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大阪のオバチャンの優雅な真昼 [音楽業界]

昨日、大阪はいずみホールで、我らが東京下町墨田の首席オーボエにして浪花のプリンスの業界就職20周年記念演奏会が賑々しく開催されました。
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開演は昼の11時半、所謂「ランチタイム・コンサート」です。思えば今を去ること24年前、カザルスホールがティータイム・コンサートを始めるときは、こんな時間に演奏会やって客が来るのか、と盛んに言われたものでありましたが、カザルスホールの夜の開演時間が8時で遅すぎて帰れないと音楽業界関係者から非難を浴びていたこともあってか、あまり派手に論じられることもなかった。結果として、なんとか定着し、今や浪花のエンペラーたる作曲家の西村氏のスター性を発掘することにもなった歴史的に重要な演奏会となっておるなぁ。

もとい、で、21世紀になって、ウィークデイ夜の演奏会に人が入らない現象がはっきりして以来、そういえば日本の興行は歌舞伎でも大衆演劇でも平日は午前中からやるのが常識ではなかったか、と急に思い出したかのようにあちこちのホールが盛んにこれでもかと昼前や午後のコンサートを始めた。
関西圏でも、オケマンの雇用問題というオーケストラにとって最大の難問をあっさりスルーする常設ユースオケという頭の良いやり方を採用した兵庫のアーツセンターなど、定期演奏会やオペラ公演の殆どが昼間で、阪急沿線のハイソなお客様を集めている。
このいずみホールのランチタイムコンサートも、大阪ではオバチャン達に大人気の日下部先生を司会者に迎え(東京にはどこをどう探しても同じキャラの人がいません。評論家のOさんがもうちょっとメディア露出を増やして、日下部先生みたいな感じに大成するのを期待しているのだけど)、もう77回目になるそうです。カザルスのティータイムコンサートって、結局、何回続いたんだっけねぇ。
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開演前から伊丹空港アプローチを眺めるいずみホール前に関西のオバチャマが溢れる。オッサンは、まあ、多く勘定しても1割いないでしょう。無論、こんな時間なんだから、普通に働いてるサラリーマンやらOLなんぞはいる筈もない。珍しく若い女性がいるなぁ、と思ったら、某大手新聞文化部の新しい記者さんでした。そう、某A新聞の元東京文化部音楽記者、今は関西でデスクとなった大物氏も来てたし、普通は評論家や記者は来ない昼間のコンサートには珍しい風景だった。無論、いずみホールは左右のバルコニー席の隅っこまで人が座っていて、ホントにパッツンパッツン状態です。こんなにはじめてみたぞ。スタッフも忙しそうに働いてます。

さても、我らがオーボエの貴公子、考えてみたらこういう室内楽リサイタルって、それこそカザルスの長谷工シリーズで聴いて以来じゃないかしら。
終演後の楽屋で、「いずみホールでモーツァルトのオーボエ四重奏やるのは、カザルスで弾く直前にやらせて貰って以来かな。あのときはもうがちがちで、自分でなにやったか全然覚えてなかったよ」と苦笑するプリンス。故郷の音楽家との合わせはそれほど時間がなかったそうですが(なんせ土曜日にはメッツマヒャー祭りでアイヴス吹いてたわけだもん)、相手の音楽をみて、そこに自分の音楽を自由に乗っけていく姿は、もうプリンスというよりもキングですなぁ。ブリテンはもっと時間があればいろいろやれたんだろうけど、モーツァルトはあれはあれでありだし、お昼御飯前には丁度良い音楽だったんじゃないかしらね。

前半の中野チェンバロ皇太子(やっぱり日本でのチェンバロ王の称号は道夫先生でありましょーぞ)との共演と合わせ、充分にタップリした演奏会に、日下部先生のなんとも際どいこと喋ってるのにちっとも危なげに聞こえない不思議な味わいの巨匠トークを挟みつつ、終わってみればもう1時前。楽屋に顔を出しひゅーひゅーと囃し立て、じゃあ飯でも、と某新聞記者さんと裏のホテルに向かえば、おおお、一足先にいずみホールを出たオバチャマたちでどこも満席。溢れた方々が待ってる状態です。
大阪のランチとすればそれなりにいいお値段なので、普段はビジネス客のパワーランチ用でそんなに混んでない場所なんだけど、麗しい会場での麗しい音楽の後は、麗しいホテルのランチをいただきましょ、ってことなのか、今日はオバチャンらの嬌声で溢れてら。

なーるほどねぇ、まるでヴィーンみたいないずみホールに行き、大阪出身で日本一上手なイケメン奏者のモーツァルトを聴き、高級ホテルでゆっくりとランチ。これが2011年秋の大阪のオバチャンの最も優雅な昼間の時間の過ごし方なんでんなぁ。

大阪城を挟んだ反対側でなにやらいろいろ騒いでらっしゃるブンカ嫌いの知事さん、大阪のオバチャン有権者ら、しっかりブンカ消費してまっせぇ。

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