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木曜日とか松風とか [現代音楽]

いろいろお仕事ぐちゃぐちゃなんで、ニュースひとつのみ。

世界中のオペラハウスやオーケストラが2013年から14年のシーズンを発表し終わった今日この頃、イースター休暇前もう一仕事しちゃおうって感じで、毎朝、パソコンを開けるとあっちこっちから夏のフェスティバルのリリースや案内が入ってます。今日は、シーズンオフにリンカーン・センターで開催されるフェスティバルの案内が来てました。いくつか興味深い内容があるので、貼り付けます。ほれ。
http://www.lincolncenterfestival.org/?utm_source=mail2&utm_medium=email&utm_campaign=lcf2013announcement
敢えてメイジャーは狙わんという感じの例年通り、「孫悟空」とか「春琴抄」とか、まるでエスプラネードのリリースみたいだなぁ。やっぱり気になるのは、「光からの木曜日」第2幕。エヴリ・フィッシャー・ホールにモダンな地球儀乗っけて、ラッパ吹きミカエルに宇宙服みたいなもん着せてぐるんぐるんまわすみたいな見世物。それに、「松風」でしょうねぇ。

なんと、前者は北米初演だそうな。簡易版を舞台っぽくするのか、それともオリジナル版なのか、なんであれ写真を眺める限り、らっぱミカエルのソリストには大変な試練になりそうですな。演出は、日本では昨年の夏にサントリーで「オレステス」やったスペインの団体で、ケルン歌劇場を大赤字に追い込みシュタンツ辞任の直接の原因となったかの「光からの日曜日」全曲世界初演もやったところ。ま、どんなもんかだいたい想像が付いちゃうのがこういう有名どころの良いところでもあり、面白くないところでもあり。ケルンの「日曜日」の挨拶で歌手を飛ばした舞台写真のテイストが、このらっぱミカエルが飛んでる感じとそっくりだもん。

6月にはミュンヘンで「土曜日」を1週間くらいかけて各シーンをバラバラに全ヴァージョン演奏するという壮大なんだか半端なんだかなんとも言えぬイベントがあり、翌月にはマンハッタンで「木曜日」第2幕、って、この作曲家、最近、また流行し始めてるんですかねぇ。なんせ911直後の爆弾発言で、アメリカ合衆国ではアルカイダ・シンパとみなされたシュトックハウゼンなんですから。昨年の「グルッペン」といい、ほとぼりは冷めた、ってことなのかしら。

「木曜日」は、やっぱり初演のルカ・ロンコーニの舞台を観てみたいなぁ。なによりも、綺麗なんですよねぇ、あの演出は。最近世界中で売れっ子のこのスペインの舞踏集団、スカラ座でインド・マハラジャ「タンホイザー」眺めて呆れかえって以来(なんか黒歴史化してるようだ)、どーにも小生はダメなんですわ。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2010-03-21
あちこちでBlu-ray売ってるメータのバレンシア「リング」も、ルフトハンザの機内で「ラインの黄金」が全部見物出来て、半分くらい眺めて、やっぱりダメだった。ま、もうここまでメイジャーになってるんだから、小生なんぞがどう思おうが関係ないのは気が楽です。どうやら、当電子壁新聞この記事でちらっと触れたもんをNYに持ってくるようです。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-11-26

「松風」は北米三菱がお金を出してるみたい。なるほど、毎度ながら日本本社とはまるで関係ない現地法人のメセナなんだろうから、円安も関係ないのかな。

てなわけで、お暇な方はどうぞ。この2演目なら日程も丁度なので、現地2泊の強行軍も出来まっせ。東京Q最後の演奏会が6日なんで、ちょっと開いちゃうなぁ。近ければいくかぁ、という気にもなるのだが。なんせ、マンハッタンは地獄の台所になる時期だもんねぇ。

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あほあほ

このハーディング指揮の「フクヤマの陥落?」とかいうオペラ?ご存じですか?

http://liveweb.arte.tv/fr/video/orchestre_Philharmonique_de_Radio_France_La_Chute_de_Fukuyama_Gregoire_Hetzel_Camille_de_Toledo/

アメリカのネオコン知識人フクヤマを糾弾する?オペラみたいなのですが、フランス語はわからないし、ネットにさっぱり情報がないので、もしご存じでしたらネタにしていただければ幸いです。
by あほあほ (2013-03-30 09:25) 

Yakupen

あほあほ様

arte.tv、やっとるなぁ、という感じの内容ですね。ぶっちゃけ、全然知りません。このオケのコンマス隣がかつて某クァルテットの第1ヴァイオリンをやってた某女史なので、乗ってれば「あれなあに」と訊ねられるかと思ったのですが、どうやらこの日は乗ってなかったみたい。

ちょっと調べてみます…と言いたいところですが、今日は全然ダメだなぁ。5月にボルドーにいるときに、知ってそうな人に会ったら訊いてみます。お役に立てずゴメンです。

フランスのこういうのはいろいろありますよねぇ。お金が御上から出ちゃったりするので、結構、いろんな試みはやられている。ただ、「成功した」という結果が上がってくるのは殆どないのは、単なる情報不足なんでしょうけど。大物のフェネロンにせよデュサパンにせよ、オペラの情報はないですからねぇ。うううん…「戦後のオペラ」という月曜日に出る冊子でも、フランスはお手上げで、メシアンだけでいいや、ということになっちゃいました。

by Yakupen (2013-03-30 09:50) 

あほあほ

こういう現代オペラは、なんで日本で創られないのでしょうか?

「予算カットオーケストラの遁走」とか、「苦悩する指定管理支配人」とか、「三文オペラハウス訴訟」とか、ネタというか音楽業界が社会に訴えたいことはいくらでもあるでしょうに。

宮本亜門が「アメリカがんばれ!」とやった「ドンジョバンニ」が封印されたように、オペラの演出も目先の目新しさだけで、主張が何もないものが多いので情けなくなります。
 
by あほあほ (2013-03-30 13:28) 

Yakupen

あほあほ様

仰るとおり、少なくとも日本の文化圏では、オペラって、とっても情緒的なものとして扱われますよねぇ。今晩、BSで「kamikaze」って先月だか初演されたオペラの全曲をやるみたいで、一応録画はしようと思ってるんですけど、これも小生は「おお、日本に襲来する蒙古軍が神風吹いて全滅するところをやるのか、たしかに嵐の音楽とか合戦の音楽とか、大スペクタクルの19世紀風のオペラ向きで、いままでなかったのが不思議だもんなぁ」なんて思ってたら、なんとなんと、神風特攻隊の悲劇を描くもんだそうで。ううううん。

少なくとも、「知的なもの」の対極としてオペラは存在していて、時事ネタや政治ネタは殆ど皆無ですよねぇ。たぶん、劇場文化の在り方そのものの問題で、罪はオペラだけにあるのではないでしょうが。そもそも日本では「舞台を観ることによって現実にある問題を認識したり、再確認する」ってのは殆どないですから。パッチギ!、なんて主題がちゃんと機能してれば、いま話題のレイシズム・デモなんてのもまた違うもんになったんでしょうし。

スイマセン、雑談でした。働きます。

by Yakupen (2013-03-30 16:01) 

あほあほ

どこでも年寄りがしがみついてうるさい世界では、新しいものは拒否されて実体のない伝統を守ることが金科玉条になりますからね。特にこの国の音楽関係は上野の某大学を頂点に津々浦々までヒエラルキーが固定化されていますから、新しいものなんか生まれてこないのも当たり前かも。

外国も同じようなものでしょうけど、白人世界は若者や新しいものをダシに権力の拡大を企む老人が跋扈する地域ですから、棺桶片手の果てしない権力闘争のあだ花としてこういうトンデモ作品や変態演出が楽しめるのかも。
 
 
by あほあほ (2013-03-30 17:52) 

Yakupen

あたしももういい加減に年寄り、いつまであいつが、と思われていることもあるでしょうから、敢えてあほあほさんのコメントにはコメント無しですぅ。

でもねぇ、年寄りになって判るのだが、年寄りは自分を年寄りと思ってないのですよ。よくもわるくも、ですけど。

by Yakupen (2013-03-30 19:10) 

あほあほ

楽器で指が回らなくなる、声が出なくなる、楽譜覚えが悪くなる、ステージで動けなくなる、やたらと指揮者に転向したがる。文筆業でも徹夜できなくなる、考えがまとまらなくなるなどなど、実はみんなわかっているでしょうに。自覚があるのに自分は若いと主張して、若い者がやることにはケチや因縁をつける。この世は老害だらけなり。

私も若くはないのでこれで隠居します。大変失礼しました。
by あほあほ (2013-03-30 20:37) 

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