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UNO弦楽四重奏団実質上の旗揚げ公演 [弦楽四重奏]

昨日、福岡の大繁華街天神のど真ん中(なのかな?)、オシャレだったり庶民的だったりアヤシかったりする飲食店無数に溢れかえり、そんな中に猛烈にレベルの高い古本屋やら町和菓子店がポツンポツンと生き残っている大名なる場所のビル地下、新帝都ならさしずめ20世紀末の渋谷ジャンジャンみたいな場所たる大名MKホールなるコンサートスペースで、80名近くのギュウ詰めの聴衆を前にUNO弦楽四重奏団の実質上の旗揚げ演奏会が行われました。
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最寄り地下鉄駅は赤坂、ってのも頭クラクラしそうだけど。
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https://news.goo.ne.jp/article/eventbank/region/eventbank-10453387.html
https://www.facebook.com/events/%E5%A4%A7%E5%90%8Dmk%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB/uno%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E5%9B%A3-vol2/1058822988144929/

メンバーは九州交響楽団にこの数年加わったばかりの若い連中に、北部九州を拠点にフリーで活動するチェロの宇野健太氏が加わるという顔ぶれ。ホントに「若い」、まだ全然コンクール受けに行くくらいの世代の団体です。共通項は、セカンド氏以外は(多分)皆がヴィーン留学経験があることなのかな。宇野氏は上野藝高から直接ヴィーンに行き、そのまま新帝都には戻らず九州拠点に活動、という興味深い経歴ですし。

本来ならば去る8月に旗揚げ公演を行う筈で
https://www.nishinippon.co.jp/kyushu_event/17011/
その日は佐世保の弦楽四重奏の最終回とぶつかっており、大いに悩んだ結果佐世保に向かう途中でコロナがらみで中止が発表される、というアンラッキー極まりないことになった団体。今回、仕切り直しで第2回演奏会(ヴァージョン2、と呼んでますね)からスタート、いずれ第1回演奏会はリベンジ公演を行うとのことであります。

さても、キューシュー島新米のやくぺん先生、30年も前からアマデウス・セミナーに参加なさってた福岡ハイドンQの活動は存じ上げているし、その流れで澤先生が主催するクァルテット・フォーラムが福岡をひとつの拠点のようにしていたのは知っているし、その前には岸邊百百男先生の福岡モーツァルト・アンサンブルが巖本真理Q亡き後のニッポンの室内楽空白時代を本土には知られずに埋めていたという事実があることもなんとなくは判ってるけど…実際のところ、福岡帝国中枢の趣味嗜好については、なーんにも知りません。

コロナ前から九響の中で日本フィルコンマス兼任の名手を中心にクァルテットを定期的にやっていこうという動きがあるのはなんとなく察してはおりましたけど、今回のUNOQはそういう世代とも一線を画した、ホントの若い方々の活動です。正に、福岡室内楽のニュー・ウェーヴ、なんですかね。

正直、聴衆の感じも首都圏のサルビアホールやらサントリー室内楽のお庭、はたまた京都はカフェ・モンタージュやらの空気とは随分と違う。なにより、働き盛りの世代が聴きに来ている。若い世代から高齢者まで、男女満遍なく客席にいる。どうやら、九響のファンという方々と、自分で室内楽も含め演奏するアマチュアの方々がかなりいたような。そもそも、アマとプロの垣根が低いのは洋楽導入時以降の福岡文化圏の特徴みたいだし。東京首都圏のアマチュア室内楽フェスティバルに出るような方々や、はたまたいくつかのプロ団体がやるアマチュア向けセミナーに参加するような方々って、意外にも室内楽の演奏会にあまり来ないんですよねぇ。

ま、それはそれ、また別の話。で、UNOQの実質起ち上げ演奏会、うううむ、果たして正しい発言なのか判らないんだけど、なによりも「ああ、ヴィーンで音楽聴いてきた人達だなぁ」という感があったです。「これが俺たちがやる音楽の基礎となるフレーズだぞっ、びしっ、がちっ」ってのを提示し、ひたすら説明してやろう…ってのじゃない。もっとふんわり、柳腰というのではないのだろうけど、するっと音楽が流れていく世界でありました。最近やくぺん先生が使いたがる、商売作文では絶対に編集者さんから意味が判りませんとアカを入れられる比喩を用いれば、「成田空港に到着するや漂う千葉の醤油ではなく、どっかノンビリした九州醤油みたいなベートーヴェン作品18の4」ってかな(うううむ、地域限定過ぎる)。

無論、忙しいオケ生活の中で時間を作って練習するわけで、団としての響きや基本的アンサンブル、音程など、することはまだまだある。団としての趣味や嗜好はハッキリしている(意外に第1ヴァイオリン優先、とか)ので、あとはどう精度を上げていくかですな。その意味では、このようなメンツの団体としてよくある年一回の演奏に向けて頑張る、ってのではなく、数ヶ月に1度はやりたいと仰ってる。「ベートーヴェンはやっていきたい」というガッツり王道なことを仰ってるのは、心強いところでありまする。

それにしても、ハイドンの零番とか、ボロディンの1番とか、いきなり内角ギリギリみたいなくせ球投げてくるなんて、どういう趣味なんじゃい。ハイドンはまるでミニマル音楽に聞こえたし、ボロディンの音色趣味のぶっ飛び具合をしっかり見せてくれたし。次は何をしでかしてくれるやら、興味津々でありまする。ま、その前にデビュー戦で予定されていたフランクのピアノ五重奏、よろしくお願いします。

ちなみに宇野氏はこんなアンサンブルをやり、来週には高校時代懐かしき新帝都は日暮里でも公演が。
https://teket.jp/4317/16098
当然、絶対に行きたいのですけど…なんとこの日は古典Qと松原克也らのQが共にベートーヴェン後期で勝負というとんでもない裏番組があり、ううううむ、コロナ明け早々、なんでこーなるのかなぁ。

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コメント 2

吉田潔

心のこもった感想ですね。

(多分)となっていますが、飯田さんもウィーン留学時に一緒だったと宇野氏から聞きましたが.............。
by 吉田潔 (2022-10-22 10:11) 

Yakupen

吉田様

情報、ありがとうございます。当日配布物になかったので、何か意図があるのかな、と思った次第。
by Yakupen (2022-10-23 21:30) 

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