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宣伝:ダニエル・ベルの大阪リサイタル [演奏家]

忙しいので宣伝のみ。

ええと、今、溜池に滞在してベートーヴェンの弦楽四重奏全曲演奏会をやってるヘンシェルQの新メンバーで、スコットランド出身でマーラー・ユース(だったと思う)のコンマスとかを経て、今世紀に入ってからアルテミスQ騒動の余波で取り潰しになるまでのペーターセンQで第2ヴァイオリンを勤め、その後の2シーズンはベルリンフィルの第2ヴァイオリン正規団員として過ごしたものの、やっぱり室内楽の世界が性に合っていると、故郷BBCスコティッシュ管のコンマスの誘いなんぞも蹴って弦楽四重奏界に復帰したダニエル・ベルさんが、7月27日金曜日に大阪はモーツァルトサロンでモーツァルトの大作ふたつを掲げたヴァイオリンとピアノのデュオのコンサートを行います。こちら。
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http://music-kansai.net/manage13.html
え、また何しに来るの、って思うかもしれないけど、ダニエル君、奥さんが日本人で、子供の里帰りもあってちょこちょこ日本に来てるんです。樫本たいしんのベルリンフィル・アンサンブルでもセカンドで日本に来てたし。今回は真剣勝負なんで家族はベルリンに置いてきてますけど(まだミュンヘンには引っ越してないそうな、ミュンヘンは物価が高いからねぇ)。

ちなみにヘンシェルQのサイクル、土曜日は空前の超絶名演。それも妙なことは一切していない、真っ向からベートーヴェンと勝負した今時珍しいマニュエリズムの欠片もない正統派。なによりも、今時の流行の古楽も、今時の若手のほぼ全員が影響されているピヒラー流もない、20世紀前半のドイツ・タイプ。敢えて言えば、「21世紀のドイツ型アマデウス流派」です。ま、完全に独立系。だって、ホントの意味では誰にも習ってない、家庭でアンサンブルやって30数年、って連中ですから。ともかく、プロ連中がクリストフの次から次へと繰り出すぶっちぎれギリギリの弓にビックリして魅了され、ダニエルのどんなことが起きても動じない盤石のセカンドに驚き、モニカのどっしり構えた司令塔っぷりに感嘆し、マティアスの繰り出す爆裂的なバスの響きに目を剥いております。昨年のパシフィカの一種のスポーツ的な快感とはまったく正反対の、無骨この上ない、でも圧倒的なパワーの大真面目なベートーヴェン。

蛇足ながら、ヘンシェルQが今、溜池でやってるサイクルがちょっと空前なのは、どの演奏会も「捨て曲」を作ってないことです。ライブ、特に室内楽のライブに慣れ親しんだ方は、高名な演奏家が集まって3日くらいで合わせたアンサンブル曲の演奏会などでは、必ず「捨て曲」があるのはご存じでしょう。つまり、ハイドンと現代曲とベートーヴェン、ってコンサートがあった場合、往々にしてハイドンは捨てられる。ま、ともかく、2時間のコンサートを作るのが現代の常識なので、一応、3曲やるけど、実際にきっちり曲として人前に出せるまでいってるのは最後の曲だけで、現代曲はともかく通るくらいにはしてある。それがまあ、だいたいの常識です。
ところが今回のヘンシェルのサイクル、これまで1曲として捨てた曲がありません。プロとして当たり前、といえばそれまでだけど、室内楽は指揮者がいるオーケストラとはまるでやってることの質が違う。これだけ短期集中で異なる楽譜を処理するときには、とてもじゃないが全部の曲に必要なエネルギーを均等に使うなど不可能で、良くも悪くも演目によってメリハリを付けてくるわけですね。昨年のパシフィカQのウルトラ集中型サイクルは、ある意味、そのバランスがとても上手だった。だけど、今やってるヘンシェルは、もうバカみたいに徹頭徹尾、全部、ちゃんと作ってきます。これ、驚異ですよ。こいつらは化け物か、って感じ。プロの演奏家ならよーく判る筈。

さても、そんなこんなの東京は溜池までは来られない関西の方は、是非、来月末の大阪はキタにどうぞ。来週頭にヨーロッパに戻り、まずは新しく大学レジデンシィになったルクセンブルク国立大学に行き、それからいつものゼーリゲンシュタット音楽祭(今年のゲストはダネルQだそうな)をやって、ブカレストで開催されるチェリビダッケ生誕100年フェスティバルに公式ゲストとして招かれ(シュトゥットガルト放送響首席ヴィオラだったヘンシェル家にチェリビダッケ夫妻が居候していた時期があり、ヘンシェル家の子供らはチェリおじさんからアンサンブルを仕込まれ、クリストフ君は「お前は指揮者になれ」と命令されたそうな!)、それからやっと夏休みになってダニエルは大阪に来られるとのこと。いやはや、お忙しいこってす。

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