SSブログ

JTアートホールに行くのじゃ [新佃嶋界隈]

昨晩、ヴァイオリニストの大森潤子さんのリサイタルを聴くべく、JTアートホールに詣でさせていただきました。中身に関しては、オケの第2ヴァイオリンあたまという定職を持つ多忙な方とは思えない、などと記すと皮肉に聞こえたら困るからなんといったものか、ともかくまあ、なんとも充実した内容で、ものすごく褒めて言えば「こういう音楽家としての生き方は、ことによるとひとつの理想なのかなぁ」などと、御本人にはとても言えないようなこと(絶対に皮肉としか受け取って貰えないだろうからねぇ、日頃の行いからして)を記さざるを得ない。うん。時代のタイミングさえ良ければ、普通の意味で「ソリスト」として人気者になっていたことは確実な才能が、こういう風に着実に伸びていける状況があった(本人ばかりでなく、周囲も作ることが出来た)ことを、いろんな意味で良かった思うべきなのでありましょう。

うううん、本気で考えると、なかなか重要なテーマだなぁ。才能があるからって、別にソリストになる必要はないわけで、そんな人は実はいっぱいいて、マネージャーなんかがどっかでたまたま出会っちゃってビックリして「隠れた天才」なんていきなりメディアに持ち上げることもあったるするわけだが、ま、そういうのとも違うわけだしね。

ま、それはそれ。機会があったらどっかでまともに議論せにゃならんことでありましょう。さても、今、ちょこっと記しておくべえってのは、そんな本質的に重要な話じゃなくて、どーでも良いこと。「マッカーサー道路開通以降、JTアートホールのアクセスはどうなったか」という問題であります。

皆々様はよーくご存知のことと思いますけど、JTアートホールという虎ノ門丸の内近辺サラリーマンさん音楽愛好家御用達の小規模ホールがあります。なんせお金持ちの日本専売公社、ってかJTさん、がやってたわけで、タバコの宣伝を派手に出来なくなった頃から使い切れない広報費用があるからか(別に調べたわけじゃないし、調べたってホントの事は教えてくれないでしょうから、ゲスの勘ぐりですう)、200席クラスの小規模ホールが全盛を極める21世紀に入る前から、250席という極めて小さな空間で3000円でシュタルケル聴かせちゃうなんてぶっとんだ自主公演を続けてきた。正直、あのやり方は永遠に続けられると思えなかったわけだが、案の定というか、まあ当然というか、数年前に自主公演を止めて、貸ホールになったわけですな。

そのこと事態は端から批判する筋合いではない。よくまあ、そこまで続けてくれました、とひたすら感謝するだけでありまする。はい。そこでやってたような仕事は、サントリーの小ホールやら、白寿やら、はたまた名古屋の宗次やら、最も直接的には新しくなったヤマハホールやらが引き継いでいるわけで、この業界それなりに強かですからご安心あれ…って、言い切れんがなぁ。

そんなこんなのJTアートホール、自主公演がなくなってからとんと足を運ばなくなってしまったわけでありますが、その間に周囲の環境に大きな変化がありました。そー、虎ノ門側の通りが、東京環状2号線、通称マッカーサー通りとなってしまったのでありまする。

特許庁と日本財団の横から、かつてのJTアートホールや虎の門病院の横を通っている横道があった。それが今や、マッカーサー通りの赤坂側からの入り口になってもーた。虎ノ門ヒルズなる森ビル第何号やらの下を潜り、愛宕山や東京タワーを右に眺め、ごちゃごちゃした汐留の方、ひと頃「イタリア風な街並みを作る」なんて再開発があったけど、結局は中央競馬会のアホみたいなビルが建ったくらいだった辺りに向けて抜け、最終的には築地の市場ぶち抜いて大川河口を渡り、豊海から晴海、果ては豊洲へと向かう東京最後のメインストリート整備計画ですね。

これまでは佃厄天庵や佃オフィスからJTアートホールに向かうには、チャリンチャリンと新橋抜けて、超高層の曙霞が関ビルの道挟んだ向かいの三角地に収まる三井系のビルの虎ノ門病院側、なんとなく半端な空間で、だあああっっとバイクや自転車が駐めてあったところに素知らぬ顔で駐め、エイヤっと道を渡ってホールに向かっていた。ホール完成直後は、ホールの客なんですが、というとJTビルの地下駐車場の隅っこに自転車置かせてくれる頃もあったんだけど、まあ場所柄、日本で最もテロをやらかしたいであろう場所のひとつですから、そんなノンビリしたことも許してくれないようになり、路駐するしかなくなっていた。

東京の顔、それも2020年にやるなんて(やくぺん先生は中止だろうと踏んでますが)夢みたいな事を国民に吹き込んでるオリンピックのメインストリートになるべく誕生したマッカーサー通りです、なにやらやたらとカッコ良くしようとしているようで、虎ノ門ヒルズに向けて汐留側からは「東京のシャンゼリゼ」を目指すべく、車道歩道をしっかり整備し、なんと都心で唯一の自転車専用道まで作られた。こんなん。
073.JPG
へええ、と感動するべきなのだろーけど、これがまあなんとも半端な代物で、自転車は走れるけど、じゃあ走ってきた自転車を会社や店舗、ビルなどはどうするのよ、ってことはなーんにも考えてません。はい、皆目、考えてない。そんなことは道を整備する側の責任じゃない、ってことなんでしょーね。

さあ、走れ、自転車、でも、この辺りには駐めるなよぉ!

んで、かつてJTアートホールに自転車でやって来た人々が勝手に自転車を駐めていた場所は、綺麗に整備された自転車道、その向こうの歩道の完成により、跡形もなくなってしまいましたです。これ、数ヶ月前になんだったかの理由で撮った、JTアートホール向かいのかつての自転車駐められ場から虎ノ門病院と六本木ヒルズを眺めた、ちょー立派なマッカーサー道路入りっ端。
007.JPG

てなわけで、昨日はやくぺん先生、いろいろ熟慮した挙げ句、自転車で行くことを諦めましたです。往路は佃嶋の北の外れから延々と40分ほど歩き、京橋から銀座線に乗ること10分程。で、虎ノ門駅からまた歩くこと5分程で、ホールに辿り着いた訳であります。復路は、虎ノ門駅前から、文化庁、財務省、警視庁前という物騒なんだか安全なんだか判らぬ寂しい場所を15分程歩き、桜田門駅から有楽町線に乗って月島駅に戻ってきた次第。

JTアートホール、遠いですぅ。

それにしてもこのマッカーサー通りの自転車道、どう活用することを前提に作られているのやら。アホなあたしには理解出来ぬでありまする。いや、ホント。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0