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八幡宮境内にあるオフィス [音楽業界]

今年は大祭ばかり。金曜日から、晴海運河の向こう隣町は門前仲町でも、深川の富岡八幡の例大祭が始まっている。

町内御輿がたった7基、佃及び月島と晴海のふたつの人工島だけが担当の我が住吉さんに比べれば、お隣さんはデカイ。なにせ、今日の午後に永代通りを大川の向こうから地下鉄木場駅の辺りまで全部閉鎖し、ずらり並べた御輿は50数基。昨日、でかすぎて人が引けないために車に乗せて巡回した宮御輿の走った地域も、深川や木場など2世紀前の江戸の新興湾岸リゾートから、豊洲を経て遙か21世紀の都市湾岸近郊リゾートのお台場。江戸城に向かっては、大川を越えた水天宮近辺から佃島向かいの新川地区まで。広いこと広いこと。かつては祭り見物の人混みで永代橋が落ちたというのだから、冗談では済まぬ。

で、例大祭も中日の本日、まだ御輿が八幡宮に到着したかしないかの頃から人で溢れる富岡八幡宮境内の一隅に座り込み、延々と酒を飲んでいたのでありますね。

いくら祭りとはいえ、境内で酒盛りはふとどき、と思うでしょうねぇ。でも、ご安心を。よそ様のお祭りを荒らす酔っぱらいではありません。ちゃんと屋根もあれば、縁側もあるところにいましたから。

富岡八幡宮の境内には、ホーリー・プリーストのプライヴェート・レジデンシィ施設があるのだ。東の鳥居と、相撲力士碑の間の辺に、「富岡」と表札がかけられた格子戸がある。「許可なき者立ち入りを禁ず」などと書いてあって、境内ながらいかにも私的空間という趣き。

で、その富岡さんちの格子戸をくぐった入りっぱたの家が、なんと、歌舞音曲差配のオフィスなのであーる。

この商売をしていると、多少妙なところにオフィスがあろうとビックリしなくなる。パリのサル・プレイエルの改造前はホールの天井裏に音楽事務所が入っていたし、エレベーターもない最初の森ビルのペントハウスで今も営業している老舗音楽事務所だってある。虎ノ門ホールの横のビルの階段踊り場としか思えない猛烈に狭い空間に電話を置いて仕事していた事務所もあった。そもそも薄利の音楽業界、たいそうな事務所なんぞ構えられないのがあたりまえ。

とはいえねぇ、あなた、江戸の三大祭りのお宮さん、紀伊国屋文左衛門が奉納した御輿以来日本一巨大な御輿を有することを誇りとする派手な神社の境内に、芸能事務所があるんですよ。いやはや、世の中にはいろんなことがあるなぁ。
無論、普通のクラシックの事務所ではない。「魁文舎」という名の、ホールでの声明公演をメインに、日本や韓国のダンスグループ公演も扱う、邦楽系マルチオフィス。どんなところかお知りになりたい方は、以下のホームページをご覧下さい。いかにも、でしょ。
http://www.kaibunsha.net/index.html

昼過ぎに「こんにちはぁ」と顔を出すと、オフィス兼住居、即ち、富岡八幡宮に住んでいる女社長は、はっぴを羽織り、「え、もう先頭は八幡様まで着ちゃったの」と叫びながら、宮元の御輿を担ぐため、畳の6畳部屋ふたつのオフィスから飛び出していくところ。ほおれ、いってらっしゃいませ。

外の喧噪もどこへやら、あとは昼から酒を飲めのめ。鳥居の内側のオフィスに集まった面々は、音楽プロデューサー、文化サービスNPOディレクター、映画監督、テレビプロデューサー、フリーカメラマン、ダンスカンパニー主宰者、作曲家、健康雑誌編集長、邦楽演奏家、ダンサー、邦楽系音楽ジャーナリスト…。そして、わしゃ先週御輿を担いだばかり、隣の祭りは勝手にやっててくれぇ、と酒喰らってぐだまいてる短気なクラシック音楽ジャーナリスト一名。

というわけで、昼から祭り囃子をBGMに酔っぱらってましたとさ。

なお、富岡さんの例大祭、明日月曜日まで続きます。明日は、魁文舎オフィスから数十メートルの境内舞台で、午後2時半から歌謡ショー、5時半からは琴演奏、6時からは典雅なお茶席が奉納されます。そして、例大祭の最後を飾り奉納される歌舞音曲は、なんとなんと、「深川バロン倶楽部によるインドネシア島のガムラン演奏と舞踏」。じょーだんではありません。これホント。

さあ、21世紀のお江戸下町に住むインドネシアの方々が、江戸最大の八幡様に奉納するガムランの調べを聴きたければ、月曜の夜に門前仲町へと急ぐべし!今を逃すと、3年後ですよ。


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