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呪いのDB…鈍いのDB [たびの空]

なにはともあれ、無事に実質1ヶ月のツアーから極東の帝都に戻って参りました。なんせ、「ニューヨークはマンハッタン摩天楼→世界初の自然公園バンフとボウ川→オクトーバーフェストを前に盛り上がるミュンヘン→音楽の都ヴィーンの国立オペラ劇場→古都プラハ旧市街→ベルリンのフィルハーモニー→ケルン大聖堂」と巡るツアー、これって、もうペンギンがカメラぶら下げて記念撮影してまわらにゃならぬ「世界の著名観光地」をグルッと巡ってるような、ウルトラ・ミーハー観光旅行じゃんけー!ぜーんぜんそうは思えないのは、どーしてなんねん?

さても、最後の10日ちょっとの欧州編は、実質上、「第三帝国鉄路のたび」でありました。ミュンヘン中央駅→ヴィーン中央駅→プラハ中央駅→ベルリン中央駅→ケルン中央駅、って、ぐるりと巡る一筆書き。オーストリア国鉄OBB、チェコ国鉄、それにドイツ鉄道DBを乗り継いだわけで、今にして思えば、これってチケットを一筆書きで買えばうんと安くなったんじゃないかと思わんでも無いが…まあ、乗車列車指定のディスカウントのFIXチケットばかりだったので、それはないかもしれないなぁ。ま、今更どうこう言ってもしょーがない。

ミュンヘンのコンクール取材を終えヴィーンに向かい、翌朝にプラハに向かう前半は、なんだか気持ち悪いくらい順調で、オーストリア国鉄のDBほどバリバリではないレールジェット一等車は極めて快適、いやぁ、やっぱりたびは鉄道、それも一等車に限ります、なんてお気楽に思っていた。

ところがどっこい、それほど上手くはいかないぞ。この鉄路での旧第三帝国領域巡り、現在のドイツに入った瞬間に、一気にボロボロになっていったのであーる。

そもそもの不穏な空気は、プラハの朝にありました。中央駅から一応は定刻で動いたドレスデン、ベルリン経由ハンブルク・アルトナ駅行きのEC、車両はDBやOBBに比べるとどうしても見劣りがするチェコ国鉄の旧式車両でありました。
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後方に1両だけ繋がれた一等車は、中はそれなりに小綺麗になってるのですけど、なんとなんと、車両前後にある扉の前方側ひとつが、開きません。ま、よくあること、といえばそれまでだけど、なんせ欧州大陸長距離一等車というのは、ビジネスマンかユーロパスで乗ってくる非欧州系観光客ばかり。ましてやプラハ・ベルリンなどICEが走っていない区間は、ビジネスマンはさっさと飛行機に乗ってしまう。んだから、乗ってるのは鉄道旅行に不慣れが外国人ばかりであります。

扉がひとつ開かないだけで、出発5分前くらいにやっと入線してきた車両に乗り込むのに一騒ぎ。なんとか乗り込んでも、でっかい荷物の置き場が判らず通路に置いちゃうんで、もう大変であります。ふううう…

ま、それはそれ。なんとかみんな席に収まり、荷物も収まり、ほぼ定刻でチェコ国鉄はベルリンに向け走り始め、100キロを超えるスピードでモルダウに沿って北に向かう。
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ドナウ下りにも匹敵する景観が広がり(違うのは、山間に聳えるのが古城じゃなくて、共産主義時代につくられてうち捨てられた工場だったりしちゃうわけだが)、やがて国境の山間を抜けてドイツに入り、エルベとなった川添いに一路ドレスデンへ…

って筈のところで、急に停車したぞ。ノンビリした観光地っぽい辺り、駅のホームなんだけど、あれ、一等車の辺りにはホームがない。停車駅じゃあないみたい。なんなんだ。

と、車窓から眺めるローカル駅のホーム隅に、見物人が。
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車両後方に向けてDB職員らしき男が走って行く。なんじゃらほい、とぼーっとみていると、警察やら消防やら。いろんな人がそっちに向かっていく。ホームの隅では、なんだか電話したり、話し合いをしたりしてる。
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上空にはヘリコプターも舞い始めた。
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かなりの時間が経って、どうやら事故らしい、当列車に被害はありませんが、暫く停車します、などというアナウンスが。えええ、と眺めにいくと、こんなことになってます。
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線路の上に白いカバーが被せてあって、靴が転がってる。明らかに現場検証してらぁ。
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おお、とうとう地元プレスらしいオッサンも来たぞ。
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なんのかんので2時間半。遅れに遅れて、何があったか特に説明はないまま、列車は動き出す。

ようよう辿り着いたドレスデン中央駅、当然ながらダイヤは大混乱。旧東独唯一の観光都市から乗り込んでくる外国人観光客の皆さんが、席が無いと騒いでいる。そりゃそうで、あんたが持ってる指定切符の列車は今頃に到着する筈だけど、ホントはまだチェコ内の遙か向こうに引っかかってるわいな。客らにそんなことが判る頃には、DBスタッフが運用するチェコ国鉄車両ECはさっさとドレスデン中央駅を離れ、次の停車駅たるベルリンに向かってる。降りるに降りれぬ、事情が分からぬユーロパスの外国人乗客たち。検札のオッサンにしても、まさか飛び降りろとは言えず、もう適当にその辺に座れ、ということになり、またまた車内大混乱。それでもなーんとなくみんな席に付き(多分、二等に行った人も多いのでしょう)、ドイツ在来線でも最もぶっ飛ばすので有名な区間を、おんぼろ普通特急列車は200キロで走り抜け
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無事に3時間の遅れでベルリンの真新しい中央駅地下ホームに到着したのでありまたとさ。

この列車、本来の終点はプラハ中央駅発ハンブルク・アルトナなんですが、流石にこれだけ遅れるともう先に行くつもりもないようで、ここで運転打ち切り。先に行く奴はICEに乗れ、とのDB様のご命令。とはいえ、これまた何を言ってるか判らぬ台湾人ご夫婦、アメリカ人老夫婦、どこの国か知らんラテン系の若いカップル…それらの人々に、なんであたしが説明してるんだ、と納得いなぬままに良い人大盤振舞をするやくぺん先生たびの鉄路であったとさ。

かくて、宿に荷物を放り込むや、直ぐにソニーセンターのドイツ飯屋で当地在住某美人ヴァイオリニストさんとお会いし、コンクールについてなどいろいろ話をしながらビール1リットル吞んで、ジョン・アダムス指揮ベルリンフィルに飛び込み、光の街ベルリンの夜は更けるのであった。

※※※

明けて翌朝、ブランデンブルク空港未完成のお陰で東京直行のない独都を発ち、帰国便は午後8時のデュッセルドルフ発。ノンビリ行って、ラウンジでテープ起こしをしていましょう、という目論見だったのが、急にもうひとつインタビューがケルンで入り、そちらに向かうことになる。
相手の方とは「その列車なら、ケルンで12時過ぎにお会いしましょう」ということになり、ちょっとの遅れながらこれくらいはDBなら普通という感じで無事にデュッセルドルフ空港駅にベルリン発デュッセルドルフ行きICEは到着したのであった。

ところがどっこい、昨日からのDBの呪いは、未だに解けていなかったのであーる。

この続きは、数時間後を待て。明日かも。

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