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久しぶりのアイヴス第4番ライヴ [現代音楽]

アイヴスの交響曲第4番がメインの話題で、「現代音楽」カテゴリーもなかろーという気がしますが、ま、トータルで、ということ。

年末年始、もう上野の《ゴルドベルク変奏曲》もない2022年ったら、いい加減にダイクやらシュトラウス一家じゃないもんを聴きたいぞ、という貴方に、素敵な演奏会のお知らせ。こちら。
https://www.aibigeiken.com/exhibition2022/
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もうめんどーなんで、メインの指揮をなさる夏田昌和氏の熱弁をまんま貼り付けます。どうぞ。
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今年のクリスマス、12月25日は特別な日になりそうです。諸事情が二転三転した結果、晴天の霹靂で私に白羽の矢が立ち、アイヴズの「交響曲第4番」を指揮することになりました。100年以上前に書かれながら巨大編成と奇抜なアイデア満載で演奏至難、日本では前世紀に2度しか演奏されたことがないそうで、今回はチャールズ・アイヴズ協会が作成したパフォーマンス・エディション(最大限”演奏可能”を目指した版)を用いての日本初演だそうです。

オーケストラは意欲ある若手プロ奏者で結成されるタクティカート・オーケストラ。ゲスト・コンミスとして「アイヴズ・ヴァイオリンとピアノのための4つのソナタ」のCDを2019年に出した甲斐史子さんをお呼びしました。そのCDで甲斐さんと共演している大須賀かおりさんは、及川夕美さんと共にオケ中ピアノ(連弾)とスコラダトゥーラ・ピアノを担当なさいます。及川さん大須賀さんの2人はプログラムの中で、同じくアイヴズの「2台のピアノのための3つの4分音曲」も披露、両国アートフェスティバル2020以来のこの作品の再演です。

「交響曲第4番」のソロ・ピアノと、同じくプログラムにあるハースの微分音作品「スティーヴ・ライヒ讃」を演奏されるのは、現在フランスに留学中の秋山友貴さんです。この交響曲は部分的に複数の指揮者が必要なのですが、副指揮を務めて頂くのはミラノにお住まいの才能豊かな浦部雪さん。8本のヴァイオリンとハープから成るバンダの指揮をお願いしたのは合唱指揮のスペシャリスト西川竜太さん。彼の主宰するヴォクスマーナ、空、暁という3団体からの精鋭メンバーが、1楽章と4楽章に入るコーラスで交響曲にも加わって頂きます。

この交響曲には「エーテル・オルガン」という謎楽器パートがあるのですが、こちらを今回オンドマルトノで演奏して下さるのは大矢素子さん。またこれとは別に正真正銘のオルガン・パートもあり、そちらはフランスやドイツでの長期留学から帰国されたばかりの井川緋奈さんが担当。ハイ・ベル&ロー・ベルというメチャクチャに音域の広い鐘も用いられているのですが、ステージに乗るそんな楽器は存在しないため、作曲家の磯部英彬さんに音源作成をお願いし、それを磯部さんと共に電子キーボードで演奏して下さるのは現代音楽演奏で大活躍の川村恵里佳さんです。

纏め役が何故かこの私というところが若干心許ないですが[わーい(嬉しい顔)][あせあせ(飛び散る汗)]、短期間(なにせ一旦頓挫したらしいプロジェクトが再始動したのが先月半ばのことでした)に最大限素晴らしい人材が集まり、総力戦でこの超難関プロジェクトに挑みます!そして本プロジェクトの企画と主催は前衛美術家の中ザワヒデキさんと草刈ミカさんによる人工知能美学芸術研究会。彼らによる新作(2台ピアノ作品とオーケストラ作品)も、プログラムの中で初演されます。ホワイエでは同時に展覧会も!

配信もありますが、超大編成による奇天烈交響曲の歴史的な演奏の場は、是非会場で生で体験して頂きたいと思います。結構な高額のチケットになってしまいましたが、お求めの際はまずは私はじめ出演者までご一報を!かなりいいこと、あります!

という訳で現在130頁ほどのスコアの譜読み(というか解読)に勤しむ毎日です。ぎゃあ?[げっそり][げっそり][げっそり]
会場はパルテノン多摩大ホールで12月25日の15時開演。美術展は13時から20時までの開催です。皆さま、是非!
夏田 昌和Facebookページより https://www.facebook.com/masakazu.natsuda.9

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わしら年寄りとすれば、「あれ、こないだ上野の新日定期で小澤さんがひとりで振ったじゃん」と思ってしまうんだけど、まあなんとなんと、既にこんな昔の話なのね。
https://i.t-bunka.jp/pamphlets/19699

この演奏会、何でか知らんが当時は大井町駅操車場跡地みたいなところにあったNJPの練習場に行って練習見物した記憶が。本番では、「小澤氏はバーンスタイン直伝のひとりで振れる楽譜を持っているそうだ」などという噂がまことしやかに流れ、実際、コンマスの松原かっちゃんやら合唱の関屋晋さんなんかの手伝いはあるのだろうが、ひとりで指揮をし、どうするのかと思ったらある箇所ではかっちゃんに一部のオケを任せて舞台の奥の方に指揮者さんが歩いて行ってその前で振ってたり、とかしてましたね。この辺り、まだ証言者が現場にいくらでもいらっしゃるだから、アメリカ音楽やってる研究者さんがちゃんと「アイヴス演奏史」の証言として話を聞いておくべきなんだろうけどねぇ。

もう四半世紀以上昔のこと、その後もアイヴスの研究なんぞは日進月歩で、楽譜も次々と校訂され、今回は新しい楽譜での演奏とのこと。夏田さんは「この曲をひとりで振る理由はないと思うんですが」と仰られてますが、誠に以てその通りで、小澤氏の場合は極めて現実的な「オーケストラの定期演奏会でやる」という目的が前提だったようですね。

アイヴスくらいだと、小澤氏くらいまでがその演奏史の流れの中で存在しているわけだから、やっぱりまだ「現代音楽」ということなんだろーなぁ。今なら「これ、ライヴじゃなくてサンプリングでやれば良いんですよね」で終わってしまいそうだけど。

前の晩にサンタがドカンと置いていった今年の最大のクリスマスプレゼント、皆の者、クリスマスの朝は遙か多摩丘陵はパルテノン多摩に結集せよっ!

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