SSブログ

ハイシーズン観光地音楽祭の正しい使い方 [音楽業界]

ニッポン国キューシュー島は温泉県にオフィスを移し二度目の桜の季節を迎え、ちょっと数十メートル目線を上げてみるとこんな世界が広がる盆地もやっと春めいた今日この頃、皆様におきましてはいかがお過ごしでしょうか。
336758344_506260308381390_8548323834044143438_n (1).jpg
(写真提供:栗山主税)

由布岳くっきりの春の光が盆地に満ち、観光地の方はバス渋滞が起きているという朝ぼらけ、曇りと雨ばかりだった春のお彼岸の滞在もあと2日となり、4月からの新たな辞令を受け取るために上野の杜に戻らねばならぬお嫁ちゃまと福岡でバイバイし、あたしゃ玄界灘跨いで釜山は金海空港まで板付から45分のフライト、未だコロナ禍タイムテーブルで運休中との情報も乱れ飛ぶ空港バスで統営バスターミナルまで春の半島南部の海岸を走り、路線バスに乗り換え桜咲き乱れる岬の先っぽの港まで至り、実質3年ぶりの開催となる「統営国際イサン・ユン音楽祭」へと詣でるでありまする。
https://timf.org/en/

この音楽祭を本当に「国際音楽祭」として世界に開いたドイツ人のディレクターのリーム氏が国際コンクール連盟代理総裁に転身、新たに芸術監督としてウンスク・チンを迎え新体制となったところでコロナ禍が勃発。この2年は、タン・ドゥン《仏陀受難曲》やらマデルナ《サテュリコン》などの上演をメインとする企画は発表されたものの、結局のところ全てキャンセル。やっと迎えたウンスク・チン監督最初の年は、ご覧のようにカヴァコスをメインゲストにマティアス・ゲルネなども迎え、オーケストラはお馴染みのダヴィッド・ロバートソンが祝祭管弦楽団を指揮、地元からは釜山フィルやら韓国ナショナル管やらが加わりイサン・ユンやウンスク・チンの曲を交えながらもラフマニノフ記念年らしいプログラミング、そこに韓国ソリストやらがドカドカ並び、深夜にはジャズやら民俗音楽が振り撒かれる、いかにも桜咲き乱れる風光明媚な観光地でのこの金曜日から10日間のイースター音楽祭、ってラインナップになってますな。

隠居爺のやくぺん先生ったら、温泉県盆地オフィスから岡山やら鹿児島に行くのとそう違わぬ距離の場所、これは行かんわけにいかんでしょ、ってくらいのノンビリ気分で、土曜日は無理をしない移動日に徹し、夜のロバートソン指揮祝祭管のイサン・ユン作品に到着出来れば御の字(広報さんにチケットは頼まず、飛び込みであれば聴くべーかね、という感じ)。目的はエスメQがらみの2公演と、特殊打楽器がないと演奏出来ないもんばっかり並べたハリー・パーチ・アンサンブルと、アンサンブル・モデルン&韓国伝統楽器の共演。フェスティバルがお楽しみのために並べてくれてる統営国際音楽祭祝祭管やら韓国ナショナル管やらピアニストやら深夜のジャズやらは、無理に聴く気はさらさらなし。まあ、原稿の進展次第ではカヴァコスが韓国の若い子達とやる室内楽を眺めてみるべーか、ってなノンビリさで、桜の海峡の港眺める安宿で5日〆切の原稿を90分のテープ起こしからやれば良いバカンス気分。それでも滞在4日でこのレベルの演奏会を最低4公演は聴くつもりなのだから、ザルツに行ってヴィーンフィルもオペラも聴かずに、現代物と室内楽だけ出席しあとは周囲の山やら湖やらをウロウロしてるみたいなもの。このイサン・ユン国際音楽祭って、本来はそっちが主流。あとは豪華なイースターのオマケなんだから、それはそれでいいんだけどさ。

かくして来年1月のエスメ来日に向けての商売原稿も全然売り込んでおらず、その先のイースター休暇明け渡欧の準備も半分しか終わってない、まるで働かぬ春のお気楽爺なのじゃ。

強弁すれば、ガツガツ聴くなどせずに(毎年某音楽雑誌1月売り号掲載の「コンサートベストテン」、外国での演奏会聴取回数はカウントに含まれないので、新帝都滞在時みたいに必至に分母数を増やす修行など外国では不要なのであーる)必要最小限の聴かねばならぬものだけ聴いてノンビリ過ごすことこそが、「観光地の音楽祭」の正しい使い方なのであーる。

ちなみに、こちらがアンサンブル・モデルンの公式ページでの告知
https://www.ensemble-modern.com/en/calendar/2023-04-03/6290#k-6290
演目としてはリゲティのピアノ曲をアンサンブル・モデルンの為に編曲した作品を並べ、メインの有名なピアノ協奏曲を持ってくる、という記念年に全振りした6日も大いに興味あるんですが(みんな大好き《グラン・マカブル》抜萃はやりませぬぅ)、これまた最後の桜咲き乱れる上野の杜でドイツ芸術を讃える歌合戦を拝聴するために新帝都に戻らにゃならんため、残念ながらひとつだけ。ま、韓国楽器とのアンサンブル作品などというこの音楽祭ではないと聴けない作品があるから、良しとしましょ。

さても、盆地から朝9時の海峡越えるエアプサンに乗るためには、前日から福岡入りせんとならん。なんとか今日明日で原稿一本入れんとマズい。まだまだ冷たい春の風を入れながら、少しは本腰入れて働くべぇかいな。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。