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統営への道2023 [たびの空]

朝の6時半前に福岡天神の宿を出て、昨日から海峡を臨むイサン・ユンのお墓の横で始まっているイサン・ユン記念統営国際音楽祭2023会場の統営コンサートホールから観光港を挟み徒歩10分程の安宿に到着しております。思ったより上手い具合にバスの接続があり、諦めていた3時開演のゲルネをソリストに迎えたコリア・ナショナル管のコンサートに間に合ってしまい、結果として夜のロバートソン御大指揮のする腕っこきを世界から集めた統営祝祭管が頭いかれた音楽としか言いようがないラフマニノフ第1交響曲をぶっ放すまで、ずっと岬の先の会場で過ごし、今、戻って来ましたです。

ええ、福岡帝国北九州地区にお住まいの方なら新帝都どころか大阪行くより遙かに近い統営、やくぺん先生の温泉県盆地オフィスからでも単純直線距離なら岡山や鹿児島くらいで、こんな「伊豆とか軽井沢くらいのところにチャンとした大ホールと小規模演劇も可能な小スペース、それにホール飯を超えたまともなイタリアンのレストランと高級ホテルがあり、そこを会場にサントリーサマーフェスティバルに、著名ソリスト複数と地元人気ソリストを加え、2度の週末にはサイトウキネンみたいなフェスティバルオケと首都圏メイジャーオケを呼んでくる、桜とイースター観光シーズンの音楽祭」が行われているのですから、知らんぷりしてる手はないと思うんだけどねぇ。まあ、条件がこれだけ良いし、ソウルからグランツーリズモタイプのヒュンダイ高級車120キロでぶっ飛ばせば3時間で来るわけで、ニッポン聴衆を無理に集める必要もないことは確かなんだけどさ。

とにもかくにも、何処とも同じくこの3年はまともに開催出来なかった統営国際音楽祭、アンカナのヴィオラ奏者という経歴でドイツ人とは思えぬ細かい気配りが出来たディレクターがこの地で行われていたイサン・ユン顕彰国際コンクールの実績と手腕を買われ、ドタバタ真っ只中の国際コンクール連盟代理総裁に転出。なんとまぁ芸術監督にウンスク・チンを迎え、新たな体制となったところでコロナ禍となり、タン・ドゥンの《仏陀受難曲》やらマデルナ《サテュリコン》上演が発表されながら全て中止。やっと再開された今年は、ともかくまずは様子を見ようという現実的な選択で、大規模室内オペラ上演はなく、カヴァコスをレジデント・アーティストに迎え、昨晩のロバートソン指揮祝祭管バックでのブラームスの協奏曲で賑々しく幕を開けましたです。なんせ「イサン・ユン音楽祭」ですから、シュトゥットガルト声楽アンサンブルがゲストでベリオ《シンフォニア》なんぞを前半にサラッとやったりしてますけどね。これ、聴きたかったけど、昨晩は福岡で若い弦楽四重奏団の2度目の定期演奏会があったので、そっち優先でありました。ちょっと残念。

もといもとい。で、ニッポン文化圏では殆ど観光地として知られていない統営、コロナ禍が明けた今、どんな風に来れば良いのか、お伝えしましょうぞ。この話のアップデート版でありまするな。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2017-04-06
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2017-04-07
6年前と異なるのは、やくぺん先生のスタート地点がニッポン国帝都首都圏ではなく、九州北部となっていること。ま、それはまた別の話なんだけど。

新年度初めの土曜日の朝に福岡板付空港から半島に向け離陸するまでのドタバタは、それはそれで「たびの空」ひとネタに充分なってしまう騒動なんで、ここでは割愛。エアプサンのチェックイン行列+セキュリティ行列+お土産購入行列の総計時間は、福岡板付から釜山金海空港までのフライト時間よりも遙かに長い、という事実だけはお伝えしておきましょうぞ。いやはや…

んで、なんのかんのでインバウンドだけではなく釜山観光だかの福岡市民も3割くらいは乗せたエアプサンの長い321は桜も終わりの福岡帝国を離陸、眼下に対馬を眺めるのは新帝都や関西からの空の道ではあり得ない風景でありまする。
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実質フライト時間40分くらい、アッという間に桜咲き乱れる半島南、釜山北西郊外の金海空港に着陸、貨物側ターミナルの先っぽの韓国空軍アラート地区に週末もお仕事中のF-16が一機ボーッとしてるのを眺め、北東の軍地区を横目に国際線ターミナルに向かうと、おおおおお、ヤンキーも採用を決めた737タイプの背中に長いこぶ背負った早期警戒機やらC-130やらが週末っぽくノンビリ寝てる横、民間機誘導路に沿ってブラック・イーグルズのT-50がズラリと並んでエアプサンやくぺん号をお出迎えではあーりませんかぁ。流石に軍でいちばん愛想が良い奴らを集めた広報専用部隊、こっちに手を振ってら。残念ながら半島南は空港や駅施設は写真撮影禁止で、勇姿をご覧いただけません。今や方向性を見失いすっかり迷走状態の我らが「碧き衝撃」を尻目に、あちこちで高評価のアクロバットを見せて歩いてる韓国黒鷲軍団、春の桜上空を乱舞する航空ショーでもあるんかね。

コロナ後はガラガラだった外国人入国、久しぶりにニッポン国籍客が列を成しているカウンターを通り抜けると、もう荷物は廻ってら。さても、問題はここから。Webサイトによれば、金海空港から統営バスターミナルへのリムジンバスは運休中とのこと。ことによると4月1日から再開では…なんて期待をしながら国際線ターミナル前のバス乗り場に行ってみると、おおおお
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やはり統営行きはまだ運休中でありまする。

こうなるともう方法はひとつ。目の前に走ってるでっかいゆりかもめみたいな交通システムの駅に向かい、市内方向にむけ絵に描いたような「お花見」状態の河原の桜を越えてシステム終点の沙上駅へ。市内からだと地下鉄でやってくる西部バスターミナルに慌てて向かいます。ターミナルは新交通システム駅から徒歩数分なんだけど、何故か両ターミナルは直結されておらず(なんか、韓国って市内鉄道とバスターミナルって別にあるんだよねぇ、どこも)、あああ釜山に来たなぁ、というごちゃごちゃした道を渡った向こう。
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半島南の各都市でお馴染みの街のデカいバス駅で、今時のショッピングモールやらの一部ではなく、前世紀からのものをアップデートしながら使ってるもんですな。

チケットも、各国語対応のタッチパネルが並びカード処理ってのもあるけどそれがメインではなく、伝統の並んで買うスタイル。で、読める言語で長距離と書かれたカウンターで黒いにーちゃんとねーちゃんがバタバタやってるのの後ろの並び、「トンヨン、ディレクト」と叫びカードを出すと、典型的なコリアン・ビューティがこれ以上無愛想な顔はないって不機嫌そうに、恐らくは個人所有物の端末で何やらトントン叩き、英語で「Tongyeoungなにやらかにやら…」と書かれた画面を突きつけてくる。でぇええと首を立てに振ると、なにやらおやりになり、カードと一緒にチケットを放り投げてくるのじゃだっく。
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かくて、赤丸が付けられた情報を頼りにバスが並ぶ乗り場に行き、統営行き直行を発見。もう待っているバスのお腹の荷物入れを勝手に開けて荷物を放り込み、勝手にバスに乗り込み、指定された座席に勝手に座っていると、発車直前に運転手のオッサンがチケットを回収に来て、無事に統営行き直行バスはお花見観光で警察も出てる市内外れを抜け、ハイウェイを西へと突っ走る。入江と山の間は対岸キューシューは福岡帝国とほぼ同じ春の風景が広がるけど、菜の花は少ないかな。統営に向け南へと曲がり、九州道から大分道に入った感じになってくると、広がるはまるっきり筑紫平野か佐賀の野か。同じ風景じゃわい。
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ともかく主要道路沿線と河原には戦後(1945年じゃなくてその約10年後の方ですけど)景観を取り戻すべく植えられた桜並木で、もう春満開のお花見も飽きてしまいそうな状況が続きます。

かくてぶっ飛ばしにぶっ飛ばす都市間バスは2時間を切るくらいで統営バスセンターに到着。
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距離とすれば正に福岡帝国中枢から温泉県盆地までとほぼ同じ、所要時間とすれば、途中停車が一切無く、商用車とレースするような飛ばしっぷりなんで、安全第一亀の井バスを遙かに凌駕するのであった。

バスセンターのコンビニでキンパ買って喰らい腹ごしらえ、この先、岬先っぽの宿への路線バスを眺めると、なんと3分後に141番のバスが来るではないか。慌てて荷物ひっつかんでバスセンター横の路線バス乗り場まで走ると、丁度到着。待ってくれと手を振り、Tマネータッチで乗車。これまた桜溢れる市内を抜け、イサン・ユン記念館公園横をかすめ
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橋を渡って市街を抜けると
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桜のトンネル状態の観光ロープウェイ乗り場近辺に音楽祭の旗がたなびき、なんだか盛り上がってくるぞ。

入江の向こうにホール隣の高級ホテルが聳えるのが見えてきたところで141番のバスを下車。
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宿は統営観光最初期に開発された辺りで、今はすっかり古びたモテル街になってる辺りの安宿。ここに4泊滞在でありまするぅ。

さても、間に合ってしまいそうなんで慌てて湾を巡り、コンサートホールへ向かいましょ。ホールロビーの先には、イサン・ユンのお墓を眺める春の海峡、ひねもすのたりうねりかなぁだっく!
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イサン・ユン顕彰統営国際音楽祭、イースター休暇までの10日間、開催中です。新帝都や福岡帝国の皆さんも、是非どうぞ。多分、当日券、買えますよ。

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