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フィンランドの場合~アホ氏は語る [現代音楽]

本日、フィンランド大使館で作曲家アホ氏の講演会が行われました。オープンなものではなく、作曲家、関係者、記者、ジャーナリスト、評論家らを相手とした小規模な会。会議室で親密な空気の中で開催されました。長老作曲家T.I氏、現代日本を代表する世界的作曲家H氏の両巨頭、初夏にルーマニアにご一緒したブロックフレーテの鈴木氏、などなど、錚々たる顔ぶれでありました。なんせ、アホ氏の隣に座ってるフィンランド大使館文科担当官にしてからが、かのシベリウスQのチェロ奏者だもんねぇ。アホさんはこんな人。その辺に落ちてた写真。今はもうちょっと痩せてます。なんか、中学の社会の先生みたいな、じみぃな感じの方です。
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で、明日、読響が日本初演するチャペックの『虫の生活』を台本とするアホ氏のオペラ「虫」をベースにした第7交響曲の音を交えた説明などがあった後、質疑応答で、些か場違いになりかねない質問をさせていただきました。こんなへっぽこ私設電子壁新聞ですけど、個人的に話をして出て来た内容みたいなもんですので、敢えて上げさせていただきます。

質問というのは、「アホさんはフィンランド政府から芸術活動に補助金などを貰ってるんでしょうか」という身も蓋もないもんです。そりゃ、あたしだってこんなみっともない質問、人前でしたくないですよ。後のパーティで個人的に尋ねようと思ってたんです。でも、やっぱり今、ここにいる同業者や作曲家、演奏家さんにとっては他人事じゃなかろうなぁ、と恥をかいたわけです。

で、以下がアホ氏のお応え。全く素直に、なんの衒いもなくご返答いただけました。それどころか、後半からは大使館の文科担当官さんが補足までしてくれました。

「フィンランドではとても良い政府からのサポートがあります。国家が芸術家、音楽家に1年から5年の補助金を出しています。私は幸いにもこのようなグラントを貰える最後の世代になると思うのですが、15年の長い間、毎月1300ユーロ貰っています。とてもラッキーです。こんなに長い間貰えなくても、1年でも3年でも貰えれば、その間に音楽活動に集中出来ることが出来る良いシステムだと思っています。(アホ)」

「オーケストラの事を付け加えれば、30パーセントが国家が出し、40パーセントが自治体、残りの20パーセントがチケット売り上げです。フィンランドのオーケストラの場合、国のサポートがなければオーケストラは存在できないと思います。 ちなみに、人口500万人のフィンランドに、プロフェッショナルとして活動するオーケストラが29あります。これを人口比率で割ると、日本には700以上のオーケストラがなければいけないことになってしまいます。 今年は我が国も経済危機に見舞われました。それで、フィンランド政府は音楽関係の補助金を増やしました。想像力と、クリエイティブな産業はフィンランドの将来を支えると考えているからです。(フィンランド大使館文化担当官)」

居並ぶ関係者からは、もうこりゃあ話にならんわい、って感じの「苦笑」というか、溜息があがっておりましたとさ。

以上、日本国の現状にはなんの参考にもならん話でした。

それにしても、どうして世界各地から文化芸術関係者がフィンランドに雪崩をうって亡命しないのだろーか?小生と嫁さんは、受け入れて下さると仰って下さるなら、この瞬間にも日本国を捨てフィンランドに亡命したいんですけど。やっぱ寒すぎるのか、言葉が難しすぎるのか。

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Minochan

 読みながら、「フィンランドに引っ越したいわぁ」と思っていたら、ずばり、最後にそう書いてありました。でも、ことばがなあ…。昔むかし、渡邊暁雄さんが、「世界で一番難しいことば」とおっしゃっていました。
by Minochan (2009-12-15 08:21) 

teke

「フィンランドは頭がいいなあ」と思いつつ、とある東北地方で、スクール・コンサートのお願いをされて訪ねていったところ、予算がなくてスポーツ関係の助成金から謝礼が出たそうです。
そしてお花を調達する予算もなく、学校の水田で収穫されたお米5キロをドレス姿でいただいたとか…

これが、地方の現実です。フィンランドで仕事をしたい…
by teke (2009-12-15 12:43) 

宮川正雪

都内オーケストラでヴァイオリンを弾いております。現在各ジャンルで<仕分け>による国の補助金削減/打ち切りの問題が浮上しており、音楽事業でもオーケストラの運営に危機をもたらしています。このため嘆願書提出のお願いをたくさんの知人に出し、たくさんの協力を戴きました。
「風が吹けば桶屋が儲かる」と言われますが、こんな時代だからこそ、国が風を送り、桶屋を儲けさせて、人を豊かにし、ひいては国を富ませる。それこそが政治ではないでしょうか。このまま進めばいずれ政治家は誰のために政治をするのか?となるのではないでしょうか。
素敵な話題をありがとうございました。
by 宮川正雪 (2009-12-16 01:00) 

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