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秋の気配:北京編 [音楽業界]

これくらいの季節、なんせお盆休み前なんですっかり暇。貧乏な爺が頂ける原稿の締め切りはみんな今月後半以降になっていて、目の前3日以内の締め切りがないと緊張感がわかないという体になってしまっているものだから、どーにも頭ぽかーんとしてしまい、葛飾オフィスで緑の巨大な固まりになってる柿の木眺めながら、買ったけど積み上がっている本などを朝からぼーっと開いていることになる。そんな中に、春頃から積んだままになっている『亡命者たちの上海楽壇』という神楽坂のすっかりスキャンダル出版社になってしまった元文芸出版社じゃない方の某専門系出版社さんが現在の新書版フォーマットで出しているシリーズの一冊をやっと手に取り、眺め始めたわけであります。
https://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail_sp.php?code=371120
中身は題名通り、折に触れて出て来る、というか、定期的にポロっと一般書の形でも出て来る感じの「20世紀前半東アジア演奏史中国編」ネタで、現実業之日本社社長さんの朝比奈本などで皆さんお馴染みの話題とも一部重なってきますので、その辺で興味のある方は是非どうぞ(と、少しでも宣伝するのじゃ、こういうもんは)。

基本、真面目な博論だかを一般人が読める形に薄めた、というこの出版社のかつての定番ものであります。個人的な感想は、「なるほど、やっぱりこういう仕事をするときの基本作業は新聞広告を山積みにする物量作戦なのであるなぁ」ってかな。皮肉ではなく、結構、現状に対する危機意識でありまする。
やくぺん先生が世紀の変わり目に『第一生命ホールの履歴書』をやったときも、三宅坂の国会図書館だけでは無理で、ヴァージニアのアメリカ合衆国国会図書館分室、そこからとうとう最後はノーフォークのマッカーサー資料館までおいかけねばならなかったのは、「当時の新聞のイベント告知欄」を少しでも網羅するためでした。アムトラック駅から港の宿までの連絡バスで、進水したてで艤装作業真っ最中の空母ロンが巨体を浮かべてるのを眺めたっけ。ひとりでは不可能なエレファントな作業で、お嫁ちゃまと、今は栗東で子どもオケの母やってる初代我が家の娘を連れて行かねばならなかったっけ。この井口さんの調査、チームでやったのかしら?一部はデータベース化されているようなので、少しは楽にはなってるんだろうけどなぁ。

もとい。んで、読み進んでいくうちに、1世紀前はともかく、そういえば今年は中国開放70年で、10月の頭はいろいろ盛り上がるんだろうなぁ、澳門の音楽祭でもかの《長征》交響曲やるみたいだし、そういえばちょっと前に北京の音楽祭の広報君からなんか連絡来てたっけ…

考えて見れば国慶節まであと2ヶ月。チケット発売どころか企画内容発表も3ヶ月前にならないと行われない日本以外の東アジア地区だけど、流石にそろそろオープンになったろう、と調べてみたら、おおお、やっぱりあの連絡は7月18日に北京で記者会見があったぞ、ということだったようだなぁ。

で、今の上海フランス租界の辺りの話の前に、まずは宿命のライバル北京から。共にロン・ユー社長が押さえてる世界ですから、根っこは繋がってるわけだけどさ。

毎年秋、国慶節の休みくらいから始まる「北京国際音楽祭」、内容が発表になりましたです。
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今年は10月4日から28日って、ちょっと早くないかいな。どれが公式ページなのか判らないが、英語アクセスが出来るのは、とりあえずこれかな。22公演のプログラム一覧表みたいなものはどっかにないのかしらね。
https://www.facebook.com/BeijingMusicFestival/
現時点では7月20日に出た長大なリリースを読んでいくしかないみたいだけど、ポリー・シアターで10月18,19日にDu Yun "Angel’s Bone" 上演がいちばんの目玉みたい。日本でも春前にすみだトリフォニーが招聘してやっと少しは世間の認知を受けた感があるマックス・リヒターが万里の長城の足下で8時間のライブをやるがもうひとつのハイライト。これ、なかなかトンデモ系イベントのようだが、どうやっていくんねん、北京から?どうやら今年はアシュケナージ率いるマーラー室内管にレジデントオーケストラという名前を付けるらしい(チャイナフィル、良いのかぁ、それで!)。来年からパリのオペラ・コミックと3年間の提携、とぶち上げているのは、具体的にはまだなんだか判らないけど、今年はともかく "Angel’s Bone" を共同制作。先の話では、ホキモ演出ロン・ユー指揮《カルメン》、それにこの前香港で出ていたZhou Longの《Madame White Snake》 新演出とか…まあ、フィルハーモニー・ド・パリのオンドレ総裁が燃えてるからパスカル君の《光》サイクルはもうオペラ・コミークとは関わりそうもないんで、ま、やくぺん先生とすれば、それはそれ、ってとこでんな。

現代ものもいろいろあり、羨ましいなぁ、と思う日本の作曲関係者さんも少なくないでしょうねぇ(なんせ、膨大な金をぶち込んでる世界大運動会でも、普通なら当然ある筈の国立オペラハウスでの新作オペラ初演なんてもんがないという我がニッポン、創作系文化予算に関しては東亜細亜諸国にあって中韓台にぶっちぎりで負けてる最底辺国ですからねぇ)。日本語媒体で商売になるかもしれないのは、デュトア指揮する上海響の《ファウストの劫罰》に日本の合唱団が加わること。うううん…こういうの、困るなぁ、商売的に。この団体なによ、って、広報君に問い合わせないとなぁ。今年こそ神楽坂の某専門誌編集長を招待しろ、って入れ知恵した方がいいかも。ま、ともかく、お暇な方はこのリリース、しっかりお読みになっていろいろ悩んで下さいな。

おっと、北京の話だけでずいぶんと長くなってしまった。上海編はまた次回、ということで。無論、デュトア御大のベルリオーズ、上海の定期でもやりまっせ。

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Yakupen

公式サイトがもう出来ている、という連絡をいただきました。こちら。
http://www.bmf.org.cn/?fbclid=IwAR128cAE-IVZPZtkDVpWHa2kvJKPKKs3to8_MjudEp-Aicf0s7asEnVNpW0

by Yakupen (2019-08-02 10:33) 

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