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日本では上演不可能なオペラの独墺公演 [現代音楽]

タイミングを逸してしまったニュースなのですが、ま、記しておかないわけにはいかぬので、遅ればせながら記します。

今月の頭、ベルリンのリンデンオパー、エルプフィルハーモニー(演奏会形式)、ヴィーンのRonacher劇場で、こんなオペラの公演が行われています。これがツアーの公式ページなのかな。
https://www.johnrabe.info/
南京発のニュースはこちら。
https://www.prnewswire.com/news-releases/chinese-opera-the-diaries-of-john-rabe-starts-european-tour-in-germany-300880273.html
ちょっとだけ舞台映像もありまする。
https://news.cgtn.com/news/2019-07-11/Opera-from-China-portrays-European-hero-in-Vienna-IfnUFhUwxi/index.html
まあ、ご覧になってお判りのように、南京大虐殺を記録したドイツ人の日記をオペラ化した中国の現代オペラ、ということですから、今の反中反韓感情を御上自ら盛り上げてるような現状ニッポン社会ではとてもじゃないが受け入れられないでしょう。なんせ、《ドクター・アトミック》ですらやれないような「自主規制」という名の情報コントロール社会ですからねぇ。

作品がどうだこうだというより(なんと、上演に3時間もかかるそうな!)、興味深いのは、このツアーを仕掛けているのがウー・プロモーションという「中国の梶本」とも言うべき民間の音楽事務所である、ということ。小生、このツアーを知ったのも、なんのことないウー・プロモーションからのリリースでした。

このような作品が、リンデン・オパーやらヴィーンやらで上演され、それに対する記事もきちんと出ている、という事実は、ニッポン列島で引き籠もってるだけで済む方はどーでもいいかもしれないけど、やはりその辺りの関係者と付き合いのあるような人は事実として知っておかないとマズいでしょうね。
https://www.tagesspiegel.de/kultur/oper-ueber-john-rabe-der-gute-nazi/24526038.html
https://onlinemerker.com/wien-ronacher-die-tagebuecher-von-john-rabe-oper-von-tang-jianping/
https://www.abendblatt.de/kultur-live/article226379579/Europapremiere-in-der-Elphi-Oper-ueber-den-guten-Nazi.html

ドイツ語圏では「ナチスの南京支部副部長が南京大虐殺の際に中国人市民を守った」という視点からの受け止め方になるんだろうけど。なんせ、「ハーケンクロイツ旗を掲げて日本軍の侵入を防いだ」方なわけですから、人によっては頭がクルクルしちゃうかもねぇ。日本では右派論壇が「こいつは武器商人である」と必死に叩いている人ですし。なんであれ、歴史とはかくも簡単ではない、ということ。

《ドクター・アトミック》とか、《パサジエーレ》とか、はたまたこういうものとかこそ、オリンピック文化事業でやるべきなんでしょうねぇ、ホントは。「オペラ」という猛烈に金がかかり規模もでかくなる総合芸術は、極めて「政治的」な要素がある、ということくらいは、どっかで心得ておかないとね。

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