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ウィドマン大会 [現代音楽]

さても、今日からプティ・ウィドマン・ウィークです。本日のシテ・ド・ラ・ムジークでの弦楽四重奏ビエンナーレに登場するシグヌムQ、おお、もの凄く久しぶり、こういうメイジャーな場所に挙がってこられるようになって良かったですねぇ、ともかく彼らがテーマの「モーツァルト&現代曲」の後者に持ち込むのがウィドマンでありまする。有り難いことに、1番と2番の弦楽四重奏をやってくれます。

ウィドマンの弦楽四重奏といえば、なんといっても「狩」という副題が付いている、ってか、もう中身はまんま狩の描写の娯楽音楽の第3番が飛び抜けて有名で、日本でも今年、エクが「ラボエク」で取り上げ、直後にとうとう日本に上陸するテツラフQも紀尾井でやるそうなので、一気に人気曲になるかもね。でも、他は殆どやられないので、有り難いなぁ。室内楽界では、シューベルトのオクテットと並べてやれる便利な八重奏が人気で(クラリネット奏者でもあるウィドマン自身が出演できるから、ってのもあるんでしょうが)、なによりも弦楽四重奏はアルテミスQが盛んに取り上げているんで有名になったわけでんな。

21世紀0年代の後半くらいから、ドイツのオケの定期やらでもウィドマンの作品は散々に取り上げられるようになり、今やリーム以上の人気作曲家。日本でも錦糸町の若社長がやるだろうと思ってたら、意外にもやらなくて、そうかぁやっぱりヴィーンの人はウィドマンじゃなくてハースなのね(ちなみにハースはここビエンナーレでは明日にアルディッティが弦楽四重奏曲やります)、なんて思ってた。そしたら、昨シーズンの終わりにハーディング若先生がやってくださったりして。ま、ヨーロッパの流行が10年から20年遅れでシベリアを渡ってくる日本では、そろそろ話題になる頃でしょう。まあ、細川系とはまるで違うので紹介が遅れた、ってところもあるでしょうねぇ。

何を隠そう、今回のやくぺん先生のツアー、パリを出た後のハイライトのひとつは、ミュンヘンでのウィドマンのオペラ「バビロン」再演を見物することにあるです。だから、今日から月曜日まで、気持ちとしてはプチ・ウィドマン・ウィークなんですわ。

っても、正直、好き嫌いで言えば、それほど好きな作曲家じゃあないんだけどねぇ。ま、好き嫌い言ってたら商売にはならないから、しっかり聴きましょう。あ、勉強したい方はこちらがホームページ。
http://www.joergwidmann.com/
やっぱり「バビロン」は大きく扱われてますねぇ。残念ながらバイエルン国立歌劇場、映像の配信はないみたい。5月の「兵士たち」はストリーミング配信やってくれるんだけどなぁ。

夜の演奏会を待つパリは、冬の曇り空。運河の上を鵜が飛んでます。
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鵜たちが悠然と見下ろす運河の三叉路を、家がそのまま動いていく艀が曲がっていく。気分は大川堤、とは言わないけど、ちょっとばかし里心も付く風景かな。

追記
シグヌムQのウィドマンの1番と2番を聴いたわけですが、その感想というよりも、自分のアホさ加減に呆れかえったこと。ええ、1番が始まって暫く、あれぇ、俺、この曲聴いたことがあるような気がするが、CDもないし、そんな筈ないよなぁ、あれえええ…ってずっと思ってた。特にコーダがまるで西村の「光の波」の最後のパクりみたいにして終わるところまで来て、あ、これ知ってるわ、と思い出しました。

なんのことない、フランス語の曲目解説になんとか目を通すとかいてあったわさ。クァルテット・アルモニコの初の海外試合として見物に行った、ベルリンのハンス・アイスラー音楽院で開催された1998年のカール・クリングラー・コンクールでの委嘱新作じゃないの!確か、クスQが優勝出来ずに1位無し最高位だったときで、このウィドマンの演奏賞はクスQが獲得した筈です。

いやぁ、人間の記憶というのは当てにならないというべきか、それとも凄いもんだというべきか。なんにせよ、売れっ子になる遙か前にウィドマンを聴いていたのかぁ、いやぁ、わからんもんだなぁ、と思った次第でありました。

2番は正真正銘初めて聴いたんだけど、へえ手堅く書けるように成ったねぇ、という感じ。このウィドマンって作曲家さん、要するに様式混交のサンプリングみたいな手法の人で、2番だとまるでラッヘンマンやってる次の瞬間にペルトの響きがやってくる、ってな音楽です。ただ、ともかく「ああ、これで終わるな」って書き方が出来るのは立派なもんだと思いました。現代曲って、どうしてここで終わったか判らんもんばっかりだべな。何だか知らんけど終わった感がある、ってとても大事。いやはや、妙な感想だこと。

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上野のおぢさん

先生、毎度です。
運河の雰囲気が素敵ですね。
この運河は、セーヌ川とつながっているのですか?

欧州独特の河川交通のイメージをあらわしている気がして、私はなんとなく好きな風景です。
by 上野のおぢさん (2014-01-27 08:20) 

Yakupen

この先、スターリングラード(のフランス語発音)というところでメグレ警部シリーズでお馴染みの運河に繋がり、バスチーユの先までちょっと地下を流れ、シテ島のちょっと上流でセーヌに入ります。セーヌに行かずに迂回する路線もあり、宿の真ん前がその三叉路になってます。実質上、水運としての機能はもう果たしていないようですが、いわゆる船で生活する人の艀などはたまに動いてます。ヨーロッパの川は流れが緩いですからこういうこともできるんでしょうねぇ。日本でこんなやり方したら、いつも氾濫してそう。

by Yakupen (2014-01-27 14:22) 

上野のおぢさん

先生、お忙しいところありがとうございました。あとで地図を追って見ます。
お体気をつけて取材なさってください。
by 上野のおぢさん (2014-01-27 15:03) 

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