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社交の世界 [音楽業界]

なんせ昨晩は、午後7時に始まったカザルスQの演奏会が実質フルコンサートで、途中の休憩を短めにしたとはいえショスタコの9番の演奏が終わったのが7時25分。地下の円形小ホールから駆け上がって、予想通り壮大にごった返している招待券受け付けに列を作る。と、混雑するロビーにこんな方もいらしてて、どーもどーもとご挨拶したり。
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パリの方はドイツや日本とは違い周囲がどーであれ自分の都合を延々と言い立てます。だから開演5分前というのに、列は全然短くならない。もう開演時間になった頃にやっと切符をいただけたと思ったら、横で列を邪魔するみたいに立ってたオバチャンに「あなたはひとりなんだから、もう1枚余ってないの」と突っ込まれる(なるほど、コンサートにひとりで来ることはない、ってのがやっぱり前提なんだなぁ)。なんなんだい。
んで、慌てて音楽ホールの座席に向かうと、これまたパリでは当然のことながら、開演時間を過ぎたら良い席が空いてれば誰かがどっかから来てちゃっかり座ってる。で、動かすのも面倒なので、後ろに立ってればいいや、と腹を据えたら、目の前をプロカルテットのザイゼル総裁がやっぱりご遅刻。いつものように飄飄と歩いてて、「おげんき~」と遠くを見るような目でお馴染みの脱力系のしゃべり方。このあとハイデルベルクにアマリリスQにインタビューしにいくんで、ここは明日までなんですよ、と応えると、「おお、我が可愛い子ども達、良い子達…」と呟いて、再び遠くを見るような目をして去って行きましたとさ。なんせ、メルボルンの審査員さんだもんね。

かくて5分押しくらいで始まった今回のクァルテット・ビエンナーレのハイライト、クロノスQのコンサートは延々と続き、終わったら深夜の11時をまわってました。

ステージで起きたことは商売モンなんでここでは記せませんけど、面白いのは客席です。1階平土間の真ん中に、どかんと、正に文字通りどかんと、ヴォルフガング・リーム御大がお座りであります。周囲にお付きの者もはべらせておられます。で、その前に業界関係者が列を作り、挨拶をしておいでです。演奏家関係は無論のこと(ガースのお姿を久しぶりに見たです、あたしゃヴィオラ・スペースはとんと無縁なもので)、ソニア・ジメナウアーおばさま以下、小生も誰かが判るような業界関係者がご挨拶をしている。ほれ、完全にパパラッチだなぁ。誰が誰かは敢えて説明しませんが、真ん中に大きく写ってるオッサンは関係ありません。向こうに向けて歩いて行くのが誰かも、お判りでしょ。リーム御大がどれかは、知りたかったらグーグルの写真検索でもしてご覧なさい。ホルス・シュタイン風、ってば判るかな。
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結局、こういうライブでの演奏会というのは、演奏を聴くのも重要だけど、いかにもこの場所にいそうな人に会う、ということの方が遙かに大切なんだなぁ、とあらためて思うです。パリで長く働くある日本人演奏家さんが、「パリのお客さん、音楽は好きじゃないから」とぼそっと仰ったことがある。たしかに、それは一面真理なんでしょーねぇ。

ちなみに、ちょっとだけ中身について触れれば、問題のライヒの「WTC911」パリ初演は、驚く程あっさりと流した感じでした。この曲、ライブで聴くと、ディスクやNHKでやったドキュメンタリーみたいに言葉がハッキリは聴き取れません。第1部ですら言葉というよりも響きになってしまいます。エンジニアがいて、リハーサルをきっちりやってのことだろうから、意図的なんでしょうねぇ。
それから、リームをクロノス様式で大丈夫なのか、とアホな心配をしたわけですけど、この第7番というのはクロノスQのために書かれたもので、その前の6番の乱暴な響きに溢れかえった音楽とはちょっと違うものでした。ウッドブロックがじゃんじゃん出て来たり、それまでの6曲とは相当に違います(アーヴィンなら、あれはピチカートの種類を違えればやれるから必要ない、と言いそうだなぁ)。リームの作品、アンプリファイした方が無理がないんじゃないか、と思えたのは収穫でした。

てなわけで、パリはあと1日。今日はディオティマが2曲、そしてアーヴィン社長の会社が新作をやります。ディオティマは売り切れだけど、お暇ならパリの北千住までどーぞ。どーゆーわけか、リームの13番の世界初演のあとに、エベーヌQがチャイコフスキーやりますでぇ。なんなんねん。

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