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歴史観… [売文稼業]

本日締め切り原稿に関する、結構本質的な部分での愚痴であります。読者対象は、ほぼ皆無。

ええ、あたしらの商売対象としている「古典芸術」の定義のひとつに、「理解や鑑賞に様々な前知識が必要な芸術」ってなもんがあります。これが、「誰にでも判る」、文字通りのポピュラーとは違うところ。つまり、別の言い方をすれば、「鑑賞するにも理解するにも、ましてやいろいろ語るにも、常に歴史的な背景がある」ということでんな。

さても、今やってる北京国際音楽祭の話なんだけど、掲載誌の読者対象は、ほぼ99.99%が日本列島にお住まいになり、生活する日本語母国語文化圏の皆様であります。そんなメイン読者がまあ常識的に抱いているであろう歴史観と、先週いろいろ話を聞いて歩いた北京の音楽関係者の抱く歴史観では、もうまるっきり違っているんですわなぁ。

うんと端折って言えば、北京のクラシック音楽関係者にとって、歴史が始まるのは1980年。そこで演奏家の第1世代が出てきて、今の50代が音楽祭や音楽業界のディレクションのトップにいる。で、評論とかそれを取り巻く業界では、80年代生まれがやっと第1世代となっている。勿論、上海響が140年に近い歴史を持っていたりするのはよーく知っているけど、それって、ある意味で、始皇帝の偉業を語るようなもの。現実というより、伝説でんがな。

そういう前提でいろんな話が進む。うううん、日本の読者にその辺りの感覚を理解して貰うのは、この字数では絶対に無理だなぁ…

ってなわけで、さあああ、どーするどーする。まあ、本日夕方の締め切り段階では、そういう部分は全部捨てた作文を出すことになりそーだけど、ホントに面白いのはそんな「歴史観のギャップ」なんだけどねぇ。

てなわけで、案外めんどーくさい愚痴でありましたとさ。

さて、昨日の《トスカ》のことなどいろいろ言いたいこともあるが、それはこのお仕事が終わってまだその気があればにいたしましょう。

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