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これは困る [売文稼業]

殺伐たる話。

ご存じの方はご存じでしょうが、昨日、18歳の少年への死刑判決騒動(どうして日本国の法制度には所謂絶対的終身刑がないの?誰か教えてちょーだいな)に紛れて、もうひとつの重要な「ジャーナリズムへの死刑宣言」ともなりかねない判決が出ています。確定じゃあないですけど。
http://mainichi.jp/enta/geinou/news/20080423ddm012200183000c.html
http://www.asahi.com/national/update/0422/TKY200804220239.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080422-OYT1T00770.htm?from=main3
http://www.news.janjan.jp/media/0804/0804225490/1.php
http://www.j-cast.com/2008/04/22019316.html
http://ugaya.com/
http://www.ohmynews.co.jp/photo/20080422/23835

裁判関係の出来事は、先日の日本空軍派遣部隊米兵運び屋違憲判決みたいな狙いすました内角ギリギリの剛速球ストレートみたいなものもあるから、判決に至るまでのプロセスをきっちり判って、判決そのもののもきっちり読み込まずになんのかんの騒ぐと、だいたいが大恥をかくことになる。でも、今は連休前の原稿が溜まってて忙しいんでそんなことしてる暇はない。で、もー、ひたすら直感的に、騒ぐだけ騒いでおくです。

これはやばい、これは困る。

こんなもんを許して、コメントで多面的な視点を入れることまで出来なくなったら、編集者はホントにちょーちん記事以外書けなくなるぞおおお!ただでさえ1990年代半ば過ぎから、「あらゆる音楽雑誌の記事は前パブでしかない」って傾向が顕著なんだから(おかげでこれだけ無料媒体も発達したんで、良い面もないとはいえぬのでしょうけど)。

大手新聞なんぞにコメントを掲載されたことのある方は100人中100人までが「あれは私の意図とは違う」と思ってる筈。だから、こんな判決が確定しちゃったら、一番困るのは大手メディアでしょう。純粋に技術的にみても、コメント貰って、記事書いて、そのコメント内容をコメントをくれた相手に「この部分の発言責任はあたたしら編集部じゃなくて貴方になりますのでよろしく」なんて知らんぷりしてチェックさせてたら、絶対に締め切り間に合わないしね。うちらの業界関係者諸氏よ、クリスチャン・ツィメルマンを思い出せ、ヴァイオリニストのMさんを思い出せっ!

編集者や出版社に自主規制をさせる、というのは日本国でのメディア規制の一番基本的かつ最も有効なやり方です。そんなこと、猿だって知ってる。とっても賢くいらっしゃる稲田朋美せんせーは、猿以下ぶりっこをなさってらっしゃるようですけど。

というわけで、お暇な方はこの騒動、あっちこっちで調べて、ご自分で壁新聞なりをお持ちの方は、小生にも判るような解説でもして下さい。特に、この原告側ライターさんの主張に問題があるとすればなんなのか、告訴の戦略を違えていれば勝てた可能性があるのになにかバカやっちゃったのか、などなど。

頭の良い方、よろしくお願いします。小生は、これからシコシコと大阪国際室内楽フェスタの校正やって、2ヶ月サボってて町会長さんちの前を通れない町会新聞作らねばなりませんので。ふうううう…
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maruta

こちらに判決文がアップされています。
http://xtc.bz/index.php?ID=500
by maruta (2008-04-24 08:10) 

Yakupen

marutaさま、有り難う御座います。一番知りたいのは、この裁判や状況を全部判った上で、やっぱりこのライターさんにも非がある、という意見なんですよ。「不当裁判」とか「ジャーナリズムの危機」という煽り記事は、そんなもん火を見るよりもあきらかなんだから、今更必要ない。その意味で、お知らせ下さったサイトは興味深いです。有り難う御座いました。

小生は個人的には「編集者のモラルの問題」だと思ってます。名著「職業としての編集者」に照らしても、本来問われるのはこの記事のホントの書き手の編集者だと思うんですよねぇ。「引用の創造力はどこにあるのか」という問題なのかな。なんであれ、ともかく、告訴する相手がそもそも間違ってる、ということ。
by Yakupen (2008-04-24 10:35) 

白石知雄

烏賀陽さんは、ご本人のポリシーで、何らかの団体のバックアップを受けるのでなく、個人として闘うというお考えのようですね。その辺が、話がじわじわ水面下的に進む結果になっているのかも。

ご本人のご意向を汲みつつ必要なものがあれば支援しようという趣旨で、増田聡さんがカンパ支援の窓口を作ってくれています。

http://d.hatena.ne.jp/oricon-ugaya/

増田さんは大阪市大の講師をしているポピュラー音楽学者で、私が言うのもおこがましいですが素性はたしかなので(大学の後輩です)、応援のお気持ちがある方はご検討いただいてもいいのではないのでしょうか。

(私信になりますが、某女史、大阪へ戻って来ました。音楽担当ではないそうですが。)
by 白石知雄 (2008-04-24 23:01) 

Yakupen

白石様、ご無沙汰、ってか、週末大阪いくです。来月は2週間くらいそっちにいます。よろしく。

この裁判で小生に理解できないのは、出版社の動きなんです。最も勝手連的に「烏賀を守れぇ」と叫ぶのは、どう考えても編集者連中だと思うんですけど。こんな裁判見て見ぬふりをするなんて、自分で自分の首を絞めてるようなもんでしょ。中立なんてあり得ないと思うんですが。

とはいえ、「びわ湖ホール騒動」でメディア連中が最初に心配したのが、「びわ湖ホールの広告料が入らなくなるかもしれない」だそうで…これ、冗談じゃないですよ。今や全てのメディアが巨大な広告媒体なんだなぁ、と毎度ながら納得させられた次第。

やっぱりこの文明を滅ぼすのは「経済性」という名の怪物だぞ!
by Yakupen (2008-04-25 01:56) 

Takamoto

やくぺん先生の獅子奮迅のブログ、毎回楽しみに読んでいます。

>ただでさえ1990年代半ば過ぎから、
>「あらゆる音楽雑誌の記事は前パブでしかない」って傾向が顕著

本当ですねえ。この件は『耳のあるやくぺん先生』が事後論争に決して加わらないことも大きなポイントだ、と個人的には思っております。
びわ湖ホールの広告料の話、笑ってしまいましたが大いに考えさせられました。今後のさらなるご活躍を期待しております。
by Takamoto (2008-04-26 07:42) 

maruta

たしかに出版社(たしかインフォバーン?)の陰が薄いですね。全くの門外漢の当方から見ると、「噂の真相」のような最前線の撤退によって、「名誉毀損」という言葉に対する対抗意識が、この業界からパタッと消えたように見えて仕方ありません。なお、この件についてはこのブログもいいですね。
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20080425/oricon
ところで、昨年あった小笠原の件、今年度は「小笠原のフィールドを活かした創作拠点(アーティスト イン アイランド)形成のための社会実験等業務」として6月に発注予定とのことなのですが、これは結局関与されたのですか?。

by maruta (2008-04-30 18:46) 

Yakupen

Takamotoさま、ご無沙汰です。Marutaさま、先日はどうも。

いやぁ、この話はねぇ、一番コワイのは、メディア側が「正しいこと」しか言えなくなることです。今のメディアのあり方で「正しさ」を追いかけてくと、結局「御上の公式発表が一番安全である」ってことになっちゃう。なんせ、今のお役人上がりの官房長官なんぞ、政府与党とは違う考えは全部「不正確な報道」と言ってのけてへーきな方ですから、どんどん「安全のための自主規制大政翼賛」になっちゃう。

そもそも今時、「メディアが本当の事を書いている」なんて思ってる素朴な人は殆どいない。そう信じている人には、そうじゃない、とみんなで教育するしかない。ま、官房長官は、自ら体を張って「御上は事実を語るわけではない」と全国民に教育してくれているわけですから、有り難いことでありまする。

なに言ってるかわからなくなってきたぞ。いやはや。
by Yakupen (2008-04-30 19:34) 

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