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オーセンティック譜面台 [弦楽四重奏]

ベルリンはポツダム・プラッツ、かつては壁の上の辺りにモリモリと聳えてしまったソニーセンターを中心とする新たな繁華街のアメリカ飯屋で、無料の公共無線LANで繋がってます。ショッピング日和の土曜日の午後。

昨日のベルリン音楽祭(ってのか?)オープニングで、全部アイヴスばかりというトンでもない演奏会でハイライトとなったハース(NJPのアルミンク社長やら、ハーゲンQやらが取り上げてるオーストリアの偉い作曲家さん)と細川に依嘱したアイヴス歌曲のオーケストラ編曲がどんなものだったのかとか、アルテミスQとオクテットで共演したりしてる近しい団体のヴァイオリニスト君が今回のアルテミスQの展開をどう感じているのかとか、いろいろとネタはあるんだけど、めんどーなんで、書きませんっ。前者はMクラシック誌のH記者がわざわざ来てましたから、恐らく、記事になるでしょ。会場で日本の某評論家さんにも「おお、やくぺんさん」と声をかけられたので、他の媒体にも出てくるでしょうし。んで、後者に関しては、いかなこんな「書いてあることはみんな嘘」を標榜するへっぽこ電子壁新聞でも、流石に書くわけにいかぬ。

てなわけで、原稿を連日1本ペースで入れねばならぬ意外な忙しさにぼーっとしてるわけにもいかず、本日もどーでもいいネタをひとつのみ。

ええ、今時の若い人は、ベルリンに初めて訪れ、かの金色に輝くフィルハーモニーに足を運ぶと、きっと不思議に思うことでしょうね。どーしてフィルハーモニーホールって、繁華なアレクサンダー・プラッツ駅やソニーセンターの側に楽屋口があって、チケット売り場なんかがある正面は何もない公園の側にあるの?ってね。

ま、それもしょーがないだろーなぁ。もう壁がなくなってそろそろ20年。天才ソリスト、なんて言われてカラヤン・サーカスの舞台に登る若者なんかは、壁崩壊後に生まれたりしてる奴もいるだろーし。

結果として、かつては壁を背中にクーダムの側からの客を受け入れていたフィルハーモニーは、今や入口が反対側にある感じになっちゃってる。そのソニーセンター側、本来ならば正面入口があってもよさそうな場所にくっついてるのが、楽器博物館です。

ベルリンの数あるミュージアムの中でも最も空いてる場所のひとつ。中を見渡して1ダース以上の客がいるのは、月に何度かあるミュージアムコンサートのときくらい。本日は、そんな暇なミュージアムに行くのが仕事でした。某音楽雑誌の編集長に頼まれて、アルペジョーネの写真を撮ってきたのであります。次の号に写真が必要なんだけど、手元に簡単に使える写真がないと仰るので、今度ベルリンにいるとき宿が楽器博物館まで歩いて行けるところで、あそこに確か実物がぶら下がってたよ、写真は撮り放題だから、撮ってこようか、なんて気楽なことを口走ってしまったのがいけなかった。€4.5の入場券、どーしてくれよーかっ!某M誌に対するサービスかいな。

ま、それはそれ。ちゃんとチェロとギターの間にぶら下がっている展示されているアルペジョーネの写真をべたべた撮影し、今、このカフェから東京に送って、今日の二つ目の仕事はオシマイ。今日もよく働くあたしだ。

さても、アルペジョーネがガラスケースの中にぶら下がる横を眺めると、とっても興味深いものがありました。楽器ではありません。なんというのかな、家具、というべきか。これ。
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お判りかな。上で見切れてしまった肖像画がヨアヒムである、とヒントを出せば、もうお判りでしょう。

そー、これ、ヨアヒムの時代に使われてた弦楽四重奏専用の譜面台なのよ。この裏側には、余りにも有名なヨアヒム弦楽四重奏団のでっかいポートレートも掲げられてます。

さても、弦楽四重奏奏者の皆様、この譜面台、どうします。「じゃあ、これで弾いて下さい」って出されたら、ホントに弾けますかね。古典Qの皆さんならやってくれるかな…って思ったが、おいおい、彼らはこんなものいらんじゃないか。

昨今のオーセンティック大流行にあっても、流石に舞台の真ん中にこの譜面台出してブラームスの弦楽四重奏弾いたりする団体は見たことないぞ。まあ、20世紀の半ばくらいまで、ヴィーンではプロの弦楽四重奏の演奏会でも、提示部が終わったらみんなどっこいしょと楽器を下ろして、譜面を頭までめくり返して、それからおもむろにまた演奏を続ける、なんてことが普通にあったという。あたしらが考えてる「弦楽四重奏」のあり方なんて、それほど古いもんじゃあない、ってことでんな。

シモン・ボリバルQは弦楽四重奏の風上にも置けないような不届きなぶっ飛び連中である、なんて怒ってる奴らも、この譜面台と同じような古びた存在なのかもなぁ。

さて、今晩は遙か西の放送局スタジオで、これまた名ばかり有名でまず聴けないシュトックハウゼンの「ヒュムネン」です。何時に終わるのやら。

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