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卒業 [音楽業界]

本日2010年3月31日をもって、東京お茶の水のカザルスホールが、閉館となります。この後も、日本大学内の演奏会で使用される予定はあるそうですが、音楽ホールとしての公的な活動はオシマイです。

某音楽雑誌から、「カザルスホール最後の日」のレポートを書くよう求められ、今日は朝から詰める予定だったのですが、現場担当のプロデューサー氏から、今日は裏がものすごくバタバタするので取材はダメ、と断られました(大手メディアはみんな最後は大好き!)。てなわけで、まだ厄偏庵にいるわけであります。とはいえ、最後の公演のレポートはなんと2誌から依頼されているので、本番だけは参ります。

某音楽雑誌へのレポートは、編集長と話し合った結果、「カザルスホール2010年3月」というものにすることにしました。ホールがなんかの拍子に公共的な空間になった瞬間から、その場所に対する思い入れは、オーナーや、スタッフや、はたまた舞台上で演奏する演奏家だけの専有物ではなくなる。カザルスホールがそんな稀有なモノになれたのであれば、様々な「サヨナラ」が記されねばならない。その意味では、本日の取材オフリミットという措置は、小生にとっては結果的に記事の視点を広げることになったわけですから、有り難かったと言わざるをえないでしょう。

とにもかくにも、これで「卒業」できる。なんだか尾崎ゆたかチックな青臭さプンプンだけどさ。

この空間がなくなっても、世界には「カザルスホール」を標榜する、標榜すべき、空間はたくさんある。ツェルマットにサル・カザルスがあるし、バルセロナのえーちゃんが本拠地とする新ホールも、バルセロナ郊外のサン・サルバドールの旧カザルス邸美術館のオーディトリアムも、サル・カザルス。先週足を運んだマドリッド王宮内の演奏会場だって、若きカザルスが何度も弾いて「サル・カザルス」に相応しい。
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じゃあ、あのお茶の水の空間は、何だったのかしら?なぜ「カザルスホール」だったのかしら?

ともかく、最後までいろいろなことを教えてくれ、いろいろ考えさせてくれた場所から、みんなで卒業。さらばとは、敢えて言わない。

最後の最後に、カザルスホールの開演ベル、サヌカイトの響きの後半のみ。前半の「鳥の歌」冒頭は、皆様の脳内で鳴らして下さい。


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北

いまここに書き込むこともはばかられるのですが…いち聴衆として失礼いたします。


音楽を聴き始めたばかりで上京し右も左もわからない私にとって、ちょうど開館したカザルスホールは「学び舎」でした。タリス・スコラーズの演奏中に地下駐車場からドーンと大音響が響いたり、「プラテーロとわたし」のクライマックス、まさに涙ちょちょぎれシーンでポケベルの一撃!が下ったりしましたが、それも昔話です。


なぜ「カザルスホール」だったのか、と問われると、「投げかけに対し自分の引き出しをぜんぶひっくり返し材料をかき集め全力で答案を書く、そうしたくなる、そうしなければいてもたってもいられない場だったから」としか答えようがありません。私には。

だって、カザルスの演奏って、そうなんだもん。



~~~~~~
ホール左隣にあった建物内のチケットカウンター?で発券を待つ間、右手のチラシ棚やたしか左手にあったCD棚を見てましたが、あのCDは誰がどういう考えで選んだんですかね。出演者の録音が多いのはわかりましたが、なんだかビミョーに濃い趣味性が発揮されていたような気がします。
まあ、謎は謎のままにしといたほうがいいこともありますので…

失礼しました。
by 北 (2010-03-31 23:57) 

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