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3年目のふきのとうホール [音楽業界]

札幌駅から地下道を抜け、南西の端っこでちょっと地上に上がり、一ブロックほど雪の積み上がった歩道を慎重に歩いて、ふきのとうホールに行って参りました。無論、道路は白く凍り、歩道脇に雪がうずたかく壁を作っている時期に来るのは初めてです。
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目的は勿論、そろそろこのホールでの「若手演奏家レジデンシィ」も道の半分に至ったクァルテット・ベルリン東京の演奏会。もう5回目になるんだなぁ。
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モーティくんに拠れば、このフォーメーションになってまだ4ヶ月目とのこと。半分台湾の血が流れる新ヴィオラくんには、ベルリンで慣れているだろう寒さはともかく、この札幌住民も半世紀ぶりとビックリしているこのドカ雪はどうなんでしょうね。

さても、足かけ3年目となるこの会場、「六花亭のメセナ」、というよりも、「六花亭社長のサロンにようこそ」という空気は相変わらず、というよりも、真駒内のお菓子屋さんホールでやってたことをこの市内の専用空間を活用しつつやるやり方が板に付いてきたようであります。お菓子屋さん本店や喫茶が混雑する土曜日午後は、流石に2つしかないエレベーターでの上層階ホールへのアプローチが混乱するのは致し方ないものの、ホール階を通り越して10階の練習室兼用小ホールに向かえば、そこでは真駒内ホールでの演奏会同様に立派なケーキとコーヒーが振る舞われます。もうこれだけで座って喰らえば1000円也は確実にするであろうちゃんとしたチョコレートケーキセットで、雪に埋もれた円山公園方向を眺めながら慌てふためいていただくのが勿体ないくらい。このホール、主催公演の場合は、絶対に早く行くことをお薦めしますです。はい。

やくぺん先生ったら、たまたま岡山先生ご夫妻とエレベーターホールで一緒になってしまい、ほらほらケーキ、ほらコーヒー、と奥様に振る舞われてしまうという情けない状態。ちょっとした手違いで大通りの方から道庁前抜けて歩いてきたんだけど、そんなに消耗して見えたのかしら。いやはや。岡山先生、お元気でいらっしゃり、大いに安心しました。とはいえ、せっかくの機会だからと前から訊ねたかったベルリン東京との関係を恥ずかしげもなくお尋ねすると、やっぱりクァルテットとして教えたことななく(だって、チェロとセカンド主導でベルリンで結成され、直ぐにオリーのところにいっちゃったわけだもんねぇ)、もりやくんが学生時代にやっていた弦楽四重奏団をとこさんと一緒にみた、とのこと。なるほど、納得でありまする。その意味では、岡山先生とすればアルモニコみたいな心配をする必要はないのだろうから、良かった良かった(?)なんでしょうねぇ。

で、残された最後のひとりとなって慌てて開演5分前に6階のふきのとうホールに向かいます。それにしてもこのホール、消防法をどうやってクリアーしたのかと心配になるくらいロビーからオーディトリアムへのアプローチが狭い。日本のこの類いのホールでは一番狭いんじゃないかしら。香港ジョッキークラブ円形劇場へおアプローチ、とまでは言わないが、ちょっと日本列島にある会場としては異例だなぁ。不思議でありまする。

ベルリン東京の中身については、モーティくんが自分で仰るように、まだまだ「これが新しいフォーメーションだっ」というよりも、それぞれの美点をあらためて舞台上で確認し合う最中という感はあり、まあ「若手レジデンシィ」という演奏会シリーズの性格はその意味では正にその通り。有り難いことに、どういうわけか満員の聴衆はそれをネガティヴに捉えている感じはなく、札幌出身のチェロさんと仲間達の育ち方を暖かく見守っている空気はしっかり漂っている。そういう意味ではパッケージとしての「六花亭のふきのとうホール」は上手くいっているじゃないの。

地元の方に拠れば、どうやらはっきりと「ホールにつく客」が出来ているそうで、「六花亭ポイント400点集めると4000円相当のチケットに交換出来ます」なんてやり方でやってくる「六花亭」という北海道が誇るトータルな文化の中に、バターサンドもストロベリーチョコも《ラズモ》第2番もみんな一緒に詰まっている、って世界がしっかり作られている。じゃあ、この方々が北星学園でエクが《ラズモ》第3番をやるから…といって喜んでくるかどうかは、正直、全然判らない。札響メンバーがキタラ小ホールで作品131をやるからもう狂乱して雪を踏み越えてくるとも思えない。宗次さんみたいな意外にも「音楽」に特化した社長さんの趣味のサロンともまた違った、「企業」のイメージにしっかり包み込まれた空間。

でも、これはこれで、あり。「日本の小規模個人主催者」というよりも、「ウルトラ小規模起業メセナ」のひとつの在り方、まあ、大いに誤解されるであろうことは前提に敢えて言えば、「超小型サントリーホール」なのかなぁ。

札幌という規模の、特に冬に来ると極めて特殊としか思えぬ街でしか成り立たない、言葉の最良の意味でのメセナがここに展開している。

《ラズモ》2番終楽章をアンコールに繰り返し、ガッツリとコートを着込んで足下を固めた善男善女が、心を熱くして寒い夕方の街へと繰り出していく
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「それならベートーヴェンじゃなくたって良かったじゃん」と言われればそれまでだけど、やっぱりこの街の冬を乗り切るにはあれくらい高カロリーな精神は不可欠だもんね、って思えるんだらか、それもそれでありでしょ。

ふきのとうホールに行くなら、やっぱり厳冬期。

[追記]
今、LCC最終便で成田に到着、成田第2ターミナルビル駅からの京成上り最終便で葛飾オフィス厄偏舎に向かってます。2日目、日曜日の演奏会は、10階を演奏会で使っていたためにケーキのサービスはありませんでした。その代わり、なのでしょうけど、帰りに御菓子の袋をくれました。ホントの「袋菓子」でありまする。こんなん。
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中を開けると、こんなん。
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京成アクセス特急のひこーきデザインのシートもお洒落でしょ。

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