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なぜ12.15デモをせぬ? [音楽業界]

このところの一連の仕分け事業と、それに反対し助成金継続を願う様々な動きをボーッと眺めていて、ずっと不思議に感じていることがあります。

去る月曜日の仕分けフォーラムやら、その後も舞台芸術関係者各方面から様々にまわってくる「12月15日までに文化庁に打ち切り反対の声を寄せよう」メールの勢いを見るに、「仕分けで俺たちへの助成金を切るな」という声は、どうやら数百人くらいの単位ではあるみたい。

だけど、少なくとも小生の知る限り、「12月15日に文化庁を取り巻いて気勢を上げよう」とか「12月15日に文化庁や国会の前でアーツパーフォーマンスをやって、自分らの意見をアピールしようぜ」とか、そんな声はまったく聞こえない。

凄く、すごおおおおおく、不思議なんですね。「文化庁のサーバーをパンクさせるくらいのメールを送ろう!」なんて勢いのメールは若い人たちからいくつも来るのだから、「文化庁の前でデモしよう!」なんて計画を進めるアホな若手アーツ関係者がいたっておかしくなかろーに。

アーツ、それも身体性と肉体性に直接語りかけるパーフォーミング・アーツをやってる方々だったら、「国会をパーフォーマンスの渦で取り巻こうぜ!」ってな学祭ノリのお祭りを始めるんじゃないか、小生らはおとなしいクラシック音楽の子達が引っ張り込まれるのに冷や水をかけ憎まれる役回りになるんじゃないか――この騒動が始まった頃には、そんな風にも思っていた。
なんせ、パーフォーミングアーツやってる奴らってのは、「人がそこにいて何かをする」ということに己の全存在をかけてる連中だもん、体が実際にそこにあり、何かをする、ということが引き起こすインパクトについては、誰よりも知ってる筈だもん。

だけど、そんな肉体的行動の誘いは、まるっきりないみたい。小生のようなオッサンらには情報が来ないだけなのかしら。

なんにせよ、舞台芸術関係者によるデモ行進が予定されている、などという情報をお持ちの方は、是非ともたれ込んで下さい。宜しくお願いします。もしやるんなら、その日はアホの交響曲の日本初演(うううん、出来過ぎた冗談だ…)を溜池で聴く予定なんだけど、文化庁にせよ国会にせよ直ぐ近くだもん、小生も顔を出しますよ。

ついでに言えば、もうひとつ不思議なのは、今時はオケみたいなある程度以上に組織がきちんとした団体には、友の会とかサポーター制度があるのに、「俺たちのオケを仕分けの補助金カットからまもれ!」という聴衆の声がまるっきり挙がってくる気配がないこと。先週末の中島公園では「札響を守れ」なんて聴衆の署名運動があったりしたのかしら?サントリーホール前では連日文化庁への嘆願書著名活動が続いていたりするのかしら?だって、素っ頓狂な理論での暴走をウリとする大阪府知事さんがオケなんて要らない騒動を起こしたときは、あれだけ全国規模で盛り上がったじゃないの。今、あの事態に匹敵しかねぬことが、全オーケストラ規模で起きようとしているのに。

やっぱり「市や区が相手だと相手がはっきりして闘えるが、御上相手だと闘いようがない」ということなんかしらねぇ。

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北

「ついで」の方にコメントいたしたく、書き込みます。

オーケストラの定期会員からすると「気がつかないから」動かない、
という一言に尽きるでしょう。
センチュリー響の場合はカット額、およびそれがオーケストラ運営にしめる割合が数字で示されたため、受け手も具体的なイメージを持つことができました。

しかし今回は、たとえば都響なら毎年1月は助成公演である旨パンフレットに1行載っている、そもそもそれに気がつく定期会員が何人いるのか。

気がついても、それがなくなると具体的にどうなるのか、イメージが浮かばない。
年間9公演が8公演になるのか、それとも現代曲なんて客の入らないプログラムがなくなって名曲コンサートになるだけなのか、わからない。

もっと踏み込むと、助成がなくなるとオーケストラの運営にどの程度のインパクトがあるのか、わからない。
これは個人が事務局にアポイントを取って教えて貰おうとしても無理でしょう。事務局側の対応工数や数字を外部に出すリスクを考えると。
だからそれなりの信用に裏付けれれた団体、たとえば都響でいうなら都響倶楽部が動かねば何も開示されない。

危機が数字として具体的な形で目の前に姿を現すまで人は動きません。
個人では情報を引き出すことができないので傍観、というところです。


ここからは余計なことになるのですが、仕分けは問題提起であって、予算折衝は従来通り行われます(伝聞です)。ナントカ団体が中間搾取していないか、同じような施策と統合できないかという点で査定が無茶苦茶厳しくなる結果、末端に落ちる金はずいぶん減るかもしれませんが。

「助成効果を検証していますか?」と尋ねられた時点で答えられずアウト、かもしれません。都響倶楽部に入らない「素定期会員」…素うどんみたいなもんですか…にはそんな情報すら与えられない。のんびりしているといえばのんびりしています。NPOじゃないですから収支報告なんて不要でしょうけど。



こんなリンクを貼るのはいけないのかもしれませんが、
「枝野議員の事業仕分けと予算編成のオープンミーティングの文字起こしをしました」
を一読いただくと行動へのとっかかりがつかめるかもしれません。
http://d.hatena.ne.jp/zakinco/20091202
やくぺん先生に向けてではないです(すみません)。けど、誰にどういう手法で何を訴えるとどういう効果があるか、考えるご参考になれば。

長々と失礼しました。
by 北 (2009-12-13 14:54) 

Yakupen

北さま、コメント、有り難うございます。当私設電子壁新聞は、このように勝手な意見を流し合うために存在しているようなもんですので、いただいたようなご意見及び仕分けのテープ起こしデータの公開など、どんどんやっていただきたいものです。

ええ、ぶっちゃけた話、小生、来る週の後半くらいに、「仕分け」を巡る議論の仕切りをせねばならない可能性が出て来ているのです。そのためにも、皆々様のご意見をどんどんいただきたいのでありますよ。

今回の騒動は、普通に考えればやたらと動きが急な話ですので、多くの方々はあれよあれよと吃驚している、ってのが本音なんでしょうねぇ。オケの事務局や広報にしても、ともかく文化庁に向かって騒ぐのが先で、定期会員や一般聴衆に向けてのアピールはその後、ってくらいのタイミングなのでしょう。

話はずれますが…大手メディアは「政権交代したのに何にも進まない」と煽り立てているようだけど、現場や一般庶民からすれば充分に事態は急変している。その辺りのメディアと庶民の意識や感覚のズレは、この先に危険なことにならないと良いんですけどね。ホントに危険な輩は、メディアが見捨てられたときを見計らって登場してくるわけですから。

by Yakupen (2009-12-13 15:11) 

関西の者ですが

全くの素人ですが。
上の北氏も言及されていますが、
京都市交響楽団の定期演奏会に行ったら、
大阪センチュリー交響楽団が署名のお願い活動を
していたのを見ました。
去年の4月くらいでしたか。

そういうものかと思って端から見ていましたが、
あれはかなり特殊だったということなんでしょうか。
問題を分かりやすく提示してくれた
府知事に感謝しなければいけないですかね……
by 関西の者ですが (2009-12-13 16:58) 

Minochan

 今回の公的助成の問題、直接恩恵に預かれない私立ホールの動きも鈍いです。公益法人ではない、営利企業が運営しているところは、まっかっかの赤字公演だって、お上のお金はもらえない。根っからの私立育ちはそこで胸張って(食わねど高楊枝で)、チケット売りに邁進し、スポンサー獲得に奔走する。
とはいえ、多くの私立ホールは貸し小屋もやっているわけで、今回の問題は、助成無しには成り立たない多くのオーケストラ公演が、ホールから消えていく序曲でもあります。
 ホールの使用料は、どこのホールのウェブサイトにも載ってますから、単純にそのホールの席数で割ってみると、いわゆる席単価がでます。それが公演チケット料金に比してどれくらいの割合になるか、一度計算してみると、愕然としますよ。
 フランチャイズだって、主催公演だって、ホール代を経費計上するのが、今や常識。某NPOで必死で助成金申請で頑張って、年間ベースでかき集めた金額が、年間ホールに払っている金額とほぼおんなじだったことがあって、「わしゃー、ホールに稼がせるために毎晩徹夜しとったんか…」と呆然としたことがあります。
 えー、何を言いたいかというと、私立ホールも、貸しホール収入の激減という形でどーんと影響が出るのが目前に迫ってきた危機感を覚えないといけないなあ、ということなんです。でも、これって、説明するの難しそうだ…。
by Minochan (2009-12-13 20:11) 

Katchin

 北の大地、中島公園のホールでの定期演奏会(この金・土)では、2時間半に及ぶ長大な公演の後、指揮者(広上さん)がマイクをとり、事業仕分けの動きから「音のレストラン」としてのオーケストラを守るために市民の声を、という趣旨の演説をされました(その後にアンコールを演奏)。具体的に文科省にメールを、とまでは言っていませんが。
 きょうの午後の溜池では、特に何もありませんでしたが、ま、小澤さんは「小澤、小沢を訪ねる」という動きをしていますしね。
 オケ関係で回っているメールですが、いくつかのバージョンがあるようで、国営放送オケ方面からの文面は趣旨がわかりやすい表現になっているようです。

 こちら、先週は、日経の記事などをもとに学生たちと事業仕分けについて議論し、今週はそのゼミにオケ奏者を招き、学生たちに事業仕分けや楽器の機内持ち込みについて、お話しをしていただくことにしております。
by Katchin (2009-12-13 22:55) 

Yakupen

Katchin様

流石、オケ関係は動きが迅速ですね。それだけ組織がある、ということなんでしょうし、それなりに圧力団体としても活動出来るし、正に小澤氏などにすればこういうときの動き方は良く知っている。

ある程度以上大きく、世間がどう思おうがそれなりにきちんとした組織で、サポーターのシステムもあるオーケストラみたいなところはいろいろな方法があるでしょう。今度の騒動で最も直接的に影響を受けるのは、もっと小さな劇団やら舞踏団、個人の研究渡航助成などのカットなのでしょう。日本のように民間助成システムが実質上成り立っていない社会は、80年代の終わり頃から、実質的に御上の助成が留学やら海外公演やら国内ツアーのスポンサー、という状況が出来てしまっている。それがなくなるのが大きな問題なんですね。

この1週間ほどで、この事態にどう対応できるかが業種によっていろいろ違うことも判ってきて、それはそれで興味深いことであります。オケ連なんてのは、こういうときのために存在している、といえばそれまでですからね。

by Yakupen (2009-12-14 00:31) 

hyamada

仕分けの対象となっている「子どもの優れた舞台芸術体験事業(本物の舞台芸術体験事業)」の平成21年度の採択事業で、たとえば、九州地区の小中学校への訪問オーケストラを見てみれば、東京ニューシティ(21公演、熊本、福岡、長崎、佐賀)、セントラル愛知(19公演、熊本、長崎、福岡、佐賀)、東京フィル(10公演、大分、沖縄、宮崎、鹿児島)、神奈川フィル(17公演、宮崎、沖縄、鹿児島、大分)となっていて、激しく突っ込みをいれたくなります。九州には、九州交響楽団や琉球交響楽団があるのに。。。あるいは、中部フィル(25公演)が横浜や川崎の小学校を訪問したり。。。学校訪問自体は素晴らしいことですが、今のやり方では無駄が多いと言われても仕方ありません。こうことをしていると、「国ではなく地方がやるべきこと」と言われてしまうのも当然です。
by hyamada (2009-12-14 02:37) 

Yakupen

Hyamada様

突然降ってわいた仕分け騒動の最も面倒な点は、「誰の視点で考えるか」でまるっきり違って見えることにあります。オケ連側の「日本のオーケストラを潰す」というおそろしく煽った形容詞も、ひとつの見方としか言いようがないですし。

なんにせよ、問題を整理するのが我々の商売だと思いますので、この週末は宜しくお願いしますです。具体的データ、出来るだけご用意を。

おお、個人メールだ。

by Yakupen (2009-12-14 10:31) 

出帆竹

「来る週の後半くらいに、「仕分け」を巡る議論の仕切りを」なさる場というのを告知していただければ幸いです。

by 出帆竹 (2009-12-14 18:04) 

Yakupen

出帆竹様

今、アホさんの話を聞いて戻ってきました。フィンランドの話は夢物語です。で、このちょっろっと記したことですが、某出版物に掲載する識者懇談会で、公開のものではないのですよ。実際にやれるか、ちょっと微妙なところで、無事にやれたらご案内いたします。半端なこと書いてスイマセンです。
by Yakupen (2009-12-14 19:40) 

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