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イエローレーベルの楽聖記念年 [演奏家]

メモ代わりにFacebookに記したら案外と面白そうな話題みたいなんで、自分への備忘録としてこっちにもアップしておきますです。

さても、漸く梅雨も明けて極東の島国も新暦葉月、っても、葛飾オフィスなんぞどう考えても「葉っぱが生い茂りまくる月」なんだけど、ともかく、夏も盛りでありまする。これで世界大運動会やろうって一億火の玉特攻隊、俺は加わらん数千万の方に入るぞぉ!

もとい。来る2020年ってば、なんといっても期待のドバイ万博とベートーヴェン生誕250年記念年でありまする。他のイベントで意味があるのは6月の第10回大阪国際室内楽コンクールくらいですから、静かな年であって欲しいもんですなぁ。あ、7月には養父チェロもあったっけね。

そんなわけで、楽聖で商売しようという方々は、いろいろと既に準備万端整えているわけであります。クラウドデータの世界になったとはいえ、未だに多少なりと影響力は保持しているようなディスクの世界でも、エベーヌQが世界五大陸でベートーヴェン全曲ライブ録音やってる、なんてのが先頃日本でも話題になった(のか?)わけですが、いよいよかつての大横綱も動きました。見よ、世界で最も古いクラシックレコードのレーベルたる天下のドイッチェ・グラモフォン様が、秋の盛り頃にCD118枚とBlu-ray3枚、それにDVD2枚総計€240也、という大物量作戦で、こんなん出します!
https://store.deutschegrammophon.com/p51-i0028948377367/various/beethoven-die-neue-gesamtedition-limitierte-auflage-/index.html?onChangeLanguage=1&language_id=DE
なんか、上の公式ページは案外素っ気ないなぁ。判りやすいこちらをご覧あれ。
https://www.hmv.co.jp/en/artist_Beethoven-1770-1827_000000000034571/item_Beethoven-The-New-Complete-Edition-118CD-2DVD-3blu-ray-Audio-Limited_10112427?utm_campaign=LHdiv_hmv_extra&utm_medium=email&utm_source=190731_cl_jouhou&site=hmv_extra_in65&fbclid=IwAR2lekTfvp9hU5cVZqLKbMCCNfzVKYmLZ0RD1HovNW9mvJ3AvOGzfuIHWak

HMVの日本スタッフさんが汗だくで作品名と演奏家名を全部しっかり日本語カタカナ表記に直して下さったこの膨大なリスト、上から下まで眺めるだけで優に5分くらいかかりそうな名前の羅列を眺めていくと、暑い夏の昼間の格好の暇潰しになりますです。いやぁ、なる程ねぇ、これが天下のイエローレーベルが2020年段階で選んだ「世界を代表するべートーヴェの演奏あれこれ」ってことね。ブックレットには、プロデューサーさんだか監修者さんだかの演説が付いてるのかしらね。

作る側の事情がどうあれ、この大アンソロジー、このラインナップを眺めてどう感じるか、どう反応するかで、その方のベートーヴェンばかりか所謂「クラシック音楽」をどう感じているのか、どう思ってるのか、モロにバレてしまうリトマス試験紙(←死後?今時はなんと言えば良いのか判らないぞ)ですな。「憲法」とか「集団的自衛権」とかいうとその人の政治傾向がモロ見えになってしまうようなもん、じゃわい(…かなぁ)。

やくぺん先生的にも、このラインナップをスクロールしていくに、「へええええ…」とか「ええええええ!」とか、はたまた「おいおいおい!!!!」とか、なかなかスリルとサスペンスの時間を過ごせたのであります(昨晩の京急から都営地下鉄浅草線の車内でありました)。いやぁ、このリストを肴に一晩でも二晩でも盛り上がれるぞ、って感じでしょ。

個人的に最も興味深かったのは、やはり「室内楽」のラインナップであります。正直、大きく太字で「あぁああああああああ…嗚呼ぁああああああ…」ってかな。天下のイエローレーベル、もうこのジャンル、本気でやる気は無いんだなぁ、と再認識させられた、というのがホントのところ。良い悪いというのじゃなく、そういうもんなんだ、とあらためて現実を突きつけられた、というべきか。

ベルリンはシュプレー河畔、Uバーンが渡るレトロな橋を挟んでクスQのベルリンでの定期演奏会場ウォーターゲートに向かい合うように旧ベルリンの壁の跡地真上に聳えるユニヴァーサル・ミュージック
006.JPG
が考えてる「2020年のベートーヴェン」は、まるでベルリン統一直後のあの辺りに復興の音高らかに響いていた頃で時間が止まってしまったか、少なくとも室内楽に限れば対岸のクラブでやってるようなもんからは全く無縁な世界が広がっているのであるなー。ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ、ピアノ三重奏、弦楽三重奏、そして弦楽四重奏…おいおいおい、としか言いようがないラインナップでありまする。いやはや。

無論、それらの演奏家さん演奏団体が悪いなどとは言っておりませぬ。我が師匠アマデウス、心の爺ちゃんボザール・トリオ、それらを「世界を代表する演奏」と太鼓判を押して下さるなんて、涙ちょちょぎれる思いでありまする。これホント。

だけどぉ…このリストを眺め、オリーくんやヤーナは対岸のデッカいビル見上げて「苦笑」するしかないんでしょーねぇ。アルテミス、ベルチャ、エベーヌ、パシフィカ、キアロスクーロ…などなどが、あのビルから眺めるベルリンの空の下に見えない、聞こえていない筈がない。でもやっぱり黄色いジャケット背負って世界に出して頂けるのは、ブレイニン御大でありプレスラー翁なんであります……かぁ。

交響曲の方には、来年のヴィーンフィルに拠る世界主要都市(除くTOKYO)ベートーヴェン交響曲全曲演奏ツアーでポディウムに立つネルソンスが一応は加わっているのは、あのプロジェクトもバックはイエローレーベルですんでよろしく、ってことなのかしらね。うううんデュダメル&シモン・ボリバルをもってしてもここに加わるわけにいかなかったんか。

ま、そんなこんな。喋り出せばキリがない味わい深いリストでありまする。暑い夏の午後、脳内にラズモ3番フィナーレでも壮大に鳴り響かせ、じっくりリストをご覧あれ。なお、若い人に不用意になんか言うと歳がバレますから、充分にお気を付けあれ。

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佐藤

全部は見ていませんが、
古い録音が全ていけないとも思いませんが、
同じ曲を数種入れる場合まで全て2000年以前のものというのがざらで、
「1つくらい新しめの録音で素敵なのあるでしょうよ」と思ってしまうのが正直なところです

「今からクラシック聴き始めるので古かろうが全然持っていません」という人には、悪くないでしょうし、
演奏家の特徴は置いておいて兎に角曲の良さを知ってもらって、
「この曲が気に入ったから今度この曲をやる演奏会に行ってみよう」と思ってもらうという意味ではいいのかもしれません

定期的にベスト的なものを出して既存のもので金・手間をかけずにCDを売ってきて、
新しい奏者にはあまり金・手間をかけてこなかった結果、使えるものがあまりなかったのでしょうかね

ユニヴァーサルグループ全体で考えればそれなりに音源の種類もありそうで、
やろうと思えばやりようがいくらでもありそうですし、
単に新しい録音の魅力を伝える気が無いだけとも思えますが

by 佐藤 (2019-08-04 03:58) 

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