SSブログ

機内湿度人体実験 [たびの空]

月曜深夜(ってか、火曜早朝)の羽田ですわ787機材故障か、って緊張が走ったものの(シアトル・ペンフィールドに次いで世界でいちばんいっぱい交代部品が揃ってる空港で良かった。羽田じゃなけりゃ欠航もあり得たんじゃないか)、なんとか1時間遅れで午前2時に羽田をCランを海側に向かって離陸。へえ、深夜はDランのみ、ってわけじゃないのね。何事もなかったかのように横須賀上空でぐるううっと北に向いて、日本列島を横断し、ロシア沿海州に上陸。満月までもう一歩の月夜をシベリア中央部を延々と横断。
012.JPG
どうも昨日来、高緯度地方に強い西風でも吹いているのか、太平洋横断もシベリア横断も随分と南の道を通ってるぞ。がっつり4時間ほど寝て、月夜に光るウラル山脈を眺め、人権派弁護士があれよあれよと市長選挙に担ぎ出されるウルトラパターン化されたギャク満載の韓国映画を眺め(こういうみんなが喧嘩してるみたいなコメディ、得意だなぁ、この文化圏は)、ペテルスブルク上空を過ぎるとヨーロッパは曇り空。ベルリンもライプツィヒも厚い雲の下で、朝の6時半過ぎにフランクフルトのICE駅の向こうに昨年くらいに出来た新しい短い滑走路の方に着陸。
018.JPG
なるほど、787だとこっちにも下りられるんだ。

結果としてヨーロッパ入国が遠隔地からの国際線到着ハイタイムとなって、いつもなら殆ど駆け抜けられるようなイミグレーションが大混乱。30分以上を費やす。いったいどこの国じゃ、ってアフリカのパスポートとかが周囲にいっぱい。中東系のファミリー入国でポリツァイのおねーちゃんが目をつり上げてるし。シンガポール航空で到着したけど、ご主人は別のラインでさっさと通り抜けちゃったのにあたしはいつまでかかるのかしらと心配するアメリカオバチャンとか、僕は一体どこに並んだら良いんだとひたすらおたおたするカナダパスポートの気の弱いベン・ジョンソンみたいな真っ黒いにーちゃんとか、これは大変だねと妙に鷹揚に構える頭にターバン巻いたインド系のオッサンはIT零細企業の社長さんかいな。いやぁ、混乱するイミグレーションの列は誠に楽しいもんです。無論、時間があれば、だけどさ。

てなわけで、ヨーロッパに入国し、手荷物ピックアップでサンダルを靴に履き替え、そのままターミナルを上層階に向かい、LHのスターアライアンスだらけのチェックインカウンターのどこにスカイチームのカウンターがあるのじゃ、とウロウロ。結局、とっても真面目そうなIのオバチャンにタロム・ルーマニア航空のカウンターはどこですか、と訊ねると、なんとアライアンスじゃなくて地域で纏めてLHがハンドリングしているらしく、タロム・ルーマニア航空はモルドヴァ航空やキプロス航空なんかと一緒のLHカウンターにありましたとさ。うううん、勉強になるなぁ。

どうやらルーマニアはなんとか条約の加盟国じゃないらしく、もう一度出国せねばならぬようだ。猛烈に眠たくて思考能力は海鼠程度の前頭葉に鞭打って、頑張れあたし、粛々と手続きを済ませ、なんとか指定のバスゲートの前まで到着し、倒れ込むようにベンチに座ってうたた寝をしてしまう。目を覚ますと、おお、我等がANAの787第5号機が湾岸羽田に向けて戻っていこうとしている。働け、虎の子マシン!
002.JPG

ANAさんが盛んに言い立てる787の快適性ですけど、多くの人々はあんなの単なる宣伝じゃんか、と思ってらっしゃるでしょうね。

だけど、敢えて言いましょう。間に1気圧(含む微量のセシウム&ストロンチウム)の地上滞在10時間弱を挟み、10時間半の太平洋横断と、12時間のシベリア横断をたてつづけに行うというボーイングやANAさんに人体実験アルバイト料を請求出来そうなアホなことをやらかしたやくぺん先生の素直な感想を申しますと…777の限りなくゼロに近い機内湿度と、787の20数%から30%以下と言われる機内湿度とに晒される違いは、はっきりあります。後者がぜんぜん楽です。

なんせ、イースターあけのパリから拾ってきたインフルエンザが残した咳を未だに引っ張ってて、大植英次指揮大フィルのマーラー3番ではのど飴一袋を消費し尽くしたやくぺん先生の虚弱体質、太平洋上では日付変更線を越えた辺りからもう咳が止まらず、マルティヌーの「ギリシャ受難曲」のDVDをパソコンで眺めながら(一部で大変に評判の悪いANA新貧乏人席用シートですが、なんせリクライニングがないので、パソコンが安心して開けるのは有り難い)、ポケットに残っていたのど飴を舐め尽くしてしまいました。それに対し、シベリア横断の間、殆ど咳の状態は地上と違いませんでした。その差はもう圧倒的。ここまで違うとは思わなかった。

こうなると、帰りが777なのがしんどいなぁ、と思っちゃう。でも、787運用便はフランクフルト発午前11時しかなく、とてもじゃないがブカレストからの乗り継ぎには間に合わない。また半日、しっかり耐えるしかないでありましょう。ああ、来週の月曜日、夕方から劇場法のシンポジウムがあるそうだが、成田からではちょっと無理だろうなぁ。

以上、ボーイングからもANAからも一銭も貰っていない、ボランティア人体実験モニターでありました。皆様の恙ないご旅行の参考にどうぞ。

787はまだまだ機材の安定性確保が難しいようで、JALもボストンで派手な欠航や遅れを繰り返してるみたい。今回もなかなかハラハラものでした。でもまぁ、こればっかりは初期不良が出尽くすまではしょうがないんでしょうねぇ。

技術革新がこんな風に目に見えない形で地味にジワジワとやってくるのが、案外、21世紀的なのかもしれないなぁ。原子力技術を破棄せざるを得ない我が人類、当面は月にも火星にも生身では行けそうもないのは寂しいけどさ。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0