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耳を休める日 [たびの空]

今回のバンフ国際弦楽四重奏コンクールは、有り難いことに中休みが1日あります。世界のメイジャーな弦楽四重奏コンクールの中で、大阪とかミュンヘンみたいに他にいろんなことをいっぱいやってるんで結果として弦楽四重奏部門だけが続けてやってられない大会はともかく、他のどの大会も審査が始まると普通はぶっ続け。なんせ、コンクールというのは審査員さんの足止め期間が長くなりますから、どうしてもさっさと済まさざるを得ない。経費の問題もあるし、なにもしない休みの日なんて入れたくないんですね、運営側とすれば。

理由はどうあれ、ともかくお休みの1日。400人を越えるバンフ芸術センターに住み込んでる聴衆共は、朝からピーカンに晴れ渡り、20度くらいにまでなるというレイバーディ前の最後の観光シーズンの木曜日に、カナディアン・ロッキー観光に乗り出します。聴衆の半分ほどを占める杖がないと歩行がしんどいような方々には、手近なセンター内のガイドツアーが用意されていたようでした。

んで、やくぺん先生らも、もう隠してもしょうがないんでぶっちゃけて言っちゃえば、来年の2月にエクを招聘するホノルル楽友協会のディレクターさんのレンタカーに詰め込ませて貰って、バンフ芸術センターから車で1時間弱くらいロッキーに入った、レイク・ルイーズなりに繰り出したわけであります。途中のあちこちで商売の話になるのは仕方ないにしても、基本はお休み。

世界に冠たる観光地、レイク・ルイーズは、もうこんな電子壁新聞で写真を貼りつけるのも恥ずかしいようなメイジャーな場所。ほれ、ここ。航空会社のカレンダーなんかの定番でしょ。
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この場所で驚いたのは、静けさです。人はそれなりにいても、湖に沿って奥の方までテクテクと歩いて行って、じーっと立ってると、なんの音もしない。湖なのに魚の刎ねる音もしないし、水が動く音もしない。鳥の鳴く声すらない。勿論、中国やヴェトナムの観光地だったら平気でやっちゃうでっかい音でのBGMなんかもあるわけない。

こんな絵葉書のような光の中、ジャブジャブ観光客がいるというのに、耳が痛くなるような静寂に浸れる有名観光地なんて、世界のどこにもないんじゃないかしら。静寂を破るのは、自分の出す声だけなんだから。

連日山のように弦楽四重奏の音符を聞いている耳が、実はかなり熱くなってる、物理的に軽い炎症を起こしているのがよーくわかる静けさ。遮音室の中にいると感じるような、静寂の圧力。

それと判ってこんな日を設けてくれたのなら、バンフのスタッフは相当にものが判ってるなぁ。

静けさを堪能し、車寄せに戻る湖添いの道で出会った小さな生き物たち。まずは、手乗り栗鼠。
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レイク・ルイーズの入りっぱたにいて、愛嬌を振りまいてます。これ、センター裏の崖にいる奴らとは違うんじゃないかしら。栗鼠評論家さん、教えてちょ。

鳥も通わぬ、メシアンだったら退屈で死んでしまいそうな場所に辛うじているちいさな鳥たちは、こんなもの。
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ジュグジュグジュグ、って雀とは随分違う鳴き声なんだけど、ま、鶸の類であります。なにせ湖に魚がいないので、水鳥も、猛禽類もいない。こりゃ、栗鼠には天国だなぁ。

なお、バンフの街では、21世紀に入って数が増えすぎてしまい街を我が物顔で闊歩して人類の交通に支障を来すまでになってしまったエルクたちを、平和裏に市外に追い出す作戦を敢行したそうな。その御陰で、なんでしょうねぇ、バンフに来始めた頃はあちこちで出会ったエルクの群れには、未だ出会っておりません。ま、交通事故で死なれるのはイヤだもんね。

さても、本日は委嘱新作デー。カナダの作曲家アナ・ソコロヴィッチの新作を9団体が続けて演奏します。センターに住み込む世界中から集まった室内楽オタク共にすれば、夜のバンフ卒業生によるガラの方が御馳走、かな。

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