域無き予算カット」の、クラシック音楽界への直接の波及です。

昨日今日出てきた話ではなく、当電子壁新聞でも、関連ネタは記したことがあります。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2006-05-19
なにせ大阪府の文化助成の歴史は長く、この日本では珍しい自治体ほぼ直営の団体のルーツは、日本で唯一の自治体が運営するブラスバンド、大阪府音楽団(今も大阪市営地下鉄の駅にポスターが貼ってあり、最近ではパペット楽団で有名な宮川息子さんが指揮したりしてる「大阪市音楽団」とは別団体…このあたりどーなってるか、誰か教えて)で、今に至る事情は遙か東京湾岸の部外漢なんぞが記すよりも、こちらをご覧下さい。関西音楽情報で最も信頼できる方の論です。
http://music-kansai.net/opinion/opinion04.html

ハッキリ言います。小生はこの楽団存続の動きについては、「大阪府民があの府知事を選んだときからこのようなことがあちこちで起こることは判っていたのだろうから、納税者の考えに他所者が口を出すわけにはいかんだろう」としか言えません。

それはいくらなんでも無責任な、とお思いになるかもしれませんけど、悪い、ゴメン、大阪は大阪でやってくれ、としか言えない。

なぜならば・・・恐らく近いうちに、自分が税金を納めているここ東京で同じようなことが起きるであろう、そのときのためにパワーは取っておきたいから。どのような態度をとるにしても。

都民が圧倒的に支持する我らがイシハラ知事の治世があと2年で終わる頃には、東京都の財政の問題が大きく出てくることでしょう。イシハラ知事は自分の趣味で税金使い放題に使い、多くの都民もそれを知らんぷりしたり、政府・右派系大メディアも仲間だしコワイからなにも言わないでいた。次の知事は、大阪府知事みたいな勢いで出てきて、メディアの人気を浚い、圧倒的な支持を得て当選し、財政をぶった切り始める可能性は高い。
イシハラ知事を支持してしまって失敗した、次はああじゃない人にしよう、でもイシハラ知事に一票入れた軽薄な自分を批判されるのはイヤだからしばらく待とう、って今の都民の恐らく200万人くらいは腹の中で思ってるから、そんな大きな流れに乗っかろうとする頭の良い奴が出てこよう。今はタケシのポチならぬ国土交通省のポチを自分からすすんでやってる某宮崎県知事なんてお利口な人は、東京都を捕るとなればそんな作戦やるでしょうからね。
そのときに、東京都歴史文化財団とか、東京都交響楽団がどうなるか。MOTがどうなるか。トーキョーワンダーサイトがどうなるのか。上野を貸して貰ってる「東京のオペラの森」は、流石に「芸術に御上が金を出す」ことが政治社会問題なんぞになるところの雇われ社長を長くやってる人が頭にいるだけあってか、先が読めてるなぁ。

「止めるのは始めるよりも難しい」というのは、この業界のみならず、どんな世界でも普遍的な格言でしょう(日本国の社会は特にそうみたいで…なんせ20世紀半ば前にあれだけ酷い目にあっても未だに学べてませんからねぇ)。で、我が東京のそのときのために、大阪の皆さんには大変に申し訳ないのだけど、今回の事態をじっくり眺めさせていただき、勉強させていただきます。

なお、びわ湖ホール騒動とは、状況が違います。びわ湖ホール騒動のときのカテゴリーは「指定管理者制度」でしたが、このカテゴリーは「音楽業界」であることも、考え方の違いの表明であります。アートセンターの存続問題と、演奏団体の存続問題は、まるっきり意味が違う。前者はアートの在り方の問題、後者は、極端に言えば、雇用問題です(無論、アートセンター存続でもスタッフの雇用の問題が出てきますが、裏方商売の雇用や人権は哀しいかな夜明け前状態で、世間で議論する準備すらないのが実態です)。

小生は大阪センチュリー交響楽団と一緒にブルネイに行ったことがありますから、全然思い入れがない団体じゃあないんですけどねぇ。ま、実態は、ひとりでいくのがつまらなーい、と仰るソリストのうるちゃんと遊んでたみたいなもんなんですけど。
ちなみにこのツアー、大阪府はなんにも関係がありません。トヨタが東南アジアで新型ランドクルーザーを売るプロモーションのためのツアーでした。差配したのはD通です(ちゃんと藝大出た人を雇ってるんですよ、この超巨大広告代理店!)。大阪府は流石にがっちりしてるなぁ、こういう固いところにしっかりオケを貸して自分の文化をアピールしながら、しっかり稼いでるんだなぁ、と感心したんですけど…ちょっと違ってたのかしら。

現時点で言うことではありませんけど、関西の各オケのマネージメントって、マネージメントの体を成しているのだろうか。ホントのオーケストラ運営のプロがいるのだろうか。アートマネージメント…以前のやり方をしてるんではないのだろうか。うううん。

なお、せんくらのプロデューサーを務める音楽業界の辣腕マネージャー平井洋氏のブログに、今回の騒動に対する「業界人の赤裸々な本音」が綴られてます。正直、あらゆる業界人がこのように腹の中じゃ思ってるでしょうけど、ここまでハッキリは書かないでしょう(小生みたいに「この電子壁新聞に書いていることはみんな嘘です」なんて宣言してるような大嘘つきじゃあありませんから、ご安心を)。4月13日と14日のエントリーをご覧あれ。繰り返しますが、そんじょそこらの音楽好きのオッサンの戯言じゃなく、様々なことを経験なさりながら音楽業界を生き抜き地位を築いた方の、現場の本音です。大阪の隣の某県の官立アートセンターオケの立ち上げはとても近い斜めの場所からご覧になっていたでしょうから、関西の御上の内部事情もよーくご存じでしょうし。
http://yohirai.asablo.jp/blog/
無論、ヨーロッパの現状把握など、小生は平井さんの意見に全面的に賛同するわけではありません。異常なユーロ高と有り余ったエミレーツ・マネーが動き回ってるヨーロッパは、バブル時代の日本や、ホンの数年前までの中国韓国東南アジア諸国みたいなバブル真っ盛りで、あちこちにバブル時代の日本同様の建築家が自治体を騙したとしか思えないような立派な音楽ホールなんぞがボコボコ建てられてます。そういう時代なんでしょう。

今回の騒動、大阪府民納税者がどう考えるか、大阪府民納税者にどう芸術家が己の必要性をアピールするか、しっかり勉強させていただきます。まかりまちがって、「クラシック音楽と大阪漫才とどちらを取るのか」なんて選択に迫られる状況になったら、果たして「クラシック音楽だ」と言えるのか、とか。

真面目に勉強させていただきます。大阪の皆さんも、真面目に考えて下さい。関西の同業者さん、しっかり追っかけて下さいませ。現場でしか判らない空気など、いっぱいあるでしょうから。

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