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えーちゃんvsちゅーぼー [音楽業界]

静岡グランシップに来ています。なんせ周囲になーんにもなく、線路と反対側のセブンイレブンで買い食いするか、ホールに付いてる「レストラン・オアシス」に入るしかありません。駅の目の前なのにここまで周囲になんもないヴェニュって、ちょっと他にないぞ。

さても、昨日から大植英次率いる大阪フィルが静岡に乗り込んで、午前と午後に1度づつ、総計4回、「ルスランとリュドミラ」序曲とショスタコの5番を弾いてます。編成はさほど大きくないけど、メンバーはチェさんが頭だったり、チェロもキサQ、などと言っても今やどれくらいの方が覚えていらっしゃるか、宮川バンドのチェロさんと言った方が分かり易いでしょうねぇ。ともかく、本気のメンバーが乗っていて、一種のミニ海外公演みたい。ガッツリ本気で弾いてます。

客席には、毎回、静岡各地からバスで運び込まれた中学生6校(二年生なんかが中心らしい)で満員になり、最後部4列だけが親御さんやら関係者に用意されている。いわゆる、典型的な「お招きアウトリーチ」ですな。
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こういうもんになると、音楽の本気さだけじゃなくて、えーちゃんのサービス精神が満開になるのはもうしょーがないわけで、開演前に10分くらい喋る。小生はなかなか面倒な、中学生向けの当日プログラムを書いているんでここにいるんだが、そこに書いてあることはそれで、とあれこれ喋る。ちゅーぼー諸君、どれくらい理解しているのか判らぬが、まあ、少なくとも席について女の子たちはかなりしっかり曲解読んでるし(やっぱりこれくらいの歳だとぼーずどもは微笑ましくアホだなぁ)、そこそこおべんきょーなさってくださると有り難いこってす。

グランシップのコンサートホール、総計二日間で5000人くらいの静岡各地の中学生がえーちゃんのショスタコを生で聴くわけで、この中の9割まではこの先の半世紀以上ある生涯でショスタコーヴィチの交響曲をライブのオーケストラでがっつり聴くことなどないだろう。その意味では、とんでもない企てに参加させられているような気もしてくるわけで、ほれそのぼうず寝てるんじゃないよ、と頭を叩きたくなる今日この頃でありました。

アンコールでは「ルスラン」をオケに弾かせ、えーちゃんは手拍子しながら客席に下りてきて、あとはずーっと手拍子で客席を指揮しっぱなし。これ、なかなかスゴイ「聴衆参加型」でんな。最後はもう、最前列の女の子たちとハイタッチでっせ!

さっき楽屋で会ったえーちゃんは元気バリバリで、シコルスキーさんに数年前に会ったときにこの曲の楽譜がムラヴィンスキー初演直後に送られてきたときの話などを延々としておりました(シコルスキーさんてのは、ご存じ、ハンブルクでソ連圏の楽譜を一手に出版してた会社の社長さんです)。

さて、これから午後の部。目の前を中学生がホールに吸い込まれていく。そろそろいかにゃ。今日も富士山が綺麗な静岡グランシップでしたぁ。

※※※

今、後半を終えて、観光写真のように美しい富士山を眺めながら、こだま号で東京に向かっております。溜池に行き、ヤニックです。なんだか騒々しい日であることよ。

ええ、流石に気心しれたこの前までの音楽監督と二日間で4回の本気の本番やると、最後のステージともなればもう両者すっかり手の内が判り合っちゃって、やりたい放題ってか、ここまでやるかぁ、という音楽でした。特にショスタコの第2楽章、トリオのチェさんの独奏に始まる各パートソロ大会は、えーちゃんと各首席のどつき漫才状態。テンポが自由どころか、殆どお見合いで止まっちゃうんじゃないか、ってところもあるぞ。終楽章も、118なんてとんでもない指定が印刷楽譜として流布しちゃった理由をシコルスキーさんから直接聞いた、って話をえーちゃんとした後だったんで、とても興味深かったです。あれが21世紀のショスタコ解釈の基本なんだろうなぁ。

この回は中学生ノリノリで、もう「ルスラン」から会場からのブラボーが飛びまくり、ショスタコの「さあ喜べ、強引に盛り上がれ」って大団円の後は、男子ちゅーぼーの罵声がホールに響き渡っておりました。こういう声にはあっさり調子に乗る我らがえーちゃん、客席を走り回り、ハイタッチの嵐!
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この場所にいた中学生には、「あのノリノリの指揮者のおーうええーじ」という名前は脳裏に深く刻まれたことでしょうねぇ。

かくて、えーちゃんvsちゅーぼー静岡場所、えーちゃんの寄り切り圧勝に終わったのでありましたとさ。

なお、大植英次という人は、なんせあの天性のパーフォーマンスがあるもので、好き勝手なことをやってるアホと思われちゃう傾向にあるんだが、ちゃんと話すと(これが難しいんだけどさ)、音楽的に恣意的なことをやってそうな部分でも全部理由があるんですね。それも、比較的最新の研究にきっちり目を通して、そういう研究者と直接話をした結果として、ああいうことをやってる。案外、真面目なんよ、あの人。

さて、そろそろNYなどではネガティヴな意見も出始めてるヤニック、手兵とのお手並み拝見。今、沼津です。

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