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演奏団体がNPOであるためには [弦楽四重奏]

たまには真面目な話です。昨日、都内某所で、NPOエクプロジェクトの臨時社員総会が開催されました。
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ご存知の方はご存知のように、クァルテット・エクセルシオは現時点で日本で唯一、世界でも数える程しかない、NPOとして運営される弦楽四重奏団であります。いつまで経っても「日本で唯一」というのは、かの有名な格言「誰もやらないには理由がある」を地で行っているからでありまして、昨日も「ああ、これじゃあ、NPOを組織しようなんて室内楽アンサンブルが次々と出てこないのもしょーがないわなぁ」と思わされた、というのがホントのところ。

おっと、いきなり結論、それも室内楽を目指す若い人々をへこませるような結論を言い立てる前に、サラッとどんなもんか、記しておきましょうぞ。

ええ、事は簡単と言えば簡単です。このNPOの本拠地住所がさる事情で変更になったので(なんのことはない、本拠地にしているメンバーの家が引っ越した、というだけのことなんだけどさ)、NPOの定款そのものを変更せねばならなかったのであります。←関係者の皆様、この理解で間違ってないですよね!

そのついでに、先頃、東京都からNPOとしての内容審査があって、エクメンバーや理事長が丸一日、都のお役人さんとつかみ合いになりそうなところを大人としてぐっと堪えていろいろと「ご指導を受けた」内容などを反映し、いくつか細かい定款の改定をする、というのが目的。

それだけ、と言えばそれだけです。具体的にこの会議によって予算面でなにか変わったり、良いことがあったり、がっぽり稼げたりとか、そういうことじゃあない。全くの形式を整えるためだけの会議でありますわ。

そのために、面倒な書面を作成し、「NPOエクプロジェクト」社員(相互会社と同じで、エクメンバーが社員なのではなく、お金を出してサポートする人達が社員です)全員に郵送配布し、総会の参加同意を取り、或いは不参加意思表明と決議の委任状を取り、総会が成り立つだけの同意を取り付け、そのへんの区民館なんかに会場を借り、役員なんぞを集め、社員も集め、弁護士さん以下必要なプロにも並んで貰い、企業の株主総会みたいな会議を開催し、出席者に説明し、議題の賛同を得る、という作業をする。無論、その後にきちんとこの会議のレポートをしかるべきところに提出せねばならない。

物心ついた頃から楽器を弄って音符を音にするという作業ばかりをやってきて、それで良いんだという教育を受けてきたプロの演奏家の皆さんが、これだけのことを自分らでやるわけですよ。正に「弦楽四重奏団の運営とは、零細ヴェンチャービジネスである」という現実を目の当たりにする瞬間でありますね。

勿論、こんなことしなくたって、4人が集まって「僕たちは弦楽四重奏団ですうう」と言えば、それでクァルテットになります。ええ、別に免許があるわけでもないし、試験があるのでもない。だけど、「弦楽四重奏団」を超小型のオーケストラみたいな、法律的にきちんとした人格のある組織として成り立たせようと思ったら、客観的に考えてNPOにする他に手はない。無論、あの(今や、悪名高き、という形容句を付けざるを得ない泥沼状況になってしまっている)オーストラリアQみたいな財団化ということだってあり得るが、流石に(恐らくは世界で唯一のオーストラリアQの事例を眺める限り)完全に「4人の演奏家に拠るオケ」組織にしちゃうのは、ちょっといろいろと無理があるわなぁ、やっぱり。

勿論、NPOの設立や認定NPOになるプロセスは、国では無く地方自治体が行ってますから、自治体によって厳しさやらは相当に違います。ぶっちゃけ、東京都は極めて厳しく、特にエクのような「演奏団体」にベッタリくっついた形とはちょっと微妙に異なるNPOの形態は実質殆ど例がないらしく、都の担当者もお勉強気分でいろいろ細かいところを突っ込んでくるらしい。ま、そういうところも含めて、みんなでエクでお勉強をまだまだ続けてる、ってのが実体ですなぁ。

さあ、若き室内アンサンブルよ、エクに続けっ!←猛烈に無責任なエール…

あ、ひとつだけちょっとは意味のある情報をちらりと。昨日の総会には、西野さんも出席なされておりました。順調に恢復なさっているようで、1月からは無事に復帰予定だそうです(無論、あくまでも「…そうです」、ですけど)。来年は6月の溜池のベートーヴェン全曲、殆どその足で出かけるフランクフルト公演と、エク、大復活を期待しましょうぞっ!

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