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有名なのに幻のオペラ [現代音楽]

昨日、5月にボルドーで行われる若手弦楽四重奏団を集めたミニ・フェスティバル&セミナーを見物に行くことにして、だああああっと日程を作り、あれこれ手配した訳ですが、ひとつだけオマケを付けました。ちょっと日程として無理があるのだけど、せっかくヨーロッパまで1週間だけ行ってるのだから、観ておかないとなぁ、と誰だって思う作品。

ミヨーの《罪ある母》の、なんとも珍しいきちんとした舞台上演、それもドイツやフランスの田舎の劇場の、敢えて失礼な言い方をすれば「東京室内歌劇場」のヨーロッパ版みたいな舞台ではない。なんせ、かの《フィデリオ》を初演し、一頃はベートーヴェンが住んでいて、昨今はすっかり世界の大観光地化してるリンク通りの国立歌劇場に対抗するように尖った演出の舞台を次々と出している、旧城壁外のアン・デア・ヴィーン劇場が本気で作るプロダクションなんですから。ね、これは観ないとマズい、と思うでしょ。

この作品、恐らく、多くのオペラ愛好家、特にモーツァルト愛好家ならば、名前だけは聞いたことがおありでしょう。そー、かの「フィガロ三部作」の完結編、《フィガロの結婚》の続編というか、後日談というか、でありまする。ほーら、もうそれだけで「ええええ、聴きたぁああい、観たああああい」って思うでしょーに。あ、指揮者さん、この前、フランクフルトで《旅行者》振ってたにーちゃんじゃないかぁ。へええぇ。モーツァルト系じゃなくて、現代オペラ系で来たわけですな。
http://www.theater-wien.at/index.php/de/kalender/production/154148

どんなお話なのかは、上の公式サイトばかりか、ネット上で「罪ある母」とググればいくらでも出て来るでしょう。ただ、どういうわけか、ミヨーが晩年にオペラにしたものに関しては、なぜか映像がないどころか、音もない。本気で調べてないのがいけないんだろーけど(全くないとは思えない)、ともかく、簡単にめっかるものはない。ちょっと不思議ですねぇ。実は、かの『戦後のオペラ』の編集会議でも、個人的にはこの作品をプッシュしたかったんだけど(なんせ書かれたのは1960年代ですから)、DVDのひとつでもあれば良かったんだがホントになにもない。で、さっさと提案リストから外しました。書け、なんてことになったら大変だもんねぇ(笑)。

そんなこんな、どこかで上演があったら絶対に見物にいってやろうと思ってた作品が舞台に掛かる、それも、誰もが考える「フィガロ三部作」みたいな形でプロダクションが作られるとなれば、もう無理せざるを得ないでしょ。ボルドーに土曜の深夜までいて、翌日曜日の夕方にヴィーンに入るなど、日本国オペラ・マニアの皆さんが盛んになさってる強行軍からすればなんてことないのでしょうが、やくぺん先生のような死に損ない爺には、とてもじゃないが普通ならやる気になれない。ま、最初はパリでショーソンの《アーサー王》を眺めて、翌朝に余裕を持って移動、とも思ってたんだが、レッジョからボルドーに移ったディレクターさんが「お前、西村の弦楽四重奏をヴァン・カイックQが弾くのを聴かずにパリに行くというのか」と脅すものだから、逃げられませんっ。

てなわけで、1週間とちょっとの強行軍、やります。ちなみに、伯爵夫人がケルビーノの子供を産んじゃって…ってそれだけ聞くととんでもない話をやってる裏では、数百メートル離れた国立歌劇場では超大人気のラトル指揮《ヴァルキューレ》やってます。日本からも大挙してヴァーグナー愛好家諸氏が出向いているんじゃないかしら。あ、ラトルだと、そうでもないかな。またまたついでに、その日の午後には佐渡&辻井&ヴィーン・トーンキュンストラー管がムジークフェライン大ホールで定期やってます。これは一応、寝ちゃっても良い天井桟敷のいちばん安い切符だけは確保しましたが、朝の4時起きでボルドーからスリリングな移動をしてきてるんで、爆睡必至でんなぁ。いましたよ、という存在証明だけ、みたいなもんですわ。

シベリア越えまで、やることいっぱい。がんばれ、あたし。

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