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スプリンクラーは指定管理者制度の灯を消すか [指定管理者制度]

今や完全に「死カテゴリー」となっている「指定管理者制度」、久々の登場です。

このところ、業界内では大いに話題になっている、というか、大いなる戦慄が走っているこんな話題があります。皆様、もうご存じだと思いますけど。最近はローカル局のテレビニュースがまんま公式出切り撮られて配信されてるんですねぇ。凄い時代になったなぁ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e092f29cbc0c8b70accca9055e5ebec1d6014c6a

知る人ぞ知る日本でいちばんヤバい演目を並べる室内管、シンフォニエッタ静岡が裾野市の公共ホールで公演を行おうとしている本番直前に、何故かスプリンクラーが作動してホール舞台上に水がぶちまけられ、楽器から楽譜からみんなやられてしまった、という考えるだにオソロシー話でありまする。

で、シンフォニエッタ静岡の名物音楽監督、もうこの人がいないとやれん、って日本でも指折りのカリスマキャラたる芸術監督中原さんが、その後の対応を巡り激怒して記者会見を行った、というのが静岡朝日テレビさんのニュースの内容。で、こちらがシンフォニエッタ静岡さんの公式見解。
http://www1.odn.ne.jp/ssj/
これはもう、28日の三鷹公演、お時間のある方は是非とも行っていただきたいですねぇ。あたしゃ、この時間、大阪で交響曲《仏陀》に心震わせてる時間だわ、ゴメン。ラドミローは首都圏にゴマンといらっしゃる秘曲珍曲マニアさんには、絶対に外せない演目でしょ!

さてもさても、舞台の上で起きたことの被害総額を数えるのはその筋の専門家にお任せするとして、やっぱり気になるのは、「誰の責任か」ですね。もっといえば、「誰がシンフォニエッタ静岡さんに賠償するのか」ですな。というのは、このチラシをご覧になってお判りのように
https://www.susono-bunka.jp/src/2022/07/aac0777d6e66cd272e65b99ffc680a68.pdf
この公演、日本一尖った演目を誇るシンフォニエッタ静岡さんの自主公演とかではなく、裾野市と公文協が主催する公演にシンフォニエッタ静岡さんは雇われて出演する、というものです。要は、主催者は裾野市のホールそのもので、それどころか地元教育委員会やら文化庁さんのアートキャラバン事業まで着いちゃってる、もうこれ以上はない公共主催の公演でありまする。

つまり、公共事業に民間会社が雇われて作業をしようとしたら、作業の準備中に突然作業現場で誰がどう考えても雇用側に責任がある大事故が発生し、機材一切がお釈迦になってしまった、ということ。なんせ、航空会社が空港に飛行機おいといたら燃料引火大爆発があって虎の子のひこーきが燃えてしまったぁ、とか、コンピューターなりを持ち込んでセッティングをしてさあお仕事しましょとなったら部屋の天上から水ぶちまけられてコンピューターも持ち込んだ紙モノも全部ダメになった、とかいうこと。

もう、だれがどーかんがえても、ホールが悪い。

ここで問題なのは、「ホール」って誰かなんですな。で、今や悪名高く、消滅へのカウントダウンになっているとしか思えぬ大失敗制度「指定管理者」が出てくる。

さっさと結論を言えば、シンフォニエッタ静岡さんに億単位の賠償を払う直接の責任があるのは、「ホールを所有している裾野市」なのか「ホールを管理運営している指定管理会社のケイミックス」なのか、ということです。ぶっちゃけ、ここで両者が責任の押し付け合いをやっていて、もの凄く立場が弱い雇われ人、恐らくは失礼ながら日本でいちばん財政状態が悪いオーケストラのひとつシンフォニエッタ静岡さんを泣き寝入りさせてしまえ、零細民間オケのひとつなど潰れてもわしゃしらん、ということになってるのではないかいな、ってこと。

そこまで悪意でことが動いていないことを祈りますけど…この問題、実は根が深く、いちばん心配されるのは、結果としてケイミックスさんが全部責任があり保証をしろ、ということになったら、何が起きるか。

もうハッキリしてますね。恐らく、次の指定管理になったばかりのようなケイミックスさんですけど、こんなことで市から責任押しつけられるのだったら、とてもじゃないがこの市の指定管理は会社としてやれない、とんずらします、って。で、恐らく、別の指定管理者を探しても、まともな会社ならどこも手を挙げないでしょう。

つまり、今、日本各地でコソコソと、はたまた堂々と論じられてる「指定管理は公園とか駐車場とかなら安定した商売にもなるが、文化施設はとてもじゃないがやってられない」という現場の声がますます大きくなり、行き着くところ「文化施設の指定管理者が来てくれない、でも自治体は自分でやる程の人材もノウハウもない」なんてことになり、箱があっても運営が出来ない公共ホールが次々と…

そんな話題が静かに燃え広がる中に、第2弾ともいえる水爆弾が投下されてしまいましたぁ。なんてこった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/40dfdbbadb76b50e1b4fa6356b7bd0cc9ec2a3b2
こっちは会場が会場だし、かの問題の横浜音祭りのメインイベント公演のひとつを前にしていたわけで…ううううむ。

ニッポン各地のスプリンクラーが一斉に反乱を起こしたのかとも思えてしまうこの連発する騒動。導入時に大騒動となった文化施設の指定管理者問題は、いよいよ「商売にならない」という末期資本主義の冷徹な理屈で終焉に向かう…のか?スプリンクラーは指定管理者を根絶やしにする水を撒くのか?

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