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12年振りのエリザQ [弦楽四重奏]

イタリアの弦楽四重奏の状況は、ホントに訳が判らぬ。フィレンツェのフォネQのヴィオラに植村理一氏が座ってた頃は、なんのかんのといろいろな情報、というか、状況を説明していただくこともあったのだが、植村氏が団を辞して東京に戻り、芸大フィルハーモニアに座ったり、アルモニコQ創設チェロの窪田氏やら、ソリストとしても知られる千葉の星、瀬崎明日香嬢なんぞと千葉方面で弦楽四重奏をなさるようになっちゃってからは、ホントに情報がない。無論、ボルチアーニ・コンクールの事務所からは情報が入るとはいえ、どうしても北イタリアのアバド家支配地域限定になっちゃうし。

なんにせよ、クァルテット・イタリアーノ以降のイタリアの弦楽四重奏業界は、巖本真理Q以降の日本と似たような状況なようだ。いろんな先生が教えに来たり、いろんな学校が弦楽四重奏を生徒にやらせたり、メイジャー団体がオペラハウスの室内楽シリーズなどに盛んに来演したりしているものの、「これがイタリアのトップ団体だ」みたいな連中は、遙か極東の室内楽好きの頭にはまるで浮かばない。ディスクマニアはヴェネチアQなり、昨今の妙なレパートリー拡大のお陰で演奏は聴けるものの、果たしてこの連中がコンサート活動どの程度やってるか、まるっきり判らぬ。

さても、「やくぺん先生殆ど佃にはおりません」の9月としては唯一、1週間も厄偏庵に滞在する間のこの週末、東京近郊は何をやっとるべーか、と調べたら、なんとなんと、国立は一橋大学の兼松講堂で「フィレンツェのエリーザ弦楽四重奏団」なんちゅー団体が弾くでないの。ご案内はこちら。http://www007.upp.so-net.ne.jp/o-arches/s-2.html

へえええ、懐かしいなぁ…というか、やってたんだぁ、この団体。なんとたまたま数週間前にバンフ国際弦楽四重奏コンクールをご紹介するために引っ張り出した旧稿で、この団体のことに触れてます。こちらをご覧あれ。http://blog.so-net.ne.jp/yakupen/archive/20070829実際に出会うのは初めて訪れたバンフの山を降りて以来、12年ぶりじゃあないか。

上記の記事では「エリザSQ」と記してる団体です。メンバーがとても同じままでいるとは思えないけど、当時はバンフのおばちゃんたちをすっかりのぼせ上がらせたイケメンイタリアン4人組、チラシを眺める限りオッサンにはなったけど男性4名という構成は同じみたいなんで、何人かは当時からのメンバーはいるんでしょうね。

どうも、月曜日の平塚のデパートみたいなところでの全イタリアプログラムはすっかり売り切れのようだけど、日曜日の国立は大丈夫なようです。全員イタリア人(なんだろーなぁ)の弦楽四重奏団を日本でライブで聴く機会は、今は某事務所が招聘しているジョヴァンニ・クァルテット・イタリアーノくらいしかないでしょうから、興味のある方は是非お聴きあれ。この団体、12年前のおぼろげな記憶を思い起こせば、同じくフィレンツェから来ていた植村氏の入るフォネQのきちんとした構成感のある演奏に対して、カンタービレで押しまくれ、ってパヴァロッティみたいなところがあって、それがバンフの一部聴衆に大受けだった(イケメン、というのは別にして)。いかにもイタリアの団体、という感じではありました。

20世紀末からラテン化が急速に進んでいる日本国ならば、ああいう音楽は受け入れられる可能性は大いにあるでしょう(12年前の印象を持ちだしても何の意味もなかろーけど)。なんせ、数ヶ月前のあのサンタ・チェチーリア管、1980年代頃までなら「ものすごくヘタ」とか「精神性皆無のスポーツ的快感のみ」とかコテンコテンに酷評されるか、まるっきり相手にもされなかっただろうことは確実のマーラーに、会場がひっくり返るほど大熱狂していた昨今の東京の聴衆なんですからねぇえええ。←これ、2割くらい皮肉で、8割くらいは時代の変化に感慨を洩らしている表現ですから、誤解無きよう。

なお、26日にはあの千鳥ヶ淵の真っ赤っかの問題の建物、まことちゃん真っ青の新しいイタリア文化会館(こちらをご覧あれhttp://www.sgcpp.jp/hp/italy/italy.htm)での全イタリアプログラムはまだ入手可能なようです(残念ながら小生はまたこの日は日本列島におりません)。その間も日本各地をまわってるのでしょうが、なんせ音楽事務所が招聘している団体ではないので、詳細はまるで判りません。ご関心の皆様は、お近くの市民会館などの告知にお気を付け下さい。ちなみに兼松講堂、なかなか雰囲気の良いところですよ。連休中日の日曜だけど、夜ですのでお気を付けて。あたしゃ昼間にいくとろこだった。


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すみこ

イタリアって弦楽四重奏盛んなんでしょうか?
フランス事情もよく知らないけど、クラシックラジオ局の
プログラミングにはしょっ中出てくるから人気はあるんだと
思います。丁度湯布院音楽祭の最中沖縄市の青少年演劇フェス
でバレエの講習会の伴奏してたんですが、先生のフランス人が
地元の若ーいカルテット(我輩は猫であるじゃないけど、名前
はまだないそうです)と舞台でインプロセッションをしました。
即興は初めてだったそうですが、おもしろがって臆せずなかなか
の出来でびっくりしました。沖縄ってもともと音楽の偏在する
土地ですね。今活動してる人達で沖縄出身って多いんでしょうか?

やくぺん先生が飛び回っていらっしゃるのは当然どこそこの
雑誌やらが旅費を持っているのだと思っていたので、前回の記事
は驚愕と共に尊敬の念を新たにしました。まさかバンフとかも
自腹でいかれたんですか???
by すみこ (2007-09-14 14:59) 

Yakupen

基本的には全部自腹ですよ。ってか、バンフは集まってきている世界中の主催者や音楽プロデューサーたち、全員が全て一般聴衆と同じ立場で来ています。嫁も晴海のNPOからお金が出ているわけではなく、全部自腹です。どうしてもお金がないときは、国際交流基金の個人派遣などに申請書を書いて応募します。ま、殆ど当たりませんけど。
よーくご存じのように、音楽業界は「一番のひと総取り」ですから、当然ながら我々裏方など全くお金がまわってきません。我が家は完全に自転車操業状態ですよ。江戸っ子じゃあないけど、宵越しの金はこの業界にいる限り持てません。いやはや。
by Yakupen (2007-09-14 15:10) 

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