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准LCCで仁川空港に行くのじゃ! [たびの空]

思えば、LCCという航空会社のジャンルが出現し、ニッポン列島やその周辺にも進出したのは10年代のこと。311やら、アベ政権やら(災害認定じゃのぉ)、コロナ禍やらと100年前の世界の混乱にも近いような大波を乗り越え、今や少なくともやくぺん先生のお宅では生活を成り立たせる根幹として存在するのでありまする。なにせ、「成田から九州北部の諸空港まで片道Max7000円相当」という状況が存在しなければ、銀座東京駅から最も近い田舎町佃大川端の縦長屋からガッツリ500マイルも離れたキューシュー島の温泉県盆地との二重拠点生活なんて、絶対にあり得なかったでしょう。国立大学のキョージュ先生がJALANAじゃなくLCCの日程fix席指定無しで研究室分室に通っているんでありますから、素晴らしい世の中になったものでありまする。

そんなLCCが出現する前に、今や准LCCとしか分類しようのない、JALANATDAの無駄なサービスを排して価格を安くするスカイマークが出現したのが20世紀の終わり。要はサウスウエスト航空の考え方だったんでしょうけど、911以降の大混乱、大手の資本と運輸省&自民党権力癒着をバックにした政治圧力&値下げ攻勢に耐えきれずすったもんだ、なんのかんので今に至り、成田にANAの亀さん38くんが並ぶ理由になっているのは皆様ご存じの通り。

そのスカイマークが本気でANAに潰された理由となったのが、「格安長距離国際線への進出」だった。結局、なんのかんのなんのかんので、20年代の今やJALが正にその目的でZIPエアを起ち上げ、ANAもアジア線なんかをやらせてる子会社エアジャパンを同じような性格に変えようとしている。今となればスカイマークの戦略は正しかったわけだが…まあ、時の運ばかりか、ニッポンで権力に楯突いた者の末路…なんでしょうねぇ。

てなわけで、20年代の今、LCC用スーパーハブ空港から国際線を結ぶ便は赤道を越え太平洋を跨ぐ勢い。エアアジアという先例が成功している亜細亜各国も似たようなことを始めていて、シンガポール航空のスクートやら、キャセイの香港エクスプレスやら(なのかな?)、アシアナのエアプサンやら、いろんな「LCCとは言えないけどレガシーキャリアじゃない」ってのが次々と出現している。

かくてハブ空港も成田と福岡板付の二拠点化となったやくぺん先生ったら、昨年秋以降の国境再オープン以来、板付&成田から大邱、釜山、ソウルへと2ヶ月に一度は訪れるようになって(その間、札幌は一度も行っておらんわい)、半島渡るのはLCCが当たり前になっていたところ、今回はいろんなタイミングで新帝都は大川端縦長屋からソウルに向かわねばならなくなった。桃さん羽田午前2時発仁川午前4時過ぎ到着というハイパー深夜便も考えたのだけど、意外にもきっちりお高く(東京都心で深夜前まで遊んで、ソウルに朝っぱらに帰ってまんま仕事に行く、なんてスーパーパワーの若者なら格好の時間だもんねぇ)、羽田金浦なんてお金持ちの皆様がご利用になるエリート便は端から選択対象にはなく、福岡みたいに無数の韓国LCCから選び放題(ちなみに、福岡板付からソウルには金浦便はなく、ANAはそもそも便がありません)ヘタすりゃ片道30000ウォン、なんて状況でもない。さてもどーすると悩んだ挙げ句、「韓国の准LCC」たる振興会社air premiaというものを利用することにしたです。日程がギリギリまで決まらず、チケット購入は10月25日のことでありました。搭乗日まで2週間切ってたわけですな。

その後、送られて来た航空券e-ticketの名前がパスポート名と違っている、などというオソロシーミスが発見されてすったもんだあったり、どうなることやらと思ったものの、無事に修正もなされ、本日の搭乗を向かえたのでありまする。今、気の触れた霜月の夏日が続いたニッポン新帝都を離れ、夏は思いっきり暑く冬は狂うほど寒いソウルの秋深し、湿った冷たい夜の大気に屋台のトッポギが温かく湯気を揺らす東大門市場近く、ちょっと前に出来たデジタルアートセンターの南側の安宿におりまする。

ええ、結論から言えば、この准LCCたるair premiaさん、使えます。以下、めんどーなんでポイントを箇条書き。

★成田ソウルお値段は預け荷物15キロは運賃に含まれ(これ、LCCとの最大の違いですな)、座席指定エコノミー席最前列窓際10Aで2000円也を含め、諸々込みで片道21510円也でありまする。席指定なんて要らん、と割り切れば2万円切るわけですわ。無論、LCCのセール爆安値段をPC前に座ってスタートの時間に必死に入力するギャンブルに当たれば、成田発でも諸税込み1万円ちょっとくらいもあり得るでしょう。福岡便なんて、そんなんばっかりですわ。でも、2週間切った予約でこの値段は、正直、ビックリしました。ちなみにニッポン側准LCCの旗頭ZIPエアさんは、同じ条件で29000円くらいです。なお、東京博多シンカンセンの正規料金は22220円ですから、ほぼ同じってことじゃわな。

★air premiaさんとすれば、ソウル仁川成田は最短距離路線。会社の性格上、主要都市にしか就航してませんので、キューシュー島に山のように乗り入れているLCCのような路線選択肢はありません。今回はソウル仁川空港から大分空港に戻るので、air premiaさんは片道チケットです。その結果、普通はどの航空会社でもチェックイン窓口の手間を減らすためにやっている事前のチェックインとQRコードでの搭乗券事前発行というシステムは使えませんでした。ですから、「チェックインは3時間前からです」というなにやら不穏極まりない通達が意味するところはなんなんじゃ、と怯えつつ、12時半成田発の便搭乗のために午前9時25分には成田第2ターミナルに至らねばならんでした。
とはいえ、仁川を朝っぱらに出て成田に来て昼過ぎに戻る、という仁川ベースの運用なので、その日にソウルに入りさえすれば良い成田利用のトーキョー首都圏の客なら、朝の8時半だか成田発の成田ベースZIPエアさんよりも朝は楽です。問題は、逆方向とはいえ朝の通勤ラッシュに巻き込まれることですけど。

★普通のLCCが使っている737や321,321に比べると1.5倍からヘタすりゃ2倍の客を運べる787ですので、空港カウンターがとてつもないことになるんじゃないかと不安だったんですけどぉ…そこは流石に向こうも承知。3時間前からチェックインで案外と客が分散されて、9時25分にバス降りたら指定カウンターの方にとてつもない列が出来ていて真っ青になったんだけど、それは隣のセブパシフィック航空さんの列で一安心。我が新興航空さん(premiaって、チェジュ航空社長は何を考えて命名したんじゃ?)、ビジネスクラス席チェックインとエコノミーをちゃんと別にしており、ビジネスには10人ほど、エコノミーには20人程度が並ぶくらいでした。
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もうひとつ、Webチェックインを終えて搭乗券を持ってる人のバックドロップ列もあり、レガシーキャリアと同じやり方になっていた。LCCは、「有料で先にチェックイン出来る」ということをやってる一部会社以外は、基本は誰も彼も同じ条件で列に並ばねばならず、ANAJALのエリートに慣れた方にはとても耐えられないでしょうけど、その部分はレガシーと同じです。そしてなんと、9時半のチェックイン開始時間には担当のおねーさんおにーさんが1列に並び、一礼して作業を始めます。まるで日本のレガシーキャリアみたいじゃんかぁ。そしてなんとなんと、客対応で基本、笑ってますっ!凄いぞ、これはもうLCCでは絶対にないことじゃぁあああ!

★成田第2は0年代半ば以降来たことがなかったけど、無駄に広く空間が余ってて、ハイパー混雑の福岡板付国際線ターミナルに分けてあげたいくらいですなぁ。ゲートは、昔はターミナル連絡鉄道が走っていた東側サテライトの北の隅。もう向こうはLCC専用、我らがお馴染みの第3ターミナルが広がってるところです。
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出国が完了した場所から、早くても15分はかかる僻地ですのでお気を付けて。

★搭乗は当然ながらビジネスとエコノミーは別列なのはレガシーキャリアと同じ。
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エコノミーは22列以降を先に入れます。ただ、やはり2通路で機内に余裕がある787なので、321のながああいせまああああい列に渋滞が起きることはない。やはり320シリーズはホントに狭いわなぁ。客席にはテレビモニターはないけど、足下各席にユニヴァーサルタイプの電源あり。今時流行のUSB端子のみ、という無慈悲なものではなく、イギリス式のあの馬鹿でかいガッツリ型アウトレットにも対応しています。これは有り難い。Wi-Fiはエコノミークラスは有料ですが、飛んでます。そうそう、お菓子が出ます。これじゃ。やたらと甘いじゃ。
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それから、個人用の机がちゃんとしていて、足下が広いエコノミー最前列なら、実質、シンカンセン貧乏人席くらいのスペースが確保されるので、ガッツリ仕事が出来ますわ。
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★オモシロいのは、離陸してシートベルト着用サインが消えるや、すちゅわーですさんがやってきて隣の空いた席に「ここはダメよ」というサインを付けて歩いたこと。
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半島のおばちゃん、「あそこ空いてるわ」と平気で移ってくるから、こんなことするんだろーなぁ。トレニタリアもKTXも、半島の列車は自分の指定席に行くとおばちゃんが座ってるのは当たり前だもんね。

★あと、エアバス社さんは350で不採用だったんで、787が唯一の採用機体となってる窓の透過可変装置、あれはホントに有り難いです。お陰で安心して左側窓際の席が指定出来たわけですし、今回もガッツリ日が当たるほうだけど、ちゃんと外が眺められるので爺は嬉しいじゃだっく!

★仁川空港はいちばん南の第1ターミナルの端っこの辺りにスポットインします。ぶっちゃけ、かなり歩かされますが、地下連絡鉄道に乗らねばならない奥のサテライトではありませんし、もの凄く遠い新しい第2ターミナルでもありません。とはいえ、タッチダウンは午後3時前で、入国が終わり荷物が出てきてさあ市内に向かうぞ、という状況になるまで45分かかりました。福岡板付空港は20分かからないこともあるので、やはり「デカい空港は避けろ」という鉄則は揺らがず。ま、こういう准LCCは小さな空港には入らないけどさ。

結論。准LCCは20世紀末の長距離国際線エコノミークラスとほぼ同じ。なんだか無性に懐かしく、この感じで映画を前のスクリーンで眺めるともなく眺めながら太平洋を越えたなぁ、ってデジャヴ感が。正直、貧乏な爺にはこれで充分じゃわい。とはいえ、就航しているのは成田ばかりで、福岡空港には准LCCってひとつも入ってくれないんですよねぇ。うううむ…

かくて、午後6時に東大門の宿ですったもんだのドタバタ道中だったというエク一向に合流。ヒュンダイアウトレットモール地下のフードコートでCasaビール飲みながら、明日は午後4時からロッテホールでリハーサルと確認したのであったとさ。
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あたくしめの戻りはジェジュ航空さん、そして来週は諸事情あって、なななぁんと2019年暮れ以来のANA直行欧州便じゃ!大金持ちになった気持ちじゃわい、えっへん。

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